ハーディ、彼女達は『生』と『死』の影響を受け、弱っていた。
火の近くに住む、神々と違い、他の大陸への移住という名の追放を受けた彼女等は、力を剥奪され今や小人と何ら代わりはない。
それはそうだ。何せ火を見つけるまで、身長や体格に多少の違いはあれど、神も小人も同じものだったからだ。
元に戻りつつあるだけなのだが、彼女達は世代を経ているが為にそれを知らない。
故に、火の大陸から来たウェルスに助けを求めた。
権能がない神々を救済する。ウェルスにとってはどうでも良いことであったが、もしここにグウィネヴィアがいたらどうしただろうか?と、考え彼女等を助けることとなった。
始めに既にあるソウルの業にプラスする形で、魔術を教えた。ソウルの扱い方、武器の生成等々多種多様な分野の知識を分け与えた。それぞれの神特有の学習によってみるみる回復していく。
それでも、火の大陸程の力はない。ここでウェルスは、可笑しいと思った。これではまるで、ウェルスが神でその他のもの達は小人のようだと、そう感じてしまった。
なんとも、立場の逆転がこの大陸では起こった。それは、彼にとっては衝撃のある出来事で、彼はこの時始まりの火に不信を抱いた。
火の力は有限であり、無限ではない。であるならばいつか必ず、火が消えるときが有るのではないか?
そう考えてしまったが最後、彼はこの大陸に火の力を使わない世界を造ろうと決心した。幸いな事にソウルの技術は火の力を寄り代にしていない、だが、いずれは忘れ去られるだろう。繁栄は古いものを淘汰する。
《アルヌス~シュワルツの森・ロドムス渓谷》ウェルス
やはり車は良いな、空の旅は正直飽きていた事だし何より、燃料が尽きても落ちることはない。まあ、あの程度の高さから落ちたとしても、どうってことはないがそれでも生物的恐怖はあるからな。
にしても車の中は賑やかだ、私は運転が出来ないがレレイがどうやら運転を覚えたようだ。私も覚えれば今後役に立つだろう。最も私のソウルに拡張性は皆無だが、経験を積むしかないか?
昼間の内は移動をし、夜間は行動しない。
行軍は強行しても良い事はあまり無いからな、疲労の蓄積が最大の敵だ。
そして、夜間の見張りは常に私が引き受けている。最も、伊丹やロウリィが共に起きていることが多いが、そういう時は基本話をするわけだ、寝静まっているときは、冷静になれる。
最初は伊丹からの質問だった、なぜレレイにお前の魔法を教えているのかと、聞かれた。
そして、かつて話したソウルのことも、もっと詳しく。
彼には元々そういう、魔術的なものに対する偏見じみた知識を保持していた。
世界は一つでないことは確認されていた事から、一概にそうとは言い切れないが、それでもその知識を覆すには、かなりの時間を割かなければならなかった。
レレイの事に関しては、理由を説明すれば素直に受け入れた。いや、納得したと言った方が正確なのだろう。
それに伴って、性格が変質し彼女自信の変化した部分を問われたが、少し感情が表に出やすくなった程度と言っておいた。それで安心するだろう、信じるかは別として。
ロウリィと共にいたときは、神話の話を聞かされ私にとって『神』とはどういう存在か問われた。
『神』私にとってはグウィンや、イザリス、ニトがそれに該当するが、正直あまり好きにはなれない。
いや、哀れと思っている、自分も含め、火の呪縛から逃れられぬそんな存在だったと。だからこそ、この大陸の神々は違った道を歩んだのだろう。滅びもせず、干渉も最小限にし、人の中から神を選び古きものは去っていく。
サイクルを創るには、どれ程の時がかかったのだろうか?最初の神となったものはきっと、あのものたちの長だったものだろう。こうなると懐かしい気持ちも出てくる。
彼女を探して到着したこの大陸の日々を。
一人思い出に浸っているとこずかれた、無視されたのだから当たり前か。
だから言った、「私にとって君達の神は、もしかすると友人かもしれない。たとえ、私の事を記すものが誰一人いなかったとしても、それは彼らの選択だ。」
首を傾げる姿は、正しく少女だ。だが、それでも少なくとも900年を生きるもの、それ相応の意味が有るとわかってくれれば良い。
そして、旅路は終わる終着点ロドムス渓谷。
さて、楽しい楽しい狩りが始まる。まあ、殆ど手出しは
しないが。
《帝都》アリス
オッス、私アリス!今ね、タマネギ鎧の後ろに居るのって、痛い痛い痛い!ごめんなさい↑タマネギじゃなくて、重厚な鎧ですよね!
全く、人の心を読めるのかしら?っとそれよりも
「何、一人でウンウン唸ってるんですか?」
「うーむ、最近どうも胸騒ぎがしてな、近くそして、遠い場所で何か覚えのある事が起きているような気がしれないと、だがその目的地がわからなくてな、悩んでいるのだ。」
目的地がわからないんじゃ、どうしようも無いじゃない。全く。
「ちょっと、貴方の感じた情景を教えてくださる?私が力になるわよ。」
そこで彼が話したのは、箱のような建物が黒い波に飲み込まれていく、そんな話だ。
彼が言うには、まだそのときでは無いらしいのだが、それって近いうちには起こるってことじゃない?
だとすれば…。
「ねぇ、それって多分ゲートの向こう側なんじゃない?殿下の話によると、そんな情景が広がってるそうだし…。」
「なんとっ!真か?だとすれば急いで
「火を継ぎに行かねばって。」
「なんたること、未だに呪縛に捕らわれているのか。だが、急がねばなんとして、カタリナのジークバルド、今助けに行くぞ~!」
凄い走って行っちゃったよ、でもそっちは逆方向なんだけどね。
《帝都・悪所》栗林
隊長がヘリを降りて、偵察隊は見事空中分解した。
私と黒川は、帝都の悪所にて引き続き情報収集の続きをしている。
この悪所駐屯地は、亜人の人達がよく来て情報の今どの出所は彼等、彼女等だ。
私たちは、日がな1日家の中や街で私たちの協力者を着々と増やしている。
そんな日々が続いた頃、私は変な夢を見るようになった。
その夢はいつも、草原や大地を多い尽くすような巨木。
湖、そして死体。
私の記憶にはない映像が、砂嵐混じりに私の中へと溢れていく。正直PTSDの一種なのではないか、なんて考えたことも有るが、自然と不安と言うものは感じない。
それどころか、感じるはずのない懐かしさを感じる。
そして、今日もまたそんな夢が有るのかと眠りについた。
ああ、夢だと気が付くのはいつも、真っ白な世界から始まる景色だ。
でも、今回は違う。私の視線の先には無数の巨大な龍が空を飛び交い、それに対してあり得ないほどの力を奮い続ける戦士たち。
銀色の鎧いを纏い龍に雷を突き刺すもの、暗い鎧を纏い全てを斬り殺すもの、炎を操る女性たち、龍を襲う瘴気。そして、打ち倒されたものたちを呑み込んでいく、暗いドロドロとしたもの。
一進一退の中、下にいる騎士たちは負傷し巨人たちは地に倒れ付す、私は負傷したものたちへ手をかざし、そこから溢れでた力は傷を包み込み、癒していく。
戦いは終わりが見えない。
瞬間場面が切り替わる。暗い鎧を纏った人を私が見下ろすが、直ぐに目線を地平線へと向ける。
私が初めて口を開いた。
『ねぇ、私たちの関係を父上に話して見ようと思うの。もし、それで了承が得られれば正式に私は貴方の元へ行くわ。』
『もし断れれば、私は君から引き剥がされるだろうな。どんな手を使っても。私はそれが怖いよ。』
『大丈夫、任せて私はグウィネヴィア、癒しの女神、どんなものでも癒して見せるから。』
『頼もしいな、だが少し待っていてくれないか?戦が終われば時間も出来る、それまで、良いかい?』
『臆病ね、でもそんなところが貴方の良いところ。愛してるわ、ウェルス』
彼と私は静かに、誰にも見られずにキスをした。
何か恥ずかしいものを見ている気分だった。ただ、きっとこれは夢じゃ無いのかもしれない、だってこんなにも涙が溢れてくるのだから。
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