とある六花の一方通行(アクセラレータ) 作:とあるミサカの匿名投稿(ネームレスノベル
では、『学
入学式、或いは疑惑の目と根負け
「このように…我が校では、次世代を担う優秀な人材を育成すると共に、
「くァ、ァ………、眠ィ…」
何十、何百と用意された、簡素な椅子の群れ。一式の制服に身を包んだ生徒の群れ、群れ、群れ ─── その中で、
いかにも眠そうに欠伸をこぼし、周囲の視線を意にも介さずに堂々と脚を組んで椅子に座る"彼"は、ステージの上で続く『お話』を聞き流していた。
言わずもがな。今はここ、星導館学園の入学式の真っ最中である。
『
確かに、彼の知性は常人の域を超えて久しいし、大学どころか、いきなりNASAのようなトンデモな職場に放り込んでも、それこそ何の違和感も無くそつなく仕事をこなせるだろう。
だが、たとえNASAに放り込んでもGoogleに放り込んでも大丈夫だとしても、面接で『中卒?』『はい』では取り合う筈も無い。と言うか、まずオハナシにならないだろう。書類審査で落とされて終わりだ。
適当な企業に
「…どっかの暗部にでも入らねェ限りは、な」
そして或いは、傭兵か。
「ではここで、星導館学園の生徒会長であるエンフィールド·クローディア女史よりお言葉をいただきます。どうぞ」
そう呼ばれて無数の明かりに照らされたステージに登壇したのは ───
「おはようございます、皆様。改めまして、クローディア·エンフィールドと申します」
輝くような金色の髪と、深い碧の瞳を持った少女。百人中百人が『美女』或いは『美少女』と評するであろう程の整った微笑は、淑やかな魅力を辺りに振り撒いているかのようだ。
しかし、その
(あの女、
長年"闇"の中に身を置いていた彼。そんな彼だからこそ気付いた、少女の纏う闇の匂い。
彼女の持つ、或いは関わっている闇が、中途半端なモノではないということ。そして、彼女もまた"闇"に生きる一人なのだと。その黒く淀みきった、それでもまだ
(『星導館学園高等部入試成績総合二位』、『星導館学園序列第二位』……優等生の肩書きの裏で、ナニを企ンでンだか…)
壇上で、見た目に違わぬ凛とした声で語る姿を眺めつつ、彼は思案を巡らせる…
水上学園都市「六花」通称アスタリスク
《落星雨》の爪痕たる北関東多重クレーター湖上に浮かぶ正六角形型のメガフロートに築かれた学園都市で、日本の領土に位置しながらも治外法権領域となっている。統合企業財体によって六つの学園が設置されており、所属する学生は、年に一度開催される《星武祭》で闘うために集められ、当然ながらその大半は《星脈世代》が占める。
《
かつては8つ存在したと言うが、現在では「銀河」「EP(エリオット=パウンド)」「界龍」「ソルネージュ」「フラウエンロープ」「W&W(ウォーレン・アンド・ウォーレン)」の6つにまで減っている他、銀河は星導館学園のバックに、他の5つもそれぞれの学園のバックについている。
企業であるが故に、利益にならない事業を世論操作によって潰している、より多くの利益を得る為に経済格差を"作っている"、などと黒い噂は絶えないが、恐らくそれらは、噂と言うよりは、漏れ出した真実、と言うべきなのだろう。
(邪魔だな、コイツ……)
鈴科小百合は、一人悩んでいた。
優に三人は並んで使える筈の長椅子、長机を一人で占領し、教室に並んだ椅子の中でも、最後列左端という、最高に日当たりの良い場所を独占して、一人で眠りこける小柄な少女。
「オイ……オイ。オマエ、沙々宮だろ?」
見覚えのある…と言うか、
「……ん……………む。おまえは…………」
「……オイ。まさかいくらなンでも、忘れたとか言うなよ?」
「………そう、すずしな。うん、鈴科。忘れてない」
「今の"間"は何だ間は」
「…そんなことより」
「話題を逸らすな」
ゆっくり、ゆっくりと。腕に埋めていた顔を上げ、その少女は、漸く眠そうな顔を小百合に向ける。
「何の用?」
「…あァ、そォだった。単刀直入に言う。ソコを退け」
「断る」
「なら譲れ」
「しかし断る」
「なら特別に、俺の隣に座らせてやる。窓から二番目なら文句は無ェだろ」
「だが断る。…鈴科が二番目」
高速問答の末。
ぽんぽん。と、可愛らしく
「はァ……まァイイ。っつーか、何で俺ァこンなコトしてンだァ…?」
小百合は一人
「……じーーーーっ………………」
「……………、なンだよ?」
じーっ…と、ご丁寧に擬音語を発音して、小百合を見つめる少女。
「…何の躊躇いも無く、見ず知らずの異性の隣に座れるとは」
「オマエの"異性"に対するイメージはどォなってンだよ。っつーか、『見ず知らず』でも無ェだろォが。
少女の言葉に、小百合は呆れつつも言葉を返す。
「ん、それもそうか。じゃあ、改めて宜しく………えっと?」
「……あァ、小百合だ。
「…
「……ン」
差し伸べられた手を取り、軽く握り返して離す。しかし、今度は擬音こそ無いが、やはり不思議そうに小百合を見つめる紗夜。
「む、そこはすぐ離すのか…」
「意味が無ェだろ。それに、変に誤解されても損すンのはオマエだぜ? 俺は三下のコトなンざどォだってイイし、何て言われよォが知ったこっちゃ無ェが…」
「それなら、私も特に気にしないけど?」
「………ンじゃ、ほらよ」
「……?」
突然再び差し出された手を、不思議そうに見つめる紗夜。しかし、手はすぐに引っ込んでしまう。
「つまり、こォいうコトだ」
「いや、どう「おぉ~……!」「誰だ? あの綺麗な女の子…?」…い、う……?」
首を傾げた紗夜が再び尋ねようとするが、突如教室に広がったざわめきが、それを打ち消してしまう。
「……なに…?」
「ンだァ……?」
自らの問い掛けを中断された紗夜と、ほんの僅かな興味こそ抱いているが鬱陶し気な小百合。不機嫌な二人は、教室の前方から広がる動揺に目を向ける───そこに居たのは、まさしく"美少女"。
肩を越える桃色の髪と、整った顔立ち。どこか気品や気高ささえ感じるその立ち居振る舞いは、確かにこれだけの騒ぎを引き起こすに足る衝撃を教室に与えたようだった。
「…誰だ、ありゃァ……?」
「………さあ…?」
だが、"誰だアレ"程度の二人。騒ぐ生徒達の誰とも言葉を介することも、目を合わせることすら無く一人座る少女を見ながら、二人揃って首を傾げる。
「おいお前ら、全員揃ってるか~?」
そんな教室の雰囲気に割って入ったのは、あまり女性らしく無い、ドスの効いた低い声。
「あれは……」
「釘バット…だな……」
「不良? まさか先生?」
『さっさと座れ』と、たった一言でざわめきを消し、全員を着席させたその女性は、お世辞にも柔らかいなどという言葉とは微塵も縁の無さそうな、そんな鋭い眼光でクラスを薙ぎ払うと、短く告げる。
「お前らの担任をすることになった、
(((自己紹介だったの今の!?)))
「……
(アレは………ただの不良だな。間違っても
各々がそれぞれの感想を抱く中、その渦中に立つ『教師』は、特に気にする様子も無く事を進める。
「それじゃまずは、挨拶がてら自己紹介でもしろ。"あ"から五十音順で呼ぶからな……まず最初、
「はいっ」
(自分は"す"ずしな……割と後ろだな)
「……次、
「は、はいっ…」
(…
いや、しかし、だが………脳内に浮かぶあらゆる否定的な仮定の言葉。だが、
「いや、まァ、居て困るワケでも無ェか……
「自己紹介、か。何を言おうか…鈴科、何か………鈴科?」
「……ン、あァなンだ?」
「何をぶつぶつと…それより、自己紹介って何言えば良いと思う?」
「あー……テキトーでイインじゃねェか? 名前と、好きなもの、嫌いなもの…そンだけ言えば充分だろ」
「…なるほど」
一瞬、誤魔化すように視線をずらした小百合だが、すぐに何事も無いように紗夜にアドバイスをする。
「…次、
「ん……はい」
名前を呼ばれ、のんびりマイペースに立ち上がる紗夜。喋り始めた声の調子も、どこかゆったりとしている。
「沙々宮 紗夜。好きなのは、
それだけ言ってまたのんびりと座り、同時に視線を向けてくる紗夜。
「まァ、順当だろ。テキトーとは言えねェなァ。俺だってそンくらいしか言うコト無ェし」
「まあ、教師もテキトーだし」
「ホント、なンでココで教えてンだろォなァ…」
さらっと教師を批評する紗夜に、当然のように同意する小百合。
「………次、
「ハイハイ…」
そして、番が回り、呼ばれた小百合が面倒臭そうに立ち上がると、ほんの少しだけ教室がざわめく。
「アレが、
「真っ白い髪…」
「"小百合"って、男だったのか…普通、女の名前だよな?」
「……?」
不思議そうにする紗夜の疑問に答えるように、匡子が口を開く。
「聞けばお前は、前代未聞の入試成績全科目満点、文句無しの
(突然何言い出すンだァコイツは…?)
「……どォも、
匡子の発言の意図は図れないが、素直に(そして彼なりに丁寧な口調で)返答する。
だが、続く匡子の一言によって、彼の適当な
「 ───
「…………っ、」
……なるほど。つまり、
そんな細い
「……… …………… 、 ……」
小百合の顔が、僅かに俯く。
「く………くく…くかか……」
しかしこの時、隣に座っていた紗夜だけは、辛うじて気付くことが出来た。
「オイオイ……誰に向かってモノ言ってンのか…分かってンだろォなァ……? く、くかか…………」
その肩は、まるで笑いをこらえるかのように、小刻みに震えていることに。
「…………、すず、しな…?」
─── その口が、歪んだ三日月のような、笑みの
「ハジメマシテ。聞いての通り、俺は"第一位"
人を食ったような笑みと共に、唐突に始まり、終わる
「…ったく…。じゃあ次…」
どこか呆れたような匡子の声と共に、少しずつ喧騒が戻り始める。
「鈴科…」
「ン…なンだよ?」
暫くの逡巡の後に、紗夜が放った言葉は………
「…私よりテキトー」
「……なンか悪ィかよ」
その後、
んー……区切りが悪いような気しかしませんが、まあ大丈夫だろうとミサカは一人適当に頷きます。
小百合と紗夜はいつ出会ったのか…(ある意味言うまでも無いですが)…『シオリ』とは一体何者なのか…(タグで分かる人は分かりますよね)………伏線の張り過ぎはウザいだけだって習った気がする、とミサカはアホの子になってみます。
次回、『投稿日未定!ミサカ、まさかの失踪!?この二次創作の未来は如何に!』
君の中の(作者にやる気を出させる)
と、ミサカは色々混ざった次回予告風の文章を放り投げてみます。
感想評価等是非ともお願いします、とミサカは何の衒いも無くお願いします。
それと評価をする際、特に低評価を付ける際には、何故その評価値なのかを一言お願いします、とミサカは呼び掛けます。今後の執筆の参考になりますので。
……ただ『話になってない』と言われても、まだ四話ですし……