今日は珍しく王様を含めて僕以外が外で遊んでいる。
僕が外に出ないで室内にいるのは普通に外に出る気がないからである。
おいそこ、ダメ猫とか言うな
研究所の周りはいろんな機械のおかげで気温から湿度諸々が全て管理されてはいるが、この暑い夏の季節猫にとっても暑いものは暑いのだ。
ああ〜空調の効いた室内最高〜
ぐでんと横になっていると部屋の中に今日のお仕事が終わったのかユーリが戻ってきた。
「あれ、今日はクロヴィスだけなんですか?」
手に持っていた端末を机に置いて僕を抱き上げるユーリ。
そういえば、僕ってかなりの頻度でユーリに抱き上げられるけど何か理由があるんだろうか。
抱かれたままユーリがソファに座って僕を膝の上へ、そして端末を魔法(?)で浮かせて僕を撫でながら端末の内容を流し読みしている。
「最近は研究所の周りにも花とか沢山咲き始めましたね。クロヴィスも見ましたか?」
『見たよ。去年に比べて少し増えた気もするよね』
言葉は伝わらないけれど、ユーリが最近のことを楽しそうに話してくれるのが僕は本当に嬉しい。
「それでこの間、イリスが……」
「あたしがなんだって〜?」
「わっ!イリス!?」
「クロヴィスに何吹き込んでるのかな〜あたしの親友は〜?」
ユーリの頭を乱雑に撫で回すイリスにユーリは「やめてください〜」なんていいながら涙目になっていくのを見て僕はほっこりする。
「クロヴィスもユーリに何吹き込まれたのか教えなさい〜」
『何にも吹き込まれてないです!最近の楽しかったことを聞いてただけです!』
「ほれほれ、部屋主さまに教えなさいな〜」
ユーリの膝の上からイリスの膝の上に移動させられて肉球をぷにぷにされている。
くすぐったいからあまりやならないで欲しいんだけど僕の意思は伝わらなかった。
結局このあと、みんなが帰ってくるまで肉球を触られ続けた。
『クロ、少しいいですか?』
『どしたのシュテル?』
珍しくシュテルから声をかけられたと思えば何やら真剣なご様子。大事な話だろうから出来るだけ顔をキリッとさせてみる
『そんなに畏まらなくていいです』
『あっ、はい』
『今日、レヴィと遊んでいるときに何やら機械的な動きをする人形を目にしたのですが、なにかユーリやイリスが話してるのを聞いたりはしませんでしたか?』
機械的な人形?
そもそも人形って動くの?なんて疑問はさておき、今日ユーリから聞いた話の中にはそんな変なものを使い始めたなんて聞いてない。もちろん、肉球を触り続けて今日やったこととか話してくれたイリスの話の中にもそんなものはなかった。
『なんも聞いてない。そんなの使い始めたらユーリとイリスって絶対話してくれるし』
『そうですよね……あまり関わらないほうがいいのかもしれませんが、気になったので』
『その話、僕以外には?』
『していません。レヴィは考えなしに向かいそうですし、王に関しては気づかぬ間に関わっていそうですから』
『だよね、わかった。2人の会話を聞いててそんな感じのことを口にしてたら覚えておくようにする』
『お願いします』
話し終えるとレヴィの元に歩いていくシュテルを見て考える。
そもそも、そんなもの研究所の敷地内にいれば誰かが気づくはずだし、その話を聞いたとユーリたちが教えてくれるはずだ。
侵入者……の線はほぼあり得ない。
だって、僕たち猫4匹以外のみんなはIDを持っているし持ってないものが侵入すれば警報が鳴る仕組みになってるとイリスが教えてくれた。
「どうしたんですか?難しい顔をして」
目の前にユーリの顔が現れて僕はビクッと体を震わせた。
「あ、すみません。驚かせちゃいましたね」
シュンと落ち込むユーリの頬に肉球を押し当てて大丈夫だよと意思表示をする。
「何か困ったことでもあったんですか?」
『変なロボットを見かけたってシュテルが話してたんだけど……って伝わらないよねえ』
「何か言ってるのはわかるんですが、まだあなた達の言葉がわからなくて。今、翻訳の魔法を作ってるので完成したら私達とも意思の疎通が出来るようになりますから。完成したらいっぱいお話ししましょうね!」
翻訳魔法を作ってるのは今初めて知った。
翻訳魔法ってそもそも猫に効くのか?
でも、ちゃんとユーリやイリスの話せるのは楽しみだ。
『うん、沢山お話ししようねユーリ。楽しみにしてる』