私は護る小人を   作:丸亀導師

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あらすじ

帝国領内に輪の騎士が現れて賊を勝手に叩きのめした。

エルフの村は今日も平和だった。


第2話 すれ違い

みすぼらしくも、大きく威容を振り放つ王城にて、玉座とそれに俯く一人の騎士があった。

 

「我等の王よ。いかが致しましたか?」

 

「ああ、ウェルスよ良く来てくれた。我が盟友グウィンが、近々古龍狩りを行うそうだ。そこで、我々にも狩に参加してくれと頼まれた。君はかの龍との戦の折り、多くの龍を倒したのだ。君が行ってくれれば、必ずや成功するだろう。」

 

騎士は、彼の王へまるで絶対の忠誠を誓うように頭を垂れ、顔を見ずに答える。

 

「私は王のご命令に従うまで、貴方様より与えられしこの力(ダークソウル)、存分に奮わせていただきます。」

 

「期待しているぞ。貴公には、10の騎士と40の新兵を連れて行ってほしい。経験を積ませてやって来れ。頼むぞ」

 

「御意」

 

斯くして、騎士は軍を引き連れて神々の待つアノールロンドへと歩み始める。そして、知るだろう裏切りとは如何様な物であるのかを。

 

 

―――――

 

 

《薔薇騎士団のいる村》原作開始数日前

 

村のあちこちに有る賊の死体を、私達はせっせと片付けて行く。村人達も一生懸命になって、片付けをするのは当たり前だろう。自分の家の前にこんな死体の山があったら嫌だし、何より臭いしハエがたかってウジが沸いてるのなんて、見たい人はいないだろ。

幸いな事は、村人の死傷者は隠れる途中で、転んで脛を擦りむいた子供位だ。

 

一段落着いたところで、彼の騎士と殿下、そしてグレイが村長宅を間借りして、話をしていた。

何を話しているのかと言えば‥聞き耳を立ててみよう。

皆も気になっているだろうし。

 

「ですから、貴殿には是非とも帝国の騎士になって貰いたいのです。それができなければ、我が騎士団に入ってもらいたい。」

 

「私にはやるべき事がある。その使命を全うするまで、誰かの下に付くなどと云うことはしない。第一私にとっての王は、ただ一人を置いて存在しない。」

 

おお、あのモード(通称我が儘モード)に入った殿下に対して、確りと話をしている。これは期待できる方ですね。これは是非とも我が騎士団に入ってもらいたい。

元々この騎士団には、老兵とかもいるのだ。今更異邦人を入れたところで、殿下の噂にまた一頁追加されるだけさ。

 

「殿下、恐れながら申し上げますが、彼は異国の者。話を聞くに探し人が有ると言うではありませんか。一時的な協力関係だけで良いのではないでしょうか。」

 

うぉい。グレイ、そんな事を言わないでお願い。ただでさえ私達の戦力は少ないのよ。一人でも多くして、殿下の王位継承を手助けしなくてはならないのに、貴方って人は…。

 

「聞き耳を立てている部下の事すら察知出来ない者と行動を共にするつもりはない。村長!」

 

えっ(;´∀`)?私の事に気付いたの?マジで?私のせい?私のせいなの?

そんな私を余所に、村長へと体を向ける騎士。

 

「村長、短い間だが世話になった。皆によろしく伝えておいてくれ。何れまた来るやも知れぬと。」

 

「わかりました。あなた様のお陰でこの村は救われました。これは私共の友好の印です。受け取っていただきたい。」

 

村長が渡したのは、太陽のマークが着いたメダル?なのかしら?

 

「待ってくれ、私達と来てほしいのだ!!」

 

「残念だがそれは出来ない。他をあたってくれ。それでは去らばだ。」

 

ドアを開けて私の直ぐ横を通りすぎていく騎士が、やけに煤けているように見えたのは気のせいだろうか。

 

この後、領内のパトロールをしながら私は殿下に叱られつつも帰路についた。

まさか帰還後、アルヌスが大変な事になるとはこの時は誰も知らないでいた。

 

 

《同日・コダ村》

 

うーむ、うーむ、うん?こんな本持っておったかの~。

あっ、そう言えばワシがまだ若い頃に、師匠から寄贈されたものだったか。確か、古いそれはもう古い、魔術の事が記されている本だと言っておったか?

 

長いこと忘れておったわ。だが、何故今になって出てきたのか。それにしても、長いこと放置していたのに、虫食い処か劣化もしていないとなると、逆に興味が沸いてきたわ。

 

「師匠、師匠。ここにいましたか。

相変わらず汚い部屋ですね。」

 

「五月蝿いわい。ところでレレイ何か用があるのか?」

 

「帝国の騎士達が師匠に会わせてほしいと、言ってきた。」

 

何?ワシを賢者カトーと知っての事か?それよりも

「言ってきたと、何故過去形なんだ?」

 

「今は老衰で昏睡状態になっていると言ったら、落胆して帰っていた。」

 

「何をしとるんじゃ!!噂になったらどうするというんだ。」

 

「でも師匠は争い事を好まないから、別に気にしないと思った。それに、師匠も良い年なんだから戦になんて連れていかせない。」

 

まったくこういう優しいところが有るから、可愛いんじゃ。そうだ、せっかくだしあの本をレレイに託してみるかの?

「レレイ、お主に渡したいものが有るんじゃが。ちと此方へ来てくれぬか?ほら、この本をやろう。」

 

何かわからないから、少し興味を持っているな。

 

「この本はワシが若い頃師匠から授かったものだ。しかし、長い間忘れていて、つい最近見つけたばかりなんだ。しかも、中には古い言語で書かれた文字で、読むことも出来ないと来た。そこで、お主がこれを解読出来るのではと思ったのだ。ワシにはもう時間は無いからな、レレイが好きなときに解読してくれ。」

 

「ありがとうございます。確かに難しそうですが、古い魔術が書かれているのですよね?なら、見たくない訳がありません。」

 

ほれこの通り、レレイは興味が有るものにはとことん追求するクセがあるからのぉ。

伊達に幼き頃から、師をやっているわけではない。

しかし、帝国がワシに援軍要請でもしに来たか。何をしようとしているんだ、あの馬鹿どもは、まさか伝説に聞く異界の門を開くつもりではないだろうなぁ。

もしそうなれば、ワシにも考えがある。

少しずつ逃げる支度でもしておこうかの。

 

 

 

《数日後》

 

《イタリカ》

小さくもなければ大きくもない、帝国の一般的な街。

帝都ほどじゃないが、馬鹿にはできないくらいには発展してる。それに、食料が豊富にあって皆腹を膨らませる毎日だ。

 

さて、ここからが本題だ。最近帝国軍が大量の小麦、干し肉、ドライフルーツ、塩を買いに来た。

しかもその量が半端じゃない。

どこか大国とでも戦争をするんじゃ無いか、とか考えるくらいには、買い込んでいった。

 

商人連中は、その話で持ちきりだ。それだけじゃない、このイタリカの兵力も投入しようとしてやがる。

今の領主様がいなくなったらこの街はおしまいだなあ。

アハハハ…。マジでどうすんだよ。

皆この事態に何にも思ってないのか?可笑しいんじゃねぇか。

 

なあ、騎士さんよお願いだから俺たちを見捨てないでくれよ?あんたが何処から来たのか知らないけど、この街には今はミュイ様しかいないんだ。あんたならあの娘を助けられる。そんな気がするんだ。

 

っておい、いかないで来れ。「何が、他をあたれだ。」

他なんていないんだよ!

『ダークソウル』の『輪の騎士』みたいな格好してるんだから、きっと強いんだろ?

 

後日この男は路地裏で、変死体として見つかる。

普段からおかしな行動をしては、人を不幸にする厄介な口だけ達者な男だったそうだ。

 

 

……さらに数日後、帝国軍敗北の報告が来たとき、あの変人の予想は正しかったのだと、皆悟ったそうだ。




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次回、コダ村到達
君(炎龍)は生き残ることが出来るか。
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