あ、本編どうぞ( ・∀・)つ
学校が終わってから三人で歩いていると錠前が震えているのがわかる。他の人がいるときはならないようにマナーモードに設定している。ちなみにこの機能はついこの間実装された。お嬢様の事をリサに任せて走って現場に着くと今日はライオン一体のみが暴れていた。他の人も来ると思った瞬間錠前からコール音が聞こえる。非常電話にもなるがこっちの方はマナーモードの機能は通用しない。
「もしもし、こちらイクサ」
『あーもしもし?こちらスカルと馬鹿』
『バカって言うな!』
「二人ともどうしたの?僕は現場に着いたけど」
『申し訳ないがしばらくそっちに行けそうにない。こっちに雑魚どもがウジみてぇに湧いてやがる』
「……わかった。二人とも無理はしないようにね」
『お前もな』
錠前を閉じてポケットにしまう。二人が来れないのは戦力的に辛いが向こうにも出てしまったのなら仕方ない。僕は変身してすぐに戦闘を開始する。仮面ライダーの名を持つものとして、彼の方と契約した者として今日こそコイツを倒さなければならない。僕が倒さねば被害は広がる一方だ。イクサナックルを外して右手に嵌める。イクサカリバーを左手に逆手で構えて接近する。こちらには気づいていなかったのか不意打ちが決まる。それでも皮膚は硬く大したダメージは入れられない。
「ナニモ──やっぱり白騎士か!」
「やっぱり、硬い」
「今日こそぶっ殺してやる!」
それからライオンとの戦闘が始まった。剣で攻撃をいなしつつイクサナックルで殴るとダメージが入った。おそらく殴るときに生じるイクサナックルの出力が通常の拳の威力を底上げしていると考えられる。隙を見つけた瞬間に打ち込んでいくのが正解だろう。だが剣で皮膚に少しでも傷を増やしてダメージを通せるようにしておくのもいいだろうか。
だが奴も単純な攻撃ばかりではない。フェイントや速い攻撃は今の僕を圧倒的に凌駕する。今でも悪戦苦闘なのに一回でも食らえばその瞬間に負けに大きく近づく。少しずつ攻撃を与えていくと激昂したのか速さがさっきよりも上がって来る。なんとか避けているうちに違和感に気づく。ライオンの拳はさっきまでと違い、拳に何かを纏っている。本人のエネルギーだろうか。禍々しい感覚が伝わってくる。
「どうした白騎士ぃ!」
「くっ!」
「お前の首、今日こそ貰うぞ!」
拳に気を取られていたせいか足元が疎かになり足を引っ掛けれられる。体勢を崩した僕に追い討ちをかけるように胸ぐらを掴んで額を打ちつけてくる。背中から倒れた僕を踏みつけようとする。すぐにイクサカリバーを銃モードに変えて撃つと後ろに下がっていく。
すぐに立ち直して近接に持ち込むと剣を白刃取りされる。動揺が零れてしまいその瞬間に足を引っ掛けようとしてくる。二度も喰らうかと一度跳んで地に着いたと同時に剣から手を離して回し蹴りを決める。よろけた瞬間をすかさず乱射するとある程度の弾が当たる。それでも大したダメージは入らずまた近接になる。
「まだ生きてんのか」
「貴方を倒すまでは死ねませんよ」
「ハッ、減らず口を!」
ストレートを腹に受けて距離ができる。距離を詰めてこようとするが逆にそれを利用することにした。近くに来た瞬間を狙って錠前をライオンの顔面に投げる。奴がそれを振り払う前にイクサカリバーで撃ち抜くと爆発して煙幕になる。せいぜい目眩しにはなっただろう。その間に後ろに回ってから懐に入り込み、八双斬りをすると背中に傷を与えた。受けてすぐに跳んだライオンを追いかけて着地寸前を狙って斬りにいくと衝撃波に吹き飛ばされる。プレッシャーのような衝撃だった。広範囲型なのかな。剣を地に刺して膝がつかないようにする。
「流石に、今のは効いたぜ」
「ハァ……ハァ………」
「息があがってんじゃねぇか。限界だろ?なら殺してやるよ!」
ライオンが真っ直ぐこっちに向かって走ってくる。迎え撃とうと構えを取ろうとするが昨日の傷が痛み始める。今の戦闘と衝撃で傷口が開いたのだろう。
あぁ、こんなことならもっと早くに制限を解除しておくべきだった。けどこの縛りは制限のための縛りだから無闇に解放できるアレとは違い条件がいる。けど正直そんな相手もいないので縛りを解放できる条件は簡単に揃えられない。
そんなこと考えているうちにライオンはすぐ近くまで来ていた。突き出された拳にイクサナックルをぶつけると衝撃波が生まれる。押し負けないように突き出していると互いに衝撃に耐えきれず距離を取る。衝撃波による体の負担が襲ってくる。膝をついて呼吸を整えようとするとライオンが反対方向へと歩き出しているのが見える。その方にはいてはいけない存在があった。
「まさか、こんなところで会えるとはな!」
「な、なに!?」
「知る必要はねぇよ!」
昨日といい今日といい何故お嬢様がここにいる!?まさか追いかけてきたのか!?だとしたらなんて愚かな事だろうか。いや違う、愚かなのは僕だ。僕が怪我ばかりしてくるからお嬢様は心配して付いてきたんだ。主人に心配させるようなことはあってはならないのに。
さっきのエネルギーを纏った拳をお嬢様にぶつけようとしている。あれを生身で喰らったら死ぬのは確実だ。しかもよりによってお嬢様を狙うとは一体どういうつもりだろうか。
僕は急いでお嬢様を庇える位置にまで走る。なんとか間に合ったかと両手を広げて庇うとすぐに拳は当たる。
「ナッ!?」
ライオンは驚いていたような声を上げていたが気に掛ける暇すらなかった。かなり痛い。肋骨全部が折れそうなくらい強い痛みが走ってる。拳が離れると膝をつく。次第にイクサシステムは解除された。
「なん、で────」
後ろからはお嬢様の声が聞こえるが意識が消えそうなくらい朦朧としている。早く逃げて欲しい、そんな気持ちでいっぱいだった。
「チッ、まぁ一石二鳥か。このまま二人とも潰してや──」
「そうはさせない」
すぐにイクサナックルの圧縮弾を撃つと後ろに下がっていく。狙いを顔に向けたはずだが手元が狂ったのか左の方へ圧縮弾は飛んでいった。しかしそれが奇跡を呼んだのか奴の右肩に当たった。ライオンは悲鳴を上げながらも目の前から消えていった。よかったと伸ばしていた腕を下ろすとお嬢様が声を荒げてくる。
「一体何しているの!?」
「無事…ですか?」
「私はなんともないけど、まずは自分の心配をしなさい!傷口が開いてるじゃない!」
徐々にお嬢様の声が聞こえなくなり、なぜ慌てているか理解出来なかったが見たところ怪我がなさそうだったので安心した。その様子を見届けると僕は意識を手放した。
「────!」
「────────です。──────ん」
意識が朧げな中何かが聞こえてくる。集中してみるが何も聞こえない。
「────た────────」
「ーい──────」
集中を続けてもやはり何かはわからずまた僕は意識を失った。
「───ここ、は?」
「病院よ、やっと起きたのね」
「お嬢様……運んで下さったのですね、ありがとうございます」
目覚めたときに見たのは知らない天井だった。状況を確認するとどうやら僕はあの後倒れたらて運ばれたとのことだ。ベッドの側にはお嬢様の姿があった。お嬢様は僕の姿を確認するとすぐに俯いて震えている。表情を見ようとするが影ができていて顔がよく見えない。さっきのことでまだ怖がっているのだろうか。無理もない、実際殺されかけたのだから。誰だってあんなことがあったら恐怖で怯えるだろう。少しでも安心できるようにするのが今の僕の務めだろうと声をかける。
「新一」
「ですが、本当に災難でしたね」
「新一」
「あんな怪物に襲われるだなんて。しかし」
「新一!」
「………」
ずっと聞こえないフリをしていた。僕の名前を呼んでくるお嬢様の声はなにかを求めるような声。その声に応じたら何かが変わってしまうような気がしてならなかったからだ。でもそれももう通じない。
「…今から聞くことに答えなさい」
「………畏まりました」
「あの鎧みたいなのを着てたのは本当に新一なの?」
「そう、です……」
「今までずっとあんなのと戦ってたの?」
「……はい」
「最近怪我ばかりするようになったのはアレのせいなの?」
僕は肯定する返事すら言えなくなる。やがて顔を見ることも耐えきれずに目をそらす。目を背けていると再びお嬢様の口が開かれた。だがその声はさっきまでとは違い悲しみが混じったような声だった。
「…なんで?」
「……え?」
「何で戦ってるの?」
「それは………」
「…お父さんに言われたから?」
「…!」
イクサシステムの契約のことはお嬢様には一切話していない。元々執事の契約書とは別の契約書の内容だからだ。だがこの部分のみ秘匿なのか、それとも別契約なのかはハッキリせずとも、今まで黙っていたことから考えがつくのは当たり前のことだろう。何も言えないまま時間が経つとバツが悪い顔をする。
「やっぱり、そうなのね」
「確かに、これも仕事だからやってました。ですが貴女のためでもあるんです」
「……」
「貴女に怪物を合わせないようにって」
「けど、それは仕事でしょう?」
「っ!?けど、貴女に危ない目に合わせたくなかったから」
「もう……やめてちょうだい、そんな嘘」
「嘘……?」
頭が真っ白になった。まるで今までのことがかき消されたかのように真っ白になった。
「貴方は仕事だって言ったじゃない。その後に私のためだなんて……そんなの嘘よ。だから、もう、やめてちょうだい……」
「うそ、ですか………ハハ、ハハハ、アハハハハハハハハハハハ!」
「…!?」
嘘という言葉を聞いて笑いが止まらなくなった。しかし笑いが治るにつれてと手の握る力が強くなった。そしてあろうことか僕はお嬢様に対して今までぶつけたことのない、感じたことのない感情をぶちまけていた。
「貴女は……貴女はどこまで我儘なんだ!貴女と暮らし始めてからずっと!貴女の我儘を聞いてきた!料理だって、洗濯だって、仕事とはいえ全て僕がやってきた!イクサになってファンガイアやドーパントから貴女を守った!沢山戦いました!何度も傷ついた!戦って傷ついて戦って傷ついて!どれくらい繰り返した事か!貴女が何も知らない裏で僕は何度も戦っていた!いつしか仕事のことなんか契約なんかどうでも良くなっていた!それでも僕は貴女の為に……ハハ、それこそ嘘ですね。僕は貴女だけのためでなく、皆のためにやってきたんです!思い上がってもらっては困る!」
「…っ!」
乾いた音が部屋に響いた。一瞬何が起きたか分からなかった。でも気がついた時には頬に痛みが走っていた。お嬢様の右手は開いた状態で手の甲をこっちに見せている。お嬢様の顔を見ると涙を流している。怒りのように見えた顔はよくみると悲しみも混じったような顔だった。
「………え?」
「そんな人だとは思ってなかったわ……つまり私が苦しめていたのよね?」
「………ち、違う!そうでは…っ!」
否定しようとした僕の口を塞ぐ。今否定したらまた嘘を重ねてしまう。そうすればお嬢様はまた傷つくことになる。けど否定しなければ誤解したままになってしまう。しかし僕の言ったことはあながち間違っていないなどと頭の中で色んな言葉が行き交う。
「否定、しないのね……わかったわ。あなたに、今の私なりの、最大の恩返しをしましょう」
「……?」
「貴方を……クビにするわ」
「………え?」
理解が追いつかなかった。
「私の手で、あなたとの契約を終わらせるわ。これであなたはもう苦しまなくて済むわ。今までありがとう、元気で」
「お、お待ちくださいお嬢様!」
「新一?今友希那が飛び出してったんだけどー?」
お嬢様が出ていってすぐリサとりんりんが入ってきた。こっちに近づいてくると驚いたような顔をしている。
「…!新君、何で……泣いてるの?」
「………?あれ?何で…涙を流してるんだろ、僕」
頬に手を当てるとかすかに涙の感触があった。
歌騎士の第一部が終わったのでアンケートとります!全部幕間のネタですけど
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二人のバースデーやろ!
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パーティーしよ!ヘイセイヘイセイ
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誰か狂わせようぜ⭐︎