居場所~戸塚彩加ルート~   作:おたふみ

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八幡と彩加が捨てた世界。そして…

二人が学校を辞めた次の日からは、大変だった。

『ヒキタニが戸塚に女装させていた』『同性婚の為に学校を辞めて海外に行った』などの噂が流れた。

しかし、二人が所属していたクラスだけは違った。

 

平塚から語られる真実。

チェーンメール、千葉村、文化祭、修学旅行…。相模は自分は悪くないと喚き、葉山はみんなの為に、仕方なかったと繰り返し、戸部・海老名は青ざめ、大和・大岡は仲間の為に行動した比企谷に対し暴力という恩を仇で返す行為に自らを省みて項垂れて、由比ヶ浜は『ヒッキー、ごめんない』と言いながら、ずっと泣いていた。

三浦は自分の仲間のしでかした行為に怒り、比企谷に対して申し訳ない気持ちで歯ぎしりをしていた。

川崎は、携帯で撮った四人の画像を見ながら、比企谷が一人で抱えていた問題の大きさに感心していた。そして、比企谷の今まで見たことのない優しい笑顔と戸塚の幸せそうな顔に少しだけ嫉妬していた。

 

お通夜のような一日が終わり、葉山、戸部、海老名、大和、大岡は生徒指導室へ、由比ヶ浜はおぼつかない足取りで奉仕部へ向かう。

 

先に居た雪ノ下雪乃に説明を求められたが、由比ヶ浜も気持ちの整理がついておらず、支離滅裂で伝わらない。

 

遅れてきた平塚に事情を聞き愕然とする雪ノ下。自分がやったこと、出来なかったことによって比企谷を追い詰めてしまっていたことを…。

そして、平塚に奉仕部の廃部を言い渡される。

 

二人で呆然としていては何も出来ないと、自らに言い聞かせ由比ヶ浜を引っ張り比企谷家へ向かう。

 

ただ、比企谷に謝りたい。許してもらえないかもしれないが、謝りたかった。

 

比企谷家に着くと妹の小町が出迎えてくれた。

小町に事情を話すと彼女も血相を変えて兄である八幡の部屋に飛び込んだ。

 

しかし、部屋には誰も居らず、段ボールが数個あるだけだった。

 

小町が両親に連絡しても、繋がらず、途方に暮れている。

 

雪ノ下は姉の陽乃に力を借りようと連絡をする。

しかし、返ってきた返事は『出来なかった』と。姉曰く、国家権力に阻まれたとのことだった。

 

比企谷の両親の帰りを待たせてもらい、八幡の居どころを聞こうとしたが、『今は話せない』の一点張りだった。それは、妹である小町にも同じ答えだった。

 

比企谷の両親から八幡の写真を貰い帰路に着く二人…。いつか会えると言った両親の言葉を信じて、会える日を、会って謝ることが出来る日を待ち望んだ。

 

それから、5年の月日が流れ、町で八幡らしき人物を見たとの情報が二人の元へ届いた。

 

二人は八幡らしき人物が居たと聞いたサイゼリアへ駆け込む。

そこには、川崎、材木座、八幡と、銀髪の長い髪の女性、そして銀髪にアホ毛が立った子供が居た。

 

「雪ノ下、由比ヶ浜…」

「アンタたち…」

「材木座、二人に話したのか?」

「いや、我は話しておらん」

「その様子だと、川崎も話してないな」

「あぁ。アンタたち、何しに…」

「川崎さん、落ち着いて。八幡も会おうか悩んでいたんだから」

「ちょうど良かったよ。二人にも話をしたかったからな」

「比企谷、アンタのお人好しは変わらないね」

「ほっとけ」

 

広いボックス席に移動して、話を始める。

「雪ノ下、由比ヶ浜、急に居なくなって、すまなかった」

八幡の謝罪に困惑する二人。

「あ、謝らなければならないのは、私達の方で、その…、ごめんなさい」

「ヒッキー、ごめんなさい」

「なんで、お前らが謝るんだ?」

「八幡、彼女たちは、修学旅行の件を…」

「ああ、あれか。あれは俺がちゃんと説明しなかったのがいけないんだ。お前らは悪くない」

「八幡ったら…。だってさ二人とも。良かったね」

「比企谷君、そちらの女性は…」

「私たちのこと知ってるみたいだけど…」

「あぁ、だいふ髪伸びたからね。戸塚彩加だよ。久しぶり、二人とも」

「俺、彩加と結婚したんだ。そして、コイツが愛の結晶だ。ご挨拶は?」

「こ、こんにちは…」

「え?比企谷君が結婚…。で、相手が戸塚君で、戸塚君は男の子で…」

「え?どうやったら男同士で子供が…」

「あ~、説明すると長くなるんだが、彩加は女だ」

「え?」

「え?」

「ダメだ、比企谷。一から説明してやれ」

「面倒くせぇ」

「八幡、ちゃんと説明しないと、帰りにMAXコーヒー買わないよ」

「彩加、俺が日本に来る楽しみを奪うな。わかったよ」

「日本に来る?」

 

八幡と彩加で、あの日の出来事や彩加の複雑な事情、今までを説明した。

 

「そう…だったのね…」

「ま、彩加と結ばれたから結果オーライなんだけどな」

「なんか、二人とも凄いね…」

「それで、姉さんが調べてもダメだったのね」

「一応、釘は刺したんだけど、調べようとしたのね、あの人…」

「それはそうと、王家の人がこんな所に居ていいのかしら?」

「お前、サイゼリアをこんな所呼ばわりするな」

「八幡のサイゼリア好きは、置いといて」

「置いとかれるのね…」

「今回は比企谷のご両親に、この子を会わせに。お忍びでね」

「年に一回ぐらいは帰ってきてるからな」

「次に帰る時は雪ノ下も由比ヶ浜もちゃんと呼ぶからな」

「いいのかしら…」

「比企谷がいいなら、私はいいよ」

「我もな」

 

蟠りもなくなり、帰る時間となる。

「ほら、お姉ちゃんたちとオヂサンにバイバイは?」

「バイバイ、お姉ちゃん、オヂチャン」

「我、オヂチャン?」

「比企谷君、貴方格好良くなったわね」

「ヒッキー、格好良くなったよ」

「そうか?まぁ、お前らも美人に…イテテテッ!足を踏むなよ」

「八幡?」

「だから、笑顔が怖いよ、彩加」

「彩加さん、この男は天然ジゴロだから気を付けなさいね」

「なんでだよ」

「ヒッキー、自覚して」

「雪ノ下と由比ヶ浜の言う通りだぞ」

「川崎まで…」

「チッ!リア充爆発しろ」

「聞こえてるぞ、材木座」

「八幡、そろそろ」

「名残惜しいけど、飛行機の時間もあるから。お前ら、またな」

「えぇ、また」

「ヒッキー、またね」

「次は京華にも会ってあげてね」

「また会おう、友よ」

 

帰りの飛行機の中、彩加が声をかける。

「八幡、良かったね」

「ん?なにがだ?」

「雪ノ下さんと由比ヶ浜さんのこと、気になってたんでしょ?」

「彩加には隠せないか。そうだな、俺が心を許していた数少ないヤツらだからな。本当のことを話せずにアイツらの前から姿を消してしまったから、申し訳なくてな」

「そっか…。ねぇ、どちらかから告白されてたらどうした?」

「さあな、アイツらにそんな気持ちは無かっただろうし、もし告白されても逃げてただろな」

「朴念仁、鈍感、八幡」

「俺の名前を同列にしないで。小町か?小町から、その罵倒を教えてもらったのか?」

「うん。でも、なんであの時、僕を受け入れてくれたの?」

「なんでだろうな?」

「もう…」

「理由なんて必要か?俺と彩加が愛しあってる、充分だろ」

「そうだね。…ねぇ、八幡」

「ん?」

「もう一人…、子供が欲しいな」

「俺も考えてた」

「じゃあ、帰ったら…」

「そうだな」

 

 

 




―――――――――――――――――

葉山グループのその後?知りません。
戸塚が可愛いければ、いいんです(笑)

戸塚ルート完結です。
お付き合い、ありがとうございました。
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