あれからしばらく歩いてロゴロ鉱山に着いた。鉱山という事もあってか薄暗い雰囲気がよく伝わってくる。しかし所々にある灯りのおかげで視界は問題なさそうだ。
「ここが鉱山かー。なんか薄暗くてちょっと怖いね〜」
「大丈夫大丈夫っ!」
「待って!あれはなんですか?」
安心した僕たちは進もうとすると何かが急に近づいてくる。弓を構えようとするとリサが慌てる。
「わわわわわっ!こっちきた!」
「abunai」
「お嬢様、またキーを押し間違えたんですね」
「そんなに逃げなくても大丈夫だよリサ姉っ!えいっ!」
あこちゃんが杖らしきもので一振りすると得体の知れないものは消えていった。
「びっくりしたー!今の何!?」
「弱いモンスターですね。外とは違って、鉱山には突然襲ってくるモンスターもいるんです(゚o゚;」
「そっか、だから急に出てきたんだ」
「助かった〜、ありがとね、あこ⭐︎」
「楽勝だよっ!」
皆が落ち着いている中紗夜さんは縦を構えてキョロキョロしている。
「紗夜さんどうかしたんですか?」
「いえ、まだ残っているかもしれませんし」
「弱いモンスターならそんなポンポンと襲ってくるわけ……」
いや待てよ?少なくともこのゲームは現代の人間が作ったもの。仮に集団行動とかのAIが搭載されていたらどうなる?出てきた結論は考えられなくもない。僕も弓を構えて警戒心を作る。
「二人とも何してるんですか?」
「「念の為の警戒を」」
「もういないから大丈夫ですよ?」
「そうですか?」
「警戒心は常に持っておくべきかなと」
「それより友希那は?」
あたりを見回すとお嬢様の姿はどこにもなかった。マップを見ても居場所を確認出来ない。まさかゲーム内で迷子になるなんて誰が考えただろうか。でも実際にありえるだろうからなんとも言えないよね。
皆でチャットに打つなり探して見るなりしてみたが反応はなかった。
「一体どこに……」
「この奥は強力なモンスターもいるんだけど…(;´Д`A」
「もし遭遇してたら倒せる?」
「友希那さんだけだったら、というよりあこたちがいても皆やられちゃうよ!」
「じゃあ急いで探さ」
最後の言葉を言いかけた瞬間奥の方から人の姿が見える。シルエット的にお嬢様だった。声をかけると呑気な声が帰ってくる。
「あなた達、どこへ行ってたの?」
「友希那と………誰!?」
「へ、ヘルスケルトンソルジャー!?」
よくわからない名前が聞こえてきたがヤバそうだと迎撃体制を整えるとりんりんが静止してくる。
「二人とも落ち着いて、ヘルスケルトンソルジャーは視界に入らなければ襲ってこないから!」
「ゆ、友希那さん。そのままそーっと……そーっとこっちに来てくれます?」
「……?ええ、わかったわ」
一番危険に晒されている本人が状況を理解していないようだったが窮地を脱したためすぐに別の場所へと移動した。その際も僕と紗夜さんは警戒心を緩めずに進んでいった。ついでに何をしていたか聞くと道を聞こうとしていたらしい。何かもわからない相手に聞こうとするとは、ある意味肝が座ってるなお嬢様。それからは逸れないようにしようと互いに確認しながら進んでいった。
しかし途中で大きな音が聞こえ始める。その音はどんどん近づいていき黒い影が僕達を覆う。
「でっかいねー」
「ほんとだ!でっか!何あれ!」
ゲーム上級者の二人を見ると愕然としている。もしかしてまたヤバイ系?
「あこちゃん……あれって……(((((゚o゚;;))))」
「フィールドボスだーーーー!!」
「フィールド……ボス?何なのか説明して」
「おそらくここら辺の主のような、王様のようなものだと思います」
「あってるよ、さっきのヘルスケルトンソルジャーよりも危険なモンスターで……」
「マジ!?どうすんの!?」
「だ、大丈夫です。とりあえず近づいて、足元をそっと歩いていれば、見つからないので………」
「なるほど……灯台下暗し、ということですか」
灯台下暗し作戦(今勝手に名付けた)で皆が足元を過ぎていく。一番最後になった僕はその様子を見届けていると一人だけスタスタと進んで行っている人がいた。この状況で誰だと思ったら案の定お嬢様だった。
「友希那さん!そっちはダメです!」
「なぜか歩き続けてしまうのだけど、これはなに?」
「もしかしてオートラン押しちゃった!?りんりんどうしよ!このままじゃ!」
「あこちゃん!今井さんと氷川さんを足元に誘導して!うまくいったらアンデッドプレイでやり過ごして!」
「う、うんっ!」
「アンデッドプレイ…?」
聴いた限りの名前だと現実でも結構な人がやってそうな………
「死んだふりをして気づかれなくなるあこの得意スキルです!」
やっぱそうきたかー。それ実際ゲームで使えるのか気になるけど………その前に僕達はどうするべきなんだ?
「新君、走ってでいいからこっちに来て!」
「りょ、了解!」
「ブラインドカーテン!!」
走った先では真っ白な布に覆われてよく輪からにうちに終わっていた。後で聞いた話だとりんりんの使ったブラインドカーテンは数秒であれど姿を消す魔法らしい。使い方が難しいとのことだがりんりんは使うのがうまかった。そのことを褒めると照れ隠しをしていた。そのまま進むと人らしき影が見えてくる。
「あの人がリンダさん?」
「そうだよー!」
「やっと見つけた〜☆」
「それじゃあ、あこちゃん」
「うんっ!『手紙を渡す』」
あこちゃんがクエストを進めるとリンダさんから返事を届けるよう頼まれる。やってることはまるで郵便配達だなと考えると同じことを考えている人が多数いた。
「にしても、こんな近くなのにどうしてジェイクさんはリンダさんに会いに来ないの?」
「それには深い事情があって………」
「リンダさんはここに強いモンスターを封印するために来てるんだ!でも、ジェイクさんみたいな旅立ちの村に住んでる人はしきたり?で、この鉱山に入っちゃいけないんだって!」
「じゃあつまり監視員としていなきゃいけないってこと?」
「その通りだよっ」
「ジェイクさんとリンダさんはこうやって何万回も手紙のやりとりをしているのに………絶対に会えないんです(T ^ T)」
結構悲しい話だなと感傷的になりそうなところをお嬢様が早く引き返してクエストを進めようと申してくる。もう少し感動したりしないのかなこの人。
道中で初心者用故か簡単だったなどと話していると光っているものを見つける。
「あれ何?」
「どれ?」
「あの光ってるやつ……」
「「キラぽん!?」」
「えっ、じゃああれが例の希少モンスター?」
「そ、そうだよ!」
「じゃあ射抜いたほうがいい?」
「待って!気づかれたらすぐに逃げられちゃう」
「だからそーっとそーっと」
そーっとといっている割にはあこちゃんの周りに紫色の光が見え始める。どうやら大技を出そうとしているらしい。確実に倒せるだろうけど………。
「定命の円環を逸脱せし常闇の使徒に我命ず、其の混濁たる眼で深淵を破り、彼の者を久遠の狭間へと誘いたまえ……デッドリィーー!!」
とんでもない大技が出たと思うとキラぽんの姿は無かった。どうやら詠唱中に逃げてしまったらしい。
「いないよね?」
「そ、そんなー!」
「あの、さっきの前口上は必要だったんですか?」
「それ僕も気になる」
「いえ……その、スキルを使うには必要な詠唱なんですけど……キラぽんは強いモンスターではないので、あのスキルそのものが必要ないというか………」
「だ、だってキラぽんを倒せるかもしれないんだもん……せっかくだからかっこよく倒したいなって……」
「そんなことをしているうちに攻撃すればよかったのに………」
「まぁ気持ちはわからなくないけどね。せっかくのチャンスだったし」
「「………」」
「まだ間に合うかもしれないわ、追いかけてみたらどうかしら」
その場に一瞬だけ沈黙が訪れるがお嬢様の発言によりキラぽんの捜索が始まった。しかしどこを探しても見つかることは無かった。さすがは希少モンスター、逃げ足も早いということだろうか。痺れを切らしたのかあこちゃんが出てこーいと叫ぶと別の何かがやってくる。
大きな影かと思いきやさっき見たフィールドボスだった。しかも今度はちゃんとこっちを認識しているらしい。
「これ見つかってたりする?」
「いや、まだ大丈夫なはずです………」
「もう、見つかってます!入口の方へ走ってください!!」
りんりんの掛け声で皆が一斉に入口の方へ目指す。だがしかしこの人数だと逃げきれないのではないかと判断した僕は当たりを見回す。するとちょうどいいものが目に映った。
「お嬢様、こちらへ」
「え、ええ」
いくら巨大なモンスターといえど二手に分断すればどうにかなると踏んだ僕は近くにいたお嬢様を連れて岩場の影に隠れる。するとフィールドボスは逃げていくりんりんたちの方へ追いかけていった。
「なんとかなりましたね」
「よく隠れられたわね」
「ゲームといえど生き物ならって考えただけですよ」
「そういうものなのかしら……あれは?」
お嬢様の指差す方を見るとキラキラ光るモンスターがいた。よく見るとそれはキラぽんだった。とりあえず気づかれないようにと声をかけようとするとお嬢様は既に攻撃していた。それほど弱かったのか一撃で消滅した。消滅跡にはアイテムが落ちており回収するとすぐに引き返した。
「どこ行ってたの~?」
「それはこっちの台詞よ」
「いやそれあっちの台詞ですよ?」
「友希那さんそれって……」
「倒したら落ちてたのよ」
「キラぽんのしっぽだー!」
「どうしたのそれ?」
別れた後のことを説明するとそんな偶然あるかと聞かれたがそれが事実だったのだ。説明を終えるとお嬢様はいらないからとあこちゃんにそれをあげた。もらった本人は嬉しそうにしていたためお嬢様は少し嬉しそうにしていた。街道にも戻ってこれたのでクエストを進めようと村に戻る。
「それじゃありんりんお願い!」
「うん。『リンダの手紙を渡す』」
手紙を渡すとストーリーが始まりジェイクさんの話が始まった。お礼の品を渡されて終わったが二人が会えないことを知ると皆悲しそうにしていた。
「お礼……一体何を貰ったんですか?」
「『リンダのサイス』ですね」
「サイス……?大きな鎌のことだったかしら」
「そうですっ!あこ、ネクロマンサーだからこの武器がどうしても欲しくって………っ!」
「でもなんで『リンダのサイス』なの?」
「リンダさんが実は凶暴だったとか?」
「それはないでしょ」
「実は……この物語を進めると、リンダさんが鉱山のモンスターに体を乗っ取られて魔女になってしまうんです」
「あの人自身がモンスターになってしまうということ?」
「はい……それで、この村が襲われることになるんですけど、その時にリンダさんが持っている武器が、その『リンダのサイス』なんです」
「じゃあある意味形見ってこと?」
「うん、ストーリー見た時少し悲しかったな」
じゃあ今日やったストーリーは悲劇の物語の序章に過ぎないということか……。ネタバレはされちゃったけど個人的にこの物語の続きが気になってくる。
紗夜さんが無理やり連れて帰ればいいじゃないかというが設定上無理な話なんだろう。そこはあくまでゲームらしい。
「まぁでも、あこが欲しい武器が手に入ってよかったじゃん♪」
「うんっ!ほんっとにみんなありがとーございましたっ!りんりん、この武器使って今度一緒にダンジョン行こうねっ!」
「そうだね(‘ω’*)」
「じゃあこれでゲームは終わりかな?」
「はい。そうですね、これでおしまいです。あの……みなさん……どうでしたか?」
各々が感想を言っていくが悪くはなかったらしい。むしろ多くのものを得られたとか。またいつかやってもいいという気はしているという意見もあり盛り上がったが先に練習だぞとお嬢様が釘を刺す。
しかしあこちゃんのやる気はマックスを超えているようでそのまま練習に向かった。練習風景を見ていたが今日はいつもよりかなり調子が良かったのではないかと思われる。
長かったような短かったような長いゲームの旅はここで幕を閉じた。僕も初めてパソコンゲームを触ったがいろんな経験が得られたと思う。またやれる機会があればいいなと思った。
〜数日後〜
夕飯の買い出しに来ていた僕はついでに電気屋に立ち寄っていた。最初は立ち寄るだけのつもりだったが、いつの間にかパソコン機器のコーナーで一時間以上立ち止まってしまっていた。
歌騎士の第一部が終わったのでアンケートとります!全部幕間のネタですけど
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二人のバースデーやろ!
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パーティーしよ!ヘイセイヘイセイ
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誰か狂わせようぜ⭐︎