臆病なる影の刃   作:はさみ@気が向いたら書く

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前の投稿から4ヶ月くらい経ってるらしいです。
二話投稿すんのに時間かけすぎだよって思ったら、ツイッター突き止めて脅迫文送ってみてください、文を書く速度が気持ち上がります。


夜の仕事、お客様は神様(荒魂)です。

森の中を歩く、周辺は灯りもなく、辛うじて道があることを示すのは手元にある心許ない懐中電灯だけだ。

何となく懐かしいような、懐かしく思いたくないようなそんな気持ちだ。

まあ何というか、辿り着いたのは私がこの職務に就く原因となった施設だった。まあ、メールの内容からわかってはいたけれど。

 

電話の後、頭を抱えていた私の元に送られてきたメールには、処理対象である廃棄物の名称と対処法、そして目的が記載されていた。

今回は私への試験も兼ねているらしく、任務を遂行すれば正式に隊員として任命され、装備なども支給されるらしい。

話が短いと思ったらそういう事だったのか。

 

この任務は口封じと私への試験が兼ねられているのだろう。きっと今までにもそうやって、少なくない数の刀使がこの任務に就いては死んで行ったのだ。だから私は何も期待されていないのだろう。

その為、最初は比較的危険度の低い廃棄物からという事だが、これが最初にやらせる事なのだろうか。

 

今回の任務内容は特殊廃棄物『複合型荒魂:オニグモ』の処理。

荒魂とは、珠鋼という特殊な金属を精製する際に発生する、『ノロ』と呼ばれる負の神性を宿した不純物が結合することで生まれる怪物だ。

 

この施設は、荒魂の身体を継ぎ接ぎして新たな荒魂を生み出す実験をしていたが、求めていた成果が得られなかった為、次第に研究費が減っていき、最終的に閉鎖された。

しかし、研究対象となった荒魂は処理されることなく施設の中に閉じ込められていた。

しかし、突如施設内の荒魂の反応が消滅し始めた。

一部の凶暴な個体が壁を破壊し、荒魂の蠱毒が発生。強大な荒魂が発生した可能性が高いと判断され、早期に調査、解決する事が求められている……らしい。

『オニグモ』はその中の一匹で、蜘蛛型荒魂の足と熊型荒魂の上半身を組み合わせた個体だ。

接続の際に拒絶反応が発生し、熊型は活動を停止しかけたが、再生力に優れる蜘蛛型の足が熊型を侵食して新たな荒魂『オニグモ』となった。

しかし、無理な再生を行った代償として『オニグモ』は全てのリソースを身体の維持に回さねばならなくなり、通常の再生能力を失ったそうだ。

蓄えたエネルギーを全て身体の維持に回さないと自壊してしまうなら『オニグモ』はどうすれば欠損した部位を再生するのか。

実験の結果判明したその回復手段は共食い、つまり『オニグモ』という荒魂は荒魂(同族)を喰らう事で身体を再生する荒魂なのだ。つまり、こいつが原因で施設が壊れて荒魂同士の蠱毒が始まって、『オニグモ』自身はただ自分の身体の維持のために食うだけだけど、周りは生き残る為に蠱毒をし始めて、更にこいつらが外に出るといけないからお前やれよと、ワオ、ジャパニーズ尻拭いだぁ。

 

とりあえず纏めると、

1.標的は『オニグモ』という荒魂

2.任務が長期化すれば他にも変な荒魂が出てくる可能性大

3.『オニグモ』は他の荒魂食べて回復する

 

この任務において、最も重要なのはこの三点、事前にドローンを送り込んで得た情報によると、施設の損害はまだ大きくないから早期に決着をつけられれば『オニグモ』以外の特殊な荒魂と遭遇する可能性は低い。

『オニグモ』のいる区画は比較的危険度の低い個体が多いが、少し離れた所には同等の個体もいるそうなのでそれらを解放するのは極力避けていきたい。というかそんなもの放置してるの頭おかしい、なんで自分たちで廃棄しなかったんだろう。これこそ責任問題でしょ、助けて。

 

「御影尊、現場に到着しました。現在の時刻は一時三十六分、これより任務を開始します」

 

任務開始の連絡を終わらせて施設へ踏み込む。

施設内は明かりがない、それ故に明眼という能力を使い、暗視を可能にする。

 

刀使は御刀を持つことで、超能力のような力を振るうことができる。

炎を操るとか水を生み出すとか、そんなファンタジーなことはできないけれど、高速移動や暗視等、元々身体に備わっている機能を増幅する様な能力が使える。

例えば、瓦礫を持ち上げる事も可能にする、筋力強化の八幡力や、身体を鋼鉄よりも強靭に変質させる金剛身、車よりも速く動ける様になる迅移、暗視や遠視を可能にする明眼等、人によって得意不得意があるけれど、刀使は皆これらの能力を扱える。

 

私が得意なのは、順番に並べていくと一番目が今も使っている明眼、次いで八幡力と金剛身、だけど迅移は苦手で、何故か他の人よりも燃費が悪く、使うとすぐ疲れてしまうという致命的な問題がある。

それ故、チームで動く際には周りのペースに付いて行くことが難しいので、今回のような単独行動の方が自分の好きなように動ける方が楽なのだ。

 

 

施設の地図は確認済みだけど、『オニグモ』が居ると思われる区画は施設の中心に近く、それまでに多数の荒魂と遭遇するはず。

『オニグモ』の討伐の為にも雑魚の数は減らした方が良いけど、こちらが消耗してしまっては元も子もない。目に写る全てを、なんて考えていたけど現実的じゃないよね、現代っ子はドライなのだ。手の平はドリルより回るぞ。

 

それに荒魂としても『オニグモ』は捕食者なのだから、その周辺にいる荒魂の数は多くないはずだし、早期に『オニグモ』と接敵する事が最も消耗を抑えられる。

という想定を元に考えた、私なりに完璧のルートが有ったのだが……。

 

「嘘でしょ……」

 

瓦礫で道が塞がれていて、奥が見えない。この道を通るのは不可能では無いけれど困難といった感じで、初っ端から計画が崩れてしまった。あーめん。ところで夜になると無性にラーメンが食べたくなるけど、ダメかな、そろそろ深夜の二時なんですけど。

ダメなんだろうなぁ。朝ごはんはラーメンにしよう、そうしよう。

一先ず今日の目標は朝日を拝むことだ。やってやるぞ、絶対経費で落として学長(ヒステリークソババア)に微妙な顔させてやるからな。

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