IF:ZERO-ONE VS ZO   作:TAC/108

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C Part-1

午後5時。福添達と入れ替わるようにして、A.I.M.S.の面々が社長室に集っていた。不破諫と刃唯阿に加え、或人達を飛電本社ビルに送り届けた運転手もいる。社長室に入ってきた運転手を認めると、或人が軽く会釈をした。運転手も頭を下げ、イズからコーヒーを受け取ると不破達に供した。

A.I.M.S.が飛電本社にまで現れたのは、今回のヒューマギア災害の拡大について、飛電の社長である或人に見解を求めるためであった。

「あの後もどこかで暴れてるのか……」

「ああ。高速道路に現れ手当たり次第に車両から電力を奪って回ったという報告がある。どうやらこの街に向かって進んでいるらしい」

A.I.M.S.技術顧問・刃唯阿が、或人の使用する携帯端末・ライズフォンにフォルダを送信する。渡されたフォルダの内容は、一定時間毎に更新されるドラスマギアの目撃情報だった。

「良いのかよ、コレって機密情報なんじゃ……」

「頭の固い組織と思われても困る。今回の件、こちら側としては飛電を糾弾する理由もないからな」

唯阿は暗に協力を迫っていた。A.I.M.S.側から協力的な対応を行うことで、飛電に対しても相応の対価を提示させるという手口である。唯阿の言葉に嘘は無いとはいえ、企業としての飛電は唯阿の行動を疑うわけにもいかないというわけである。不破が隣で苦々しげな表情をしていたが、唯阿は涼しい顔で無視した。

「それにしても、A.I.M.S.は何故わざわざここに?

「あのヒューマギアの狙いは知らんが、研究所の時と同じように、エネルギーを補給するためにヒューマギアを襲う可能性もあるからな。次にヤツが狙う可能性があるのはヒューマギアをどこよりも扱ってる場所だと考えれば、ここで張るのも一つの手——何だ?」

不破の言葉を携帯端末の着信音が遮る。唯阿が自らの端末を確認し、不破の肩を叩いた。

 

「大当たりだ。例のヒューマギアが、飛電インテリジェンスの敷地内に入った! 行くぞ、不破!」

 

唯阿の言葉を聞いて全員が立ち上がる。A.I.M.S.の面々が急ぎ足で出て行くと、或人が後を追って駆け出した。

「イズ、俺も行ってくるよ」

「行ってらっしゃいませ、或人様」

 

◆◆◆◆◆◆

 

本社エントランス、その正面に独り立つドラスマギア。勢いを増した雨を気にも留めず、彼はA.I.M.S.の隊員達と睨み合っていた。膠着する一帯に、或人達が駆けつける。

「ありがとう、後は俺達が!」

A.I.M.S.隊員が一斉に後退し、三人はそれぞれのツールを起動した。

『ジャンプ!』

『バレット!』

『ダッシュ!』

『オーソライズ!』

或人と唯阿はそれぞれゼロワンドライバーとショットライザーで認証を済ませ、不破は片手でプログライズキーを展開してからショットライザーに装填する。

『Kamen Rider. Kamen Rider……』

「変身!」

 

『プログライズ! ライジングホッパー!』

『ショットライズ! シューティングウルフ!』

『ショットライズ! ラッシングチーター!』

 

或人達が同時に変身した。ゼロワン・バルカン・バルキリー、三人のライダーが一斉に駆け出す。

走力に優れるバルキリーがドラスマギアとの距離を詰める。ドラスマギアの拳を受け流しつつ、首筋にショットライザーを押しつけて連射した。後から追いついたバルカンと、後退したバルキリーが並んでドラスマギアを狙い撃つ。敵の射撃を意に介さず迫るドラスマギアに、ゼロワンが飛びかかって空中から斬撃を浴びせた。アタッシュカリバーが纏う光刃すらも、拳の一撃でドラスマギアは掻き消した。

「前より強くなってるな……!」

ドラスマギアが肩から光線を放つ。研究所の時と違って色が青い。後方の二人は回避したものの、ゼロワンは被弾して大きなダメージを受けた。どうやら威力は以前より上がっているらしい。直接受けるのは初めてだが、或人はそう直感した。

バルカンがドラスマギアに殴りかかった次の瞬間、紅い旋風が巻き起こる。滅亡迅雷.netの援軍、仮面ライダー迅である。バルカンの拳を受け止め、無造作に腹を蹴る。

「お友達に渡すものがあるからさ……ちょっとどいてて欲しいな!」

迅が三つのゼツメライズキーをドラスマギアに投げ渡した。

記された文字はそれぞれ『ONYCHOMAGIA』『NEOHIMAGIA』『MAMMOTHMAGIA』。絶滅種の名と力を宿す鍵だ。

迅が飛び上がって警備ヒューマギアにケーブルを伸ばす。ヒューマギア達の表皮が一斉に炸裂し、滅亡迅雷.netの尖兵・トリロバイトマギアと化した。三葉虫(トリロバイト)の名の如くに角ばった顔をした三機のマギアが、迅の指令でドラスマギアの前に立った。

『オニコ!』

『ネオヒ!』

『マンモス!』

ドラスマギアが三機にケーブルを突き刺すと同時に、ゼツメライズキーを無理矢理内部にねじ込む。ゼツメライザーを介さない強制起動。暴走は必至、しかしながらそれこそが目的であった。内部構造を組み替え、三機のトリロバイトマギアが姿を変容させる。

コウモリに似たマギア、イカめいた白いマギア、ゾウの顔面を胸部に象ったマギア。新生したマギア達は皆、全身に血走ったような赤いラインが入っていた。彼らの備える力とは、既にこの世に存在しない絶滅種のものであった。

哺乳類絶滅種・オニコニクテリス。

頭足類絶滅種・ネオヒボリテス。

哺乳類絶滅種・マンモス。

暴走するマギア達は、全身に満ちる力を放出せんと震えている。

三人のライダーも応戦すべく各々の武器を構え直した。

 

◆◆◆◆◆◆

 

オニコマギアが滑空しつつバルカンを両手で斬りつける。その爪は鋭く、また暴走状態故に高まった出力が斬撃の威力を高めていた。バルカンは身を逸らして避けつつ反撃の一射を放つが、不規則に飛行軌道を変え続けるオニコマギアを撃墜するには至らない。

「チッ、まどろっこしい! その翼、穴だらけにしてやる」

ショットライザーをベルト部分に装着し、後方に控えていた隊員から投げ渡された新たな武器を持った。アタッシュカリバーと同様、鞄型の可変兵装である。

『ショットガンライズ!』

「これでも……喰らえッ!」

鞄型兵装・可変散弾銃アタッシュショットガン。単発弾や散弾を放つ大火力兵装だ。強靭たるヒューマギアのボディであれ、直撃を受ければ無傷では済まない。強烈な反動に耐え、バルカンは空を舞うオニコマギアに散弾を放つ。オニコマギアが僅かにバランスを崩した瞬間を狙い、鞄の形に戻したアタッシュショットガンを全力で投擲する。鞄はオニコマギアを撃墜し、その機体が聳え立つ街灯の一つに激突した。

オニコマギアは立ち上がるが、両翼には無数の穴が開いている。もはや飛ぶことはできなかった。

「やっと引きずり下ろせたな……!」

『パワー!』

バルカンが新たなプログライズキーを取り出す。暗い灰色をしたそれには、屈強なゴリラが描かれていた。

『オーソライズ!』

ショットライザーを抜き放ち、新たなる銀弾を放つ。

 

『ショットライズ! パンチングコング! Enough power to annihilate a mountain.』

 

バルカンの青い半身が黒く塗り替わった。黒光りする増加装甲を上半身に纏い、両腕は太く剛強な手甲に覆われる。頭部の追加装甲とバルカンの仮面が浮かべる怒りの形相も相まって、その全身が象るフォルムは強大かつ戦闘的であった。

 

その怪力は山をも吹き飛ばす。

仮面ライダーバルカン・パンチングコング。

 

両腕を広げて迫り来るバルカンを前にして、オニコマギアは逃げの一手を打った。逃がさぬとばかりにショットライザーの弾丸が背後から撃ち込まれ、オニコマギアが地面に倒れ込む。翼は使い物にならず、右脚が破損して最早立ち上がることすらできない。勝敗は明らかであるが、バルカンは止まらなかった。起き上がろうとしたオニコマギアを右腕で殴り倒し、破損した頭部にショットライザーを連射する。原型を留めぬほどに頭部を破壊され、オニコマギアが沈黙した。

 

一息つく暇も惜しんで、バルカンはドラスマギアに駆け寄る。全力疾走の勢いを乗せ、強烈なストレートを喰らわせる。レーザーの反撃を両拳で弾き返すと、手甲の後部から炎が噴き出した。

両者が至近にて拳をぶつけ合う。拳打が無数に繰り出され、互いに合わせるように突きの速度も上がっていく。バルカンが最高速に達した瞬間、それを上回ったドラスマギアが顔面を殴りつけた。目にも留まらぬ速さのアッパーカットで空中に打ち上げられ、光線を喰らい変身を解かれた。

不破はショットライザーを握りしめたまま地面に倒れ伏す。弾き出されて地面に転がったパンチングコングキーを、ドラスマギアが手に取った。

「返せ……ソイツは、俺のキーだ……!」

地に伏したまま、不破が手を伸ばす。その手が何かを掴むことはなかった。ドラスマギアの顎が大きく展開し——。

 

手にしたプログライズキーを()()()()()()()()()

 

「あ……? 何をした、お前……?」

他のマギアとは一線を画する異様な習性に、不破はただ唖然としていた。身体の痛みも忘れ、ドラスマギアを見上げている。

ドラスマギアの全身が一度だけ大きく震えた。雷の衝撃を思わせる震動の後、その機体が鈍色のエネルギー光を纏い始める。

それは機械の領域を超越した、殺意の具現であった。ドラスマギアはその存在の全てを、人類絶滅という目的のために走る殺戮の化身へと昇華させた。

 

純粋かつ高次元の力によって大破壊を齎す、鋼の殺戮者。

『ドラス』と呼ばれた怪物が、かつて白辺テルゾーと呼ばれていたヒューマギアを依代として、真の目覚めを迎えた瞬間である。

 

大きく上半身を捻ったドラスマギアが、右拳を虚空に突き出す。暴力的な風圧を生み出しながら、右拳が飛翔した。

自らの生み出した眷属と戦う、仮面ライダーゼロワンに向かって。

 

つづく。

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