ただのお芝居だったのに【完結】   作:Ugly

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ただのお芝居だったのに4

 

視点:苗木誠

 

分かってはいた。けど、大分キツい。

 

撮影2日目にしてボクは挫けそうだった。

 

 

皆とは舞園さん以外初対面を装わないといけないし、空気もギスギスさせなきゃいけないから気まずい。

 

 

けど、撮影自体はそれほど難しくない。

 

不二咲クンが言うには、何部屋かの監視カメラの映像を時間を調整しつつ切ったり繋いだりして放送するらしい。

ボク達にテレビ局ほどの技術はないから、その方がリアルなんだって。

 

 

大和田「なあ石丸。」

 

石丸「む?どうかしたかね?」

 

大和田「あっちの電球切れてるからあとで直してーんだが、電球の代えってどこに__」

 

桑田「ちょっと待て普通に会話すんな水と油。オメーらは朝日奈と大神みてーにハナから仲良いわけじゃねーんだぞ。」

 

不二咲「そっか、桑田君が死んでからだったねぇ。」

 

桑田「うんまぁそーなんだけど言い方ってもんがあるだろ不二咲。」

 

舞園「…不二咲君って良い人だけどあんまりデリカシーないですよね。」

 

不二咲「ふぇ!?そうなのぉ…?」

 

大和田「…オメーは心が強ぇよ。」

 

石丸「神経が図太いとも言うな!」

 

大和田「おいバッサリ言うなや。」

 

不二咲「うぅ…例えばどんなところ、かな?」

 

石丸「自分と同じ容姿のアルターエゴに『ご主人タマ』と呼ばせる胆力は驚いたぞ。」

 

桑田「しかもシナリオの『山田がアルエゴに一目惚れする』ってトコ、普通に受け入れたんだろ?」

 

大和田「…オメーは強ぇよ。」

 

不二咲「う…」

 

 

…だからこういう会話しているところはカットして別の部屋を撮しておく。

あと桑田クン舞園さん、不二咲「さん」だからね、まだ。

 

 

 

 

 

そうはいっても、今みたいに和めることはほとんどない。

圧迫感と緊張は作り物とは思えないほどだ。

…疲れる。

 

 

もし本当に面識の無いままここに閉じ込められていたら、ボクは人を殺していたかもしれない。

 

舞園「苗木君、どうかしましたか…?」

 

舞園さんが不安そうな顔をしてボクを見る。本当にこれは演技だよね?

 

苗木「ううん、なんでもないよ。」

 

シナリオのボクは舞園さんを唯一の味方だと思っていたのかもしれない。

 

だって以前から顔見知りだったのは舞園さんだけだったから。

今、優しくしてくれるのは舞園さんだけだったから。

 

 

思えば、二年と少し前。教室で初めて会った皆は冷たい目をしていた。

 

あからさまに不審そうだったり、馬鹿にしていたり、表面上は仲良くしようとしていたり。

 

それを、長い時間と色んな出来事を経て、これ以上ないほどの仲間になったんだ。けど、シナリオには時間も行事も無い。

 

撮影中の皆の目が、初めて会った時の目と似ていて、懐かしいと思うと同時に、背筋が寒くなった。

 

 

だからボクは、夕方の放送を心待ちにしている。

 

ピーンポーンパーンポーン。

 

モノクマ『…はい、カット!全員、今日の撮影は終了です!機材の充電したらアタシは食堂行くねー。』

 

苗木「…やっとかぁ。」

 

舞園「お疲れ様です。」

 

苗木「舞園さんもお疲れ様。」

 

夕方になると今みたいに放送がかかって、次の日までは普段通りに過ごして良いことになっている。たまにモニタールームの食料がなくなって江ノ島さんが出てくることもある。

 

 

 

そして食堂に集まるのは普段通りだ。とはいっても、撮影期間中の集合は任意の意味合いが強い。

演技の緊張感を維持するためだ。現に戦刃さん(江ノ島さん変装ver)が来ていない。

 

江ノ島「あ、お姉ちゃんは来ないって。素に戻ったら集中力切れちゃうらしいから。なんか報告あるならモノクマで伝えとくよ?」

 

十神「ふん、なら特に気にしなくていいな。」

 

 

石丸「では報告会を始める!」

 

朝日奈「石丸、今カメラ回ってないからそれ要らないよ。」

 

大和田「…あ、そういや大神が演技で殴ったバリケードが壊れてたわ。」

 

大神「すまぬ…」

 

大和田「いや、オメーが殴って壊れるならそのうち壊れてたってことだ、気にすんな。それよか明日の朝直すから、空き教室はカメラ止めてろよな。」

 

江ノ島「はいはいリョーカイ。」

 

 

不二咲「あ、そういえば、初日の映像ちょっとだけできたよぉ。大和田君が苗木君殴ってるシーン。」

 

なんでそこだけ?

 

疑問に思いつつも、不二咲クンのいじるノートパソコンを皆で見る。

 

山田「おお、これは確かに殴っているように見えますな。」

 

霧切「凄いわね。」

 

あ、ホントだ痛そう。

 

もちろん、実際に殴られたわけじゃない。

 

大和田クンがボクの腹に拳を置いて、勢いよく引く。それを逆再生すると、腹パンしているように見える、それだけの話だ。

 

でも不二咲クンが細工したのか監視カメラの位置が良いのか、本当に殴られているように見える。

 

大和田「…冤罪だ。」

 

腐川「あんた冤罪なんて言葉よく知ってたわね…」

 

 

 

舞園「江ノ島さん、農園とか畜産とかってモノクマで世話しているんですか?」

 

江ノ島「うん。え、なんか間違ってた?人肌の温もりがないとダメ?」

 

舞園「いえ、気になっていただけなので大丈夫です。」

 

 

 

セレス「……」

 

江ノ島「おつー」

 

セレス「お疲れ様です。モニターの管理は大変ですか?」

 

江ノ島「んー、まぁまぁかな。映画の監督になった気分でそれなりに楽しいよ。…あーでも1人だとやっぱ暇なんだよねー。早く舞園死んでモニタールーム来ないかなぁ。」

 

セレス「動機ビデオを配った翌日ですから、明後日ですわね。」

 

江ノ島「なげーなぁ。お姉ちゃんもいないし…てかセレス、あんたホント暇そうね。」

 

セレス「そうでしょうか?」

 

江ノ島「だって監視カメラの映像ずっと紅茶啜ってるし。」

 

セレス「まぁ台詞以外で特にやることないですし…私は積極的に動き回るタイプではありませんもの。」

 

江ノ島「あー、確かに。」

 

 

 

十神「おい山田。」

 

山田「はいなんでしょ。」

 

十神「台本には『十神は基本単独行動』と書いてあるが。」

 

山田「何か問題が?」

 

十神「最初辺りの探索は全員、一人か小グループを作ってそれぞれ探索している。つまり俺だけが孤立していることにはなっていないんだ。台本にわざわざ表記するまでもないんじゃないのか?」

 

山田「あー、まぁそこは気の持ちようですな。十神白夜殿は最初から協力する気がないという意味です。」

 

十神「そうか。しかし一階だけだと狭くて困るな。人がいない場所の方が少ない。」

 

山田「ほーん、頑張ってくだしあ。」

 

十神「…お前は本当に絶妙に人を苛つかせるのが上手いな。」

 

山田「そういう十神白夜殿はずいぶん丸くなりましたなぁ。」

 

十神「…丸々しているお前に言われる筋合いはない。」

 

山田「ひどっ」

 

 

 

 

葉隠「♪~♪♪~♪」

 

朝日奈「あ、葉隠が鼻唄うたってる!絶対ロクなことじゃないよ!」

 

大神「機嫌が良いな…」

 

葉隠「別に何も企んでねーぞ!これ磨いてただけだ!ほら見るべ!」

 

朝日奈「なにそれガラス玉?」

 

葉隠「おう、正真正銘、やっすいガラス玉だ。」

 

大神「なぜそれを大切そうに…」

 

葉隠「いやー、これ最終的には桑田っちが投げて粉微塵になる運命なんだが、演技のためにずっと持ってたら愛着湧いちまってなぁ。」

 

朝日奈「ガラスに愛着とかやっぱヤバいじゃん…」

 

大神「…ロクなことではなかったな。」

 

葉隠「ええ?そんなドン引きせんでも…うわ2人が物理的に離れてく…」

 

 

 

 

 

桑田「れおんお兄さんとー」

 

舞園「さやかお姉さんのー」

 

桑田「メンタルヘルスケアのコーナー!!」

 

苗木「うわ何か始まった。」

 

桑田「このコーナーは演技疲れの苗木を物理的に慰めようという暇潰しだ!」

 

苗木「名指しされたし暇潰しって言っちゃってるよ…」

 

舞園「桑田君、持ってるその人形ってライオンですか?」

 

桑田「おう、クマだけよりはいーんじゃねと思って。」

 

江ノ島「あ?」

 

大和田「江ノクマが怒ってるぞ。」

 

山田「江ノクマとは。」

 

 

桑田「っつーわけで苗木!なんかしてほしいことあるか?」

 

苗木「うーん、急に言われてもなぁ…あ、キャッチボールでもする?」

 

桑田「え、俺はいーけどそれ俺のメンタルヘルスケアじゃね?」

 

苗木「もともと桑田クンの暇潰しでしょ…ボクも久しぶりにちゃんと体動かしたいから、体育館行こうよ。」

 

桑田「…ま、いーか。苗木相手ならまぁ全力投球いけるかな。」

 

苗木「え。」

 

大和田「お、ガチのやつやんのか?じゃあ俺も混ぜろや。」

 

石丸「僕も行きたいぞ!」

 

不二咲「え、えっと僕も…えへへ。」

 

桑田「…よし、ここまできたら行くぞ十神山田葉隠ぇ!」

 

十神「ふん。」

 

山田「ええぇぇ拙者は遠慮したく…あっこれ断れないパティーン。」

 

葉隠「なんか賭けるならやるべ!」

 

桑田「うるせえやすひろぶつけんぞ!」

 

セレス「ぁあ?」

 

 

霧切「というか言いだしっぺの片割れである貴女は行かなくていいの?さやかお姉さん。」

 

舞園「?いえ、私は桑田君のノリに即興で合わせただけですよ?」

 

朝日奈「芸能人ってすごいんだねー…」

 

腐川「どうやったら即興であんな風になるのよ…」

 

大神「うむ、素晴らしい臨機応変だ…」

 

 

そのあとキャッチボールどころかバレー、バスケ、フットサルと屋内球技のフルコースをするはめになった。

ボクは若干筋肉痛になった…。

 

 

 

 

翌日。

 

舞園「苗木君、大丈夫ですか?」

 

苗木「う、うん、大丈夫…ちょっと筋肉が痛いだけ…」

 

 

ピーンポーンポーンパーンポーン。

 

モノクマ『オマエラ、至急視聴覚室に集合してください!』

 

 

…動機ビデオだ。

 

 

 

普通に集合してビデオを観る。

 

 

内容の元は、実際にボクの家から送られてきたホームビデオだ。

不二咲クンが加工したって言ってたけど…

 

というか劇に本物のビデオは要らなかったから、ボク加工後の中身観てないんだよね。ちょっと楽しみ。

 

…うん、途中までは普通のビデオ。入学してすぐに送られてきたもので、「仲良し家族かよ」って、傍で観てた桑田クンにからかわれたっけ__

 

ザザッと混じるノイズ。砂嵐。

 

苗木「っ…」

 

ズタズタに裂かれたソファ。ぼろぼろの壁紙。

薄暗くて、父さんも母さんもこまるも、誰も映っていない__

 

苗木「な、なんだよこれっ…」

 

演技に本音が混ざって、自然と声が漏れた。皆も動揺が大きいのか、ざわめいて、

 

舞園「いやぁぁああ!!」

 

悲鳴に意識を引っ張られる。そうだ、まだやることが沢山あるんだから。

 

苗木「っ舞園さん!」

 

しっかりしなきゃ。

 

苗木「ボクが、ここから出してあげるから!」

 

舞園「苗木君…」

 

__思ってもいないことを。

 

そう言ったのは舞園さんの眼か。ボクの心か。

 

舞園「うわぁぁぁあん!」

 

胸に飛び込んでくる舞園さんを抱きとめて、その眼と、本気で引き裂かれそうなボクの心をふさいだ。

 

演技を終えた安堵は、なかった。

 

父さん、母さん、こまる。元気かな。どこにいるんだろう。

 

 

 

 

殺人が起こる夜。

 

今、監視カメラに映っているのは舞園さんと桑田クンの二人だけだ。録画中のランプが二人の映る画面だけを表示している。

 

ボク達14人は、モニタールームで画面越しに2人を見守る。実況中継をみてる気分だ。

ちなみに、殺人がある夜の映像は映さないらしい。

 

江ノ島「だって本人撮しても関係ない奴撮してもネタバレになんじゃん。メンドイし。ま、劇で被害者加害者はバレてんですけどねー。」

 

確かに。

 

 

苗木「舞園さん、桑田クン、頑張って!」

 

届かないけど、エールを送る。皆も固唾を飲んで観ていた。

 

舞園さんはあらかじめ持ってきた包丁を握りしめ、大丈夫、大丈夫と呟いていた。そんなことも知らない桑田クンは浮かれている。

 

もちろん、包丁は刺したら刃が引っ込む演技用だし舞園さんの服には血糊がたっぷり仕込まれてる。

それに桑田クンは何が起こるか全部知ってる。けど、この雰囲気はまさに本物だった。

 

 

指定の時間。桑田クンが舞園さんの__もといボクの部屋に入る。舞園さんは後ろ手にドアを閉めて、

 

 

殺しあいが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

血に塗れた手がタイルを滑る。ずるり、と壁にへたりこんだ。

 

舞園「ぐっ、う、くわ、た…」

 

せめて。せめて証拠を残そうと、腕を動かす。

 

桑田、くわた、kuwata。

 

あまりに直接的だと万が一彼が戻ってきた時に消されるのではないか。

 

そう考える死に際の脳はあまりにも活発に働いて、

 

 

 

何かを、思い出した。

 

霞のように僅かな記憶は声になって零れ落ちる。

 

舞園「……れおん、くん…」

 

 

LEON、鮮やかな血文字が迷いなく浮かぶ。

 

書き終えた手が脱力した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この一球。これを当てれば証拠は全て消える。

 

これを外せば、死ぬ。

 

舞園さやかの死に様が、鮮明に蘇った。

血走った目、自分に向けられた殺意が再び桑田を包み込む。

 

纏わりつくのは、憎悪だ。

 

桑田「げっ、ぇええ…っ」

 

迫りあがる吐き気を堪えきれず、男子トイレに駆け込んだ。吐いても吐いても、気分は晴れない。

 

桑田「っはぁ、はー、はー…あぁ…」

 

鬱々と、焼却炉の前に戻る。

当てなければ。勝たなければ。日常に戻らなければ。

 

ガラス球を握る手が震える。

 

 

桑田「俺が、何したって、ゆーんだよ…っ」

 

 

ピッチャー、第一球、投げました。

 

 

 

 

 

江ノ島「___カット!終了!!」

 

朝日奈「お疲れええぇぇぇ!」

 

苗木「いえぇぇぇぇい!」

 

うん、テンション上げていこう。いつも盛り上げ役の2人がヤバい。

 

舞園「お疲れ様、です…」

 

桑田「…ぉおぉ…」

 

大和田「おい大丈夫か?」

 

不二咲「2人とも、顔色が…」

 

桑田「あぁ…口ゆすがせてくれ。つかもう今日は寝るわ。」

 

舞園「着替えたいです…」

 

石丸「2人は解散だな、おやすみなさいだ。」

 

いつもよりフラフラした足どりで、2人は自室に戻っていく。

 

見送ったボクは、疲れか安堵かもわからない息を吐いた。皆そんな感じだ。

 

 

腐川「流石に舞園はプロね…」

 

セレス「桑田君も名演でしたわね。もっとも、あれは演じたというより、」

 

十神「__呑まれてた、な。」

 

 

そう、呑まれてた。ボク達も2人も。

撮影としては、それでいいんだろう。まるで本物のような緊張感。それがいいんだろう。

2人の精神を考慮しないなら。

 

山田「桑田怜恩殿、あれ結構キてますな。」

 

葉隠「多分、演技じゃなくてガチで吐いてたもんな。」

 

苗木「一応聞くけど、トイレにカメラついてないよね?」

 

江ノ島「ないない。まぁ男子トイレに駆け込んだ時点でバレるだろうけど。」

 

朝日奈「舞園ちゃんも具合悪そうだったし…」

 

大神「2人の顔色が悪いのは、特殊メイクを施したからと聞いたが…それだけではあるまい。」

 

 

江ノ島「あー…これ明日厳しいかもなぁ。」

 

戦刃「もー休みでいんじゃね?」

 

霧切「…この後、舞園さんは死体役、桑田君は私達と怒鳴りあい…その間に戦刃さんも死ぬことを考えると、明日は無理ね。」

 

江ノ島「んん、そーね。次の撮影の前にやりたいことあるし、明日は休みにすっか。」

 

苗木「やりたいこと?何かするなら手伝うよ。」

 

江ノ島「いやいーよ。大道具の最終チェックとかだし。それに苗木、筋力ねーじゃん。元々大和田に手伝ってもらう予定だったから。」

 

苗木「ご、ごめん…」

 

何故か謝ってしまった。

 

 

 

 

翌朝、桑田クンも舞園さんも、けろっとして朝食を食べにきた。寝たら立ち直ったらしい。凄いなぁ…

 

撮影がないなら皆、基本的には以前の仕事をする。とはいえ桑田クンと舞園さんは完全に休憩だ。

 

本人がいくら大丈夫だって言っても、心配だから。休んでてください。

 

十神「おい苗木。」

 

苗木「ん、どうしたの?」

 

十神「外回りに行くぞ。」

 

苗木「え?石丸クンと大和田クンは?」

 

てっきり桑田クンがいなくてもあの2人で行くものかと。それがなんで十神クンとボク?

 

十神「大和田は江ノ島の用で連れ回されてる。1人じゃ足りないらしく、大神も石丸も連れていかれた。台本の関係で腐川もな。」

 

なるほど外回り組が全滅したのか。

 

苗木「じゃあボク達2人で行こうか。バイクで行くの?」

 

十神「お前、俺にバイクの運転が出来ると思っているのか?」

 

苗木「ううん。歩きかな。」

 

十神「いや、自転車だ。」

 

苗木「…ん?ボクが君を乗せて漕ぐの?」

 

5分くらいならいける気がするけど…5分は見回りじゃないね。

 

十神「無理だろう…自転車を2台、以前から用意させていた。大して見回るわけでもないが、歩きよりマシだ。」

 

おお。それなら多分大丈夫。

 

自転車を取りに行こうと車庫に行くと、そこにあったのは2台のママチャリだった。

 

錆び1つないそれに跨がって漕ぎだす。自転車なんて久しぶりに乗ったけど、案外簡単に乗り方を思い出すもんだな。

 

苗木「というか十神クン、自転車乗れたんだね。」

 

十神「サイクリングの経験はある。得意というわけでもないがな。」

 

苗木「へぇ…外回りの仕事って何するんだっけ?」

 

十神「いつもの奴らは遠くまで行くそうだが…自転車じゃ無理がある。ここ数日は誰も外を見ていないから、変わったところを探すだけで良いだろう。」

 

ふーん。

 

でも特に変わったところはなかった。

 

相変わらずの荒廃した街並み。

 

ボク達の撮影している映像はまだ放映していないから、絶望の奴らの動きも変化はない。

調達するものも無いし、すぐシェルターに戻ってきた。

 

 

苗木「ただいまー。」

 

十神「戻った。」

 

不二咲「おかえり。」

 

戦刃「おかー。」

 

あ、戦刃さん今日も江ノ島さん状態なんだ。

 

十神「じゃあ俺は大和田のところに行ってくる。」

 

苗木「あれ、何か用事?」

 

十神「…誰の指示で俺が外回りしたと思っているんだ?」

 

あ、大和田クンに頼まれたのか。じゃあ今から報告に行くのかな。

 

苗木「ボクも行こうか?」

 

十神「必要ない。」

 

ばっさりと切り捨てて十神クンは去っていった…

 

 

それから舞園さんやセレスさんの手伝いをしていたら1日が終わった。

 

 

 

 

翌朝。今日は舞園さんの死体発見の日で、起きた瞬間から撮影が始まる。

 

 

苗木「舞園さんがいないね。」

 

食堂を見渡して言えば、一気に緊張感が走る。

 

真正面で会話してた石丸クンと朝日奈さんの顔色がサッと変わる。演技が苦手な2人は無事に演じられるかどうか心配してるんだろうけど、逆にそのぎこちなさがリアルだ。

 

皆に一言声をかけて食堂から出る。

 

このあとボクは部屋のシャワールームで舞園さんの死体を見つけ、絶叫して気絶する__

 

うーん、うまくできるかなぁ。

 

だって実際には舞園さんは死んだふりをしてるだけだし、ボクの後から皆ドタドタ入ってくるんだから悲しみに浸る演技もおかしいよね。

 

 

ぐずぐず考えながら部屋に入る。

 

苗木「舞園さん…?」

 

呼びかけて、シャワールームを覗き込む。

 

 

 

そこでボクを一番最初に出迎えたもの。

 

 

それは、変わり果てた姿の舞園ではなかった。

 

 

 

__強烈な、血の匂い。

 

 

ぐわり、と頭を掴まれたような衝撃。理性よりも本能が頭を占拠して、舞園さんの死を受け入れさせられる。

 

苗木「ま…いぞの、さん……」

 

 

嘘だ。

 

これはフィクションのはずだ。

 

理性ではわかっているのに、身体はそれを「死」として受け取ってしまった。

 

 

嗅覚は五感の1つであり、思考とダイレクトに結び付く。そう言ったのは誰だっただろう。

 

 

背後から足音。次いで、息をのむ声、悲鳴。

 

苗木「ぅわあぁぁぁあぁぁああ!!」

 

全ての音がかき消されて、そして何も分からなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

…保健室だ。部屋にはボク以外誰もいない。

 

苗木「…ひどいよ江ノ島さん!なんで血のこと言ってくれなかったの!」

 

意識を取り戻したボクはとりあえず天井に向かって喚いた。

 

モノクマ『だぁって苗木達の演技に真実味が欲しかったんだもん。血の匂いってなんか、生々しいでしょ?』

 

生々しい、まったくその通りだ。演技じゃなく普通に気絶してしまった。

 

苗木「生々しすぎるよ!絶対ボクの他にも倒れた人いるでしょ!」

 

モノクマ『まぁ、何人か。』

 

苗木「…次からはちゃんと言ってよ?言われてもキツいけど。」

 

モノクマ『てゆーか次以降もじゃんじゃん使うしー。』

 

苗木「…あの血、本物?」

 

モノクマ『うん、お姉ちゃんと大和田に頼んで、絶望の輩からちょーっとね。』

 

ちょっとの量じゃなかった気が…

 

モノクマ『ほらそろそろ体育館行ってよ、皆には君の看病を押してまで配置についてもらってるんだから。』

 

苗木「配置?」

 

モノクマ『お姉ちゃんのオシオキでーす。』

 

苗木「あぁ…」

 

ボクの看病のために1人くらい置いといてもよかったんじゃないかな。

 

まぁいいけど。

 

 

 

 

朝日奈「あ、苗木!」

 

不二咲「大丈夫…?」

 

苗木「うん、平気だよ。ありがとう。」

 

体育館にはボク以外全員が既に集まっていた。中にはまだ青い顔の人もちらほら…江ノ島さん、やりすぎだよ。

 

 

そんなことお構い無しにシナリオは進んでいく。

そして、

 

モノクマ『助けて!グングニルの槍ー!』

 

槍が、戦刃さん__の、周囲に突き刺さった。

 

あ、戦刃さんに踏まれるモノクマが固定されてたのって、万が一にも戦刃さんに刺さらないためか。

 

モノクマ『オッケー、いったんカット!』

 

この言葉でまず2人、動いた。

 

大和田クンがどこからか短い槍を持ってきて戦刃さんの足元の地面に刺す。大神さんが槍の先端が無い棒を戦刃さんに渡した。

 

戦刃さんは胸元を少し破いて棒を当てる。糊かなんかついていたようで、戦刃さんのお腹にぴったりくっついた。

 

そのあと山田クンが血糊をふりかけていく。

 

これで江ノ島さん(偽)を殺す場面が出来上がったわけだ。

 

 

モノクマ『じゃ再開するよ。レディ__アクション!』

 

 

 

 

 

 

 

戦刃「…な、んで…」

 

呆然と、突き刺さる槍を見つめる。痛みと、何より裏切られたという思いが、一瞬の延命をしていた。

 

もはや頭を動かす力も奪われ、眼だけをきょろきょろと動かす。

 

誰1人、助けにきてはくれなかった。

 

わかっている。近づいたからといって治療が出来るわけでもないことぐらい。

 

でも、もし。もし記憶を奪われる前なら、皆は駆け寄って来て、せめて槍を抜こうとするのではないか。

必死に呼びかけるのではないか。

哀悼の涙を流すのではないか。

 

彼らのかつての優しさが冷たい牙になって襲いかかる。それは充分にトドメとなり得た。

 

 

__この光景を、絶望を、本当に心の底から望んでいたの?

ねぇ、盾子ちゃん。呼びかけた声は届かなかった。

 

 

 

 

 

戦刃さんを置いて体育館を出る。戦刃さんは今頃、モニタールームに移動しているんだろう。

 

この後は舞園さん関連の調査と学級裁判だ。

 

今のところボクは加害者候補筆頭だ。針のような視線が痛い…十神クン、よくそんなゴミを見るような目できるね。

 

霧切さんの手助け、というよりヒントもあってなんとか証拠を集めきる。

 

 

エレベーターに乗ってから裁判所__いや、本物の裁判所と区別をつけるため裁判場と呼んでいる__に向かう。

 

 

苗木「裁判場とかそこへのエレベーターっていつからあったんだろう。」

 

大和田「劇で使う小道具も裁判場から借りたしな…結構前からあんじゃねえか?」

 

学校の施設にこんなものがあるなんて、超高校級の弁護士とかいたのかな。

 

 

 

桑田「あー…」

 

桑田クンがさっきから呻いている。緊張しているらしい。

 

霧切「大丈夫?」

 

桑田「まぁ…駄目だったらゴメン。」

 

霧切「気をしっかり持つように、といっても難しいわね。」

 

朝日奈「どーせ最初は苗木に集中攻撃だから、そこで緊張解せばいーよ!」

 

苗木「え。」

 

桑田「確かに…」

 

大神「うむ、茶々を入れる程度でな…」

 

セレス「冷や汗かいている苗木君を高みの見物していれば良いのですわ。」

 

苗木「ひきあいにボク出すのやめない?なんかすごい惨めな役みたいじゃん。」

 

霧切「主人公なんて大概惨めなものよ。」

 

反論の余地も無い…

 

 

 

重厚な扉を開いた先には裁判場。ボクがここに入るのは、劇のために証人台を運び出したとき以来だ。

 

シェルター化してから入ったのは内回り組の他に、シナリオの下見とか大道具の準備した人だけじゃないかな。

 

改めて見ると、広い。

 

朝日奈さんと葉隠クンがはしゃいで駆け回るくらい広い。うーん緊張感…

とりあえずはしゃぐのはその辺にして、自分の名札がついた証人台につこうね。

 

 

 

山田「石丸清多夏殿の両側が遺影な件について。」

 

石丸「うっ…」

 

十神「…なぜ2人しか減ってないのにその2人に挟まれるんだか…」

 

腐川「…もはや奇跡の域ね。」

 

苗木「席順はクジで決めたもんね…」

 

まぁそのうち遺影が増えて気にならなくなるだろうし…うん。頑張れ。

 

モノクマ『はいはいそろそろ撮影するよー。』

 

あ、待たせてごめん。

 

モノクマ『レディ__アクション!さて、まずは事件のまとめからだね__』

 

 

 

 

 

 

 

 

桑田「いやだぁぁぁああああ!」

 

逃げる桑田クンの首(実際はお腹にも)に拘束具がはめられ、引きずられていく。それを追ってボク達も裁判場を出た。

 

暗い廊下を抜けた先には、拘束された桑田クン、と同じ服装や髪型をしたマネキンがあった。

本物の桑田クンはどこかで抜け出したんだろう。

 

ボク達はマネキンの千本ノックを眺めた。

 

ところどころに血糊が仕込んであるそれは時折血を噴き出す。

ピッチングマシーンの凄まじい勢いや音、風圧に何も言えない。

 

頬を撫でる機械的な風が、ぬるい。

 

 

これがもし本当に桑田クンだったら__

ぞわり、と鳥肌が立つ。想像しただけでこれだ。

 

ピッチングマシーンが止まる頃には、マネキンは血に彩られ、変な凹凸のついた人型の物体に成り果てた。多分再利用は無理だ。

 

耳を打つ音がまだ響いてるような気がしながら、食堂に戻った。

 

 

 

カット、とカチンコを鳴らす音。

 

舞園「お疲れ様です!」

 

桑田「おつー。」

 

江ノ島「第1部、完!」

 

戦刃「…ん。」

 

 

苗木「あー…終わったぁ。」

 

不二咲「疲れたねぇ。」

 

朝日奈「もー学級裁判やりたくないよー。頭使いたくないよー。」

 

腐川「台本あるんだから台本通りやればいいでしょ…」

 

朝日奈「セリフ言うタイミングに頭使うの!」

 

大和田「確かにな。」

 

石丸「?皆言いたい時に言いたい放題ではなかったか?」

 

十神「まあノンストップだしな。俺も適当に喋っていたんだが…朝日奈は証人だったんだ、無責任なことはそうそう言えんだろう。」

 

山田「ですがあの手探り感、悪くありませんでしたぞ。」

 

葉隠「え、そーなんか?やっぱ最初の慣れてない感が出てたか?」

 

セレス「それもありますが、下手に発言して疑われたくないという気持ちが滲み出ていましたもの。」

 

大神「何はともあれ、しばらくは何もないな。」

 

霧切「そうね、明日から日常パートだから。…その前に、苗木君の部屋とかオシオキ道具の片付けがあるのだけれど。」

 

あ、忘れてた。

 

 

 

桑田「んっんん。あ゛ー…んー」

 

舞園「どうかしましたか?」

 

桑田「叫びすぎてちょっと喉が…」

 

江ノ島「あ、のど飴あるよ?アタシが放送するときに舐めてるやつ。」

 

桑田「あー江ノ島からやけにミカンの匂いすると思ってたら、これか。サンキュ。」

 

 

苗木「そういえば、桑田クン達はこれからモニタールームにいるの?」

 

桑田「おぅ、裏方だな。今回は無理だったけど、次から死体の片付けは裁判中に俺らでやるぜ。」

 

舞園「モノクマの操作を江ノ島さんと変わることもあるかもしれませんね。」

 

戦刃「…私はカメラの切り替えとかだけど。」

 

朝日奈「じゃあこれから江ノクマとさやクマと桑クマが出るの?」

 

江ノ島「そーだね。あ、何クマか当てるゲームとか面白そうじゃん?」

 

十神「頼むから撮影外でやれ…」

 

苗木「はは…」

 

何はともあれ。滑り出しは順調に終わった。

 

 

 

 

夜時間。ボクは自室で気持ちの整理をつけていた。

 

 

舞園さんの死体。血の匂い。

 

戦刃さんの、すがるような眼。

 

裁判中の皆の言動。

 

桑田クンの死。

 

 

 

深く考えろ。

 

もし本当に、舞園さんに利用されて、ボクは舞園さんに怒りを抱かずにいられるだろうか。

 

皆から疑いの目を向けられて、

 

桑田クンに怒鳴られて、

 

なお正気を保てるだろうか。

 

…。

 

 

不思議と、ボクに彼らへの恨みはなかった。

 

それはボクが聖人だからとかではない。ボクは聖人じゃないし。

 

諦めて受け入れたわけでもない。むしろ逆だ。

 

ボクは多分、受け入れられないものから目をそらしているんだ。

 

 

舞園さんは優しかった。

支えて、励まして、弱さを見せてくれた。

だからボクは前を見ていられたんだ。守ってやるなんて息巻いていられたんだ。

 

桑田クンにとって彼女は悪だろう。でも、ボクにとって彼女は善だった。

 

だからこそ、ボクは彼女に利用されたと信じることが出来ない。

 

 

彼女には被害者でいてほしい。

その方が、ボクの心を守るのに都合が良い。

 

 

 

では糾弾した皆は、桑田クンは悪か。

 

これも違う。桑田クンの挙動や、なにより彼の凄惨な死が強く否定する。

 

桑田「お前らだって、1歩間違えばこうなってたんだ!」

 

本当にその通り。桑田クンの立場には__ボクがなっている可能性が高かった。

 

 

ボクは桑田クンを他人事には感じられなかったんだ。むしろボク自身を重ね合わせていた。

 

だから桑田クンを悪人と断じることも出来ない。

 

 

疑われたことに対しても一緒だ。

桑田クンを疑って処刑したボクが疑われたことを責める権利なんてないし、疑う気持ちはよく分かるんだから。

 

 

ならボクは誰に怒りをぶつけるのか。

残ったのはもう黒幕しかいなかった。

 

舞園さんの死の責任を全て黒幕に押し付けた。

 

 

だからボクは最終的に黒幕「だけ」を憎む人間になるんだ。

 

 

…腐川さんと山田クンはすごい。

 

多分、ボクがこの考えに至ることを想定した上でこのシナリオを書いて、ボクを主人公にしたんだ。

 

盲目的にゴールを目指すことを期待されている。

 

 

 

なら、期待には応えたい。

 

皆の遺志を継ぐ主人公を、演じきってみせる。

 

 

…とりあえず、今日はもう寝よう。

望まれた明日にむけて。

 

 

→以下キャラ設定

 

 

 

全員が2年間共に過ごしたクラスメイト。

 

苗木誠

全員のサポート役且つ雑用係

なんだかんだで皆を纏める鶴の一声的存在

主人公役のため一番疲れる

 

霧切響子

情報解析、捜索担当

汚染物質の解析やマッピングを行う

父の行方が心配

フル出演のため大変

 

十神白夜

情報解析担当だがわりと何でもこなす

性格は少し良くなったというか良くならざるを得なくなった

しかしまた悪くなる性格(演技)

 

腐川冬子

(十神の)雑用係

苗木に次いで万能

体力が尽きたらジェノサイダーに演技を投げる気でいる

 

葉隠康比呂

サポート且つカウンセリング担当

正直皆と一緒にあたふたしてるだけのお仕事

フル出演且つ和ませ役という荷の重い役

 

朝日奈葵

内回り、護衛担当

施設内の点検や侵入者の兆候がないか探す

ドーナツ狂

プールが開いたら好きなだけ泳いで良いというお達しに狂喜

 

大神さくら

内回り、護衛担当

だが施設内の人間の護衛の方が多い

彼女の容姿に違和感を持ち直さねばならない苦行

 

舞園さやか

サポート、農業、畜産、(公報)担当

公報の仕事は今はない

現役アイドルとして振る舞う準備は万全

早々に退場して裏方のサポートに入る

 

セレス

農業、畜産、娯楽担当

だいたい畑か娯楽室にいる

気が向いたら一緒に遊んでくれる

ミルクティーを飲む生活に変わりはない

 

山田一二三

農業、畜産、(セレスの)雑用係

セレスに従う形で仕事している

お人好しでよくイジられる

油芋を部屋にストック中

 

不二咲千尋

情報全般係

パソコン関係で困ったら彼に聞け

情報戦の最大兵器なので外出禁止

早々に退場して裏方のサポート、編集作業に入る

 

大和田紋土

外回り担当

改造バイクに乗って荒れ果てた世界を探索

早々に退場し、大道具の移動や死体の掃除など裏方の作業に入る

 

 

石丸清多夏

外回り担当

バイクに乗るときはヘルメット着用

最も演技力の要る役だが前半は号令係

 

桑田怜恩

外回り担当

バイクに乗せられ探索し続ける

早々に退場し、裏方の作業とモノクマの操作を一部受け持つ

 

戦刃むくろ

(江ノ島、不二咲の)護衛担当

他の護衛は朝日奈と大神に任せ、江ノ島と不二咲に張り付く係

江ノ島の双子の姉

早々に退場し、江ノ島のサポート且つ監視役

 

江ノ島盾子

モニター、カウンセリング担当

最も命を狙われやすいので外出禁止

死なないのが役目

モニター、カメラの管理、モノクマの操作など序盤は全て彼女の仕事

終盤にさしかかってからが出番

 

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