そこはとある森の中にある古城。人はその城に近づかないようにしている。一見するとただの廃城のようにも見えるが、毎年肝試しで入る人は必ず帰ってこないと言われている。その城は生活の跡こそないが玉座の間だけは真新しいレッドカーペットと燃やす前の蝋燭があるらしい。そしてこの光が灯っていない城に客が訪れる。
「ふわぁ………ここに来るのも久しぶりだな」
「遅いぞ、『ルーク』」
「そう言うなって『ビショップ』の旦那。実際どれくらいよ。半年くらいじゃないか?」
「その気軽さは変わらないな」
ビショップと言われた男は真っ黒な髪に真っ黒な目、ローブのような服装に眼鏡をかけた男だった。それに対してルークと言われた男は青い髪に紅い目、ニットシャツの上にロンゴコートを着たような格好をしている。ビショップが大人しい性格に対してこちらは気さくな性格だ。ビショップに比べ、ルークは若く見える。彼らは同じ人物に呼ばれてここにいる。しかし呼び出した本人は先についているわけではなかった。
「しかし遅いな」
「我々が先に来るのは当然のことだ。彼の方より遅れることなどあってはならぬ」
「へーへーそうでございやすね」
「貴様、彼の方前で同じ発言が出来ると思うなよ」
「そりゃあ俺だって立場を弁えるっての。それとも俺は信用ならないか?」
「確かに貴様は新入りだからな。だが貴様の力は本物だ。しかしその態度が気に触る」
「それは申し訳ございませんね。だけど、もともとお前に敬意なんて払う気サラサラねぇからなぁ」
「貴様………!!」
「お?やるか?
「そこまでだ二人とも」
ビショップとルークの衝突が始まろうとした瞬間、玉座の間の扉が開かれる。挿し込んできた光に応じるように二人はカーペットを挟んで跪く。その間を人型が通っていく。その人型は見た目が人間と言えるものではなかった。赤い身体にコウモリのような羽、さらには長い爪が腕についている。顔には鋭い牙が見える。その人型が部屋の奥まで行くと玉座に座り込み、足を組む。
「久方ぶりでございます、我が
「ルーク、ビショップ、共に元気だったか?」
「勿論、王様のおかげで新たな力を手にし、人間共の悲鳴を聞けています」
「お前のその気軽さは変わらないな。ビショップはどうだ?」
「私は王のため、研究を重ねています」
「ライフエナジーの効率化と人間を支配下に置く為の算段だったか。興味深いものだったが進んでいるのだな。さて、ここに集まってもらったのは他でもない。我らの邪魔をする『白騎士』と
王と呼ばれた人型は一瞬にして空気を変える。
「詩姫に関してはお前たちも情報を得ているだろうが、殺せば尊大な報酬だ。しかし生かして連れてくればさらに報酬をやろう」
「何故殺さないのですか?」
「強いていうなら人類の絶望の為だ。それ以上は詮索するな」
「失礼しました」
「次に白騎士だ。彼奴は確実に殺せ。我々の世界に対する異分子など必要ない。我らの同胞を幾度となく殺した彼奴は必ず殺すのだ」
「キング、質問だ」
「貴様ッ!無礼であろう!」
「よい、言ってみろ」
ルークは跪いたままキングに質問する。しかし質問する寸前に後ろの方にある柱を確認する。
「貴方はその白騎士を見たことがあるのか?」
「ああ、
「そうか、じゃあ殺したら首を持ってこよう。そうすれば貴方も確認できるだろ」
「それはいいかもしれないな。首を持ってくれば報酬は倍だ」
「じゃあこっから
「ああ。本来なら出世だがお前の場合私に再戦する権利をくれてやる」
「流石は俺の王だ」
ルークがわざとらしく手を叩くと扉が開く音がする。扉を出ていく影はすぐに消えてしまった。
「誰だ、今この部屋に侵入していた奴は」
「申し訳ございません、すぐに排除します」
「そんな必要もないんじゃねぇか?」
巫山戯たことを言うなとルークはビショップに剣を向けられる。しかしルークの余裕そうな顔を見てキングは高らかに笑う。この状況に理解できていないビショップは混乱していた。
「そうか、なら奴にはもう一度
「それがいいな。けどそうなった場合いいのか?」
「何がだ?」
「今度こそ俺、アイツ殺しますよ」
「ならばそれが奴の運命だろうな」
「それもそうか。では俺はここで失礼する」
「戻れ!まだ王の話は終わってないぞ!」
「キングが言うならまだしも、アンタの言うことは聞かねぇよ」
その言葉を最後にルークは部屋を後にする。残った二人は命令と報告を続けていた。部屋を出た青髪の青年はブツブツとぼやきながら階段を降りていく。
「さてと、白騎士………ね。少しだけ見に行ってみるか、面白そうだし♪」
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朝は早めの起床だったが学校はいつも通りに終わった。今日は教員の方で色々とあるため午前授業で終わった。夕方からRoseliaの練習があるがお嬢様とリサは先に行って練習するとのことで僕達は昼食を終えるとcircleに来ていた。練習に夢中になっていると後の三人がやってくる。そのタイミングで錠前が鳴り出し、電話に出る、そのまま買い物に行ってくると告げてスタジオを後にする。circleの外に出ると京君がバイクに乗ったまま声をかけてくる。急いで後部座席に乗って発進してもらう。
「錠前は何体示してる?」
「一体だね。快斗君がもう対応しているみたいだけど早く行こう」
「わかってるっての。ちょっと飛ばすから舌噛むなよ」
ちょっと飛ばすという割にはかなりのスピードが出ていた。現場に着くとかなり荒らされているのがわかる。多くの透明になっている人間を見る限りかなり大暴れしているようだ。僕達は変身して辺りを警戒すると近くの建物の壁が壊れる音がした。そこからは瓦礫と同時に快斗君の姿が見える。
「何してんだお前」
「来るのが遅えよ!あと見て分かれ!!」
壊れた壁の中から出てきたのは肩にラッパのようなものがついたライオンの顔をしたファンガイアだった。
「まさかお前一人でここまでやられたのか」
「ああ、アイツ……かなりヤベェぞ」
「よし、皆で行こう!!」
いつものフォーメーションで攻撃しにいくと京君の銃弾は避けられ、僕達の攻撃は当たる前にカウンターを放たれた。当たった一撃はかなり重く響くものだった。急いで立ち上がり攻撃を再開する。しかし当たりはするものの痛くもないように平気で殴ってくる。快斗君が投げられるのを見ると今度は僕が首を掴まれる。するとファンガイアの口からククッと声が聞こえる。
「お前が『白騎士』か…!」
「ガッ……放せ…!」
「貴様を殺せば俺は………俺は彼の方の元へと!」
「そいつを放しやがれ!」
目の前を紫の銃弾が過ぎ去っていく。驚いたのか手は離れて僕は地面に落とされる。その際に足を斬って距離を取る。しかしそのダメージすら通っていないようだ。
「テメェよくも新一さんを!」
『メタル』
快斗君は銀色のメモリをホルダーに挿し込んでファンガイアに接近していく。すぐに加勢に行こうとするが足が止まる。横の方から気配がした。ゆっくり、ゆっくり歩いてくる気配。されどその気配は知っているものだった。人の絶望を楽しむ気配。あの夏に出会った悪魔の気配。すぐに横を向くとその姿は見えてきた。先の尖った針のような爪、人とは思えないほどの数の赤い目、そして甲殻類のように硬そうな肌。間違いない、
「おい新一、何やってる!」
「………………た」
「新一!」
「…と…………け……た」
「新一…?」
「やっと……見つけた………!」
「お、おい」
「貴様だけは、貴様だけは!!!」
「絶対に殺す!!!」
気が付けば僕は悪魔の目の前まで来ていた。いつも以上に力を込めて剣を振り下ろす。爪で防がれたが押し潰すように力を込めていく。
「何度この日を待ち望んだか!何度この日を夢見てきたことか!!」
「………」
「あの日からずっと、貴様を忘れることはなかった!」
「………」
「僕は、僕は貴様を討つ為に生きてきた!!!」
「………」
「その首、斬らせて貰うぞ!」
ずっと剣を振るっているが全て躱される。それも全て最小限の動きで。正直今の僕は冷静さを失ってることを自覚してる。それでも目の前の悪魔を見ると殺意しか湧かない。絶対に殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す──────────
隙を取ったと感じた瞬間剣を振り下ろすと奴の姿はそこに無かった。すぐに後ろを振り向くと針の下にある指で額を押さえられる。
「駄目だぞ新一、もっとまわりを理解しないと勝てるモノも勝てない……まだまだだな」
その言葉を聞いた瞬間怒りのゲージが限界を超える。剣を薙ぎ、現時点の最大限の力を引き出す。最高速度で接近、繰り出す拳は全て捌かれる。拉致があかないと一度地面に拳を打つ。地は砕け足下はバランスを保てなくなる。その一瞬を逃さずに回し蹴りを繰り出すとその足を掴んで投げられ壁にぶつかる。威力は加減されているのだろうか、それでもすぐに復帰することは難しかった。悪魔は近づいてしゃがみ込む。侮辱されている気分だった。奴は舐めているのか僕を踏み躙る事はしなかった。ただその手にある針を僕に目掛けて突きだそうとすると別の声が聞こえてくる。
「俺の獲物に手を出すな!」
「………フン」
悪魔は立ち上がり、振り返って来た道を戻ろうとする。僕は体力を振り絞り、声を出す。
「貴様は……一体………」
帰ってきた声は僕を嘲うかのように楽しそうな声だった。
「チェックメイトフォーの『ルーク』、スコーピオンだ」
「その名……覚えたぞ……!…絶対……殺してやる………!!!」
スコーピオンは振り返ることなく目の前から去って行く。その姿を最後まで見ていると京君達が寄ってくる。どうやらライオンのファンガイアはもういなくなってたらしい。
「大丈夫か?新一」
「問題ない…よ」
「でも凄いボロボロっすよ」
「これくらい問題ない」
「せめて応急処置くらい」
「大丈夫だと言っている!」
触れてこようとした快斗君の手を振り払って立ち上がる。振り払われた快斗君は愕然とした表情だった。我を忘れていたとはいえ申し訳ないことをしたと謝罪する。慌ててそんなこと無いと言っているが僕は目を向けることすら出来なかった。帰ろうとする僕を二人は引き止めるがその声すら僕は聞く気になれなかった。
「俺、あんな新一さん見たことねぇよ……」
「そもそもアイツが感情的になるところすら見たことねぇけどな」
「確かに。てかあの人本気出せばめっちゃ強いっしょ」
「今更か?……でもアイツの実力は多分、もっとあるはずだ。それこそ俺らのが届かないくらいな」
「マジかよ。って、なんであんなに怒ってたんだ?」
「そこも知らねぇのかよ。アイツのあの言葉が本物なら、あの蠍野郎がアイツの復讐相手だろうな」
「復讐?」
「そっからは自分で調べろ」
「えっ、ちょ、待てよ!」
自分に怒りつつも歩いているとcircleの前に着いた。階段を上がろうとすると体に痛みが走る。よく考えてみればあの一撃はかなりのものだった。たった一撃で体が言うことを聞かなくなるほどのダメージだ。ちゃんと鍛えていなかったら気を失っていただろう。でもやっと見つけた。あの悪魔を見つけることが出来たんだ。次に会った時は必ず殺す。たとえそれで死ぬことになっても絶対に殺す。扉を開けようとすると声が聞こえてくる。その声はよく聞き慣れているもので楽しそうな声だった。
「ねぇりんりん、さっきのところなんだけどもっとこう、バーンってやった方がいいかな?」
「うん………その方が……カッコいいかも………」
「白金さんあまり宇多川さんを甘やかさないでください」
扉から出てきたのはRoseliaの皆だった。いつの間にか練習は終わっていたらしい。
「紗夜は厳しいね〜。あ、新一おかえりー、ってどうしたのその傷!?」
「あ、うん、ただいま」
「ただいまじゃないよ!どうしてそんなにボロボロになってるの!?」
「一体何があったんですか!」
「これくらいなんともありませんから、心配しないでください」
「でっ、でも新兄酷い怪我だよ!?」
「大丈夫だから」
「でも手当くらいは……」
「問題ありません!」
いつの間にか大きな声を出していた。その声に驚いたのか皆動きが固まってしまった。僕は急いでフォローに回ろうとする。
「ご、ごめんなさい、急に大きな声出しちゃって。皆驚いたよね、けどこれくらい問題ないから」
「そ、そうなの…?」
「うん、ごめんね。こんな格好でくれば皆驚くよね」
まぁねなどと言ってリサは笑って誤魔化す。けれど他の人達は皆暗い顔のままだった。とりあえず僕はここにいちゃいけないと感じ、先に戻ろうとする。
「申し訳ございませんお嬢様、先に戻っております」
「え、ええ、構わないわ。気をつけなさい」
「ありがとうございます。では皆さんまた明日」
「待って新一、せめて顔くらい綺麗に………」
ハンカチを持ったリサの手が僕の顔に近づいた時、手首にあるブレスレットが目に入る。その瞬間夢の内容が急にフラッシュバックする。瓦礫の周りにぶちまけられた血とブレスレットの映像。フラッシュした映像を否定するように後退ると体制を崩して尻餅をつく。
「ちょ、大丈夫!?」
「全く、そそっかしい人ですね」
苦笑いしながら差し伸ばされた紗夜さんの手を取ろうとすると今度は心臓を貫かれている紗夜さんの映像がフラッシュバックする。伸ばした手が止まる。気づけば嗚咽のような声が漏れていた。
「本当に大丈夫ですか!?」
「ご、ごめんなさい……ごめんなさい!」
僕はその言葉だけを残して皆の前から走り去る。走っていると途中に薄暗い路地があるのに気付いてそこに入っていく。無性に入りたくなった。光が届かないところに行きたくなったのだ。壁に寄りかかると力が抜けたように座り込む。走っている最中何度も繰り返した映像が頭の中を支配する。嫌だ嫌だと頭を抱える。少し時間が経ってから当たりを見渡すと既に真っ暗になっていることに気づく。早く帰って仕事をしなきゃ行けないことを思い出す。だけどまたあの映像が頭を過ぎる。けれど今はそんなことに構っている余裕はないと逃げるように路地を抜け出した。
歌騎士の第一部が終わったのでアンケートとります!全部幕間のネタですけど
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二人のバースデーやろ!
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パーティーしよ!ヘイセイヘイセイ
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誰か狂わせようぜ⭐︎