私は護る小人を   作:丸亀導師

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第27話 古き友

世界に不死が蔓延し、絶望が世界を覆い始め、小人の国に光が届か無くなり始めていた頃、ウェルスはなお逃げていた。アルトリウス達の分の追っ手を引き連れて。だが、有るとき状況が一変した。

 

グウィンが、その身を火にくべた。

その話がウェルスの耳に入ったのは、アルトリウス達がファルマートへ渡って、千年以上たった頃だった。

 

追っ手は、ウェルスを殺そうと躍起になっていたが、それが突如として止んだのだ。

それを不思議に思った辺りから、太陽の輝きが戻っていた。

 

ウェルスは確信した、延命を始めたと。

何を思ってグウィンは、自らを薪としたのかそれはウェルスにとってはどうでも良いこと。しかし、それにより小人はますます神々の事を尊敬し崇拝した。

そして、グウィンを奉った。

 

世界に現れていた不死人は、消え去ることはなく。ソウルを失った肉体が残った。それは、最初の火にくべられグウィンと共に世界の人柱となるのだろう。

 

その事にウェルスは例えようのない、悲しみを背負った。護ろうとしたものを、護れなかった自らの不甲斐なさと、神々の容赦の無さを痛感した。

 

神々にとって自分達の時代こそが大切であり、その他の事など関係ないと言わんばかりに。

それだけではない、小人はその事に異を唱える事もなく神々に同調する始末だ。

 

ただ、ウェルスも同情するものがいた。輪の都のフィリアノールだ。彼女は父であるグウィンを待ち続けている。輪の都は外の様子は見ることも出来ず、隔離された都。

 

彼女がグウィンの事を知ることは、永遠に来ないであろう事は紛れもない事実だ。幸いな事に、知ることが無いからこそ彼女の役割である、古き小人の封印に一躍飼ってるのは皮肉であろうか。

 

だが、ウェルスにとって思いもよらない事が起こり始めていた。白龍シースの軟禁から始まるこの出来事は、後に火の時代を象徴するものとなる。

 

それは、王のソウルの収奪。力を得るために自らが王のソウルを造り出そうとした、愚かな行い。欲が神々を奈落へと引きずり込もうとした。

 

 

《火山・表層》

 

ジゼルが発した言葉に、ロウリィは眼を見開いた。あの女好きの神がこの男を、わざわざ自分が出向いて話を聞かせるなどと普通あり得ない。

 

それが自ら出張ってくる。だが、神に肉体はないから寄り代が必要になるはずだと、ロウリィは考えた。それは事実であり誤りでもある。

 

事実、彼女等の目の前に、とても美しい女性が姿を表したのだ。これには伊丹や、ダークエルフの面々も驚いていた。まるで、奇跡でも起きているのでは?と思うほどに、それはまあ見事なものだ。

 

「お久しぶりね、私たちの師ウェルス。それともこう呼ぶべきかしら?深淵の神ウェルス。」

 

ウェルスは顔をしかめた、睨み付けながら嘗ての教え子に対して、それを止めるようにと言った。

ウェルスが神と呼ばれた事に回りは、彼を見る。

 

「ごめんなさい。でも、貴方が神に等しい存在なのは事実よ?それとも、彼等『火の時代の神』と同一視されてるようで嫌?私たちにとっては、貴方はその時代の神様みたいなものよ?」

 

「それでもだ。何のようでここに来た、従者を助けるためだけではあるまい?それに、火山の中にいる龍はお前の本命だろう。」

 

見てもいないのに、ウェルスは火山の中に龍の死体と別の龍がいることを看破した。まるでさも当然の事のように話を進める。

 

「龍については当たり。あれがいるなら炎龍なんていらない、必要なときに力を貸してくれる古龍は、本当に頼りになるもの。そのために、暗い魂の血が必要だったの、悪くは思わないで?外敵からこの星を護るためには必要な事だものでしょ?。」

 

外敵がなんなのか、伊丹等には検討が付かないがウェルスはある程度納得したものの、それでも嫌悪感が有るようだ。

 

ダークエルフやテュカにしてみれば、自分達の血に不純物が入っているせいで、殺された事に納得が行っていない。

 

伊丹からしてみれば、元来エルフの血液中に人間や他の亜人と別の成分が含まれていた事は、周知されていたがそれをあえて狙っての確信犯。

怒りを覚えない訳がない、それもよりによってテュカの身内を殺した相手が、目の前にいるのだ。

 

そこまでいって自然と銃をハーディに向ける自分に気がついた、他の面々も自然に構へ、ウェルスだけが話をする体勢になっていた。

 

「外部からの侵入者を俺が殺せば、食い散らかすのを止めると?」

 

「そう言うこと、話が速いと助かるわ。あっちの世界にいる貴方の王様が、こっちに戻ろうとしてるの。しかもそのために、あっちの火を飲み込もうともしてる。ロンドールの人達はそれを知らない。」

 

それを聞いたウェルスの瞳に光が射した。

退治するのをやめ、急ぎ足で下山をし始めた、呆気にとられる伊丹たち。

 

「何をしている早くいかねば、この世界も君らの世界も滅ぶぞ?」

 

「待てよ!!テュカの敵討ちはどうするんだよ!!」

 

「大丈夫だ、食われてない。似たようなソウルは感じられない。むしろ良くもまあ、あんな偽装を施したなハーディ。腕をあげたか?」

 

「お褒めに預り光栄よ。それよりどうするの?貴方達異邦人のお仲間があんなに来てしまったわよ?」

 

いったいどう説明すれば良いのだろうか?伊丹の胃はキリキリと痛む。龍退治どころか、派遣隊の編成までしてあるなんて、予想外だった。

 

彼等が、去った後、ハーディとジゼル、龍達がそこにいるだけだ。

 

「主上さん、あいつは主上さんの知り合いだったのか?」

 

「ええ、古い古い友人よ。でも、貴女も彼に感謝しなさい。彼が本気を出したら私たちなんて、一捻りだから。」

 

『お願いね、あれを止めることが出来るのは、火の力しか無いのだから。』

 

《ハーディ神殿》アッシュ

 

観光地となっている神殿に火守女と共に入るが、神のソウルを感知することが出来なかった。どこかへ出払っているのか?

 

また時間を開けていくとすると、決断するやいなや、この都市の観光を始める。

見慣れない景色、火守女はワクワク((o(^∇^)o))といった感じで、世界を楽しんでいる。

 

ああ、連れてきて良かったとつくづく感じた。食べ物も美味しいそうだ。俺は食べられないが、彼女が嬉しそうならそれで良い。

それよりも、神のソウルに興味が有るんだがどんな武器が出来るか?

 

っとまる半日たってしまった。そして、神殿から強大なソウル(今の自分からみればそうでもない)が溢れ出ている。

おお、あれは収集する会が有りそうだ。実に良い装備が出来るんじゃないか?

 

例えばそう、死神の鎌とか死者の杖だとか、そんな心をくすぐりそうな楽しい武器が!

うん?なんだい、火守女(かぼたん)そうじゃない向こうに行く方法を聞きに行く、だって?

 

そ、そうだよね。目的を忘れちゃダメだ。でも、でもだよもし拒否してきてらそのときは、やっちゃってもいいんだよね?

 

そうと決まれば、神殿の扉を蹴破りいざハーディとご対面!出来るわけ無いよなあ、周囲をぐるりと鎌を持った女性たちに囲まれちゃったよ。

 

「お~い、ハーディ話が有るんだ出てきてくれないか?大丈夫、ソウルを取ったりはしないよ。ちょっと情報を貰いたいんだ、向こうの世界への行き方の。」

 

そんな事を言ってたら、中から神官長らしき老婆が出てきやがった、まさかの不在か。

 

「申し訳ありませんが、主上は只今出掛けております。御会いする場合は百年でも、二百年でもここで待っていただけますか?」

 

ハキハキ言いやがる、そんなに俺はヤバイ奴かねぇ。

まあ、神のソウルが気になるっちゃ気になるが。

 

そんな時、後ろから火守女が言った。

 

「そうですか。では、せめてゲートまでの道案内をお願いしたいのですが。」

 

「それでしたら、町の行商人に聞いた方が早いでしょう。わかりましたら、出ていってもらえますか?」

 

冷たいなぁ、そんなに俺が怖いか。

 

 

《国連総会》

 

各国の代表が集まり、この議場を埋め尽くしている。

題目は、ここ数年における不明瞭殺人についてであろうか。

 

『赤い人』と呼ばれる殺人者がここ数年の間、世界に広がりを見せ、もはや一国の力では解決できないレベルに達している。

 

ICPO並びに各国の諜報機関からの情報が、国連へと委託され、国連が始まって以来初めてまともに機能している。

 

常任理事国の拒否権が棚にあげられ、常任理事国の地位は低下した。もはや、条文に構っていられない程に各国共、追い込まれていた。

 

この犯罪は無差別に複数、同時に行われ確実に人を殺しに来る。総会中出現され、警備を突破される可能性だって有るわけだ。

 

光る文字によって被害は少なくなっている、とはいえ事件が増加傾向に有るのは、紛れもない事実。

よってここに、国連始まって以来の常設軍計画が始まった。

 

『より迅速に派遣を可能とするために、平和が犯されているのを無視すると、国連の威信が弱くなる。』

 

そう思っての行動が、奇跡を生んでいる。

 

そして、議題は更にエスカレートし、常任理事国の内部へメスを入れる。強制力を持った国連に、常任理事国は拒否権を執行されたが為に、拒否出来ない。

 

事態は中国国内へと入っていった。

 

 

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