私は護る小人を   作:丸亀導師

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亡者



人類はどれに当てはまるのか。


第20話 知りうるもの

それは、突然の出来事だった。

小ロンドが闇に包まれたのだ。いったい何が起きたのか、神々には検討もつかなかった、しかしウェルスだけがその答えを知っていた。

 

「あれは、ダークソウルの暴走だ。」

 

彼の言葉に誰もが目を向けた、ダークソウルの暴走、彼が体験した事が有るものはマヌスがかつてダークソウルの研究をしていたおり、マヌスの中のダークソウルが暴走を始めたことがあった。

 

そのときは、ウェルスが対処し事なきを得た。それが、小ロンド中を包んでいる。

グウィンの恐れた事が現実のものとなるのか?古龍たちの復活。小人が古龍の力を得る。それだけはならないと、そこに人員を派遣することになった。

 

万全を期すために、アルトリウスを筆頭に銀騎士たちが集められた。そこにウェルスが口を挟む

「君たちでは飲み込まれる」と、「私だけが対処出来る」と、そう言って。

 

しかし、グウィンは意地でもアルトリウスたちを派遣することに固執した。渋々ウェルスは、了承しアルトリウスと契約を結ぶ事となった。

深淵を歩く、即ち神を辞めるという事、その指輪を付ければ神ではなくなる。

 

銀騎士達は恐れた、自らの力が無くなるのでは?と、アルトリウスは違った。それを受け入れ、指輪を手にし小ロンドの深淵へと入っていく、ウェルスはそれを傍観するのではなく、共に歩んでいった。

 

深淵への対処をアルトリウスに伝授していく、ソウルの闘いでの使い方、ダークソウルの性質、そして深淵の特質。二人で歩み、四人の公王が居るであろう場所に付くが、そこには何もなかった。そう、深淵に溶けてしまった。核が無いものには対処のしようがない。

 

ならばと、ウェルスはグウィンに言った封じる方法を、そして三人の小人が輪の都から派遣され、封印を行った。この三人は後々ある不死人と出会うこととなる。

 

 

《アルヌス》ヤオ

 

ウェルス、奴が帰って来た。私はテュカへの焚き付けを終えたことを報告した、そして今すぐにでも行こうと言ったが、「今はだめだ。」と返された。

約束と違う、やはり彼だけでは頼りにならないな、ならば私があの《伊丹》という人物に頭を下げるしかあるまい。

 

そう決意していたのだが、もう一人の怪我を負ったエルフが目に入った。もしかすると、こやつも関係者かと思ったのだが、違った。なんと帝国の皇太子の奴隷となっていたのを、ウェルス等に救出されたという。

 

今は、これが現実かどうかわからないとそう言っている。彼女はどのエルフとも種族が違う、未知の種族だ。それに、実年齢は我々の長老達よりも遥かに長生きと言うことがわかった。

 

そして、彼女は話し始めたこうなった経緯、そしてあのウェルスとの関係を。

 

それは、昔まだエルフという種族が確立されていない時代、巨大な白き龍が不死を手にいれるためにかつて存在した小人という種族を無理矢理、歪めて作られた。

それが、我々の先祖だということ。

 

そして、その龍からエルフ族を助けたのがあのウェルスという騎士、それと岩のような戦士だったそうな。

それが今から何十万年も前の話し。

血が薄くなれば成る程、寿命も縮んでいく中で彼女が最後のウェルスの関係者。

 

かつてエルフ達が『王』として頼った存在。

幼い頃の記憶の中でウェルスを見た事があるという事だけを覚えていた。

そして、かつての記憶のものが再び助けてくれた。

現実ではないかもしれないと感じていたのはそのためのようだ。

 

にわかに信じられぬこと、しかし彼女の回りの精霊たちは嘘はつかない。信じるしか無いのだろうか。

 

 

 

《アルヌス・》伊丹

何で俺たちが炎龍退治をしに行く、何て話しを柳田の野郎が言いやがった!あんな化け物相手に部下を、殺しに行くようなもんじゃないか!!

 

そんな思考を先読みするかの如く、柳田は矢継ぎ早に言った。

 

「そう言うと思ったからな、あのウェルスとか言う男を向かわせる事になった。龍退治の話を聞いていたときから、眼をギラギラ輝かせてたよ。ただ、あいつからの条件は、こちらから選抜で人を寄越せと言ってきた。力が強すぎるからだとさ。」

 

ウェルス、いったい何を企んでるんだ?あいつなら、一人で狩に行くのも気が楽だと言いそうなもんだが、何故だ。

 

「なんにせよ、お前はたぶん行くことになると思うよ。ああ、これは俺の奢りだ。というよりは、謝罪の前倒しだ。」

 

柳田は、歩き出しながら言う。

 

「どういうことだ?」

 

「テュカちゃんに会ってみると良い、その意味がわかるさ。」

 

おいおい、ウェルスの話しに何でテュカが出てくるんだ!あいつ、まさかと思うがテュカに何か良からぬ事をしたんじゃ無いだろうな!

 

 

《アルヌス、湖》ウェルス

 

湖の畔、そこに二人の人影がある。一人は男、一人は少女と言った年齢だ。対面していることから、何かしらの出来事が起きたのだろう。

二人は会話をし始めた。

「こんな所で私に何の用が有るのかな?レレイ君。」

 

ウェルス、彼は少女レレイをゆっくりと見据えて尋ねた。それに対して、レレイは真剣な眼差しで答えた。

 

「あなたに、お願いしたい事がある。私にソウルの業を教えてほしい。」

 

「ほお、まさかまだあの本に誘惑されているのか?だったら、今すぐその呪縛から解放してあげよう。」

 

「それは、違う。私はあんなものどうでも良い。ただ、テュカの力になりたいだけ。」

 

ウェルスと相対するレレイは、非常に真剣であった。ウェルスがヤオを焚き付け、テュカに対して何かしらの事をなそうとしているのが、理解できた。

 

「良いだろう。ただし、ソウルの業は精神と体力を消耗する。ならば、基本的にはスクロールにまとめて置いた方が身のためだろう。それらを収納する力も、教えよう。基本中の基本、物質のソウル化からだな。」

 

当たり前のように、魂に物質を封じ込め保管する。それは、現代の技術の遥か上に位置するもの、もしも現代にそんな技術が有るのなら、きっと戦争の兵站概念は壊れるに違いない。

そんな事を、教えると言っている。

 

「ありがとう。しかし、私はもっと多くの事を知りたい。特に戦う術を、私は足手まといになりたくはない。」

 

「焦る必要は無い。時間なら有る、そう数日で覚えられるだろう。あの、才能すらなかった火継ぎが、数日で覚えられたのだから。」

 

修行は始まった。それは、かつて失われし力、その復元。それは、友の為と付けようとしている力、ウェルスはかつての自分を見ているかのように感じた。

 

彼女にダークソウルは無い、始まりの火の力も無い。火に染まった力が無いのなら、火に染まった深淵の力も無い。その事が後に良い事へと繋がって行く。

 

 

《地球・盃の世界》ある考古学者

 

我々がここに来て何日になるのだろうか?この世界でわかった事がある。この世界では、腹が減らない、眠気も無い、性欲のようなものも湧かない。

 

それは、まるでこの世界には初めから、そんなもの存在していないかのようだ。ヒエログリフを解読してみて、わかった事がある。

 

この世界はある女神の力により安定し、闇を封じ込めていると言うことだ。女神の名だけはまるで意味のわからない文字で書かれていて、誰にもわからない。

 

同じ内容の文章が様々な言語でかかれている。古代の文字という事が共通点だ。楔文字や、甲骨文字、果ては日本の神代文字?にすら見えるものまで、びっしりと壁にかかれていた。

 

研究者の中で、探索チームを結成して周囲を探索していったもの立ちは、この数日間連絡が取れない。

何かしらに巻き込まれたのだろうか?

 

少しだけ外に出てみたが、時間が狂っているのだろう。ピラミッドの外壁はツルツルの石灰石で覆われており、空に太陽があればきっと白く輝いていただろうが、この世界には太陽が無い。

 

その代わり、日蝕のようなものが空にある。

それは、まるで穴のようで全てを飲み干しそうだ。

 

『こちら、探索隊、人?を発見しただが、妙だ。皆、ミイラみたいに干からびてる、なのに何で生きてるんだ?』

 

そりゃ、ホラー映画みたいだな。

 

『冗談で言ってるんじゃない。だけど、こっちに見向きもしない、これじゃ亡者だな何の意味もなく壁を叩き続けてるのもいる。』

 

俺たちはいったい何処に来たんだろうか?

えっと?この文字は確か、青い血?だが、何を表しているんだ?全くわからん。

 

《東京・ある城》

 

そこに置かれるものは、輝きを放っていた。それは幻想的で、まるで神話や物語の中に出てきそうな、淡い光を放ち、闇を絶とうとするかのように辺りを照らす。

 

それに気が付く者はいない、しかしそれでも主を待つかのようにその勾玉は、輝き続ける。

世界で失われてしまった、神話から脈々と受け継がれる聖なるもの、その残り少ないものが。

 

《檀ノ浦》

 

海底が輝きを放っている。誰かがそれを言った。

スマホでそれを撮る人もいる。それは海の底に突き刺さり、光を放っている。闇を照らすその赤き輝きを。

 

それはいつしかニュースとなって世界の注目を浴びる。それは、かつて失われた宝剣。神剣。その力は衰えてもなお、真実を知るものを。血を継ぎし者を探している。

 

《神宮》

 

その鏡は写している。闇の世界の実情を。

その世界こそ、真実であるかのようにそれらを写す。多くのものを見、少なくなった力でそれらを捕らえようとしている。

 

火を写し、太陽を写す。その太陽は輝きはすれど、何処かおかしな所が散見される。

そこには、地表が出来た太陽が鎮座し、建物が見える。それがまるで、太陽の本体であるかのように。

 




評価、感想、誤字等よろしくお願いします。

草薙の剣の伝説には諸説ありますが、今回は檀ノ浦での紛失を扱わせていただきました。
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