ただのお芝居だったのに【完結】   作:Ugly

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ただのお芝居だったのに7

 

 

視点:苗木誠

 

 

 

モノクマ『オマエラ、おはようございます!!』

 

いつもより少しだけ、溌剌とした声。

 

 

 

 

現在、撮影は一時ストップ中。

 

 

十神「巻いていくぞ。」

 

疲れきった十神クンの声に、ボク達はただ頷いた。

 

 

大神さくらは内通者である。

その事実から物語は進展する。

 

地上最強と謳われる大神さんの、その心情と処遇。

 

恐怖と不信感から暴走する葉隠クンと、絶対的に大神さんを信頼しようとする朝日奈さんの衝突。

 

…と、ここで問題が生じる。

 

葉隠クンと朝日奈さんが共演する、と、いうことは。

 

この2人の独壇場が形成されるということだ。

 

 

朝日奈「さくらちゃん!ドーナツ!さくらちゃんがドーナツ、じゃなくてプール行ってドーナツがさくらちゃんと食べよ?」

 

大神「…?」

 

十神「落ち着け朝日奈。」

 

朝日奈「ごめんごめん。気を取り直して…ドーナツちゃん、」

 

腐川「…朝日奈、お腹空いたのはわかったから1個食べてから始めなさい。」

 

とか、

 

 

葉隠「ふじゃけんな!あ、噛んだ。もっかいもっかい…ふっざけんnごっほごっほごほ!」

 

朝日奈「あ!葉隠噎せた!水水!」

 

霧切「ふじゃけ…ふふっんんんげほっけほっ」

 

苗木「あ、霧切さんが笑って噎せた。」

 

大神「…笑いのツボがわからんぞ…」

 

 

とか。

 

 

…うん、まぁ、結果的に言うと。2人がふざけたり演技ミスを連発しすぎて話が前に進まないんだ。

 

このままじゃだめなんだ!

 

芝居は前に進むんだ!

 

そう言ってもどうにもならないことぐらいわかってる。

 

 

そして十神クンがブチ切れを通り越して困り果ててるのが現状だ。

 

 

 

目標:もう少し真面目にやりましょう。

 

 

 

別に演技ミスは今に始まったことじゃない。

 

ただ、今までは誰かがやらかしても、他の監視カメラに視点を切り替えたり、誰かがフォローを入れてどうにかやってきただけだ。

 

でも人数が少なくなるにつれてそういった対処は難しくなってくる。

 

不二咲クンや山田クンの編集にも限界があるし…

 

 

出来栄えが最重要だけど、完成も早い方が良い。

 

そんな中で、ミスを覆い隠すには「急展開に持ち込んで混乱させる」というものが1番良い策ということに落ち着いた。

 

 

 

 

山田「フラワー!フラワー!」

 

不二咲「わぁ!食人植物!」

 

あっちの変なテンション2人は放っておこう。

 

 

 

 

 

 

苗木「…さて。」

 

目下の問題がもう1つある。

 

苗木「撮影前にモノクマボトルを壊したのは誰かな?」

 

娯楽室には、粉々になったガラスの破片と、ボトルシップの中身が転がっていた。

 

容疑者は2人。

 

葉隠「俺じゃねぇ!」

 

朝日奈「あたしじゃないよ!」

 

あと容疑者じゃないけど萎縮しているのが1人。

 

腐川「ち…違うわよ!?」

 

 

十神「コイツら…」

 

苗木「腐川さん『は』疑ってないよ。キミが割ったなら十神クンに報告するはずだから。」

 

残る2人に視線を向けると、朝日奈さんと葉隠クンがそっぽを向き、口笛を吹く。

 

これ多分、両方犯人なんじゃないかな…

 

悪いとは思ってても意固地になってるみたいで、謝る様子がない。

 

霧切さんがこめかみを押さえた。

 

霧切「…疑わしきは罰せずと言うわ。過ぎてしまったことの犯人よりこれからどうするか考えましょう。」

 

あからさまにほっとした様子の彼らの後ろから、どたどたと足音がする。

 

苗木「ん?」

 

大和田「おーおー派手にやったなぁ。」

 

桑田「やーちゃった~やっちゃった~。」

 

江ノ島「学園長にぃ言っちゃーお~。クマー!」

 

セレス「私が死んだからって娯楽室を汚さないでいただけるかしら。」

 

舞園「とりあえず掃除しましょうか。箒ってこの部屋にありましたっけ?」

 

戦刃「…あっちの隠し扉にあった気が…」

 

大神「危ないから我が片付けよう…」

 

 

撮影が続けられなくなったからか、退場したクラスメイト達が来た。ちょうど良かった、ボトルを作り直してもらおう。

 

 

苗木「ごめん、モノクマボトル作ったの誰だっけ?見ての通り2本壊れちゃったから、またお願いしても良いかな…」

 

 

石丸「僕と山田くん、セレスくんだな。山田くんは編集作業があるから、僕とセレスくんで作り直そう。」

 

セレス「中身が壊れていないなら比較的簡単に作れます。…が。」

 

セレスさんが、ちら、と、葉隠クンと朝日奈さんを見る。2人は凍りついた。

 

朝日奈「!!」

 

葉隠「うっ」

 

セレス「貸し、ですわよ?朝日奈さん、葉隠君。…あぁ、逃げても無駄です、とだけ。あとで石丸君と一緒に取り立てにいきますから。」

 

石丸「む?」

 

…こわ…

 

セレスさんに貸しは絶対に作らないようにしよう…

 

っていうかボクの話は聞かない癖にセレスさんには怯えるんだね、2人とも…

 

 

 

石丸「2本なら明日には完成するだろう。」

 

十神「なら撮影は明日で良いな。今日はもう解散だ。朝日奈と葉隠は頭に台本を叩き込んでおけ。出来ないなら舞園に演技指導させるぞ。」

 

それを聞いた2人が慌てだす。

 

葉隠「それは勘弁だべ、十神っち!」

 

朝日奈「待って十神!十神を殴るところまではなんとか覚えてるから!」

 

十神「なんとかだと困る!何回撮り直す気だ!」

 

 

舞園「…私の指導、そんなに嫌なんでしょうか。無理な指導はしていないはずですけど…」

 

戦刃「…え?」

 

江ノ島「おっとお姉ちゃんの練習の日々が今コケにされたー。これは絶望度が高いです!解説の桑田さん、どう思われますか?」

 

桑田「まぁ舞園ちゃんはプロですからねー。芸能界の闇っつーか、一端を垣間見た印象っすね。つーわけで現場の大和田さん!」

 

大和田「オメーら馬鹿やってねーで片付け手伝え。」

 

桑田「うーっす。」

 

江ノ島「はーい。」

 

 

 

 

十神「はぁ…」

 

苗木「お疲れ様、だね。」

 

十神「まったくだ。悪ふざけも大概にさせなければ…」

 

苗木「悪ふざけというか、朝日奈さんと葉隠クンは素が強烈だからなぁ…」

 

十神「奴らのアレは二次被害が出るんだ!今回のボトルと良い__」

 

ああ、あのコント聞いてて笑っちゃう時あるもんね。

 

 

霧切「あ、苗木君、この辺に小瓶が落ちていなかったかしら。」

 

噂をすれば二次被害者。

 

苗木「え?見てないけど…何に使うやつ?」

 

霧切「大神さんの自殺。」

 

苗木「ちょっと待ってそれ毒薬?」

 

霧切「いえ、中身はカレー粉よ。」

 

苗木「…霧切さん、それを大神さんに一気飲みさせる気なの…?」

 

霧切「…あ。」

 

それはどっちにしろ毒みたいなものだと思うよ…

 

 

 

大和田「つか石丸今日ずっと予定あんのかよ。」

 

桑田「な。やっと3人全滅したから外回りしよーかと思ってたのによ。」

 

石丸「すまないが今日は無理だ!外回りはまた落ち着いてからにしよう!というか2人では行かないのか?」

 

大和田「2人と3人じゃ安心して行動できる範囲がちげーだろ。」

 

桑田「万が一を考えたら、2人じゃ散歩ぐらいの距離しか行けねぇよな。」

 

石丸「なるほど。いずれにせよ、また今度だな。」

 

大和田「わかってらぁ…オゥ苗木、暇ならちょっと付き合えや。」

 

おっと、大和田クンに呼ばれた。話の流れからすると__

 

苗木「外回り?」

 

大和田「どー見ても戦えない奴と外出るかよ。力仕事あるから手伝ってくれってだけだ。」

 

違ったみたいだ。

 

苗木「わかった、何するの?」

 

大和田「何だっけ、アレ、処刑装置の解体。」

 

桑田「オシオキ、な。あと解体じゃなくて作り替え。」

 

苗木「え?え?」

 

大和田「俺達の処刑装置を江ノ島の処刑装置に作り替えんだよ。今まで終わってる分だけな。」

 

桑田「千本ノックとバターと火あぶりだな。鉄球より後のは追々で。」

 

ああそっか。身体の拘束具とか身長に合わせないといけないもんね。

 

苗木「手伝うよ。…あ、でも筋肉痛にならない程度がいいな。」

 

明日も撮影あるからね。

 

大和田「あー…筋肉に祈れ。」

 

苗木「筋肉に!?」

 

桑田「ドンマイ。」

 

苗木「諦めないで桑田クン!」

 

その後さんざんこき使われた…

 

 

 

 

モノクマ『オマエラ、おはよおございます。』

 

いつもより少しだけ、穏やかな声。

 

 

 

 

苗木「…なんか、筋肉痛の気配が…」

 

腐川「気配…?」

 

まぁ、本格的な筋肉痛じゃないだけマシかな。デジャブを感じつつ体育館に入る。

 

 

十神「さっさと撮影始めるぞ。」

 

苗木「あれ?十神クンその眼鏡古いやつ?」

 

つるの所、よく見るとちょっと塗装が剥げてる。

 

十神「これから殴られるのに新しい眼鏡は使わないだろう。」

 

苗木「あ、そっか。」

 

もちろん本気で殴られるわけじゃないけど、眼鏡が打ち捨てられるのは変わらないもんね。

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン。

 

モノクマ『全員、用意は良い?じゃ、レディ__アクション!』

 

第4の殺人、もとい自殺も、進行形で行われる。生存者であるボクは大神さんの死に様を確認することはできない。

 

どこかでガラスの割れる音がした。

 

 

 

 

 

寒い。もはや体温調節機能が働いている感覚などなかった。

 

まだやりたいことがあった。伝えたい想いがあった。

それでも。この身体すら役に立たないなら、自らの死が何よりの糸口であると知った。

 

ならば繋ごう。

 

平凡だが我を持つ少年に、終始冷静であろうとした少女に。

 

人を信じられない少年に、素直な感情を知らない少女に、あまりにも臆病な青年に。

 

何よりも、こんな裏切り者を信じてくれた少女に。

 

希望を繋ごう。全てを託そう。

 

心残りは無数にあれど、悔いなど一つたりとも無い。

 

これから続くのはきっと明るい未来だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

裁判場は、かつてないやるせなさを払拭し、熱を帯びている。

 

朝日奈「さくらちゃん…」

 

涙を拭いて前を見る朝日奈さんは、毅然としていた。

 

ボク達も、凛としなければいけない。大神さんがくれたのは、そういうものだから。

 

十神クンも腐川さんも、霧切さんも葉隠クンも。

 

1人の死で、ようやく団結した。遅すぎるくらいだった。

 

 

モノクマ『あーあ、つまんないの!』

 

そういったモノクマは、代わりとでも言いたげに、1台のパソコンを持ち出した。

 

そこで。悲劇は終わらないのだと、知る。

 

 

 

容赦なく降りおろされるショベルに、パソコンが、不二咲クンの希望がスクラップと化す。

 

ボクはそれを見ながら、アルターエゴもクロなんだろうと思った。

オシオキをするからにはそういうことなんだろうと。

因果応報だと。

 

石丸クンと山田クンを争わせ、セレスさんの欲望に火をつけた。

殺人示唆のオシオキだと。

 

…もちろん、それを表情に出すことはない。これは、石丸クン達3人を大切に思う今のボクの心境だ。劇中のボクじゃない。

 

劇中のボクがそんなこと言いだしたら、筋違いな恨みになってしまう。

 

だからボク達は、どこまでも憐れんだ目で機械を見送ることしかできなかった。

 

 

…笑顔で壊れていったそれに、薄ら寒さを覚えながら。

 

 

がしゃん。鉄球が落ちた。

 

 

 

 

モノクマ『カット!終わり~っ』

 

不二咲「お疲れ様、皆。」

 

モノクマと一緒に不二咲クンがオシオキ場にやってきた。

 

苗木「不二咲クン、どうしたの?」

 

不二咲「アルターエゴ、というよりパソコンを見に来たんだぁ。もしかしたら使えるかなって…」

 

不二咲クンはスクラップを持ち上げて、ボタンを押したり何か開いたりしている。

 

…ノートパソコンの中身なんて初めて見たけど、すごいごちゃごちゃしてるんだね。

 

 

不二咲「バックアップは取ってあるし、パソコンの代わりは沢山あるけど…やっぱり、貴重な資源だから。」

 

十神「それはそうだが、そのパソコンは無理じゃないか?」

 

不二咲「んー…全部は無理だけど、一部はリサイクルすればいけなくもない、かなぁ。僕これモニタールームに運んでから食堂に行くから、先に行っててくれるかな?」

 

朝日奈「おっけー!」

 

葉隠「はぁ~終わった…つっかれたべ。」

 

霧切「…一段落、と言っても良いかしらね。」

 

 

食堂にはいつも通り、不二咲クン以外の退場した皆がいた。

…と思ってたら、桑田クンだけボク達より後に入ってきた。

 

 

舞園「お疲れ様ですっ」

 

山田「長く厳しい戦いでしたなぁ。」

 

石丸「まぁこれからも大変だろうが、今日1日でかなり進展したな!」

 

桑田「ショベルカー移動終わった~。車庫でいーんだよな?」

 

大和田「おぉ。お疲れ。」

 

 

 

セレス「私はちょっと畑の方にいて把握していないのですが、撮影は捗ったようですわね?」

 

十神「ああ、それなりにな。お前の脅しつけもあって奴らが大人しくなったのも良かった。」

 

セレス「あら、十神君も人の事言えないのでは?」

 

十神「フン。ところで、貸しの内容は考えているのか?」

 

セレス「農園でこき使ってやりますわ。十神君もいかがです?」

 

十神「…そうだな。奴らと同列扱いでないなら考えておく。」

 

この2人は相変わらず怖い。

 

 

 

さくら「…む。」

 

あれ?大神さんが喉を抑えている。

 

苗木「大神さん、どうしたの?」

 

大神「苗木か。いや、飲んだ毒薬もどきが喉に張り付いていてな…」

 

苗木「…そういえば霧切さん、結局何飲ませたの?」

 

まさかカレー粉?

 

霧切「黄色い粉末ビタミン剤をさらにすり潰したものだったのだけれど…カレー粉よりマシとはいえ、飲みにくかったのは変わらないでしょう。ごめんなさいね。」

 

大神「いや、構わない。プロテインで味は誤魔化せた。それに、霧切が飲みやすい粉をずっと探していたのは知っているからな…」

 

霧切「最初は黄色の食紅や砕いた金平糖も考えたのだけれど…食紅は細かすぎ、金平糖は固すぎてね。」

 

朝日奈「さくらちゃん大丈夫?牛乳飲む?」

 

苗木「それは違うよ!ビタミン剤と牛乳のコラボは止めておいたほうが良いよ!」

 

あれ最悪だからね!

ボクから言わせてもらうとリンゴと牛乳の組み合わせも酷いよ!

 

大神「…水を取ってくる。」

 

 

 

 

 

戦刃「ねぇ大和田。ペンキなんだけど…」

 

大和田「お?あぁ倉庫の木箱の中にスプレー缶があったろ?あれは要らねぇから使っていいぞ。」

 

戦刃「そっか。ありがとう。」

 

江ノ島「お姉ちゃんどったのー?」

 

戦刃「ん…何でもないよ。」

 

江ノ島「は?何でもないこたないでしょ。ペンキなんか普通使わないじゃん。大和田何か知ってる?」

 

大和田「戦刃が言わねぇなら俺も言えねぇ。」

 

江ノ島「はぁーっそうですかアタシだけハブですか!じゃあ苗木!何か知ってんでしょ!」

 

苗木「ごめん全っ然話聞いてなかった。」

 

キラーパスを返し損ねていると、戦刃さんが宥めにかかった。

 

戦刃「そ、そのうち教えるから。ね?」

 

江ノ島「…まぁ良いけど。」

 

江ノ島さんが拗ねて離れていったのを見て、戦刃さんに耳打ちする。

 

苗木「戦刃さん、何かあったの?江ノ島さんに隠し事なんて、珍しい。」

 

戦刃「んー…内緒。苗木すぐバラしそうだし。」

 

ぎくっ

 

苗木「そ、それは違うよ!」

 

戦刃「違わないよ…ま、大したことじゃないから、気にしないで。」

 

しぶしぶ引き下がった。

 

 

 

 

 

 

 

朝日奈「んーっおいしい!」

 

葉隠「朝日奈っち、よくそんな食えるな…」

 

朝日奈さんがドーナツを爆食いしている。向かいの席にいる葉隠クンはドーナツ片手に引いていた。

 

苗木「ボクも1つ貰っていい?」

 

朝日奈「いーけど夕飯前だから沢山は食べないほうが良いよ。」

 

葉隠「そういう朝日奈っちはどうなんだべ!」

 

朝日奈「ドーナツは別腹なのー!」

 

苗木「はは…」

 

朝日奈「てゆーか、やっと終わったね。」

 

葉隠「な。あとは苗木っち達が主役だから楽だべ。」

 

苗木「えぇ…露骨にプレッシャーかけないでよ。」

 

朝日奈「苗木が話に入ってきたんじゃん。」

 

苗木「そうだけどさ。」

 

葉隠「これで俺らが十神っちに怒られる確率も減るはずだべ!むしろ俺らの方が十神っちに注意できんじゃね?」

 

朝日奈「あっいいねーそれ!」

 

別に良いけど後が怖いな…

 

苗木「…でも十神クンが演技ミスしたことってあんまりなかったような…」

 

葉隠「すーぐそういうこと言う。白けさせないでほしいべ!」

 

苗木「白けさせないとやり過ぎかねないからね。」

 

朝日奈「むぅ。」

 

 

 

 

不二咲「ただいまぁ。うう…」

 

苗木「お帰り。どうしたの?」

 

不二咲「ずっと編集してたから、肩が凝ってて…」

 

不二咲クンがしきりに肩を回す。後ろに回った桑田クンがその肩に手を置いて、グッと力を入れた。

 

不二咲「ふぇ!?…あ、結構気持ち良いね…」

 

桑田「…うわかっった!は?何これ固!え、なんか鉄でも仕込んでんの!?」

 

苗木「肩に!?」

 

桑田「いやマジで固すぎ…うわー、これ整体要るレベルじゃね?」

 

舞園「そこまで言われると気になります…わ、本当に固いですね。」

 

不二咲「…もうちょっと上…」

 

舞園「はーいっ」

 

不二咲「…モノクマにマッサージ機能付けようかなぁ…」

 

ボクも触ってみた。人の肩とは思えないくらい固かった。

役割多くてごめん、不二咲クン…

 

 

 

 

舞園「そういえば、これから私達どこに居ましょうか?」

 

不二咲クンの肩を揉みながら舞園さんがこっちを向く。桑田クンはふざけだして、正面から肩を小刻みに叩いていた。

 

 

おかげで不二咲クンは扇風機前のワレワレハ宇宙人ダーッみたいな状態だ。

 

不二咲「ぁあぁあぁあぁあぁあぁあ…」

 

気持ち良さそうなのでとりあえず放っといて、話を進める。

 

苗木「舞園さん、どういうこと?」

 

舞園「ほら、そろそろモニタールームに苗木君達が出入りするようになるじゃないですか。」

 

朝日奈「あ、そうだった!」

 

舞園「空き教室も使えないですし…」

 

十神「それについては話し合う必要があるな…おい、全員注目!」

 

好き勝手散らばっていた皆がこっちを見る。

 

十神「モニタールームが使えない時に、死んだ奴らがどこにいるか全員で把握しておくべきだろう。」

 

霧切「まぁ、自室が妥当じゃないかしら。」

 

 

あ、自室って手があったか。よく考えたら、別にずっと皆で一緒に居る必要はない。

 

不二咲「…僕は、自室で、監視、カメラの、遠隔、操作、するよぉ。」

 

小刻み不二咲クンは言葉が切れ切れだ。舌噛まないようにね。

 

山田「僕も部屋で編集作業しときますー。」

 

石丸「僕と大和田くん、桑田くんは外回りに行ってくるぞ。」

 

舞園「私と江ノ島さん、大神さん、セレスさん、戦刃さんで私の部屋にいましょう!」

 

戦刃「ごめん私裏方やるから…たまにそっち行くね。」

 

舞園「お菓子用意して待ってますね♪」

 

江ノ島「アタシもそこで待機でいい?」

 

セレス「問題ないでしょう。」

 

 

 

苗木「じゃあ、舞園さん、不二咲クン、山田クンの部屋には近づかないようにしたほうが良いね。」

 

あとは玄関近くかな?まぁ、あっちは元々用事ないし、大丈夫だと思う。

 

 

山田「あ、報告が1つ。アルバムが出来ましたぞ。」

 

苗木「アルバム?」

 

山田「動機に使えなかった集合写真とか、ツーショットとかを集めて作った簡素なものですが。ま、お遊び要素的に施設内に散らばってるかと思うので、暇だったら読んでみてください。」

 

朝日奈「おおー!卒アル!」

 

舞園「わぁ、いいですね!」

 

桑田「それ俺ら読めなくね?」

 

腐川「撮影終わってから読みなさいよ…」

 

十神「ほぉ。編集に忙殺されているかと思ったが、以外と余裕そうだな。」

 

山田「いえいえ学生感出すには必要かと思っただけですめっちゃ忙しいです。」

 

十神「…別に仕事を増やそうと思ったわけじゃない。確かにアルバムがあればそれらしくはなるな。」

 

江ノ島「それって前にアタシが見たことあるやつ?」

 

山田「それをさらに改良したやつですな。」

 

そのうち不二咲クンのマッサージが終わって、モノクマのマッサージ機能について話し合いながら夕御飯を食べた。

 

 

 

夜時間。ボクは霧切さんに呼び出されていた。

 

霧切「…苗木君。」

 

苗木「どうしたの?霧切さん。」

 

霧切「16人目の高校生…戦刃むくろに気をつけて。」

 

苗木「えっ…?」

 

 

モノクマ『…カット!はいオッケーです!』

 

 

苗木「ねぇこれわざわざ深夜にやる必要あった?」

 

すごく眠い。現時刻、不明。ボクは時計を持ってないから。

とりあえず今までのどの撮影よりも遅い時間だっていうのはわかる。

 

モノクマ『ごめんねぇ、編集作業の手間が省けるから…』

 

苗木「うっ」

 

多分今の声は不二咲クンだ。今日の肩凝り騒動もあって、強く出れない…

 

霧切「気にしてもしょうがないわ。それに明日眠そうにしていても違和感がないでしょう。というわけでおやすみ。」

 

霧切さんはさっさと帰ってしまった。

 

苗木「ふあぁ…」

 

ボクもさっさと寝よう。

 

モノクマ『皆もかいさーん。』

 

モノクマ『おつー。』

 

モノクマ『眠いよー…』

 

モノクマ『フン。』

 

あ、皆いたんだ。

うん、ボクと霧切さんだけ寝不足じゃないぶん良しとしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

ところで。

 

昼間は眠いけど夜は眠れないとか、寝る気満々だったのにいざベッドに入ると目が冴えるとか、そういうことってよくあるよね。

 

今のボクがそうなんだけど。

 

まぁ、大神さんについて気持ちの整理をつけるにはちょうど良いかな。

 

自殺は初めてのケースだ。

 

 

けど、大神さんの死で1番特徴的なのは遺書じゃないかな。

 

それが無ければ朝日奈さんは心中しようとなんかしなかった。

 

けど、それが無ければボク達が団結することもなかった。

__まぁ、それでも本当に信頼し合えたわけではないんだけど。それは明日以降判明することだ。

 

モノクマの悪意によって歪められた彼女の遺志がまっすぐに矯正されたその瞬間。

ボク達の心に、確かに響いた。

 

絶望に負けないで、希望を持って生きなければならないと。

 

ボク達の背負う業と未来を、はっきりと示してくれた。

 

あの遺書は、朝日奈さんにとって心の支えになるんだろう。演技中のボクですら、あれは少し堪えた。

心の支えになり、同時に傷になるんだろう。

 

ボクにとって舞園さんの死が最初の傷であるように。

 

ボク達は、大神さんが最後の傷であることを願うことしか出来ない。

 

 

希望に導かれていても。

その周りを蔓延る絶望に、ふいに泣きたくなる。

 

けど、役者のボクにそんな権利はないから。

劇中のボクはそんなことしないから。

 

希望を見据えるしかない。

絶望を怒りに変え、黒幕を探すしかない。

 

 

だから今日はもう眠ろう。眠たくなくても、目を閉じて朝を待とう。

 

明日からまた忙しくなる。

 

 

 

→以下キャラ設定

 

 

全員が2年間共に過ごしたクラスメイト。

 

苗木誠

全員のサポート役且つ雑用係

なんだかんだで皆を纏める鶴の一声的存在

主人公感がやっと滲み出てきた

 

霧切響子

情報解析、捜索担当

汚染物質の解析やマッピングを行う

父の行方が心配

だんだん怪しい動きが多くなる

 

十神白夜

情報解析担当だがわりと何でもこなす

性格は少し良くなったというか良くならざるを得なくなった

かませと呼ばれだし不服

 

腐川冬子

(十神の)雑用係

苗木に次いで万能

もはや一日中ジェノサイダーのときがある

 

葉隠康比呂

サポート且つカウンセリング担当

正直皆と一緒にあたふたしてるだけのお仕事

山は越えたとお気楽

 

朝日奈葵

内回り、護衛担当

施設内の点検や侵入者の兆候がないか探す

ドーナツ狂

感嘆符担当

 

大神さくら

内回り、護衛担当

だが施設内の人間の護衛の方が多い

自分だけ良い死に方で何となく気後れ

 

舞園さやか

サポート、農業、畜産、(公報)担当

公報の仕事は今はない

現役アイドルとして振る舞う準備は万全

裏方のサポート、モノクマ操作担当

 

セレス

農業、畜産、娯楽担当

だいたい畑か娯楽室にいる

気が向いたら一緒に遊んでくれる

ミルクティー飲んで高みの見物

 

山田一二三

農業、畜産、(セレスの)雑用係

セレスに従う形で仕事している

お人好しでよくイジられる

編集アシスタント

 

不二咲千尋

情報全般係

パソコン関係で困ったら彼に聞け

情報戦の最大兵器なので外出禁止

編集作業とカメラワーク

 

大和田紋土

外回り担当

改造バイクに乗って荒れ果てた世界を探索

大道具の移動や死体の掃除担当

外回りでバイク乗り回し始める

 

 

石丸清多夏

外回り担当

バイクに乗るときはヘルメット着用

外回り中

 

桑田怜恩

外回り担当

バイクに乗せられ探索し続ける

裏方の作業とモノクマの操作担当、外回りと小器用ゆえに忙しい

 

戦刃むくろ

(江ノ島、不二咲の)護衛担当

他の護衛は朝日奈と大神に任せ、江ノ島と不二咲に張り付く係

江ノ島の双子の姉

江ノ島のサポート且つ監視役だが割と暇

外回りいない時の裏方担当

 

江ノ島盾子

モニター、カウンセリング担当

最も命を狙われやすいので外出禁止

死なないのが役目

そろそろ出番

 

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