IF:ZERO-ONE VS ZO   作:TAC/108

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B Part

 

ドラスマギア出現の翌日、午前7時。

A.I.M.S.の車両内で寝ていた不破諌を起こしたのは、規則正しいノックの音であった。寝息を立てる運転手をよそに、不破が扉を開ける。

「おはようございます、不破諌さん」

「……飛電の社長秘書か。何の用だ」

不破を待っていたのはイズであった。ジュラルミンケースを両手に持ち、簡潔にお辞儀を済ませたイズを、不破は訝しげに見つめる。

「A.I.M.S.の(やいば)唯阿(ゆあ)さんから提供された情報を元に、マギアの行動パターンを分析したところ、あと15分でここに現れるという予測結果が出ました」

「俺の知らん内に、あのマギアも現れていたってワケか……で、そのケースは何だ?」

『HIDEN INTELLIGENCE』のロゴが入ったケースをイズが開封する。ケースの中にはゼロワンの装備であるアタッシュカリバーや、ゼロワンが使用するプログライズキーが揃えられていた。

「不破諌さんを援護せよと、或人社長からの命令です。ご自由にお使いください」

「随分と殊勝なこった……あの社長らしい」

飛電の社長からの善意を受け取り、不破は隣で寝ていた運転手を揺り起こす。A.I.M.S.の運転手は驚きに目を瞬かせ、隊長である不破の命令を聞いた。

 

「今すぐに他の隊員を起こして刃が指揮する部隊と合流しろ。()()()()()()()()()

「はい……えっ、待ってください! 無茶では!?」

運転手は不破の発言に仰天した。彼とてA.I.M.S.の隊員であり、ドラスマギアによる被害の実態およびその未知数の戦闘能力は知っている。不破自身が勝てなかったというのに、それを一人で相手取るなど無謀にも程がある。

……否、果たして無謀であろうか。

「いいから聞け。ヤツは何の策もなしに勝てる相手じゃない。俺達が総出でかかっても難しい相手だが……こっちには秘策がある」

そう言って、不破は自ら編み出した『秘策』を耳打ちする。運転手はその内容に唖然としつつも、渋々といった様子で認めた。

「……了解しました。けど、もしこの方法で成功しなかったら承知しませんからね!?」

 

◆◆◆◆◆◆

 

15分後、飛電インテリジェンス本社ビル・正面玄関前。

A.I.M.S.の車両は一台残らず引き上げ、隊長である不破諌だけが、扉の前に座り込んでいる。朝の静けさも相まって殺伐とした雰囲気が漂う中、金属質の足音が大挙して迫り来る。

無数のトリロバイトマギアであった。統率者なき鋼の群体は、滅ぼすべき人間の姿を確認し、一人佇む不破をじっと睨んでいる。

一人と大群、その間に割って入った影があった。四肢を赤く染め、より屈強なフォルムを形作ってはいるが、紛れもなくドラスマギアであった。右手で何らかのサインを送ると、マギアの大群が四方八方に散り、後には一人と一機のみが残った。マギアの統率者が、その意識を不破に向ける。

「仮面ライダーはどこだ。バッタの仮面ライダーは、どこにいる」

「バッタのライダーならもういない。ここにいるのは俺だけだ」

事実である。A.I.M.S.の撤退作業中に、ドラスと因縁の深い麻生勝とは既に話をつけていた。不破の作戦に乗った勝は、唯阿と合流するためにバイクを走らせている最中である。

「ならば……なぜお前はここにいる?」

「決まってんだろ、お前を倒すためだ」

不破はおもむろに立ち上がると、変身用のベルトを取り出して腰に巻いた。右手には青い拳銃が握られている。

「知ってるか? 飛電(ここ)の社長は毎日飽きもせずに、ヒューマギアとお笑いのことばかり考えてるんだぜ。ヒューマギアを夢のマシンだと言い張って、バカバカしいくらい真剣な目つきで、相手が誰だろうと立ち向かっていく。それがあの社長の仕事だからな」

「何の話だ」

不破が青いプログライズキーを空いた左手に握り、起動スイッチを押す。

()()()()()()()()って話だ」

 

『バレット!』

左手から万力の如き握力を瞬間的に発揮してロックを解除すると、青い拳銃——エイムズショットライザーにキーを装填した。

『オーソライズ! Kamen Rider. Kamen Rider……』

「変身……ッ!」

成形された銀弾が、光の軌跡を描いて放たれる。マギアの装甲を掠めながら、戻ってきた弾丸が不破の拳に砕かれる。

『ショットライズ! シューティングウルフ! The elevation increases as the bullet is fired.』

弾丸が無数の装甲へと変じ、不破の全身を覆う。

仮面ライダーバルカン・シューティングウルフ。無数の弾丸によって怪物すら撃ち砕く青い狼の仮面ライダーは、かつて取り逃した獲物の前に再びその姿を現した。

 

「その形態は既に一度見た。そんなもので僕に挑もうとは」

ドラスが鉄の擦れるような声で嗤った。滅亡迅雷.netの制御から離れ、唯一絶対の存在となった己に、今のバルカンが敵う道理はない。冷徹にして残忍な結論であった。

「気合だけで勝てるとでも? 滅亡迅雷.netの意思すら超越した、新たな生命種であるこの僕に」

「お前が滅亡迅雷だろうとそうでなかろうと知った事じゃない! 立ち塞がるならブッ潰すだけだ、誰が相手だろうとな! それが俺の……仕事(戦い方)だァッ!」

『ブレードライズ!』

エイムズショットライザーをベルトに固定し、後方から投げ渡されたアタッシュカリバーの刃を展開する。僅かな間のみ後方に目を向けると、イズがバルカンに対して会釈しているのが見えた。

バルカンか腰を低く落として力を溜める。爆発めいた勢いでドラスマギアに斬りかかると、赤い右腕と刃が激突して激しく火花を散らした。

 

「覚えておけ、僕の名はドラス02。マギアを超えた存在、二流の生物であるお前達人間の上に立つ絶対の支配種だ」

防ぐ右腕を力任せに斬り伏せ、バルカンが大きく飛び離れる。

「支配するだと? 違うな……俺がルールだッ!!」

爆発する怒りを咆哮に変えながら、不破諌が闘志を燃やす。

 

次回につづく。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

次回、仮面ライダーゼロワン!

 

「反逆者は始末する……」

 

「ギーガーとも違う、アレは何だ!?」

 

「最初からコレを狙ってたんだ」

バルカンの秘策が発動!

 

「もう一度立ち上がってください」

夢に向かって飛ぶために——

 

「一緒に飛ぼう、『ライダー』」

 

「お前を止められるのはただ一人、俺だ!」

ゼロワンは再び立ち上がる!

 

第3話『オレの夢が止まらない』

 

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