悪役令嬢は悪役プレイがしたい〜令嬢に転生して冒険生活〜   作:明日美ィ

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忘れていたように投稿(なろうではすでに掲載済み)


8 悪役令嬢 ライバルと再会する

 というわけで私たちはダンジョンから帰還した後、ランク強化のために討伐依頼の受注を繰り返し達成した。討伐依頼は報酬こそは山わけだが、冒険者ランクには討伐に貢献した度合いによってポイントが累積されているらしい。そのため私ことマリアンヌはランクを順調に5まで上げていったが、ヒロはまだランク3だった。

 いまのところヒロはあまり冒険者ランクを気にしていないようにみえる。

 ただ、いまいちヒロが冒険者をしている理由が見えてこないないのですよね。単純に生活に必要な糧を得るため、と考えるのが妥当ではあるが……。ただの子供にしては知識や教養の量が桁違いに多いし、もしかしたら貴族の生まれでなんらかの理由で冒険者として生活することを強要されたのかもしれません。

 しかし冒険者はあまり身分や出自を、特にランク1上がりのものは、詮索されないもしくは詮索されるのを嫌うらしいです。実際私もこっちの世界で勝手に公爵家を名乗っていながらお咎めがないのも、冒険者ギルドというものが身分よりも実力を重視した組織だからでしょう。まあ周囲から変な目で見られるのはもう慣れました。

 

 

 ランクが5に上がったことで護衛の依頼を受注ができるようになった。拘束時間こそ長いものの、大抵の場合は宿泊費や食費を負担してくれる。

 そこで護衛依頼を受注したところ、そこでディアーナと出会った。

 彼女はお供を連れずに一人馬車に座っていた。手元には魔法行使のための杖を置き、何か考えごとをしているようだった。

「あ、似非貴族の女じゃん。もう護衛依頼を受けられるランク5まで上がったのね」

 

 そういうとまたディアーナは考えごとを始めた。目元にはくまができていて、心なしか声が疲れているように感じた。

 

「あの時とは全然様子が違うね、どうしたんだろう?」

「気にすることはないわ、彼女にも色々あるのでしょう」

 

 いちいち貴族の諍いやらなんやらに巻き込まれたくはない上、マリアンヌをコケにしましたのです。わざわざとりあう必要はないでしょう。

 

 護衛する隊商の馬車は6台あり私たちが一番後方に、ディアーナは一番先頭に配置された。

 間も無く隊商は私が今まで一番長くいた街ヴィレッジを出発した。この馬車は東に向かい、テリトリ領を離れ約一週間で王都カピタルに着く予定だ。

 ヴィレッジとは違い馬車が走る街道は舗装されておらず、ときおりガタゴトと馬車が揺れる。窓の外を見れば青々とした畑が広がり、牛や馬が放牧されていた。

 昼過ぎに出発しこの日は特に何事もなく日が落ち、近くの村で一泊することになった。

 

 私たちは村の空き家に泊めてもらい、夜を過ごすことにした。

 

「しっかし、まさかこんなに早くあの女に再会するとわねぇ」

「まあ活動場所が同じだから、そんなこともあるよ」

 

 ヒロは依頼主から頂いた干し肉をクッチャクッチャ食べている。

 

 そのときドアの向こうから、

 

「ちょっといいかしら」

 

と声がした。「オレが出るよ」とヒロが出てドアを開けると、ディアーナが両手に鍋を抱えていた。

 

「村の人からおすそ分けをもらったのよ。私わたくし一人じゃ食べきれないから……もったいないし持ってきてやったわ。別にあんたたちのためじゃないんからね」

 

 ……所謂ツンデレというものかしら。さっきもそうでしたがディアーナが初対面の時と印象が違って見えますね、いえあの時と明らかに様子が違いますね。何かあったのか気になるので、表面上はそっぽを向きながら耳をそばだててみますか。

 

「私は別にあんたがいなくてもいいんだけど、話し相手ならヒロがやって」

「へいへい、マリアンヌさんも素直じゃないですね。ちょうどいいですし3人でこの鍋食べちゃいましょうよ。お腹を満たせればきっと仲良くなれますよ」

 

 というわけで一旦詮索を後にして私たちは鍋を囲むことにした。日本の鍋と比べると出汁が効いていないし、具材も貧相だけど、暖かくて美味しくてちょっと故郷を思い出した。依頼主から支給されたビスケットのようなパンは歯が折れそうなくらいカチカチだが汁に浸せば柔らかくなり、食べやすくなる。

 

「ふん。下賤の食べ物なんて初めて食べたけど、案外悪くないわね。ねえちょっとあんたニンジンを私わたくし押し付けていないかしら?この自称公爵家、何処の馬の骨かしらないけど、この本物の令嬢に嫌いな食べ物をよこすのは礼儀に反しますわよ」

「そっちこそ菜っ葉を残していますわね。貴族の収入は領地に住む民の血税によって賄われています。それで領民が善意で差し出してくださった食べ物を残すのは礼儀に反するのではないかしら?」

「まあまあ二人とも喧嘩しないで……」

 

 というわけで比較的穏やか?な夕食を済ました。

 

「で、ディアーナさんなんかお昼頃思いつめていたような顔をしていましたように見えましたが。よろしければお話くらい聞きますけど」

「ええっと、これは……あなたたちがこの話を周囲に言いふらさない、というのなら……」

 

 ディアーナはポツポツと話し始めた。なんとなくヒロと彼女が打ち解けたように見えますね。仮にヒロが貴族の生まれであるなら、ディアーナの境遇がわかるからでしょうか。

 

 そのとき外からドンドン、とドアを叩く音がした。

 

「おい、ちょっと外に出てくれないか。さっき村の近くで怪しい人影を見つけたんだ。もしかしたら盗賊の類かもしれないし、一応見てきてくれ」

「私が出るわ」

 

 二人の話を邪魔するのも悪いので私が応対することにした。古いのか軋みがちな木製のドアを引いて開けると、

 

「まあその盗賊というのは俺らなんだけどな」

 

その瞬間長剣を振りかざした、どう見てもカタギの人間には見えない形相の男が私に切りかかってきた。




今はもう一方の小説を執筆していますが場合によってはこっちも続きを書きたいなと思っています(こっちの方が人気あるっぽいし…)

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