私は護る小人を   作:丸亀導師

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第13話 闇霊

巨木の下で相対するは、ウェルスとアルトリウス&キアラン。2対1の形となっているが、ウェルスに焦りは微塵も見ることは出来ない。

片やアルトリウスは、大剣を構え、キアランは短刀と曲剣を構える。

双方一歩も動くことなかった、数分後先に動いたのは、アルトリウス側であった。

 

「貴公は、何者だ。そのように気配を消すことができるのだ、それ相応の実力者であろう、名を名乗れ。」

 

「私の名は、ウェルス。かつて輪の都の騎士と名乗っていた、今は単なる放浪者の男だ。貴公等のその身なりから見るに、騎士のかたは、四騎士のアルトリウス。

女性のかたは、同じく四騎士のキアランとお見受けするが、何用でここにいるのか。」

 

二人へ威圧を込めた、声色で質問を投げ掛けるもアルトリウスは彼に、異様なものを感じていた。

輪の騎士は、それほど強いと言うものではない。それこそ銀騎士と同等が良いところだ。

だが、目の前のこの男は違う、まるで闇そのものが動いているかのようなものを感じ、背に嫌な汗を流す。

 

質問に答えたのは、そんな警戒を強めたアルトリウスでは無く、冷静な判断をしたキアランであった。

 

「貴公は噂を聞かないようだな、大王グウィンの龍狩りがあると、つまり私達がいるのはそう言うことだ。」

 

「そうか、あのグウィンも耄碌したものだな。かつては、一人で何十もの古龍を倒していたのにな。」

 

その言葉にアルトリウスは、怒りを込めて言った。

 

「我等の王を愚弄するな。」

 

「いや、すまないな。私にとってグウィンは戦友以外の何者でも無いからな。」

 

印象の悪い出会い、ここで互いに激突すると思われた…。

 

「アルトリウス、キアラン、何をしているんだ?皆帰りを待っているぞ。」

 

野太い声が緊張を絶った。

 

 

 

 

《銀座・ゲート前》ウェルス 早朝

 

民衆が集まりすぎて、寒い季節であるが熱気を発している。話を聞くに、どうやらロウリィを個人的に崇拝している通称変態と呼ばれる存在が集まっているということだ。

 

なるほど、その通称は的を射ている。頭に布の巻物をして、ターバン程ではないが、それでもそんなものをしつつ、旅に出掛けるような装備をしている訳ではない。

今か今かと、件の人物を待ち続けるその姿は、まるでソウルを求めて徘徊する亡者のようだ。

 

それが軍勢のように一ヶ所に集って詰められている。

そこへロウリィが現れた瞬間、海が割れるかのように二つに別れた。

こいつらは軍にでもいたのではないか、と思えるほどの統率の取れた動きだ。見た目はともかくな。

 

私達は何事もなく、ゆっくりとゲートへ向けて歩きだしそしてゲートを取り巻く施設の内部へと入った。

入る直後、時空の歪みを感じた。何者かが、この世界に迷い混んだ、ゲートを通じずソウル体ではあるがこの世界へと干渉をしている。

だが、私には関係ないこちらへは殺意を向けていないからな、標的は誰なんだろうか。

 

 

《銀座》あるCIA工作員 同時刻

 

俺たちが行う作戦は非常に簡単なものだった筈だった。

全員が配置に着き、合図を待ち続けること4分くらい経った頃だろうか。通信が入った。

どうやら日本の公安警察に嵌められたようだ。

 

緊急時の退去通信、急ぎ痕跡を消してその場から離れる。どうやら俺は逃げ切れそうだ。そうやって安心していたというのに、走る方向で赤黒い何か得体の知れないものが現れた。

 

人影が見えない時間帯だけに、大通りに出ることは出来ない、かといって買収できそうな相手でも無いことは瞬間的にわかった。なら、選択肢はひとつだけだ、強硬突破、できる限り使いたくはなかった銃を取り出し、こちらにお辞儀をして何やら剣を掲げながら奇妙な動きをしている奴を撃つ。

 

するとどうだろうか、全裸である筈の奴に当たると。痛みを訴えるように声を出すが、こちらとしては恐怖でしかない。なんせ頭に直撃したのに、生きているのだ。

 

あんな生物この世に存在して良いのか?良いはずがない。来た道を必死になって戻る、鎧の音が突如聞こえなくなった。撒いたか?そう思い立ち止まる。そして…、おかしいな、視線が天井へ向いて後ろを逆さまになって見る。そこで悟った、ああ死んだのか。

 

 

 

 

《銀座》駒門 数十分後

 

おいおい、こりゃ不可解な事が起きたもんだ。

俺たちが見張っていたCIAのエージェントが、こんなところで事切れてやがる。俺たちの追跡を振り切る程の手練れだったんだが、一体誰がやった、しかも痕跡を一切残してねえとはな。

 

「しかし、まあ見事に首と体がお別れしちまってるな。確か監視カメラをここに設置してあったはずなんだが、映像は残っちゃいないのか?」

 

「現在確認中です。事が事ですので、相手に気取られたくはありませんから。」

 

だよなぁ。あの国に宣戦布告するようなもんだからな。こりゃ、俺の首だけじゃすまねえかもな。

 

「映像の確認取れました。しかし…。」

 

「なんだ、いってみろ。」

 

「画像が乱れたあと、彼がいた場所が白い霧のようなもので塞がれて中が見えなくなっているんです。」

 

そりゃまた、超常現象か何かかね…。

 

 

 

この事が発端で同じような事件が世界各国で起こり始めた。それは、裏だけでは押さえきれない程に。

 

 

《イタリカ》アリス 同時刻?

 

はあ、書類仕事辛い、体動かしたい。皆と一緒に駆け回りたい~。どうして私のところばかり書類が来るの~。羊皮紙はそんなに安いものじゃ無いのに、こんなに来るなんて意味わかんない。

 

「失礼します。」

 

「入って…。なに?書類はそこに置いといて、完了したのは貴女から見て、左側にあるわ。」

 

はあ、また書類かな…。

 

「いえ、書類ではなくて、イタリカからの早馬で殿下が数日中に帰還なさると言うことで、件の篝火をなんとか消さなければイタリカ入城の邪魔になってしまうのです。」

 

ええ…。あんなのほっといて別の門から入れば良いのに。

 

「わかったわ。この書類が片付いたら行く。だから、ちょっと手伝ってくれる?」

 

 

 

《イタリカ》女騎士A

 

アリス、アリス・コ・メドッソ。

騎士団初期からのめんばーであり、殿下の側近にして平民の身分を持つ人物。

 

非常に優秀な人物で、書類仕事から戦闘をまで幅広い範囲で能力を発揮する多才な者。

 

私や他の騎士団のメンバーは、最初あの人に嫉妬していたけど、今は違う。尊敬以外の何者でもない。

私達が出来ないことを、さらっとやってしまうんだ。

 

でも、最近は少々お疲れの様子だから何か手伝える事は無いだろうか。

 

そう言った経緯で執務室に、連絡にいったけど正直きつい、こんなことを毎日やっていたなど気が狂ってしまう。気分転換に、何か別の事を考えよ。

 

そう言えば最近イタリカに妙な人物が現れたそうだ。

見たこともない、タマネギのような鎧を纏った人物だそうで、時折姿を見せるという。正直、嘘だと思うけどまあ一度は見てみたいな。

 

おっと、これで最後の書類かな。

 

「終わりました。まだありますか?」

 

「いいや、ありがとう。助かったよ。」

 

本当に尊敬出来る人だ。

 

 

 




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