無限列車に到着し、僕らは煉獄さんと合流した。
「うむ!ヒノカミ神楽というのは聞いたことがないな!初耳だ!君のそれが攻撃に転用出来たのは喜ばしい事だが、この話はこれで終わりだな!」
「え!?ちょ…ちょっともう少し…」
「俺の継子になれ!知識の面では力にはなれないが、その他の面では面倒を見てやろう!」
「えぇ…」
「それにそういう話なら薬膳殿の方が詳しいだろうな!彼の知識はお館様並だ!」
そう言って炭治郎他四人が僕の方を見る。
うーん。余りネタバレにならないように配慮しつつ、彼が自力でたどり着けるようにするには…。
「お館様並は言いすぎだけど、察するにヒノカミ神楽は君のご先祖様辺りが、伝え聞いたなんならかの武術の型では無いかな?」
「武術の型…ですか」
「昔から極め抜いた人の動きは”舞”に喩えられることがあるんだ。お祭りの時の踊りが、当時の村に起こった一大事の一部始終を伝えていた。なんかと似たような事だね」
「なるほど!ならばやはり俺の下に来い!溝口少年!」
「俺は竃門です!?」
「炎の呼吸は古い!水と炎の柱はどの時代でも必ずいる!ヒノカミ神楽と言われるくらいだ。恐らく通ずる物が有るやもしれん!」
うんうん。これで炭治郎と煉獄さんのフラグは建ったな。
そして後は原作通りにねむらされるんだけど、MNDがこの世界では規格外に高い僕と猛は眠れないので、眠ったふりをして頃合いを見て起き、下限の壱を撃破しに行く。
「下弦の壱位なら余裕だろう。後々人手がいるこっちは俺に任せろ」
猛がそう言うので僕はさっさと先頭に行き、下弦の壱の頸を落とす。
そうなると必然的に列車を止めるイベントが発生する。
魘夢がなんか言ってるけど気にしない。
列車内で破壊音がし始めたから猛達が奮戦しているんだろう。
さてと。
「試してみるか…僕の呼吸がどんなものか」
日輪刀 陽光丸を改めて見る。
その色は浅縹。陽光という明るいイメージとは結びつかない色だな。
日輪刀は色変わりの刀だし、こういう銘のイメージから剥離する事が多いから付けないのかな?
さて、今の魘夢は列車そのもので、更に言えばこの後に猗窩座戦がある。
時間は掛けたくないな。
よし。やってみるか。
「雲の呼吸…」
この全集中の呼吸は急遽生み出したものだ。
とはいえその力は申し分ない筈だ。
なにせ猛の所のドラゴンボール世界の精神と時の部屋で修行したからね!
この呼吸を使えばSS2の悟空になら勝てたよ!SS3は無理だったよ…。
「上雲の型」
陽光丸を構え体勢を取る。
魘夢が分身を使って襲ってくるがもう遅い。
「筋雲」
太刀筋は緩やかに伸びやかに。
しかし迅速に細やかに。
余計な動きを一切せずに。
ただ一筋の線を描く。
ただ一筋に閃が奔る。
振り切る頃には軌跡の跡しか残らない。
視界という空に、剣閃という一筋の雲を残すのみ。
炭治郎視点
「ぎぃいいいいやあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
両断された先頭車両は瞬く間に崩れ落ち、断末魔を上げながら列車が揺れる。
「凄い…俺と伊之助が見つけるより早く頸を落としたんだ!」
「ちぃ!ししゃもに触るがやりやがるぜ!あいつ!」
「それを言うなら癪に障るだ!伊之助!」
俺が目覚めるより早く、エルガルドさんとアイリスさんは起きていて行動していた。エルガルドさんはその体躯を活かして見つからないように隠れていたらしい。
『こんなチンケなもんで金払いたくねぇしな!ガッハッハッハ!』
本当に凄い人だと思うんだけど無賃乗車はどうかと思う。
そのお陰で助かってるから複雑だ。
「伊之助!このままじゃ皆が危ない!お願いだ!急いで助けよう!」
「おぅ!親分の俺に任せろ!!」
よし!俺は俺にできることをやろう!
アイリス視点
「うむ!大事ないようだな!薬膳殿!」
「そっちこそ乗客全員無事とは流石だよ。僕だったら何人かは見捨ててた」
列車が転倒し乗客の避難が一段落したあと、僕は鬼殺隊の面々と集まって隠を待っている。
結構大規模な事になっちゃったけどこれ隠し切れるのかな?
ドゴォォン!!
「ッ!?」
「え?何何!?今度は何!?」
「…どうやらもうひと踏ん張り必要のようだぞ。薬膳殿」
ようやく来たか。さぁ、ここからが本番だ。