ジャンプワールドオールスターズ 鬼滅の刃編   作:犬原もとき

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おのれうぶやん キャンピングモンスター在住のPC

なんやかんやあってとりあえず炭治郎と禰豆子の二人はお館様に認められた。

結局僕が呼ばれた意味ってなんだったんだ?まぁいいか。

炭治郎を連れて先に蝶屋敷に戻るか。

「じゃあ僕はこのへんで・・・」

「あぁ、アイリス。君は残っていて欲しいんだ」

「ほへ?」

なんじゃろうか?

とりあえず座り直そう。

「アイリス。君にやってほしいのは、君の薬膳で禰豆子を人間に戻せないか試すことだ」

「薬膳で・・・ですか」

「あぁ。君が扱う摩訶不思議な食材なら、禰豆子を鬼に戻すこともできるかもしれないし、そうでなくても人を食べなくても良くなるかもしれないからね」

「・・・・」

確かにできる可能性もある。が、それよりもだ。

「産屋敷さん。僕がどうしてグルメ食材を使った薬膳を柱や一部の隊士にしか出してないのか覚えていますね?」

「もちろん」

「可能性はあります。いくつか心当たりもありますし。ですが、それは今まで極力避けていた僕の懸念を根本から覆すことになる」

僕が最初に懸念していたことだ。

「グルメ細胞に適合した人間は、胡蝶さんを見れば分かる通り身体能力が上がります。そしてそれはおそらく、元が人間である鬼も同じです。適合しなかったやつはまだいい。強化などされず言い方は悪いですが腹を満たすだけですから」

問題なのはそう

「適合してしまった時それが一番マズい。その時の鬼の力は、今の比ではなくなるでしょう。それこそ名もない鬼ですら下弦並とまでは行かなくとも、それに迫るほどの強さを手に入れるでしょう。人を食べ続ければ」

グルメ細胞は好みの食材を食べれば食べるほど強くなる。

もちろん人を食べ続ければ強くなるのはそもそもの鬼にもある話だけど、グルメ細胞を獲得してしまった鬼が、その上限を軽く超えてしまう可能性は高い。

そうなれば・・・

「今の鬼殺隊では全滅は必至でしょう」

蝶屋敷にいる子達は良い。僕もいるし、カナヲやしのぶちゃんはグルメ細胞を使いこなしているし、元が強い。

柱に振る舞っているのも元が強いので死にづらいからだ。

だが下位隊士は違う。彼らは非常に死にやすい。

その中でグルメ細胞に適した子が食われてしまったら?

ましてやその鬼が適合してしまったら?

そんな事になったら僕は・・・ある意味プレイヤーとしては正しくても、一人の人間としては最悪の行動を取るかもしれない。

この世界を・・・最初からやり直すという行動を。

時々、ここがゲームの世界であることを忘れてしまう。

ゲーマーとしては情けないかもしれない。のめり込み過ぎている。

はは。VRゲームにのめり込む側に成るなんてなぁ。

効率を考えるなら最初に薬膳料理を出して、全員強化するのが正解だろう。

どんなに鬼が強かろうと初戦は個体だ。

実力が拮抗している場合、マンパワーの前には敗北するだけだ。

だけど現実にほど近いこのゲームは、たった一つの違いで何が変わるのかわからない。

正直ゲームだから食材の残渣が残ってないだけっで、その残渣を食べて鬼が強くなってしまう可能性が現実にはある。

僕の存在そのものがこの世界では異常なんだ。

・・・いけないな。

考えが変な方向に行ってしまっている。

「アイリス。君の懸念は最もだ。だけど、私の気持ちは先程炭治郎達が居た時に行った言葉の通りだよ」

産屋敷さんの声が響く。

「私は彼らこそが、鬼舞辻との長い戦いの歴史を変える存在と思っている。やれるだけのことはやっておきたいんだ」

「・・・・」

「その為なら私は君に頭も下げよう」

「はっ!?」

「なっ!」

「お館様!?」

そう言うと産屋敷さんは僕に向かって本当に頭を下げた。

「私は私の剣士たちを守る義務がある。そして君の料理ならそれを可能にできる。私の頭を下げるだけでそれができるなら・・・安いものだよ」

やめろやそういうの(遠い目。

これ断ったら僕が完全に悪者じゃないの・・・。

おのれ図ったなうぶやん。

「・・・・ははは。そこまでされたら断れないじゃないですか」

「・・・ふふふ。卑怯だと言ってくれても良いんだよ?」

「まさか。やりましょう」

「ありがとう。じゃあこれからよろしく頼むよ。食柱」

「えぇ。わかり・・・んん!?食柱!?」

「あぁ、少し早いけど君は柱を名乗るのに必要十分な実力はあるしね。鍛冶屋の里に行って日輪刀を貰えばすぐにでも柱であることを全員に通達するつもりだから、すぐにでも行ってほしいな」

「ちょ、ちょちょちょ!?日輪刀って僕が奮ったら爆散するんじゃ・・・」

「うん。その為にも君のその万膳薬刀を是非調べさせて欲しいって鍛冶屋の里から要請があったからね。行ってくれるかい?」

「いやいやいや!?猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石を貰えればこっちでどうにか・・・いや、待てよ。向こうの職人を連れてくれば早いか」

「じゃあそういう方向でお願いするね。楽しみにしてるよ」

そういって微笑む産屋敷さん。

しのぶちゃんは表情こそ変わってないけどキラキラした顔でこっちを見てるし、富岡くんも雰囲気がそんな感じだ。

周りも一部(主に蛇とか風とか)はともかく歓迎ムードだ。

おのれうぶやん。

 

柱合会議が終わり超屋敷へ戻るなり、しのぶちゃんはすぐさま走っていった。

あの様子だとカナエさんに早速言う気だな・・・。

外堀が埋められていく・・・ちくせう。

まぁ、それはそれとして・・・。

「今いるのは伊之助に善逸。それと炭治郎か」

そして禰豆子を含めた4人・・・彼らがグルメ細胞に適合すればかなり戦力アップになるはずだ。

とりあえず今の容態を見てみるか。下手に与えちゃうと良くないし。

 


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