IF:ZERO-ONE VS ZO   作:TAC/108

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B Part-1

銃声と打撃音の響き渡る市街地にて、刃唯阿/仮面ライダーバルキリー率いるA.I.M.S.部隊及び麻生勝/仮面ライダーZOと、トリロバイトマギアの大群は未だ戦闘を続けていた。

低い掛け声と共に突き出した拳をマギアの一体にめり込ませると、そのままZOは腕を振るってマギアを投げ飛ばす。

飛電ともA.I.M.S.とも起源は異なるが、ZOの力もまた、科学技術によって生み出されし超常の戦闘能力であるという点に違いはない。極めて高い水準にて発揮される力に、唯阿は安堵と同時に戦慄に近いものを覚えていた。

「刃技術顧問、あれを!」

部下の一人が指差した先に、雑兵(トリロバイト)とは異なる様相のマギアがいる。その姿に唯阿は見覚えがあった。イカめいた触腕を頭部から垂らした、ネオヒマギアという白いマギアである。先日の戦いにおいて、唯阿が辛酸を舐めさせられた強敵であった。

「まさかここに現れるとはな……総員! あの白いマギアには手を出すな、あれは私達がやる!」

下手に気を引いて被害を増やすよりは、単独で攻め込んで引きつけた方が良い。前回は2対1という形で不覚を取ったが、仮面ライダーバルキリー・ラッシングチーターの脚力をもってすれば倒せない相手ではない。そう判断し、バルキリーが全力疾走の準備を始めた瞬間であった。

 

「何かが……より恐ろしく、強大な何かが……来る!」

ZOが身構えると同時に、アスファルトの大地が震える。地面が揺れるだけでなく、何もない道路が強烈な重圧がかかったように砕かれる。四足動物の歩行を思わせるペースで、破砕の足跡が刻まれていく。

明らかに何かがいる。不可視にして巨大な重圧の主が、この街にいる。唯阿の思案に応えるが如く——。

 

()()は滲み出るように姿を現した。

 

「じょ、冗談だろ……?」

A.I.M.S.隊員の一人が洩らす通り、冗談の産物としか思えないような怪物が、突如市街地に出現したのである。

光学迷彩の機構を解除したソレは、全長70メートルを超える機械の巨象(マンモス)であった。

漆黒の巨躯が、朝の陽光を照り返して輝いている。一対の象牙も長大な鼻も、全てが黒に染まっている。激戦を見下ろす双眸だけが、狙い定めるように赤い光を点滅させた。

「ギーガーとも違う、アレは何だ!?」

冷静に戦況を分析していた唯阿ですら、この荒唐無稽極まる存在に困惑と驚きを隠せなかった。

ギーガーとは、A.I.M.S.で運用されている巨大ロボット兵器である。眼前の鉄巨象に対し、ギーガーは人型というのが違いだ。サイズも全く異なり、ギーガーと比してかの異形は10倍近い大きさがあった。

 

どこにこんなものを隠していたのか。いつ造られたのか。疑問ばかりが唯阿の脳内に湧いてくる。

巨象が鼻を大きく振り上げた。摩擦に鋼が絶叫し、象の鳴き声を思わせる甲高い音を一面に響かせる。鼻は幾つもの節に分かれており、有機的なフォルムを形成した多節の鞭と化している。手始めに左右に振り回すと、長い鼻が高層ビルの一角を打ち砕き、破片を道路に降らせた。

サイレンが鳴り始め、唯阿の思考が寸断される。止められるかどうかではなく、絶対にこの怪物をここより先に進ませてはならない。そう判断したバルキリーの手は、懐に隠した携帯端末——ライズフォンに伸びていた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「お前を止められるのはただ一人、俺だ!」

 

飛電或人/仮面ライダーゼロワンが、半壊したドラス02に向けて宣戦を布告する。キーを取り戻すために尽力してくれたイズと不破諌/仮面ライダーバルカンに恩を返すため、ゼロワンの反撃が始まる……かに思われた。

 

流れを断ち切るように、着信音が鳴り響く。バルカンのライズフォンに電話がかかってきていた。首を傾げるイズとゼロワンをよそに、バルカンが応答する。刃唯阿からの着信だった。

「俺だ。急にどうし——」

「写真と座標を送る。プログライズキーを取り戻し次第、飛電の社長も連れてすぐにこちらに来てくれ! こちらでも時間は稼ぐが、正直()()が相手ではどこまで保つか分からない!」

「アレって何だ! 説明し——刃!」

通信が途絶え、不破が声を荒らげる。要領を得ない説明にやり場のない怒りを覚える暇もなく、短い着信が2件続いた。唯阿から送られてきた写真には、漆黒の巨大マンモスが街を破壊する姿が写っていた。画面を覗き見たイズが、戦闘態勢に入っていたゼロワンを呼び止める。

「或人社長。正体不明の巨大兵器が市街地に出現し、被害が拡大しつつあるようです」

「え……えぇーーッ!?」

ドラスに背を向け、不破のライズフォンを覗くゼロワン。不破の説明を聞きつつ、事態の深刻さを把握していく。

「コイツが街で暴れ回ってる以上、ドラスに構ってる暇は無さそうだ。刃達のいる場所に急行し、あのデカブツをブッ潰す」

「そうだな……っていつの間にかいなくなってるーーーッ!?」

ふとした拍子にゼロワンが前方へ向き直ると、ドラス02の姿はどこにも無かった。或人の叫びが空しく響く。

「やる事が単純になったな。デカブツのいる方に向かうぞ!」

「イズ、あのバイクって予備とかある?」

或人の言うバイクとは、ゼロワン専用装備の一つ、ライズホッパー。飛電インテリジェンス社長だけが操縦できるスーパーバイクである。ライズホッパーが複数台用意できれば、現場への急行も容易だと或人は考えていた。

「機密保持のため、ライズホッパーの予備機は存在しません。ですが……複数人で移動するのを前提とするなら、マンモスキーを使うのがよろしいかと」

飛電インテリジェンスが開発した、大規模災害に対応するための()()()()()()()()。ブレイキングマンモスキーをゼロワンドライバーに装填することで、衛星ゼアの秘密兵器たるこの装備を行使できる。

 

幸か不幸か、次なる敵は大型目標。ならばこちらも文字通りの最大戦力にて立ち向かうまで。

 

「ブレイキングマンモス……その手があったか!」

バルカンから受け取ったキーの一つを手に取り、ゼロワンが起動させる。

『プレス!』

『オーソライズ!』

ブレイキングマンモスを認証(オーソライズ)したゼロワンドライバーが呼び掛ける先は衛星ゼア。軌道上を漂う衛星の後部ユニットが分離変形し、光となって射出される。

ゼロワン達の頭上に灰色の巨大な戦闘機が突如出現した。ジェット噴射に風が吹き荒れる中、ゼロワンが更なる変身を遂げる。

 

『プログライズ! Giant Waking! ブレイキングマンモス! Larger than life to crush like a machine.』

 

戦闘機が垂直に向き直り、()()()()()()()()()()()()()()異形の人型へと変形した。マンモスの威容を象る、全長8メートル近い巨大な人型ロボットが、地面を揺らしながら大地に立つ。

灰色の巨人機、その上半身は胸から伸びる一対の牙も合わせてマンモスの頭部を表している。太く頑強な二本の脚からは悪路も易々と踏破するための爪が生え、巨大な両腕にはプログライズキーを模したシールドを備える。腰に巻いたベルトはゼロワンドライバーと同一であり、機能こそないものの、象徴としての役割を果たしていた。

 

重機の如く押し潰す巨体が、ここに大いなる目覚めを果たす。

仮面ライダーゼロワン・ブレイキングマンモス。

 

「イズ、不破さん! コイツで目標までカッ飛ばす! 背中に乗って!」

巨大ユニットのコックピットから、ゼロワンが地上の二人に向けて呼び掛ける。高速機動形態(ジェットフォーム)へと変形するや否や、バルカンとイズが巨大な背中に飛び乗った。

「或人社長、我々への心配は無用です。最高速度で出撃し、目標地点へと向かいましょう」

「コッチはしっかり掴まってるから、加減なんざ必要ねえ! ブッ飛ばせ!」

「サンキュー! それじゃあ……全速力で突っ切るぜーーッ!」

爆発めいた勢いでジェット噴射が起こり、巨大戦闘機が飛翔する。

目指す先は激戦の市街地。奇しくも相手は巨象(マンモス)を模した、漆黒の大機械獣であった。

 

つづく。

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