僕たちの宝物   作:今井綾菜

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第2話

名前をもらってからしばらく時間が経った。

普段はあいも変わらずシュテルやレヴィと遊んでディアーチェに見守られる。そしてユーリとイリスが帰ってきたら2人と一緒に遊んでご飯を食べて寝る。

 

最近は少しだけだが外にも出してもらえるようになったから大きな樹の下でみんなで遊んでいた。

 

『王様ークローシュテるん!あそぼーよー!』

 

『グッフ!』

 

お昼ご飯を食べた後の余韻に浸っていた僕を襲ったのはこれまたお昼ご飯を食べたばかりのレヴィ。

勢いよくタックルされて僕は完全に無防備の状態だったが故に少し遠くに吹き飛ばされた

 

『レヴィ、遊びたいのはわかりますがタックルはいけないかと。クロをみてください、状況を理解できなさすぎて口が開きっぱなしです』

 

『あっははは!ホントだ!クロ変な顔〜』

 

ケラケラ笑うレヴィと我慢しきれずにクスクス笑うシュテル。

それをみて見守る(干渉しない)ディアーチェ

プチっと何かが切れた

 

『こぉら!レヴィー!おまけにシュテルも!』

 

僕が2人に向けて走り出すとレヴィとシュテルも走り出した。

 

『ふっふーん!今日はボクに追いつけるかなー?』

 

『絶対シバく!』

 

『あっ、これは追いつけないやつですね』

 

『シュテルもだよ!』

 

『私、完全に八つ当たりですよね?』

 

『笑ったじゃん!』

 

『ええ……(呆れ)』

 

バタバタバタッと“室内”を駆け回る僕たち3人。

それをいつの間にか移動していたキャットタワーの最上階で俯瞰するディアーチェ、その表情は散らかっていく室内を見てここにはいない部屋主が戻ってきたときの反応を予想していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

やってしまった。

レヴィをシバいた(追いついたとは言ってない)あと冷静になって辺りを見回すとイリスの室内はぐっちゃぐちゃになっていた。

 

『ディア、どうしよ』

 

『知らぬ』

 

部屋の外からはイリスとユーリの楽しそうな笑い声が聞こえてきた

 

ヤバイヤバイヤバイ!

 

王様を見ると知らんと言わんばかりに目を閉じていた。

レヴィは遊び疲れて寝ているし、シュテルはユーリの使っている端末?をタッチしまくっている。

 

そしてこの部屋の惨状を見て慌てふためくのは僕だけ

 

あっ、これ詰んだやつですわ。

 

プシュっ!

 

「………………」

 

「あっ…………」

 

部屋に入ってきてイリスの顔が一気に赤くなって身体が震えだした。

 

「こら!チビ助ども!あたしの部屋になんか恨みでもあんの!?」

 

「ごめんなさい!みんな遊びたい盛りなんです!」

 

ゴトっ!

 

あっ、さっきまで絶妙なバランスを保ってた端末が落っこちていた。

 

「もーーー!」

 

プリプリと文句を言いながら片付け始めたイリスに近付いていく足を畳んで座り、軽く頭を下げた

 

『ごめんねイリス』

 

「もう怒ってないわよ。クロヴィスもシュテルとレヴィをちゃんと止めてよね〜ディアーチェもよ?」

 

『そこで我を含めるのか』

 

『王様だからね、仕方ないよね』

 

『解せぬ』

 

「あんたたちまた内緒話?猫なのに人間みたいに会話するわよねあんたたちって」

 

『そりゃ、ちゃんとした意識があるもの。ねえ王様』

 

『なぜそこで我に話を振る』

 

『え?今のって僕たちに向けたものでしょ?』

 

ディアーチェとの会話をしているとイリスの隣にユーリがやってきて僕のことを抱き上げる

 

「この子達は少し特別なのかもしれませんね。クロヴィスに微弱ながら魔力を感じるのできっと思念通話みたいなものがクロヴィスを通してみんなで行ってるのかもしれません」

 

『魔力?この世界って魔法があるの?』

 

ペシペシとユーリの頬を肉球で叩いてみて問いかける

 

「どうしたんですかクロヴィス?片付け終わったら遊んであげますから少しだけ待っててくださいね」

 

そう言ってディアーチェの座る天辺から一つ下に降ろされて雑談しながら部屋を片付けるイリスとユーリを眺める

 

気がついたら片付けの邪魔になるからとシュテルが僕の一つ下のところで寝こけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わりましたよ〜ってあれ」

 

「みんな寝ちゃってるわね。ホント寝てる時はみんな可愛いんだけどね」

 

「ふふっ、起きてても可愛いですよ。時々やんちゃしちゃいますけど」

 

私があの雨の日に助けた4匹の猫。

みんな弱っていたのにクロヴィスを囲むようにして集まって温まっていたこの子達を保護してから一月以上が経った。

保護する直前まで私とイリスに牙を向け続けたディアーチェはきっとこの子達の王様なのだろう。

 

シュテルとレヴィとクロヴィスがじゃれてる時もご飯を食べる時も必ず少し遠くで見守っていて危なくなったら必ず助けてあげるのを何回も見ているから確信を持てる。

 

「こいつら普段はいっつもディアーチェにくっついて寝てるわよね」

 

「ディアーチェはみんなの王様なんですね。他の三匹の面倒をいつもみてあげてますから」

 

「出来ればやんちゃを収めてくれると嬉しいんだけどなあ」

 

「ふふっ、そうですね」

 

戯けたように笑うイリスに私も笑顔になる。

私の壊すだけだった魔法にそれ以外の意味をくれた人たち

そして、救うことができることを教えてくれたこの子達にたくさんの幸せが訪れますように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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