僕たちの宝物   作:今井綾菜

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第六話

次に僕が目を覚ましたのは暗闇の中だった。

ただ、ふわふわ浮いているわけではないということから地面であるのは間違いなさそうだ。

 

辺りを見回しても見えるものは何もない。

シュテルやレヴィ、ディアーチェたちも感じ取ることができなかった。

 

『どこだろう』

 

ここにいても仕方ない。

ならばとりあえずまっすぐ進んでみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いたが辺りは先ほどと何にもかわらない暗闇のまま、流石にラチがあかないなとため息をつきそうになるが僕はそのまま歩き続けた。

 

 

 

 

それからまたしばらく歩いていると遠くのほうに微かに光が見えた。僕はその光へと向かって一直線に走っていく

光に包まれ視界に広がったのは少し広めの空間だった。

さっきまでの違いといえば少し明かりがあるところだろうか。それ以外は大して変わらないけど、ひとつだけ全然違うものがひとつ。

 

「猫……か?どうしてこんなところに」

 

『なんか迷ってて、歩いてたらここに』

 

「なるほど、どうやってここに来たのかわからないがよくあの暗闇の中を歩き続けたものだ」

 

銀髪の物凄くスタイルのいいお姉さんが僕と同じ赤い目で僕を見ていた。

 

いや、こんなところに人がいるのも驚きだけどそれ以前に僕の言葉に普通に返答してきたよねこのお姉さん。

 

『えっと、僕の声聞こえてるのかな?』

 

「聞こえているとも、それがどうかしたのかい?」

 

『あ、いいえ。なんでもないです』

 

「ふふっ、そうか。キミはどこから来たんだい?」

 

彼女の問いかけに僕は前にユーリやイリスが言っていた星の名前を思い出した。

 

『えっと、エルトリアって星です。貴女は聞いたことありますか?それと僕の名前はクロヴィスって名前です』

 

「エルトリアか、前に防人の少女が滞在していた星だな。となるとキミはあの子が拾った4匹の猫のうちの一匹か。名前も記録にある黒猫と一致する。しかし、キミのその耳のあたりの毛は銀色だっただろうか?」

 

言われてみて僕は確認しようと思ったけれどそれはできなかった。それもそうだろう、ここには鏡もないし水溜りなんてものは勿論ない。

 

「ああ、キミでは見れないか。それならこれでどうだろう」

 

彼女は緑色の指輪をつけて鏡のようなものを僕の目の前に出現させた。

 

僕は現れた鏡に自分の姿を映し出す。

確かに彼女がいう通り僕の耳の付け根のあたりが銀色に染まっていた。

 

『あれ、なんでだろ。この辺りも黒かったはずなんだけど……』

 

「この空間に入ったことへの代償か、それともキミが使ったチカラの代償だろうな。記録を見させてもらったがキミが継承したのはベルカという国があった頃に一人の王が所持していた魔剣の一振りだ。名を『果てしなき蒼(ウィスタリアス)』といったはずだ」

 

懐かしいものを見るかのように彼女は目を細めて僕を見る。

僕も、なぜか彼女といると懐かしいような感じがした。

まるでユーリと一緒にいる時のような暖かさに包まれるような

 

『なんだか懐かしい名前だ。覚えがあるような無いような曖昧な感覚だけどね』

 

「そうか、キミは防人の少女が夜天の魔道書の中に取り込んだことでここにいるのだろう。もっとも目を覚ましたのはキミだけのようだが」

 

『みんなは、いまどうしてるんだろう?』

 

「ここに取り込まれた他の3匹はいまは眠っているよ。防人の少女に関しては……別の世界に飛ばされたようだな」

 

どこに飛ばされたのかはわからないと申し訳なさそうにする彼女に僕は首を振った。

 

『それは貴女のせいでは無いよ。きっとまたいつか会える時が来る。この本は旅をする魔導書なんでしょ?それなら、きっと』

 

「……そうだな。そうだろう」

 

彼女は目を瞑ったが、すぐに開いて僕を見つめた。

 

「キミはこの後どうするんだい?望むなら彼女と再び会える時まで眠らせておくこともできるが」

 

『それもいいんだけど、どうせ会えたんだから貴女と話していたいな。貴女も話し相手がいた方が暇しないでしょ?』

 

僕の言葉に彼女は目を見開いたがその顔を微笑ませて僕を抱き上げた。

 

「そうだね。なら、話し相手になってもらおうかな。わたしは旅をする魔導書の管制融合機だ。この本がある限り私は存在するからな。キミもそうやすやすと私から離れられると思わない方がいいぞ?」

 

『うーん、これは選択肢ミスったかな?』

 

「なに退屈はさせないよ。私には暗い過去ばかりだが、それなりに面白い話も持っているつもりだからね」

 

『話すのは好きだから、その話をたくさん聞かせてもらおうかな』

 

「ああ、暇はさせないとも」

 

僕を膝の上に乗せた彼女は微笑んだままたくさんのお話を聞かせてくれた。

とある王国で生まれたその時から辛かったことや楽しかったことを含めて本当にたくさんのことを語ってくれた。

 

彼女がほんと共に過ごした数百年の物語を僕はその本人の口から聞くことが出来るという類稀なる経験をすることになる

 

これが、僕と新しい友人の数十年の始まりだった。

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