なにせ、自己満足の類いなもんで。自分で描きたかったものも描けているのかわからない、そんな作者の作品です。
それでもよろしければ、よろしくお願いします。
「ねぇ!どうして?何故私達と一緒に来てくれないの?貴方達がここに残る必要なんて無いのに!!
貴方達が悪いんじゃない!神々が悪いのにどうして!!」
ああ、夢を見ているのか。久しく見ていなかった夢を、私は眠りについているのか、この不死人がおこがましくも小人と生者と同じように。
「我等が貴公等と行けないのは、我等の存在が危険だからだ。それに、ここで食い止めなければ時代の亡者は、君らのソウルを求め、追うだろう。故に共には行けぬ。」
彼女が私の体を正面から抱き締めた。
「貴方達は危険なんかじゃない、今まで私達を護ってくれたじゃない!絶対に帰って来て!!皆も!!必ず!!」
皆それを聞いて笑っている。
全員が同じように、返事をし『約束』をした。
『必ず帰る』と。
―――――
《????年後》
《帝国領内直轄地森林開拓村近郊》とある女騎士
森の中を馬で駆けていく、まったくどうして帝国領、しかも直轄地で盗賊なんかが出没するんだ。
だいたい、帝国の近衛とか軍団はいったいアルヌスへ向けて何のために行軍をしているだ?
領内の治安を護るのが兵の仕事だろ?それをほっぽりだしてなんて作戦を出すんだ!
私達薔薇騎士団が、こうやって向かわなくちゃならないなんて、末期も良いところだぞ!
進行方向に黒煙が見える。村が焼かれているのだろう、急がねば手遅れかもしれない、しかし今ここで奴等を逃がせば次の被害者が生まれる。
殿下もモルト陛下へ治安維持の事を直談判しに行っていたが、それすら無視するほどのものが、アルヌスに有るというのか。
まったくもって気に食わない。
『キーン、カーン』
村の方から何やら剣を切り結ぶ音が響き渡って来る。先程の馬の足音しか聞こえないものとはうって変わって、その音がする。誰かが我らより先に到着し戦っている。
『あ゛あ゛あ゛ぁ゛お゛れ゛の腕がぁ゛ぁ゛』
今度は絶叫だ。だが、村人のものにしては現状を理解し過ぎているのでは?
「皆急ごう!村で何かが起こっている。被害が広がる前に!!」
殿下言われなくともわかっています。だけれど、目標を持たせるのは、皆の意識を一つにするので良いことですが。
私達が、到着する頃には剣騒は止み、血深泥の広場が見えた。幸いな事か、村人に死者はなく全員が村の外へと避難していた。そして、戦いを木の上から眺めていたようだ。
広場の中央に一人の人影がある。その鎧には返り血が付着することなく、まるで今出来たばかりの鎧のごとき輝きを放っているが、手に持つ刃には切り裂いたであろう血肉がべっとりとこびりついている。
肩で息をすることなく、奴は中央から我々を見ずに言った。
「ああ、敵では無いようだが、もし向かってくるというならば、相手はしよう。」
殿下が前へと出る。警戒されぬように、剣に手を掛けず。
「我が名はピニャ・コ・ラーダ、皇帝モルト・ソル・アウグスタスの娘にして、この薔薇騎士団の団長を務めている。貴殿の名を聞きたい。」
ゆっくりとこちらを見やる。
その顔は兜に隠れ、顔をうかがうことすら出来ない。
鎧は暗くまるで、闇により鍛えられたかのようなものだそして、中心には何かを模して描かれた《欠けた円》。その上から雪よけのように、羽織を着ていた。
「我が名はウェルス。輪の都のウェルスだ。」
輪の都?いったい何処の国だ?そんな国産まれて此の方聞いた事もない。だいたい、なんだ?輪の都なんて言うセンスの無いネーミングは、もっとましな名前は無かったのか。それとも何か特別な意味が有るのか?
「聞かぬ名だな、輪の都とは。いったい何処の国の都なんだ。」
さすが殿下、肝が座っていらっしゃる。そのお言葉を王位継承権でも言ってくだされば、我々は全力をもって支持しますのに。
「そうだな、ここより遥か北に有る国だとだけ言っておこう。」
あくまで秘密主義と言いたいのか、だが
「横から失礼しますが、北の国の方が何故我々の国の村を助けようとしてくださるのですか?」
「助けを求められて『嫌だ』というほど、心は荒んではいない。では、貴公等に聞きたい。帝国の民である賊と、村人の命どちらが重くより大切なのだ?」
「無論村人だ。我ら全員答えはひとつだ。」
「では、それと同じ事をしたまでよ。それよりも良いのかね?村人達が村に入りたがっているのだが。」
気が付くと周囲には、民が集まってきていた。
そんな彼等と目が合うと、皆口々にいう。『騎士様を、此の方を殺さないでくれ』と、そう。彼等は私達よりも、ただ一人のこの男のことを、心配している。
まるで、これではこちらが犯罪を犯しているようではないか、これではいけないだが、こういう時どうすれば良い。貴族出の私達にはこの、彼らの気持ちが良く理解できない。
そんな時、我々の補佐役であり教官を勤めていたグレイ・コ・アルドが前に出てきてくれた。
「我々は賊の討伐を目的に来ただけだ、ならばこの村を臨検し、然る後に話を伺うだけだ。それで良いですな。」
不満も無さそうに騎士は頷きながら
「良いだろう。」
と答えた。
これが私達とこの輪の騎士との出会いであった。
そして、イタリカでもう一度合うことになろうとは思いもしないのである。
《コアンの森・エルフ村》原作百数年前
「テュカ、テュカ起きなさい。テュカ。」
「う…ん?何、お父さん」
「大長老たちがこの村に来たみたいなんだけど、見てみないかい?」
「大長老?ってなに?」
「皆の大お婆さんだよ。」
「うん!行ってみる!」
夢かな?昔の小さかった頃の。お父さんの隣には、亡くなったお母さんもいる。これは…、あの物語を聞いた日かな。
『今日は子供達に昔話をしに来たんだ。私がまだ若く、百にも満たなかった頃の話を。』
皆真剣に話を聞いてる。私もしっかりと聞いているんだけど、小さかったからあまり覚えてない。そんな話を。
『そこは始まりの地、灰の森。旧き神々の寄る辺、全ての始まりを告げた場所。その大地にあった英雄たちの話さ。』
《ピニャ達が村に到着した同時刻》
『テュ…テュカ、起きなさい。もう朝は過ぎてるぞ!』
お父さんの声で夢から覚めた。あの後いったいどんな話が続いていたのか気になるけど、今は朝ごはん作らなくちゃ。
「珍しいなテュカが寝坊するのは。」
「私だってそういう時は有るの。それよりまだごはん食べてないでしょ、お父さんは全然料理出来ないんだから。」
この日、私は知らなかった。この後炎龍がこの村を襲うなんて。誰もわからなかった。この村が地図から消えるなんて。
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