金色のガッシュベル!!シン   作:レベルス

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LEVEL0.5 魔界と魔獄

==魔界 王宮==

千年に一度の魔王を賭けた戦いを制覇し、魔王に就いたガッシュ・ベル。

「落ちこぼれ」の烙印を押され、兄・ゼオン・ベルから記憶を奪われるも、本の持ち主となった清麿と共に成長し、仲間と共に強敵を打ち負かして戦いを制覇。魔王として公務に追われる日々を過ごしていた。

 

誰も傷つくことのない「優しい王様」としての道のりを壁にぶつかりながら進んでいる。

 

「ウヌゥ、今日はいつもより多いのう」

 

公務の多さにぼやくガッシュを、少女エリーと共にファウードを止めるために共闘し、今は腹心であるアースがガッシュを慰めた。

 

「仕方ございますまい。万が一はいつ起こるかわかりませぬゆえ。

それより陛下、急がねばティオ殿達と過ごす時間がなくなってしまいますぞ!?」

 

時計は既に3時半を回っていた。

 

「ヌオォ、そうだったのだ!今日はティオの主催するイベントがあったのだ。間に合わせねばー!!!」

 

ティオは魔界に戻ったあと、プロデューサー兼ファッションモデルとして活動していた。恵の芸能活動を間近で見続けていたこともあり、コツコツとファッションの勉強に励んだ甲斐あって評価も上々。

今や魔界の人気イベントになっている。

 

時間までに来なければ首を締め上げられ小言を延々と聞かされることは必至。鬼のような公務よりもティオの怒りがガッシュにとっては恐怖だった。

 

ガッシュはその日の公務を終えると足早に王宮を出て近くにある別荘に向かった。庶民的な造りだが公務や外交時以外は、この別荘で過ごしている。別荘は今は亡き乳母・ユノと幼少期を過ごした思い出の場所だった。

理不尽な虐待にもあったが、自分を育ててくれた彼女には深い恩を抱いており、戦いを終えて即位してからは、王宮の給仕として忠節を尽くしてくれた。

 

鏡の近くには彼女の遺影と清麿が(ガッシュをけん制するために)作ってくれたバルカン300がある。王族の衣装をハンガーにかけ、普段着になった。

 

「のう、バルカン。私達が魔界に戻ってもう5年が経った。清麿達は元気にしておるかのぅ!?」

 

身支度を終えると、共に戦ったパートナーに想いを馳せながら急いで魔界で様々なイベントが催される広場へ向かった。

 

 

 

広場に行くと、デポロ遺跡(1000年前の魔物編の激戦地)で戦ったピョンゴとガッシュとティオが再会、そして清麿と恵が初めて出会うきっかけを作ったマルスがいた。現在2人は魔物達のモデル会社を経営している。

 

「半年に一度のファッションショーがスタートするゲロ!」

 

「お代はタダだぜー!」

 

もっともマルスはティオを裏切った‘’‘前科’‘’があるため、マネージャーという名目でティオの下働きをさせられているのだが…。

 

キッドとキャンチョメも座席に座り今か今かと待ち構える。

 

「どんな洋服なんだろうね?研究の一環になるといいけど」

 

「ガッシュ、もう仕事は済んだのかい?」

 

「ウヌ。キャンチョメ、今日はどんな様子であった?」

 

「特に異常はなかったよ。まさかガッシュが‘’魔王陛下‘’になっちゃうなんて…、いまだに信じられなかったよ。前ほど気軽に会えないよねえ」

 

「避けられぬとは申せ、公務が長引いてお主達と遊べぬのは寂しいのだ。しかしお互い自分にできる仕事が見つかってよかったのう」

 

「ガッシュの配置が的確だっただけさ。あ、もう始まっちゃうよ!?」

 

2人の世間話に花が咲いた頃、画面が暗転し始めた

 

ファッションショーの演出はほとんどティオが手がけている。今日は待ちに待ったお披露目の日だった。

 

まず登場したのは水色の髪を2つに分けたパティ。紫のシャツと紺のデニムを着ている。トレードマークである王冠とハートのペンダントはそのままにガッシュに熱い視線を送った。

パティは人間界へ渡る前から、ガッシュに想いを寄せており度々アプローチをかけていた。しかし色恋沙汰に鈍い彼が気づくはずがなく、ことごとく空回りしている。

 

(ウヌゥ、あの者愛らしい見た目をしておるが、私にばかり視線が向いておるのだ)

 

次に登場したのは遺跡での戦いで尽力してくれたレイラだった。黒のパーカーに白いチノパン、そして薄い桃色のスニーカーを履いている。

 

「着こなしがクールでないと、モデルは務まらないわ」

 

そう言ってしてやったりの表情を浮かべる。

 

次に現れたのはイベントの主催者でもあるティオ。

 

赤毛を結んでヒマワリのあしらわれた麦わら帽子を被り、白のワイシャツとオレンジのスカートで夏模様を演出している。

 

「ティオは流石だなあ」

 

「恵の影響もあったからな。美容への意識は相当高いだろう」

 

現在は武術道場を開いているウォンレイもショーを観に訪れ、感想を述べる。

 

「今回も粒揃いゲロ!」

 

「バカ、終わりまで気を抜いたらまたどやされるぞ!?」

 

「ピョンゴ、マルス。次のセットを手伝って!」

 

言い終わらないうちにティオからの指示が飛んだ。3人で袖を閉め次の演出を準備する。

 

(恵にも見せたいなあ、ちょっとは清麿と上手く行ってるのかしら?)

 

パートナーを浮かべながら、ティオはショーを成功させるために頑張るのだった。

 

 

==魔獄==

 

人間界、魔界を問わず、大罪を犯した魔物達が収監される刑務所・『魔獄』

 

魔王を決める戦いで準優勝に終わったブラゴはその実績を買われその看守に就いていた。ガッシュの臣下に下ったわけではないが、他者に膝をつくことを好まないブラゴにとってはある意味好待遇と言えるだろう。

 

(チッ、つまらん。なあなあと魔界オモテにいる奴の気がしれん)

 

椅子にもたれかかり小さく肘をついた。するとノックと共にギイと音が開く。

 

「ブラゴ。本日の治安報告です」

 

入ってきたのは1000年前の魔物との戦いにおける元凶・ゾフィスだった。ブラゴのパートナー、シェリーの親友・ココの心を操るなど非業を尽くしたため魔獄へ幽閉されているのである。

 

ブラゴは気だるそうにゾフィスの持ってきた書類に目を通した。

 

「随分とチンピラ共がのさばってるじゃねえか。狭間の連中は黙らせてんだろうな?」

 

「私の報告を疑っているのですか?十分な統計に基づいてのものですが。」

 

涼しい顔のゾフィスを睨みつけるブラゴ。

 

「俺がなんでテメェのような犯罪者を使ってるか、分かってんだろうな?」

 

ゾフィスがたじろぐ。しばしの沈黙が流れた。

 

「俺は奴のように優しさだの情だのはどうでもいい。テメエがちっぽけな野望のためにシェリーの仲間みてえに戦う気がない奴を駒にしたことを許すつもりはねえ」

 

「あなたも随分と変わりましたね、ブラゴ」

 

「御託を並べてる暇があったら、問題点を直して牢獄へやへ戻ることだ。消し炭にされたくなければな…!!」

 

「…仰せのままに」

 

気圧されたゾフィスは一礼して部屋を出た。

 

(さすが覇王か…私にココの記憶を消すよう迫った時の気迫を、簡単に出せるようになったとは。いや、あれ以上…と行ったところですかね)

ゾフィスは止まらないブラゴの進化に身震いしながらも、急いで任務にとりかかるのだった。

 

魔獄にはゾフィスのように人間界で非業を尽くしたゴーレム、リオウなどが幽閉されていた。ゾフィスとワイズマンに関してはずば抜けた能力を買われ、ブラゴの指揮下に置かれている。もちろん特例がない限り魔界へ戻ることはできない。

 

本来なら国王であるガッシュに牙を剥いた実兄のゼオン・ベルも魔獄に送られるはずであったが、ガッシュの訴えで補佐役および不在時の執政代行を務めている。

 

「相変わらず甘いやつだな。だが、その甘さが磁石のように人間や魔物を引きつけていった。俺も最終的にはやつに引き寄せられた魔物の1人だ」

 

口元にかすかな笑みを浮かべながらゼオンは呟いた。

 

(デュフォー、お前が俺を必要としてくれたように、俺もお前をかけがえのない同志だと思っている。お前は生き抜け。一度しかない人生をな)

 

人間界にいるであろうデュフォーを思い青空を見上げていると、

 

「ゼオン〜早く来るのだ〜!」

 

「私のプロデュースしたファッションショー、来ないなんて言わないわよね!?」

 

「メルメルメ〜(もうショーは大詰めだよ)!?」

 

「か〜う(ゼオンもおいでよ、面白いよ)」

 

ガッシュ、ティオ、ウマゴン、ロップスがゼオンを呼ぶ。

 

「お前らはお前らで勝手にやっていろ。俺はもう少しここにいたい。」

 

ゼオンはそういうと芝生に寝転び、「能天気なものだ」と呆れ顔を見せたのだった。

 




今回もご覧いただきありがとうございます。

ブラゴとゾフィスが魔界で普通に生活するとは思えなかったのでオリジナルの世界を作ってみました。ゾフィスはブラゴに頭が上がらないながらも大物感を消さないよう書いたんですが、いかがだったでしょうか?

マルスは出すかどうかぶっちゃけ迷いました。

皆さんからの感想やご意見、お待ちしています。

それでは次回からLEVEL.1です。あまり期待しないでくださいね

それではまた!

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