火の陰りが始まり、小人達の国の光が沈むようになってから、300年の月日が流れた。
小人達の間には嘗て存在した不死人が、現れ再び世界は荒廃の一途をたどった。
それを憂いた数少ない神が存在した。小人の国を護る神の一人、ハベル。彼はグウィネヴィアの巫女達の消息を探りながら各地を周り、小人達に知恵を授けていった。
彼が旅を続けていく内に、巫女達がどうやらシースの元へと集められ、何やらきな臭いことをやっているという情報を元王の刃から得た。(王の刃は解散、暗月の剣にとって変わられた。)
そして、ウェルスとハベルは偶然にも再会してしまった。二人は同じ事を考えていた、『巫女達を救うにはどうすれば良いのだろうか』と。
そして、二人は結託しとてつもなく強固な結界の中に身を投じる。
一方アノールロンドは、ここ百数十年の間に劇的な衰退をしていた。嘗て多くの神々が住んでいたその地に残った神は少なく、銀騎士すら全盛期には程遠い力量であり、数も少ない。
何よりも王のソウルを保持するものが、書庫のシース唯一人というのも悲しいものだ。
彼?彼女?は自らの悲願を達成するため、巫女達を異形へと変貌させていく。あるものは蝶となり、あるものはスキュラとなった。
その中でいくつか成功に近いもの達が生まれる。彼女等は、筋力は小人程度であるが、異常なほどに強い魔力を保持し、ダークソウルをその身から垂れ流す。
それゆえに、不死に近い。だが、シースの抱く不死とは違う。『完全なる不死』その答えは、いつも近くにいた。
始まりの火の一端。ダークソウルを強く持ったもの、『小人の王ウェルス』深淵に捕らわれしもの、その力は多岐にわたり他の王のソウルをまるで一つにしたようなもの。だが、非常に暗い。
シースは彼を見ていた、故に小人を実験材料に最適なものと考えていた。
いつものように、実験をしていると乱入者が現れる。
そう、ウェルスとハベルが。
《地球・国連》
ちょうど栗林から光が発せられているころ。
国連では赤黒い影の殺し屋、(国連命名・ファントム 和名亡霊)
に対する対抗策が検討されていた。被害者の共通点を発見したためでもある。
それをやっとの事で見つけ出し、対応に勤しんでいる。
共通点は、何らかの武術或いは武力を保持していること。
つまり、現役の軍人や警察果てはオリンピックのフェンシングや柔道まで多岐に渡る。更に言えば、何かしらの理由で人を殺めた者など、が最有力候補だ。
まるで狙い済ましたよう、そういう人物が標的になっている。『神のご意志だ!』そう声高に叫ぶ信奉者もいたりするわけだから、宗教が非常に売れる売れる。
懺悔なんかも頻繁に行われ、今21世紀にも関わらず中世ヨーロッパレベルにまで宗教の力は 強くなってしまい、一方で信じない者を差別し、撲殺するなんて事件も起きたりするのだから、亡霊は減るはずもない。
話が反れたが、国連は今非常に上手く動いている。邪魔物だった常任理事国の力を剥がしただけで、余りにも効率良く動いているのだ。
それは、如何に常任理事国が人を多く殺しているのかと言うものに繋がるのだろう。
だが、この国連の一連の動きには暗い影があった。
対応が余りにも早すぎる事と、事務総長に権力が集中しているところだ。
凄く優しそうな見た目から想像できない、活力のある指導者。彼が言う事は基本あっている。逆に言えば彼の言うことに間違いが少ないからこそ、皆彼に付いていこうとする。
そう、国連は今一人の独裁者によって見事に動いている。
来日も来日も地面の文字の解読をしていた彼等は、遂に光輝く文字の解読に成功し、どういう人物が現れるのか、と言うものを読みといた。
そして、その原理を古い言い伝えに沿って行い、多少のアレンジを加え文字を穿ち会話に成功したのだ。
それが、本会議で提示されこれにより反撃が開始される。それは、果たして吉となるか凶となるか。
そんな中、中国国内のことは議題に上がらない。情報の遮断により、どうにも手を浸けられなくなっている。
それよりも、目の前の事に躍起になっていると言うこともあるが…。
《中国》
ドロドロの化け物たちとの戦いは以外にも、善戦していた。善戦と聞こえは良いかもしれないが、範囲を広げていないという意味では良い勝負だろう。実に物量は正義と言えよう、惜しむらくは精度が若干悪い事くらいだろうか。
それでも、ドロドロは永遠に動き気持ちの悪い人形を作っては、進軍を始めている。
その永遠に続くとも言える動きは、果たして人民解放軍の物量を僅かだが上回る。
むしろ弾を叩き込めば、叩き込んだだけ膨らみ量が多くなってきている。何れは戦線が崩壊するだろう。隠蔽体質が最悪の展開を産み出そうとしているのは、上層の官僚達は既にわかっているが、所詮は独裁国家。
首席の指示には抗えない。
唯一の救いは、兵士の中に規律を守らず映像を海外に流す不埒者がいることであろうか?これによって人類は、改めて危機感を募らせより一体化が進んでいくことになる。
《アルヌス》
医務室から光が広がり、辺り一面を覆い隠す程にまでその閃光は大きくなっていく。
それは会議室でも例外ではなく、慌てて体勢を建て直すために至急、部隊を展開させていく。
そんな中、ウェルスだけが周囲と違いその光を見て懐かしさを感じていた。
『ああ、やっと見つけた。』
そういう感情が顔から滲み出るほどに、気色悪い光景だ。
周囲がその光を取り囲むなか、ウェルス唯一人が光に近づいていく。まるで、光に誘われる虫のようにゆっくりと確実に近付き、失くしてしまわないようにゆっくりとその光に触れた。
するとどうだろうか、辺りを包んでいた光は消え元の姿へと戻った。しかし、医務室では有る事が起こっていた。
黒川、彼女の目の前にいたのは、栗林の身長が伸びればきっとそうなるだろうと思われる人物だった。
その女性は黒川に目線を送ると言った。
「怖がらないで、彼女栗林は私と交代してもらってるだけだから。」
「貴女、志乃さんを何処へやったの。」
彼女はその女性を睨み付け、対峙する。得たいの知れないその女性は、高身長と言われた黒川よりも頭一つ大きく、欧米人と大差ない。それでも異様と言えるのは、女性の瞳が金色に輝いていたこと。
「さっき言ったとおり…。そうね、貴女達はオカルトな事をあまり信じなかったね。」
「何を言ってるの?この世界に来たからには、オカルトな事だって信じる。だけど、貴女からは生きた人間の感覚が伝わってこない。」
女性は少し残念そうな顔をしながらも、理解したかのように頷き説明を始めた。
「私は貴女方とは違う命の理の存在、神という種族とでも言えば良いのかしら?でも、元々は同じだったから
人と書いて神と読める、そんな存在。
それと、この子は私の血を濃く受け継いだ一族。だから私のソウルが彼女に宿ったの。」
「それが何故、志乃の肉体を奪う事に繋がる!!」
「それは、後で話すわ。彼が来たから。」
そう言うと、扉の方を向いた。つられて黒川もそちらを向く。すると、ウェルスが扉を開け入ってきた。
「お久しぶりです、グウィネヴィア。長いこと探しました、まさか別の世界へ渡っていたとは…。それに、どうやら血の契約をしたのですね。」
黒川の目の前で、危険人物二人が向き合っていた。どうやら女性はグウィネヴィアと言うらしい、しかもこの特地の出身。
「はい、ですが私がこの世界から去った本当の理由を、話さなければなりませんね。それと、周囲にいる方々もどうか剣を納めて頂けませんか?私はウェルスと話をしたいから、ここまでして最後の灯火を燃やしているのです。」
どうやら二人は知り合いのようだ。しかも、かなり親しい間柄だったのか、ウェルスが非常にニコニコしていたが、彼女の言葉で表情が曇る。
見たこともない、不穏なものだ。
「それならば心配ない、今すぐ別の神のソウルを調達し君に分け与えよう。そうすれば、君は必ず救われる。」
「ええ、そうね。でも私はそれを望まないだってそうでしょ?嘗てあなたが最も嫌ったものに、貴方自信がなろうとしてる。あの忌々しい、深淵に。」
黒川は二人を蚊帳の外から見ていた、口論する二人は何処かの中睦まじげに見えるのは、目の錯覚だろうか?それでも、同じ事を繰り返し言い合う二人。
「貴方は深淵の事を貴方達小人の王といっている。だけど、それは違う貴方こそ小人の王であり、深淵は貴方の記述を貴方の位を、貴方の民の記憶を塗りつぶし書き換えた紛い物でしか無いの!」
「だとしても、それを証明する術は無いのではないか?」
それを聞いて暫く考えた後に彼女は答えた。
「じゃあ、貴方はなぜ深淵を封印から解こうとしないの?」
「それは…あれには嘗ての理性が無いから」
「いいえ、貴方は潜在的に知っている。だから解ける筈の封印を敢えて解いていないの、でなければ貴方は小人を見捨てない筈よ?」
その言葉を聞いた直後、ウェルスは威圧を強める。まるで今の言葉を取り消せと言わんばかりに。
この一連の口論に間を割って入る者はいないように思われた…。
「おお、凄いソウルだ。どんな武器が造れるかな?」
町の外に有る広場に、灰の人、アッシュと火守女が歩いていた。ゆっくりとだが、確りとウェルスとグウィネヴィアに近付くそれには、太陽が宿っていた。
また、逆の方向には騎士アリスと二人の戦士ソラールとジークバルドの姿がある。まるで示し会わせたかのように、彼等はここ駐屯地に集っていた。
~四人の王が玉座に座し、一人の深淵が中央に立つ。彼等は儀式をするだろう、螺旋剣を遺骨を並べた場所に突き刺す。それは、王達のソウルを小さな糧として更に巨大な力へと変貌し、遂には世界を覆っていく。
それは、失われた灰の時代世界を襲った未曾有の大災害、火の時代の始まりだった。~
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