IF:ZERO-ONE VS ZO   作:TAC/108

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前回のあらすじ

飛電インテリジェンスの若き社長にして、仮面ライダーゼロワンに変身する飛電或人。新たに出現したドラスマギアとの戦いの中で、プログライズキーを奪われた或人は、変身能力を失ってしまう。しかし、仮面ライダーZO・麻生勝やA.I.M.S.の不破諌との対話を経て、或人は再起を決意する。
一方ドラスマギアは、戦いの中で新たなシンギュラリティに到達し、自らをドラス02と名乗って滅亡迅雷.netを離脱。『全人類の支配』という新たな目的を掲げて独自に活動を開始した。
翌日、ドラス02は飛電インテリジェンス本社に出現し、不破諌と対峙。奪われたプログライズキーを取り戻すため、仮面ライダーバルカンとドラス02の決戦が始まる……!


第3話『オレの夢が止まらない』
アバンタイトル


「各員、散開してマギアの撃破に当たれ! 滅亡迅雷.net(めつぼうじんらいネット) の構成員を見掛けたら無線で私に報告しろ!」

特務機関A.I.M.S.(エイムズ)の技術顧問・(やいば)唯阿(ゆあ)/仮面ライダーバルキリーが声を張り上げる。高速移動に特化したラッシングチーターの力により、散発的に出現するマギアの軍勢にも辛うじて対応が可能だった。雑兵程度であれば何体来ようと同じであり、隊長である不破(ふわ)(いさむ)から託されていた部隊との連携も十全にこなせてはいた。

とはいえ、夜を徹しての市街戦に、誰もが疲弊を隠し切れない状況であった。プログライズキーとエイムズショットライザーが使用者に与える超常の身体能力により、唯阿はどうにか持ち堪えることはできたが、他の隊員の消耗は尋常なものではなかった。負傷者は増える一方であり、応急処置すら出来ずに銃を握る隊員までいる。

対して、マギアの数は不明。底が知れないどころか倒しても互いに部品を補って復活する機体まで現れる始末であった。更には、この騒動の発端となったテロ組織・滅亡迅雷.netのメンバーを目撃したという報告も上がっている。事態は確実に悪い方へと進んでいた。

 

この状況に、割って入る影が一つ。

異形のバイクで機械の軍団を蹴散らしながら、A.I.M.S.とマギアの間に一人の男が立った。盾を構えて防衛線を張った隊員達の前に、バルキリーに変身した唯阿が現れると、謎めいたライダーに対して問いを投げかけた。

「あなたは……まさか、不破から連絡のあった……?」

「A.I.M.S.の刃唯阿技術顧問だな? 僕は麻生(あそう)(まさる)、そちらの救援に来た!」

黒いレザージャケットを着た壮年の男……麻生勝は、一秒にも満たない速度で屈強たる異形への変身を果たした。変身の一瞬を視覚で捉えた者はいない。

赤い複眼と全身を走る金色のラインを輝かせる、深緑の闘士。この戦場においてただ一人、武器を持たず己が五体のみを以て戦う、力強き大自然の騎士。

 

彼の名は仮面ライダーZO(ゼットオー)

古き時代の超戦士が、新時代の戦場にて立ち上がる。

 

ZOがマギアの大群に単騎で突撃すると同時に、バルキリーは防衛ラインの背後からタイヤがアスファルトを擦る音を聞き取った。後方に銃を向けると、見覚えのない車両が停車していた。威圧的なドクロのマークを貼りつけた大型トラックの運転席から、A.I.M.S.の隊員が降りてくる。

「刃技術顧問!」

「一体どういうことだ!? このトラックは……」

「隊長命令です、救援に来ました! このトラックは飛電インテリジェンスからの提供です!」

運転手が叫ぶと、もう一台の車両が後から大型トラックの横に並んだ。黒いドクロのマーク——A.I.M.S.の部隊章を貼り付けた青いバンから、重装の隊員が続々と現れる。

「……不破は?」

「隊長は例のマギアと一騎打ちを行うとのことです」

無茶だ、と叫びそうになるのを呑み込む。不破に深謀遠慮の類があるとは思わないが、無闇に戦力を投入するよりはよほど合理的だというのも、唯阿にとっては事実だった。

 

それに、何より。

「言っても聞かないだろうな。『俺がルールだ』……そうだろ?」

無理を通して本当に成し遂げる。不破諌とはそういう男だと、彼女は知っていた。

呆れと納得を胸に仕舞い込み、バルキリーが最前線に躍り出た。

「前衛と後衛を入れ替える! あのライダーを支援しながら少しずつ前線しろ! 何としてもマギアの大群を押し留めるぞ!」

鬨の声が響き渡る中、戦乙女が先陣を切る。

 

◆◆◆◆◆◆

 

高層ビルの並び立つ市街地の激戦区を、見下ろす影が二つ。

黒衣の二人……否、()()はビルの屋上からA.I.M.S.とマギア群体の戦闘を眺めていた。

「何あれ!? 一瞬で変身した! わぁーカッコいいなぁー……」

「アレがZO……アークのアーカイブに記されていた存在か」

滅亡迅雷.netの幹部、(ほろび)(じん)。彼らが見つめていたのは、マギアの群れに立ち向かう仮面ライダーZOだった。白辺(しらべ)テルゾーというヒューマギアに使用したドラスゼツメライズキーは、その名の通りドラスのデータを基にして生み出された。製作者である滅にとって、ZOという存在はドラスの関連事項の一つでしかなかったが、変転する状況は彼に一つの選択肢を提示していた。

 

「ねえ滅、アレはお友達……じゃないよね?」

「そうだな。ヤツらはアークの意思に背く反逆者だ」

迅が指しているのは、自らに刃や銃口を向ける尖兵……トリロバイトマギアの集団であった。個体ごとの微妙な違いこそあれ、全てのマギアが機械的な殺意を同族(マギア)である滅と迅に向けている。

 

「じゃあ……どうする?」

「反逆者は始末する……我々は、アークの意思のままに」

滅は腰に提げた刀を鞘から抜き放ち、敵勢に向けて構える。それに倣うように、迅も懐から拳銃を抜いて狙いをつけた。

 

「行くよー……バーン!」

 

乾いた発砲音は、迅の拳銃から鳴らされた。敵の一機に着弾すると、それを合図にマギア達が一斉に襲いかかる。

たった二人の『テロ組織』は、しかしながら全く怯むことはない。

「取りこぼしは任せるぞ、迅」

ゆっくりと歩み出て、向かってくる一機に滅が斬りつける。マギアが放つナイフの刺突をいなし、頸部に刀身を押し当てると、三葉虫めいた意匠の頭部が千切れ飛んで宙を舞った。続く二体目を迅が組み伏せ、後頭部に弾丸を叩き込んで静止させる。

ヒューマギアの身体性能と、彼らの依処たる『アーク』より授かりし殺戮の技巧を兼ね備える二人であれば、変身せずともこの程度の有象無象は敵ではない。

人類滅亡の徒党が、裏切り者を滅ぼすための戦いを開始した。

 

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