ジャンプワールドオールスターズ 鬼滅の刃編   作:犬原もとき

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デカくなったなァ 鬼殺隊の風柱

実弥視点

 

弟には・・・生き残ってくれた玄弥にだけはこんな所には来てほしくなかった。

鬼殺隊は命懸けだ。いつ死んだっておかしくない。

俺は良いさ。化け物だから。

玄弥の言う通り、素手で鬼を何とかできるくらいだ。

・・・・・それを言ったら薬膳さんもそうだけど。

ただあの人は俺と違って馬鹿みたいに強いから死ぬなんてことはないだろうな。

そんな事は良いんだ。

俺は玄弥に生きていてほしい。

俺はそれだけでいいんだ。

なのに・・・

どうして今俺の心は喜んでいるんだ。

玄弥が死の覚悟をしてるんだぞ!

弟が死ぬことがそんなに・・・

『いつまでも弟が子供とは限らないよ』

『・・・何のことっすか』

『人は成長するんだって話さ。そうやって・・何時も困難を乗り越えてきた。今までも、そしてこれからもね』

『・・・・そうっすね』

・・・・あのときはぶっきら棒に返事をしたっけな。

あの人が俺と玄弥の仲を心配していたのは知っていた。

それでまぁ照れ隠しは確かにあった。

でも本当は違ったんだな。

俺は分かってなかったんだ。

改めて弟を・・・玄弥を見る。

不安を隠しきれていないけれど

真っ直ぐな瞳で俺を見ている。

俺が知っている頃の顔で。

俺の知らない顔をしている。

あぁ・・・

「でかくなったなァ・・・玄弥」

「え・・・あ・・・うん」

そうだな。

愛しの弟が腹ァ括ってんだ!

「しくじるなよ玄弥ァ!!」

「・・・・・ッ!!はい!!」

俺も気張らなくっちゃぁな!

なんたって俺は鬼殺隊で風柱で!

不死川玄弥のお兄ちゃんなんだからよォ!!

 

「作戦は分かってんだろうなァ!!」

「えぇ!!」

「くどいぞ。それとなぜお前が仕切って・・・」

「そういうのホント今は良いから」

「然り、私達の役目は・・・」

「前進有るのみ!!」

日輪刀を握る力に皆力が籠もる。

これから俺たちは死地を行く。

誰かが犠牲に成るかもしれない、誰も犠牲にならないかもしれない。

だが、俺達は行く。行かなければいけない。

俺たちの後ろを・・・繋げるために!

「いいいぃぃっくぞおおおぉぉぉぉぉ!!!!」

俺の叫びとともに全員が走り出す。

下位隊士も。柱も。

そこに何の貴賤もない。

俺たちは唯只管に

鬼舞辻無惨の頸を目指す!

「ぐわぁ!」

「ぎゃあ!」

隊士が犠牲になる。

「こ・・・のぉ・・!」

「動かさねぇ・・ぞ!」

だが彼らは折れない。

誰が言い出したわけでもなく、自らの身体をどこかに縛り付ける。

時には果敢にも切り落とす隊士もいた。

死ぬなとは言えない。

俺も含め全員死ぬ気だから。

だからせめて

「風の呼吸!!壱ノ型!塵旋風・削ぎ!!!」

己の全力を持って辺りを散らす。

そうすることで少しでも助かる命があるのなら。

そうすることで少しでも無残に迫れるのなら。

俺達は迷わずそう動く!

それが俺たち鬼殺隊。

鬼を滅ぼす者たちだから!!

「恋の呼吸!陸ノ型!猫足旋風!!」

「霞の呼吸 伍ノ型!霞雲の海!!」

甘露寺が辺りを蹴散らし、時透さんが道を切開く。

「蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇!」

「岩の呼吸 荷ノ型 天面砕き」

伊黒が道を増やし、悲鳴嶼さんが開かれた道を広げる。

例え俺たち一人一人は弱くとも。

束ねれば鬼舞辻!お前に迫れる!!

「調子に乗るなよ・・・異常者共が・・・!!」

肉の繭から鬼舞辻の声がする。

それと同時に先程までとは比べ物にならない量の血の茨が襲いかかってくる。

避ける隙間はない。

だが

「玄弥ああああぁぁぁぁ!!!」

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉあああああぁぁぁぁ!!!!!」

俺が叫ぶと、後ろから人間大の散弾が無数に飛んできた。

 


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