メギド72オリスト「太古の災厄と新生する憤怒」   作:水郷アコホ

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57「Pick & Devour」

モラクス

「うおおぉりゃあっ!!」

 

 

 ソロモンの指示を受けた仲間たちがパエトンの前に立ったとほぼ同時、聞き慣れた掛け声が割り込んだ。

 厚い炎の荒波を掻き分けてモラクスが躍り出て、パエトンの再生した脚を再び1つかち割った。

 所々に生々しい傷跡が残るが、ベレトの技によって身のこなしは万全の状態のそれだった。

 更に次いで、壮大な重低音が胸のすくような残響を伴って弾けた。

 ベレトの武器がパエトンの胴体にクリーンヒットし、大きくのけぞらせた。

 

 

ウェパル

「今度はこっち!」

 

 

 パエトンが体勢を立て直すより早く、示し合わせる必要もなくウェパルが連携し、パエトンの脇腹に飛び込み銛を一突きする。

 銛の先端部ほぼ全体が突き刺さったが、パエトンの巨体に比べるとどうにも浅い。

 しかしウェパルが銛を抜いて飛び退くと、すかさずベレトの武器から鉄の髑髏が1つ、泳ぐようにパエトンへ迫り、ウェパルの攻撃と全く同じ箇所へと激突した。再び金属と鉱物の打ち合う重低音が響き渡る。

 背を反らした体を、更に横から突き飛ばされ、踏みとどまりきれなくなったパエトンは、傾いた方向の脚を完全に畳み込みながら倒れ込んだ。

 

 

モラクス

「よっしゃあ! メギド体のまま戦えるとかすっげえじゃねえかベレト!」

「この調子なら、ブン殴られる前にこっちから崩しに行けるぜ!」

 

ウェパル

「それじゃダメ。これじゃベレトに任せっきりと変わらないわ」

「なんでもベレトが変身解いてパエトンに突っかかれる状態にするのが『勝算』だそうよ」

「ベレトだって本当にいつまでもあの姿で居られるはず無い」

「さっさとベレト抜きで回せるくらい足元固めないと、宝の持ち腐れで終わるわ」

 

 

 モラクスの隣に着地し、ついさっきまで一緒に居たかのようにダメ出しするウェパル。

 互いに、互いの無事はもはや確認するまでも無いと言った様子だった。

 

 

シャックス

「2人ともー、もすこし離れて離れてー!」

 

 

 モラクス達とは別方向から、ダチョウのように駆け出したシャックスが高々と跳ね、倒れて藻掻くパエトンの胴体目掛けて剣鉈を構えた。

 

 

モラクス

「お、シャックスの『技』なら変身する前のパエトンも痺れさせたし、いけんじゃね?」

「要はパエトンぶっ倒さねえように弱らせりゃ良いんだろ? なら、さっきまでと同じようにバトルしてりゃ何とかなんだろ」

 

ウェパル

「そうかもしれないけど……モラクス、下がって」

 

モラクス

「え、なんで? 十分距離取れてね?」

 

ウェパル

「いつものシャックスの『技』ならね。やけにシャックスの武器が光ってる。多分フォラスよ」

 

モラクス

「フォラスのおっさんっつーと……あ、そっかヤベエ!」

 

 

 即座にパエトンから遠く退避するウェパルとモラクス。

 シャックスの剣鉈がパエトンに突き立つと、本日のシャックス最大光量のビリビリが周囲を染めた。

 辛うじて射程から脱し、成り行きを見守るウェパルとモラクス。

 

 

シャックス

「まっだまだあ!」

 

 

 いつもより多くフォトンを回し、長く鋭く電光が迸る。執拗な通電に、パエトンの両腕が断続的に持ち上がっては落ちてを繰り返している。

 

 

モラクス

「ふぃー、危ねえ危ねえ。フォラスのおっさんの『技』、力がベラボウに上がるかんなあ」

 

ウェパル

「それにしたって……」

「フォラス、聞こえる!? 『そっちの技』はパエトン1人に使うには『広すぎ』ない?」

 

 

 前衛から普段以上に大きく距離を空けて不要な被害を避けているフォラスへ、抗議するウェパル。

 手を上げて、聞こえたことを示しながら応じるフォラス。

 

 

フォラス

「済まねー! ベレトに起こされてからこっち、変に力が有り余っててなー。少し手元が狂っちまったー!」

 

モラクス

「あー、わかるわかる。『大技』いけそうな時になると、逆にチマチマ出す方の『技』がうまく出せなくなるよな」

「何か、急にどうやって使ってたかわかんなくなるみてえな感じの」

 

ウェパル

「それ自体は私も覚えあるけど、何だってこんな時に限って……」

「フォラス以外は普通に『小技』も使えてるし、やられる前にそこまで積極的にフォトン溜めてたわけでも無いのに」

 

モラクス

「フォラスのおっさん子供居るって前に言ってたし、気合入ってたとか?」

 

ウェパル

「……ま、どうせ今考えてもしょうがないわね」

 

 

 話している内に電光が収まり、シャックスがパエトンから飛び降りた。ワタワタとウェパル達の元へ走って来る。

 

 

シャックス

「ひえ~、手応えナシナシー! また失敗しちった~!」

 

 

 パエトンは少しの間、体を痙攣させていたが、すぐに掌をしっかりと地面に置き、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

モラクス

「うっへ、あれだけバリバリやってもまだ動けんのかよ!?」

 

ウェパル

「ただ大きくなっただけじゃなく、『通り』自体も悪くなってるのかもしれないわね」

「シャックスに期待できないなら、やっぱり力ずくで動きを止めるしか無いわ」

「モラクスは脚、私は腕と胴体。行くわよ」

 

シャックス

「あ、あたしはあたしは?」

 

ウェパル

「取り敢えず『技』をしつこく続けてて。完全に通らないと決まったわけじゃないから」

 

シャックス

「なるほどなるほどー、まっかされた!」

 

フォラス

「ま、待てお前ら! ダメだ、一旦退け!」

 

 

 フォラスの声に、踏み出した足を咄嗟に引っ込めるシャックス達。

 

 

シャックス

「うええ!? フォラフォラー、何で何でー!?」

 

ウェパル

「見るのはフォラスの方じゃない! 構えて、光弾よ!」

 

 

 ウェパルが言い終えるのとのほぼ同時、ベレトの炎で赤く染まった空間に様々な色が上乗せされた。

 身を起こし終えたパエトンの両手に光弾が形成され、そこら中を照らしている。いつ発射されてもおかしくない状態だった。

 

 

モラクス

「バルバトスのアニキがリジェネレイトしてるから、今くらっちまうのはマズイな……!」

 

ウェパル

「もっとマズイ事があるわよ。パエトンが両腕広げようとしてる」

「また辺り一面まとめて薙ぎ払う気よ」

 

モラクス

「ま、またさっきみたいな事になるのか!? 幾らベレトの『技』があるっつったって……!」

 

ベレト

「怖気づくな貴様らっ! キビキビ働けぇっ!」

 

 

 ベレトが怒号と共に武器を地べたに叩きつけた。鎖と相まってリードの持ち手を思わせる金色のリングが岩肌にぶつかって小さく跳ねた。

 無手のベレトが咆哮すると、金属の髑髏の群れが自ら一斉にパエトンの随所に突撃した。

 しかし今度は、全ての髑髏を受け止めてもパエトンはのけぞらない。

 すかさず両腕をベレトに突き出し、光弾を放った。

 二発の光弾が射線上で一つに合わさり、巨砲となって宙を駆けた。

 触れても居ない炎や岩肌が、光弾の余波だけで散り散りにかき消えていく。

 

 

ウェパル

「ベレト、狙いを自分一人に惹きつけて……!?」

 

モラクス

「で、でもあのデケエのは無茶だろ!」

 

シャックス

「ベレベレ避けて避けてーー!」

 

 

 ベレトは足元に転がる武器の持ち手を蹴って横にどかし、四股を踏むように重心を固めた。

 そして、やや屈み、腰を落とした姿勢から、自ら光弾に突撃した。

 

 

ベレト

「うぬああああああ!!」

 

 

 ベレトが左腕を突き出し、自身の半分はある巨弾を鷲掴んだ。

 

 

ベレト

「ぬううううんン!」

 

 

 光弾の推力に押されて、重厚感あふれる巨体が岩を削って後ずさっていく。

 直接ぶつかり合うベレトの掌では、光弾が形を維持したままに六夜の悪夢を炸裂させていた。

 六属性の力を表出させながらメギド体にまで潜り込み、筋繊維に沿うようにベレトの左腕に亀裂が走り、腕が内側から泡立つように歪に膨れ上がっていく。

 

 

ベレト

「ぐ……ああああ!」

 

 

 己の左手の指が光弾に飲まれるように圧し折れ溶けていく様を見たベレトは、残る右腕も薙ぐように光弾に叩きつけ、抱きかかえる形で全身で光弾を受け止めた。

 

 

ベレト

「ぎ、ぎぎ、ぎぃぃぃィッ!!」

 

 

 光弾の前進を阻み、どうにか踏み止まって見せるベレトだが、見る間に右腕にも亀裂が走り、両腕の内からは光弾と同色の光が溢れ出ている。

 

 

フォラス

「何やってんだよ、ベレトのやつ、お前が肝心要だってのになんて無茶して……!?」

「……そうか! テメエのリスクばかり気を取られてうっかりしてた。ベレトの後ろには──!」

 

 

 気付いたフォラスが向けた視線の先、ベレトの背後では、既に事態を把握したバルバトスが演奏を中断し、ソロモンの肩を掴んで移動を促していた。

 

 

バルバトス

「ソロモン、退避だ!」

「ここは光弾の射線上だ。ベレトは俺たちを巻き込まないために体を張ってるんだ!」

 

ソロモン

「……いや。俺はここを動かない」

 

バルバトス

「何言ってるんだ!?」

 

ソロモン

「バルバトスの言う事もあるかもしれないけど、ベレトの目的は他にあると思う」

「それにあれだけの威力じゃ、中途半端に逃げた所で気休めにしかならないよ」

 

バルバトス

「それは……同感だが、動かないよりはマシなはずだ。君は一体、ベレトが何のためにあんな事をしてると?」

 

ソロモン

「ベレトの後ろには、俺たちだけじゃない。この空間の出入り口がある。このままあんなのを通したら、間違いなく崩れて埋まってしまう」

 

バルバトス

「あっ……!」

 

ソロモン

「穴なら幾らでもあるけど、ちゃんと地上まで繋がっている保証があるのは、あそこ一つだけだ」

「俺たちがここをどいた所で、俺たち皆で地上に戻るためには、ベレトはああするしかないんだ」

 

バルバトス

「と言う事は……!」

 

ソロモン

「ああ。だったら俺も、こうするしかない!」

 

 

 大空洞全体のフォトン転移を一時中断するソロモン。

 空間に充満させたフォトンを一点に集中させていく。

 

 

ソロモン

「これだけあっても、メギド体の維持だけで精一杯かもしれない……でもそれで充分! そうだろ!?」

 

 

 輪郭を持った光も同然となっていたベレトの両腕が、肩から徐々に色と質感を取り戻していく。

 

 

ベレト

「(ちゃんと……わかっておるでは、ないか……そのくせして、いつもいつも儂を……は・ら・が……!)」

「があああああーーーー!!!」

 

 

 単純なエネルギー塊であるはずの光弾が、ベレトに締め上げられてゴムボールのように横に潰れていく。

 ベレトの特大の咆哮と共に、光弾が風船さながらに弾け、ベレト以外に何の被害も及ぼす事無くかき消えた。

 

 

シャックス

「ふ、ふおお……!」

 

モラクス

「す……すげえ……真っ向から止めちまった……」

 

ウェパル

「でも、どうすんのよあれ。幾らメギド体って言ったって……」

 

 

 光弾に勝利したベレトは、一瞬フラついた足元を踏みしめ直した。

 ベレトの両腕は、光弾と共に吹き飛び、肩口から先が跡形も無かった。

 

 

ベレト

「この、程度で……儂の気が治まるものかぁ!」

 

 

 言葉は勇壮だが、メギド体を構成するフォトンが光となって僅かに拡散し始めている。

 一喝と共に、ベレトが足元を揺さぶるほどに踏み鳴らすと、未だパエトン本体に齧りついていた髑髏達がフワリと離れ、再びパエトンの各所へと殺到した。

 ある髑髏は受け止めようとしたパエトンの腕を逆に弾き飛ばし、勢いを衰えさせる事無く胸にめり込んだ。

 ある髑髏は脚の関節部へ、ある髑髏は鳩尾へ。一打ごとにパエトンの体が右へ左へ揺さぶられる。

 だが、ある髑髏がパエトンの腹部──ヴィータなら臍の辺りへ飛び込んだ時、パエトンの腹に植わった大顎の獅子のような部位が動いた。

 

 

ベレト

「!?」

 

 

 直後、神経の繋がりがあるわけではないが、同じ魂から作り出したフォトン体の一部として、ベレトは武器に異変があった事を第六感的に察知した。

 髑髏達に畳み掛けられ踊らされたパエトンは、手を使わずに両脇の痒みを紛らそうとするような、どこか間の抜けた姿勢になっている。

 その姿勢のまま、パエトンの両手から、最大級の光の波が迸った。

 

 

モラクス

「ぐああっ!?」

 

シャックス

「うひぇあぁ!?」

 

 

 本能的に失明を危惧する光量だった。

 この場に居たほぼ全員が目を覆う中、ウェパルがどうにかこうにか、僅かに瞼を開けて光の源を睨む。

 

 

ウェパル

「くっ……この光り方……」

「『アレ』が来る……『食われた』のね……!」

 

 

 ウェパル以外の面々には事態を確認する間もないまま、すぐさま全員が強烈な突風に晒された。

 ベレトの広げた炎が一瞬だけ突風にかき消え、再び灯って岩肌を覆い直した。

 

 

モラクス

「な、な、何だこれ、流される!?」

 

フォラス

「こいつは、ただの風じゃ……うおお!?」

 

ソロモン

「飛ばされるっていうより、押しのけられていくような……!」

 

バルバトス

「ソロモン、こっちだ! この風は、大人しく軌道に乗った方が良い!」

「確証は無いが、これは多分……間違いない!」

 

ソロモン

「言われなくても、こんなに強いと身動きのしようも……うわっ!?」

 

 

 全員が、突如押し寄せた力に弄ばれ、空間の外へ外へと転がされた。

 ただ1人、ベレトを除いて。

 

 

ベレト

「ぐ、ぬ……何だ、これは……動けん!?」」

 

 

 メギド体とはいえ、ベレトもパエトンの放つ光に大きく視界を制限されていた。

 眩い光と、空気を裂く轟音とに遮られた世界で、ただ自分の体が、立ち尽くしたまま全く思い通りにならない事だけを感じ取っていた。

 

 

ベレト

「四方八方から、全身を抑えつけられているかのように……」

「だというのに、引き裂かれんばかりの、この風……竜巻の中にでも放り込まれたのか……!?」

 

 

 ベレトの視力が、辛うじて光の中に像を結び始めた時、パエトンよりも遥か遠方から、仲間の声が届いた。

 

 

ウェパル

「ベレト! 聞こえる!?」

「脚一本でも動くなら逃げて! あんたも見た『例の技』が来る!」

「私の『技』を『ガブ飲み』して使ってきた、あんたが転ばして不発で済ませたやつ!」

「多分あんたの『技』も、さっきので『食われた』のよ、武器ごと!」

 

ベレト

「な……ぶ、武器ごと!?」

 

 

 徐々に見えてきたパエトンの足元では、風に煽られたためか金属の髑髏達が転がっている。その中で、腹に突撃した髑髏だけはパエトンに貼り付いたままだった。

 その髑髏が剥がれるようにゆっくりと落ちた。光に染め上げられた髑髏のシルエットは、顎関節辺りから後頭部にかけての部分を残してゴッソリと削り取られていた。

 パエトンの腹の辺りで、規則的に何かが動いている様子だけが見て取れる。腹の金属の獅子が「咀嚼」しているだろう事は間違いなかった。

 

 

ウェパル

「多分この『フォトンの渦』とセットで、この『技』の本来の姿よ!」

 

ベレト

「『フォトンの渦』……そうか、この風が……!」

「渦の外側は全てを散らして手出しを許さず、内では滅茶苦茶な空気の流れで獲物の身動きを許さんという腹づもりか……!」

 

ウェパル

「ベレト、もし聞こえてるなら、何としても逃げて!」

「あんなのマトモに食らったら、メギド体どころかあんた自身まで──うああ!?」

 

 

 ウェパルの声が途切れた。パエトンを中心に広がっていくフォトンの渦で、ウェパルも更に外へと押し流されていった。

 

 

ベレト

「ふっ……ふふふ……」

「分かった所で何も変わらん……さっきから全力で藻掻いてみているが、足首ひとつピクリともせんからな」

「ふっふふふふ……絶体絶命だな……ウェパルなら、な!」

 

 

 獲物を束縛する乱気流の内は、ベレトとパエトンと、岩しか無かった。

 パエトンの放つフォトンの渦によってベレトの『炎』はすっかりかき消えていた。

 

 

ベレト

「やってくれたな……」

「やってくれたなあ! あのフォラスに怒鳴りくさられたというのに! 正直ほんのちょっとくらいはビビったんだからなあ!!」

 

 

 対峙する巨大な両者の周囲を、濃厚な炎が包んだ。

 油を思わせる重たい軌跡を踊らせて、炎がフォトンの渦の形を浮き上がらせた。

 渦をなぞるように駆け巡る炎は、術者であるベレトを縛る鎖のように纏わりついた。しかし、炎越しの視界はパエトンの光を直視するよりは辛うじて見通しやすい。

 揺らめく炎の向こうでパエトンは、ウェパルを前に披露した時同様に、光り輝く両手を組み、喉あたりの高さでまっすぐに突き出している。

 パエトンの個々の足先から絶え間なく火花が噴き上がっている。電光の類ではなく、高圧力で噴き出す純粋なフォトンの奔流に、岩が摩擦熱を発して削り飛ばされていた。

 一際火花が高く舞い上がり、パエトンの太く短い尾──第三の手の親指が持ち上がり、先端からジェット噴射が放たれた。

 足先から放たれるフォトンの渦で地表から僅かに浮き上がり、地形との摩擦を無視したパエトンは、ジェット噴射の推進力を存分に乗せ、巨体と質感に見合わぬ速度で、輝く両の手をベレトの胸元へ突っ込ませた。

 

 

ベレト

「ポーに! けしからんものを!! 与えよってぇええええ!!!」

 

 

 相変わらず身じろぎ一つままならないはずのベレトは、しかし決然と、視線一つで止めて見せるとでも言わんばかりに、強くパエトンを見据えていた。

 パエトンの両拳が、ベレトの胸に、何の抵抗も無くズブリと潜り込んだ。

 

 

 

<GO TO NEXT>

 

 

 




※ここからあとがき

 マスエフェクト及び覚醒ゲージMAX中のスキルやアタックの制限について、筆者の知る限りでは公式で言及されていなかったと認識しているので、細かい理屈は誤魔化して描写しています。




 全くチラシの裏ですが、マスエフェクトについては自分なりの仮説を立ててみたりしています。

 リジェネレイトする事で魂固有の姿であるメギド体が若干変化するなら、逆に言えば魂自体も何かの切っ掛けで絶えず変化しているとも考えられます。
 軍団「メギド72」において編成の「リーダー」にどのような意味合いがあるかにもよりますが、この「リーダー」という立場にある時、魂の「質量」のようなものが少しだけ強くなるのかもしれません。
 他を率いるタイプなら責任感であるとか、知性タイプなら仲間を平等に見渡せる位置で思考しやすいとか、あるいは単に軍団長的な立ち位置にメギドの本能が喚起されるとかで。

 その影響がまずリーダーとなったメギド自身に現れ、一時的に新たな特性のような力が現れます。
 高い質量を持つと強い引力を発生させるものですので、「リーダー」として一時的に変化したメギドの魂と、戦法とか何らかの理由で魂同士が感応しやすいメギドにも、リーダーの魂の質量に引き寄せられるように若干の変化が起きて、そのような現象が「マスエフェクト」なのでは無いかなと。

 そして、本編で未だ言及がされてないのは、これらはリーダー経験者含めたメギド全員にとって殆ど自覚の無い現象なのではと考えます。
 ユフィールの蘇生やメフィストの回数バリアなど、見過ごせない効果を持つメギドもいますが、多くは特定のメギドが「リーダー」になった時に限って10~20%程度で起きる事がある程度です。
「何かマルマルと一緒に戦ってると、たまーにゲンゲンの攻撃がいつもより痛くない気がする」程度の感覚で、本編の陰でも毎日のように様々な編成で戦い続ける彼らには、誰かが意識して話題にしなければ、気付いた所で真剣に考えるほど実感を持てる事で無いとしてもおかしくありません。だから今の所、たまたま気にして話題にするメギドが出てないのかもしれません。

 あるいはソロモン含めた全員、実は「編成された中のリーダー」という発想を持っていなくて、「○○がリーダーの時」ではなく「○○と一緒にいる時のごくたまに」という認識なので、ますますその時の偶然で片付けられているという事もあるかもしれません。
「不覚を取ったと思ったら、たまたま戦う余裕が残ってた」「たまたま二発ほど敵の攻撃を完璧に捌けた」という認識で、「たまたまちょっと特殊なフォトンを受け取っていた」とか彼らにとってはそういったちょっと不思議な出来事の理屈付けはネタに事欠かないでしょうし。
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