この大陸に渡って幾年が流れたか、大雑把に言って300年程の滞在期間となった。たかがその程度の時間しか経過は無いから、技術的な革新が有るわけもなく、ただウェルスの技の模倣ばかりを行うものたちが、大陸に増えていた。
それでも彼の術は、飛龍を討伐するに程よい力と成り、弱き神々は、彼を尊敬し敬い何時しか彼を王にと言う声が出始めていた。
それをウェルスは拒んだ。自らは小人の身、神を統べるなど考えもしていない。種族が違うものを統治すれば、次第に不満が募るのは目に見えて明らかだ。
であるならば、自分達の共同体を作りなさいと、そしてウェルスは、王の座出なく、見返りとして一つ願いを叶えるよう彼等に言った。
その願いはその時言われなかった。そう、まだまだ必要ないと、旅に絶望したときそれを言おうと心に決めていた。
彼はグウィネヴィアを探して旅を続ける。大陸から戻り、力無き小人たちの国の変化を目にし、驚愕と共に感心を寄せた。
マヌスの作りし魔術を応用し、建築や運搬様々なものに利用している。特に、たった300年でこれ程の建造物をよくぞ造ったと、そう言いたいものだった。
もっとも、その時の小人たちの国に、ウェルスという古い小人の記録は存在しない。隠蔽されてしまったからだ。
故に端から見れば、妙な鎧を纏った騎士がそこかしこの建物を見学している、位にしか見えない。
それでも、嘗て蒔いた種が確りと芽吹いた事を目にして、久々に嬉しさが込み上げていた。ここはアストラの国、良く整備が行き届き、民が不自由無く暮らせる国。
だが、ウェルスは知らない。ここ2,30年でウーラシールが禁じられた術(闇の魔術、神々より禁止された)の研究をしているということを。そして再び時は数百年流れ、遂に滅びが始まる。ウーラシールの地の底の深淵が甦ったのだ。
《ロドムス渓谷》ウェルス
渓谷に就くと、さっさとヤオは長たちのいる場所へと向かった。我々を連れてきたと言うことを報告するようだ。周囲には黒き小人たちが、弓をつがえこちらを睨み付けている。威圧のつもりなのだろうが、私にとってはどうとも思わんな。
それにしても、酷い有り様だなまるで食い散らかされたテーブルのようなものだ、余った残飯すら根こそぎ喰おうとするとは、やはり現代の飛龍は嘗ての龍のような思考が無いのだな。
周囲には草木が生えていない箇所ばかりか、だいぶ追い詰められているようだが…。おや?なぜかこのソウルに見覚えがある、古い記憶だが、これは子供たちの生き残りか?はたまた、実験体の生き残りか?
まあ、どちらでも良いが、ソウルがだいぶ弱っている、今にも消えそうだが…。合ってみるのも悪くはないか。
それにしても、この大陸に来て十年すら経たずに、こうして子孫達に出会えるとは正に自衛隊様々だな。
っとそうも行ってられないか?お客様のご登場だ、正直護りながらの戦いは苦手なんだがな…。
あるダークエルフの戦士
人間たちがやって来た。ヤオが、彼等を連れこの疎開先へと連れてきた。
全く予想に反して、ヤオは彼等を連れてきてくれた。だが、ヤオの事だまた良からぬ者に利用されている可能性は有る。
特に五人の内の鎧を纏った人物、気配が人間のそれではない、もっと根源的に俺達ダークエルフ、いやエルフの種族に近しいものを感じる。
兜の下はまさかエルフでは無いだろうな。
警戒を強めジリジリと時間が経過していく、それにともない周囲への気配りが疎かになり、特に目の前に集中したのが、仇となった。
炎龍が俺の頭上から、口を開けて降ってきた。
一瞬の出来事、死を直感した。だが、俺は死ぬことはなかった、そう喰われる瞬間に鎧が動き出していた。鎧は炎龍を殴り飛ばした。
炎龍は、その鎧を一瞥すると威嚇をするように対面する。
その隙をついて、エムロイの使徒が一撃を加えようとハルバードを炎龍に振り下ろすが、その鱗に阻まれ傷をつける事が出来ないでいた。
緑の服の男が得たいのしれない物を担ぎ、エルフの少女にそれを握らせ炎龍に向けたが、結局それが何かをすることはなかった。
炎龍はその隙に逃げ出していた。
俺はただ、見ていることしか出来なかった。だが、現実的な存在で、エムロイの使徒は、きっとロウリィ・マーキュリーであろう。あの戦闘力は間違いない。
そして、緑の服の男は件の『緑の人』それとその従者?達。
だが、亜神よりもはやい段階で炎龍の事を察知していたあの騎士、炎龍が警戒する程の実力者。
これじゃまるで、大婆様が言っていた王のようだ。
とんでもない存在を連れてきてしまったかもしれない。
助けられた俺達は、長老達からの命令により彼等を向かい入れた。
《隠れ家》ダークエルフ大長老
あの日より幾万年、長い時を生き、多くの物を者をこの目で見てきた。
今は灰の大陸と呼ばれた我等の故郷は、遥か海を越えた先に有る。
このファルマートでの日々、始めは目にしたことの無い火の力が無い世界に、皆興味を抱き、方々に散った。
それから我等は文明を築き、嘗ての技術を取り戻していった。
そう、肉体を持っていたこの大陸の神々と、戦争を行うまで。私たちはその不死性でもって、神々と互角以上に戦い、後一歩という所まで追い詰めた。
だが、神々は肉体を代償に私たちの力を限定的に封じ込め、戦争は私たちの敗北となった。
完全な不死を失い、寿命を持ち、殺されれば死ぬ。力を背景に培った技術は衰退し、国は崩壊。様々な種族に人間という者が現れ、我等を駆逐していった。
何処で道を過ったのだろうか?ああ、我等の王が懐かしい。我等を灰の大陸から逃してくれた、我等の王よ。
今や私の目は見えぬ、命も後少しで燃え尽きる。
そんな折、龍に里を滅ぼされ今や土の中で生きるのみ。
そこに光が差し込んだ、ああ懐かしい光が暗い火が灯り、そこに力がある。あの方が、私の元へやって来た今度こそ我等の悲願を達する為に。
嘗ての力を使い、
『ああ、我等が王よ、王ウェルスよ。やっと会えた、再び我等を導き、栄光を我等の手に!』
『それはできない相談だ。私は君らを護るとは言った、だがそれは外敵からだ。自ら滅びを歩むのなら、護る事もない。古きもの、かつてを知るものは滅ぶべきだ。欲深い旧き神々と、同じ道を歩んだものたちはな。』
『待ってください、私たちは貴方をのみ崇める為にあの、新しい神々と戦ったのです。それを、何故貴方は…。』
『私はそんなもの望んだことは一度もない。』
何故何故、ああ、あの総統に刃向かわなければ、こうはならなかったのか…。あの小娘の言葉をマルソーの言葉を、無視しなければ…。
私は間違えたのか、願わくば子供たちが同じ道に進まぬようにしたい。
《地球?灰の世界》学者探索隊
この世界はなんなんだ?俺達は確かに食われた、なのにどうしてこんなことは有り得てはならない、命への冒涜だ!
一度町から出ようとすると、ある一定の範囲に見えない壁が建てられていて一向に進むことができない。
ピラミッド周辺の古カイロの町までが、範囲だ。完全な安全地帯はない、俺達がここに留まっていてもいずれは、あの亡者たちがここに来て、バラバラに殺される。
勇気あるヤツが、何とか隠れながら進んでそこで力尽きたそうだ、篝火あれが俺達の命綱。あれを灯すことが出来れば次は、そこから進める。
最初こんなことが有るとは誰も思わなかった。だが、灯した瞬間、世界が敵に回ったんだ、俺達は進まなきゃならない。
それが唯一の手がかりだと信じて…。
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