IF:ZERO-ONE VS ZO   作:TAC/108

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C Part-1

巨大なる機械獣が斃れ、市街地には静寂が訪れていた。

A.I.M.S.の隊員は市民の避難を誘導しながら戦闘区域より脱出しており、残されたのはマギアと戦っていた仮面ライダー達と、崩壊した巨大マギアの破片のみであった。

しかし、全ての決着がついたわけではない。この事態の元凶となった、赤い悪魔が残っている。

ギガマンモスマギアの撃破を察知して、ドラス02が地上に降り立った。ドラスを追っていたZOも着地し、膝立ちしながらドラスを睨みつけている。

基本形態(ライジングホッパー)に戻ったゼロワンがZOの傍らまで歩いてきた。アタッシュカリバーを構えながら、赤い瞳でドラスを見据える。A.I.M.S.および滅亡迅雷.netのライダー達も、彼らと並び立つようにして集結した。

 

ドラスは両腕を広げると、赤く禍々しい力を全身から放射し始めた。巨大マギアを構成していた無数のスクラップが、赤い光に触れた側からヒューマギアの機体部位を形成し、それらがやがてトリロバイトマギアの群勢を作り出した。一つ違うのは、無骨な姿のトリロバイトマギアの機体色が漆黒に染まっていたことであった。

果たしてその色はギガマンモスマギアの機体色でもあり、彼らはその遺児とも呼べる存在である。顔面が破損し、露出した眼を赤く光らせるマギアの群れが、ドラスの背後に展開されていた。

ドラスは再び翼を広げて空中に飛び上がると、自身の背後にブラックホールめいた黒い穴を作り出した。並び立つ仮面ライダー達の後ろに回ったドラスは、挑発するような仕草を取って勢い良く穴の中へと飛び込む。ゼロワンの右隣に立ったバルカンが、ショットライザーを構えながら言った。

「行ってこい、飛電の社長。このマギアどもは俺がブッ潰す」

「我々を忘れてもらっては困るな、A.I.M.S.。ゼロワン、反逆者の撃破は貴様に任せる。我らはあの徒党を殲滅する」

「わかった。エイムズ、それに滅亡迅雷……こっちは任せた!」

滅とバルカンの後押しを受け、ゼロワンはZOと共に空中の穴に向かう。小さなバッタを肩に乗せ、イズがバイクに乗って走ってきた。

「イズ!? それは……」

「麻生さんのバイクです。こちらも戦闘中にライズホッパーを手配しておきました。ご利用ください」

「なるほど。サンキュー、イズ! さて、どこに降りてくるかな——ってうわッ!?」

高高度から凄まじい速度で落下してきた物体が、地面に触れる寸前に急停止する。角ばった形状のそれは騎乗用のバイクとは呼びがたく、むしろ一般に普及している携帯端末(ライズフォン)に似た形をしていた。

ゼロワンは巨大な携帯端末の画面をタップし、バイクのアプリケーションを起動する。

『モーターライズ! ライズホッパー!』

巨大端末が空中にて展開され、バイクの形を取って地表に立つ。

本来は社長(ゼロワン)専用のライズフォンにて手配する、ゼロワン専用の高性能バイク。壁面すら自在に駆ける黒と黄のプレジデンシャル・マシン。これこそがゼロワンが令和の騎士(ライダー)たる象徴、ライズホッパーであった。

 

「それじゃ……行きましょう、麻生さん! 今度こそ……」

「ドラスは僕達が止める」

ゼロワンとZO、二人のライダーがバイクに跨り、目標たる黒い穴を見る。ZOのバイクが緑色の炎に包まれ、曲線的なフォルムを形作る緑色のバイクへと変身した。マシンの名はZ(ゼット)ブリンガー。麻生勝がZOに変身した時のみ現れる、頼れる愛機だ。

二人が同時に走り出すと、前方の道が盛り上がって傾斜を成した。アスファルトの坂を登り切り、空中に放り出される。走行の勢いを乗せた大ジャンプで、ライダー達が穴に飛び込んだ。

 

遠くからその様子を見ていた者がいる。

飛電或人の秘書、イズ。或人が何処とも知れぬ決戦の地へ向かったのを見届け、彼女は一人虚空の穴を見つめている。

如何にすべきか。自己の安全を考え、いずれは再び戦場と化するこの場から退避するか。衛星ゼアの力を借り、この場から可能な支援をするか。

……否定(ネガティブ)。彼女は自分が何者であるかを知っている。ヒューマギアとして自らを定義する役割(ロール)を、仕事(ジョブ)を知っている。

その答えは、ただ一つ。

 

「私の仕事は……社長秘書です」

 

誰に見送られるでも、命じられるでもなく、彼女は一人歩き出す。

視線の先には、未だ空中に浮かび続ける穴があった。

 

つづく。

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