僕たちの宝物   作:今井綾菜

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第拾話

 

 

 

……僕を呼ぶ声が聞こえる。

はて、僕は誰だっただろうか、長い間眠っていたようにも感じる。

 

記憶がよく定まらない。

大切な誰かを失った気がする。

ひどく悲しみに打ちのめされた覚えがある。

それでもその人は笑って逝った気がする。

僕にたくさんの祝福を残して……

 

ただ、僕が誰であろうと……やることハッキリと覚えてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切な人を必ず救い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我等を目覚めさせたのはお前か』

 

「ええ、私よ。ディアーチェ、シュテル、レヴィ……クロヴィス」

 

2人の声に記憶の定着が始まった。

だんだんと思い出し始めた。隣にいる3人のことはよく覚えている。僕が眠る少し前の記憶もある。

大切な友との出会いも過ごした日々も……別れも

 

だが、何故だろう?

 

大切な記憶だけが抜け落ちている。

いや、靄がかかっているといったほうがいいんだろうか……

目の前にたつ赤髪の少女に見覚えはあるのに思い出せない。

 

「あなたたちに行動するための姿と力をあげる」

 

僕という存在の中に別の何かの因子が混ざりこんでくる。

なるほど、彼女は僕にこれをもとにして姿を作れというのか。

 

……僕にこんなものはいらない。

僕には託された因子が存在している。

だから僕は与えられたそれを吐き出した。

 

 

姿を作り出していく。

記憶の中の友を基にして僕と彼女の因子を混ぜ合わせた。

身体の中に新しい器官が追加された。

僕の知らない知識と経験がまるで始めから知っていたかのように思い出される。

彼女が見てきた“思い出”が全て僕の中に蓄積される。

 

そして、僕は再び(・・)人の姿をとった。

他の3人もどこか見覚えのある顔立ちになっている。

ああ、そうか……リインフォースを送り出した2人と彼女の主か

 

そして、目の前の赤い髪の少女の前に浮いているのは夜天の魔導書だろう……何度も見たから間違いはない。何故そこにあるのかは分からないが、この姿(・・・)の僕にとっては好都合だ

 

「僕を目覚めさせたのはキミかな。記憶に靄がかかってるのもキミの仕業だね。そして、何故キミがその本を持っている?」

 

「質問ばかりなのね。与えた因子とは随分違う姿になったようだけど?」

 

「質問を質問で返さないでくれ。これでも寝起きで機嫌が悪いんだ……それに、訳の分からない因子を送り込んできたことにも苛立ちを隠しきれない」

 

僕が目の前の彼女と話していると小さな手が僕の肩を叩いた。

 

「そのようなことは今はどうでもよい。我等を呼び出したものよお前は何を求める」

 

「なーんにも、貴方達には好き勝手暴れてもらうだけだもの」

 

「ほう?」

 

ディアーチェは目を細めて彼女を見る。

彼女は飄々とした表情で言葉を続けた

 

「貴方達が求める強大な力。このあたりにね永遠結晶(エグザミア)っていうのが眠ってるの。あなたたちにはこれを起こす手伝いをして欲しいのよ」

 

「それが、私たちが暴れることと何の関係が?」

 

「あなたたちが勝手に暴れてくれればあとはこっちで起こすから面倒な連中をまとめて相手してて欲しいわけ。貴方達に合わせた兵器も用意したからそれも使ってくれて構わないわ」

 

「ボクは思いっきり暴れられれば何でもいいけどね!強いやついるの?」

 

「いるわよ。貴方達の元になった人たちならそれなりに強いんじゃないかしら?」

 

3人の問いかけにきっちりと答えていく赤髪の少女。

表情は愉しげで愉快そうに笑っているが……瞳が寂しさを覚えているような気がする

 

「それで、あんたは?」

 

「別に何もない」

 

「ふーん、じゃあ好きなだけ暴れて頂戴」

 

それぞれがその手に武器を持ち出し巨大な機械とともに飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は各所で戦闘が行われる中、海上にただ佇んでいた。

海面に移る僕の姿を見てひとつ、ため息をつく。

長く美しい銀髪、僕の生きてきた中で最も見た整った顔立ち。

僕と同じ赤い瞳。黒い戦闘装束、背中には3対計6枚の翼。

この姿を見てあの別れが本当にあったことなのだと実感する。

 

「身長は縮んで性別が変わっても、クロハネとおんなじ姿なんだ。この声も、この顔も僕が扱える全てのものがクロハネから託された大切なものだ……」

 

でも、今出来ることはディアーチェ達を援護することだろう。

僕は海上から飛び立ち、一気に地上から100メートル以上離れた位置にまで移動する。

 

「キミも、ここにおいで」

 

右手に“夜天の魔導書”を呼び出す。

この身体は夜天の魔導書の管制を行なっていたヒトの姿だ。

彼女が僕に残したのは彼女という存在のほぼ全て。

その中には夜天の魔導書の管制ユニットとしての機能も残っている。

何故あの少女が持っていたのかは分からないが目の届くところにあったのが幸いした。すぐにゲスト登録されていた管制システムを僕が乗っ取ってやった。

 

 

僕は夜天の魔導書の中から魔法を選ぶ

範囲攻撃、しかし攻撃力はあまり高くなく致命傷の負わないもの

 

検索すればすぐにそれに適した魔法を魔導書とクロハネの残した経験が導き出した。

 

即座にそれを展開すれば僕の足元に白銀の三角形の魔法陣が現れ、それと同時に機械……機動外殻といったか、それと交戦している魔導師達の上空へ一際大きな魔法陣を展開する。

 

魔法陣から白銀の剣が数百と顔を出し、その全てが魔導師達に狙いを定める。

 

「怪我人はあまり出したくない、頼むよ夜天の魔導書……バルムンク」

 

その言葉とともに天空に待機していた無数の光の剣は一直線に魔導師達へと襲いかかる。

だが、一足遅かったみたいだ。

その直前に施設付近に上陸していた二機の機動外殻は倒されてしまったらしい。

こちらに高速で接近してきている魔力も4つ確認できた。

結果としては上々だろうか?

 

 

「お前か、あの魔法を放ったのは」

 

問いかけられた声に僕は振り返り、肯定する。

 

「そうだね。あれを放ったのは僕だ。はじめまして、というべきかな夜天の守護騎士たち。僕の名はクロヴィス。クロハネ……いや、今では初代リインフォースと呼ばれる人の友だ」

 

眼前に構えた騎士たちは信じられないものを見たような顔で僕のことを見ていた。




さて、必須タグとして『クロスオーバー』をつけられた訳ですが、内容としては数話前のウィスタリアスの起源のお話でしょうか。
きっとサモンナイト3のお話を古代ベルカ風にしたのが恐らく原因でしょう。

作者としては『他作品要素』タグで収まるだろうなとは思っていたのですが認識が甘かったようでした。

読者の皆様方には大変なご迷惑をおかけいたしましたこと深く謝罪申し上げますm(_ _)m
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