ジャンプワールドオールスターズ 鬼滅の刃編   作:犬原もとき

24 / 31
ただいま。 あの世在住の予定の武闘家

炭治郎視点

 

初めに仕掛けたのは義勇さんだ。

義勇さんの生々流転が次々と繰り出される。

猗窩座はそれを時に避け、時に受け捌いていく。

一定の調子で、さながら神楽の時に奏でられる音の様に。

時折煉獄さんがそれを盛り上げる様に、或いは抜けた音を補う様に技を放つ。

トントン、トントン。

俺の日暈の龍頭舞いも揃えていく。

三人の…いや、猗窩座を含めた四人の鼓動が、動きが一つになっていく。

猗窩座が右へ行けば俺が。

左へ行けば義勇さんが。

引けば二人で進めば煉獄さんが。

トントン、トントン。

揃っていく。

猗窩座の

舞の終わりを迎える。

「ぜええええええぇぇぇぇぇやっ!!!!」

「終わり……だっ!!」

「ぐおおおおぉぉぉぉ!?」

俺と義勇さんの技が猗窩座の四肢を斬り落とす。

「煉獄さん!!」

「炎の呼吸!!奥義!」

猗窩座の視線の先には、炎の呼吸最強の技を構える煉獄さんがいる。

これが

「玖ノ型!!」

俺の

「素晴らしい…」

俺達の

「煉!!獄!!!!」

お前への手向けだ。猗窩座。

 

「見事だ…素晴らしい…それ以外に言う事がない」

ボロボロと崩れていく猗窩座。

その顔はとても晴々としている。

「思えば俺は恵まれていた…ただのゴロツキではあったが…愛する人を持ち…尊敬すべき師にも会えた…」

「…」

「そうだ…人は初めから強くない…強くなろうとして…積み重ねて…強くなるのだ」

「猗窩座…」

「俺はきっと…嫉妬していたのだろう…彼の様に強ければ…大切な存在を守れた…かもしれない…そう思って…」

猗窩座の顔は間もなく崩れ落ちる。

けれど、それに俺は何も

「だろうな。俺も嫉妬した」

え?

「俺も薬膳殿の実力には嫉妬した。あれはそういう類の領域だ」

「煉獄さん…」

「彼程の力があれば、父上は腐ら無かったかもしれない。もっと大勢の人を守れたかも知れない。何度もそう思った」

そう言うと煉獄さんは少し目を瞑り、すぐに開いた。

「然し彼が倒れても歩みを止めなかった者がいる。例え辛い壁が目の前に幾つも有ろうと、乗り越え踏み越え先へ行こうとするものを見た」

煉獄さんが俺の方を見る。

その目と匂いは、まるで陽だまりのように温かい。

「だから俺もこの嫉妬の心を受け入れる事が出来た。心は動力源とはよく言った物だな!竃門少年!」

「わわっ!?」

「先程の動きは実に見事だったぞ!やはり君は炎の呼吸の素質がある!俺の継子になれ!」

「(炭治郎は水の呼吸を習ったし、鱗滝さんの継子だから)駄目だ」

「義勇さん!?」

「ぬぅ!だが俺は諦めんぞ!」

どうして俺の継子の話に!?

「……ふ、なるほど…勝てる筈もない…か」

俺達の前で、猗窩座は楽しそうに消えていった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。