アノール・ロンドそこは神々の住まう場所、その巨大な城はソウルの技術をふんだんに使用し、非常に強固に作られている。
その硬度は地上のあらゆる攻撃に耐え、風化をも防ぐという、恐るべきものだった。
周囲に広がる住宅もまた、神々の住まう場所。浄化の奇跡も相まって非常に清潔で、下水すら清水のようだ。
建物は、神々の平均的な身長2m以上の規格だ。
そんな所へ一団が帰って来た。鎧は激戦の中罅が入っていたり、血が付着していたりと戦いを物語っている。
巨大な大城門を抜けてきた彼等は、大声援を贈られアノール・ロンドに戻ってきた。
民衆は見る。その中の見慣れぬ鎧を来た小さき人がいたことを。出立の時、あれはいなかったあれは何なのか?自分達が虐げているもの、小人それが何故か一団の中にいる、誰もが疑問に思った。
それから数日中にパレードが開かれ、今回の戦闘で活躍したものに勲章と名誉が付与される。
その中でもアルトリウスと、キアランは讃えられ、王より土地を付与された。
そして、ウェルスの名が呼ばれた。
「今回の龍狩りで我々は、危機に見舞われた。しかし、そこで会ったのは龍たちだけではなかった。我が旧き友が、その危機に駆けつけた。皆忘れてしまった旧き戦、そのときの友。深淵の騎士ウェルス。絶大な力を持った神の一人、これでまた世は平穏となろう。」
神々は酔いしれる、自分達の世の中が更に良くなると。
ウェルスは、探すかつての友、そしてかつての思い人の
姿を。
《アルヌス》ヤオ
あの男との会見の後、私はある人物を探していた。
それは、若いエルフの娘テュカ・ルナ・マルソー。あの娘を龍狩りに引き入れる事が出来るなら、という条件がウェルスから出された。
どうしてあの男がそんな条件を出すのか…、何か意図が有るのかもしれないが、正直言って気色悪い。
何かとてつもない、執着というかそういう類いを感じる。
だが、今は私は形振り構っている場合ではない一族の運命を握っているのだ。
そう言えばウェルスは、鎧を纏うのが正式な姿だそうだが、あれを見てみたら、昔大ばあ様方が言っていた不死の騎士。黒い騎士とか、そう言うのに似ているのでは無いだろうか?
ただ、ウェルスは人間であるのだからそんな遥か過去に生きている筈はない。
継承者か何かの類いだろ。だが、もしあれが大ばあ様方が言っていた騎士ならば、私は正直どうすれば良いのだろうな?
正真正銘の化け物を相手に話をしなければならないのか?いやいや、今はそんな事は考えなくても良い。なんにせよ、テュカという娘を現実に目を向けさせるのが先だ。
《帝都郊外・皇室庭園》アリス
「そこ!料理を迅速に運んで!3番テーブルのメインが無くなってる。次に6番テーブル野菜が足りてない、迅速に用意して!」
全く騎士に成ったって言うのに、結局は給仕をやるはめになるんだから。結局私は貴族じゃ無いから、会食に呼ばれる事はないけど、それでも殿下が私が側にいることで、調子が出るのならこれで一向に構わない。
何より、書類とにらめっこしてるより、こうやって体を動かしてる方が楽なのよ。
にしても、日本から来た料理人実に見事な腕前、私でなければ見逃してしまうわ。
でテーブルの方を見ると、あれ?おかしいなぁ、何であの人いるの?ジークバルドさん、鎧をとってる姿はまあ見てたけど、何でいるの?しかも、婦人の皆さんに囲まれてるし。
「すいません、そこの方、バルドさん。ちょっとこちらへ来ていただいても良いですか?」
「うん?おお、暫し待たれよ今そちらへ行くぞ。では、ご婦人方私はこれにて。」
何がさてご婦人方よ、どんだけ肝が座ってるのか正直見習いたい位には座ってる。
「ねぇ、ちょっと貴方、何でここにいるの?部外者立ち入り禁止よ?」
「そこは案ずる事はない。現在私は殿下より、正式に騎士団に迎えいれてもらっている。護衛としてここにいるのだ。何もおかしな事はないぞ。」
い、いつの間に。いい人なのはわかるけどそこはどうなのよ~。殿下は変わり者だけど、そこはちょっと気を使って!
「それはわかったけど、気を付けてよ!粗相の無いように!」
「ハッハッハッ。わかっておる。カタリナの騎士ジークバルドの名にかけて、粗相はせん。」
はあ、胃が痛い。誰か胃薬くれないかなぁ。
うん?あそこにも見慣れない男が、あれ?キアヌ・◯ーブスじゃね?あんな人いなかったよ!騎士団がどんどん訳がわからない方向に進んでく。ああ、どうしよう。
ウェルス
先程から給仕の女がこちらをチラチラと見ている。いったい何の用なのだろうか?
それよりも、まさかジークバルドがいるとはな、驚きだ。
だが、確か巨人ヨームは別の大陸に渡った筈だが…。まさかと思うが、乗る船をあいつは間違えたのではないか?心配だな、剣の腕は確かに立つがこう意味不明な方向に移動していたら、身が持たないんじゃないか?
今は気にしてもしょうがないが、いずれは教えてやらねばな。
にしても、この園遊会?
昔みたいに華やかというよりは、政治色が強いものだな。ギスギスしている、楽しんでいるのは一部の婦人方位なものか、いささか比較対象が旧すぎるか?
人不足だからと、補充用員を出されたが現地協力者とはめんどくさい者なのだな。
ヤオは、私との約束通りテュカを誘導できただろうか?
俺はテュカには信用されていないからな。何より怖がられている。
敵討ちを出来れば変わるだろうか?
小人のために、滅ぶべくして滅んだ神々のように滅ぶわけにはいかない。過去を繋げるものがいなくなれば、この世界は同じ過ちを繰り返すかもしれない。
火はまた灯る。そのときになって、火を使おうとしたら我々の努力は水の泡となってしまう。
~同時刻~
《中国・青海省》
人口衛星から見えるその大地は暗い色に覆われていた。
光を反射すること無く、全てを飲み込むのではと思われるその物体は拡がっていた。
今もなお対策がたてられ、焼夷弾を使用して焼き払おうとしたが、全てを呑み込みその体積は増すばかり。
打つ手はないと、諦めかけている。
もはや政府はそれを隠蔽する他無いが、宇宙からは丸見えだ。もはや他国に構っていられる状況では無くなっていた。日本への工作は打ち止めとなり、予算は大幅に削減され、この事態の隠蔽に全力を注いでいた。
それでも気付かない、闇の上に一人の老人が立っていたことを。
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