悪役令嬢は悪役プレイがしたい〜令嬢に転生して冒険生活〜   作:明日美ィ

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28 地下室

 屋敷の中は明かりがなく周囲がほとんど見えないほど暗い。明かりを付けずにこのまま屋敷の中を歩くのは困難そうである。

 

「これを眼にさせ」

 

 ガイゼルが懐から目薬のような小瓶を取り出した。

 

「闇消しの目薬だ。これを眼にさせば数時間の間、猫のように暗闇の中を歩くことが出来るぞ。ただ急に明るいところに出るとまぶし過ぎるて目がくらむから気を付けろ」

 

 眼に数滴目薬を垂らすと、確かに周囲がはっきりと見えるようになった。

 

「現在屋敷の二階にいるみたいだけど、どこに行けばいいの?」

「俺もさすがにわからねぇぞ。呪いの媒体があるとするならどこにあるか検討ついていないのか?見回りがいつ破られた窓を見つけるか分からないから、屋敷の中を全部回るまでの時間はないぞ」

「私は地下室だと思うわ」

「地下室?」

「ホラー映画の定番なら、たいてい怪しい物は地下室にあるはずよ」

「理由が意味分からん、確かに地下室があるならそこが怪しい気がしてくるな」

 

 足音を立てないように靴を脱いで、私達は階段を下りて一階の探索を始めた。

 屋敷の中を目を凝らしてみると、確かに屋敷内の至る所に魔法陣や吹き矢のような罠が設置されていた。

 もし目薬がなければ罠に引っかかっていたかもしれない。

 

 このような罠に対して素人であるため、ガイゼルに罠の対処を任せて私達は地下室の入り口を探し始めた。

 

「なんていうか……オレ達空き巣をやっている気分なんだけど」

「気分も何も空き巣その物だろ。違いは屋敷の主が留守か寝ているかくらいしかないだろうよ」

 

 ヒロの顔が若干ひきつっていよう泣きがするが、気にせずに探索を続ける。

 

 私の最初の推測だと、地下室の入り口は物置のような所にあるのが探索ゲームの定番なのでそこだと見当を付けたが、床をいくら探してもそのような物は見つけられなかった。

 他にもめぼしい部屋を探してみたが、それらしい入り口は見つからなかった。

 

「やっぱ地下室なんてなかったんじゃねぇのか?」

「そうかもしれないわね……」

 

 元々発想が当てずっぽうであるため、自分の判断に自信がなくなってきた。

 そのときヒロが顔を上げてこう提案した。

 

「もしかしたら大部屋にあったりしない?」

「大部屋?」

「ディアーナさんが言っていたサロンが大部屋で開かれていたんでしょ?そこにサドエスも参加していたけど、婚約者のディアーナさんが立ち入りを許されていないのだったらなんか怪しくない?もしかしたら大部屋で外部の人に見せられないようなことをしていたんじゃない?」

 

 このあたりで潜入してから一時間が経とうとしていた。まだ見回りと出くわすようなことはなかったが、手がかりが掴めず内心かなり焦り始めていた。

 試しに大部屋に侵入して探索をしてみると、カーペットの下にある床のタイルの一部がはずれるように細工されているのを発見した。音を立てないようにタイルをはがし始めると、地下につながるような入口を発見した。

 

「見つけたわ。よく気がついたわねヒロ」

「へへへ」

「それで本当に入るのか?ここがハズレだったら時間的に他の所を探す時間はないと思うぞ」

「こんな怪しいところに何もないわけがないでしょ。きっと大丈夫だわ」

「ろくな根拠が一切ないから不安だ……」

 

 ガイゼルは頭を抱えているが、気にせずに梯子を下りて地下室に潜入する。

 

 地下室は二部屋に分かれているらしく、梯子を降りた先の部屋と頑丈な鉄の扉の先の部屋があるようだ。ガイゼルが鍵を開けると、その先には大部屋にたどり着いた。ここまで来ると月夜の明かりも届かないため、目薬を持ってしてもほとんど部屋の中を見ることができなかった。

 燭台に設置されていたロウソクに火を付けると、周りが急に明るくなりロウソクの火の明かりですらまぶしすぎて一瞬目がくらんだ。

 

 眼が明るさに慣れると、部屋の全容が分かった。

 

 血で描かれた魔法陣が部屋の中心に描かれていて、隅にあるテーブルの上には動物の骨のような物が山積みに置かれていた。

 これ以上ないほど「いかにも」な部屋であるとは私も予想できなかった。

 二人を見てみると、そのどちらも異様な光景に青ざめていた。

 

「大当たりだな」

「この魔法陣が呪いの媒体なの?」

「ああ。俺は呪術には詳しくないが、多分これが媒体になっているのだろうよ。よく見てみると患者達に浮かび上がっていた紋章とよく似ているからな」

「ならこれを破壊すれば事件は解決するのかしら?」

「それはそうだけど、王宮に提出するための証拠になるのかなこれ?」

「床にかかれた魔法陣を持ち運べるわけがねぇし、下手したら俺達が出て行った後で消されるかもしれねえしな。持ち運べるやつを探したほうがいいと思うぞ」

「そうね、とりあえずこれを何とかしましょう。魔法陣を破壊すればいいのかしら?」

 

 魔法陣を消すには専用の薬液があるらしく、それを床に垂らしてボロ切れで拭うとどす黒い血が拭われて、魔法陣の一部が欠けた状態になった。

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