私は護る小人を   作:丸亀導師

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設定にウェルスの盾、と
『火の亡霊』を追加


第33話 深淵の監視者

ウェルスは古龍の頂を離れ、一人小ロンドを訪れていた。かつて、アルトリウスと共に封印した筈の地に、異変が起きていることを察知しての事だ。

 

到着してウェルスは、驚愕した。小ロンドが水底から現れ、かつての面影を残した残骸となってそこにあるのだ。いったい誰が封印を解いたのか、彼は気になった。

 

始めは、神々の誰かが封印を解いたと考えたが、神々にとって毒でしかない深淵を果たして解き放つだろうか?

そこで彼は思い出した、ウーラシールにかつて現れた、未来の不死人の事を。

 

まさか奴が解いたのだろうか、一体何のためにそして再び始まりの火が弱まることを知っていた彼は、ある回答にたどり着く。

薪になるために王のソウルを欲しているのか、と。

しかし、例え王のソウルを集めたからと言ってその力を我が物に出来るとは限らない。

薪と王のソウルは全く関係の無いものだ。何かに唆されているとしか考えられないが、かと言って深淵に浸されたまま放置した場合、その力が無くなる可能性だって有るわけだ。それを危惧したか?

 

兎も角ウェルスは真相を掴むために、小ロンドへと向かおうと立ち上がった時、ふと何者かが近付いて来たのを感じた。非常に懐かしい、あの時感じた不死の香りを醸し出す、上級騎士の鎧を纏った男が現れた。

 

「何をするために、王のソウルを集めているか知らぬが、そこまでして集めたいのか?名すら忘れた不死人よ。」

 

「……。」

 

「話す事すら忘れたか?」

 

無言で立ち尽くす騎士は、突如として駆け出した。ウェルスへ向け、クレイモアを叩き付けるもそれを瞬時に展開した盾により受け流され、パリィを強制的に行われた。

 

それにより体を剣で串刺しにされ、黒炎により焼き付くされた。体は最早存在しない。

だが、その数分後また彼は現れた。まるで諦める気配が見えない。

 

何度も何度も殺されても、決して折れる事はなくむしろ技術力が少しずつ向上していく。ウェルスは楽しくなった、久々に鍛え甲斐のある奴が現れたと。

最早ウェルスには、小ロンドの事などどうでもよくなっていた。むしろ目の前のこいつを鍛え上げることが、何より必要な事だと心の底から感じていた。

 

そして、もし自分に一太刀入れることが出来たなら、彼に深淵に対する指輪を授けようと考えていた。

それが、彼に対する試練だと思いに秘めて。

 

 

 

《中国・ある前線》ある兵士

 

目の前で殺戮が繰り広げられている。

俺たちは一体何のためにここにいるのだろうか、奴らの生け贄?それとも単なる餌か?俺はもう帰りたい、故郷に帰って家族と共に飯を食いたい。

何故だろうか、自然と涙が溢れてくる。

 

怪物には銃も砲も効果がない。まるで、何か目に見えない力によって守られているかのように、進んでくる…。

今も目の前に進んできた。この塹壕の中、うっそりとした巨大な体を動かして真っ直ぐに。

あぁ、俺の人生も終わりなのかもしれない。

 

そう思ったとき、何かが横を通りすぎて怪物に向かっていった。

向かってものに目を見やると、何と言うことだろう人形の敵が、ゴーレムのような敵と戦っている。

 

仲間割れか?そう思い辺りを見回すと、何と同じ服装をしたもの達が連中と戦っているではないか。

その動きは獣の如く荒々しく、または青白く輝く何かを杖から投影し、それがゴーレムに当たると何と攻撃が通じるのだ。

 

夢を見ているようだった、今まで俺達が殺っていたことを悉く否定された気分だ。

どうして、あんな剣で戦っているのに俺達の銃砲よりも敵を殺せるのだろうか?

 

終止目の前の光景に呆然としていた、そうしていたら分隊長が駆け足できて、反撃の合図だと言う。皆武器は弾の切れた自動歩槍に銃剣を付け、突撃を開始するのだと。我等は彼等に続くのだと。

ふざけるな、あんなの人間の動きじゃない、獣かそういう類いの化け物の動きだろ!

 

俺は敵前逃亡した、あの後突撃した部隊は壊滅したそうだ。

どうやらあの剣士達は俺達の国事、あれを掃除するのでは無いだろうか?そう考えるのが妥当かもしれない、何はともあれ、家族を率いて少しでも早く国外に逃亡しなければ。

 

 

 

《アルヌス》

 

ウェルスが帰還してから数日が経とうとしていた、未だに入国の許可は降りずにいる。彼はイライラすることもなく、ただただ黙って椅子に座り続けている。

 

何も口にすることすらなく、その姿はまるで石像のようであった。

そんな彼とは対称的に、伊丹達は栗林のいる灰の大陸への行き方を模索していた。

 

始めはC1による空輸も考えられたが、機体の航続距離の関係によりそこまで行って帰ってくることは出来ない。何よりも、灰の大陸は空気が灰に犯されていると言われている。そのため、エンジン事態にも吸入されることから、確実に停止する恐れがあるのだ。

そのため、人間が活動する場合は、粉塵マスク等の防護も必要となってくることだろう。

 

再編成された救出隊の面々がそれぞれ行き方を考えているとき、

 

「ウ~ム、ウ~ムムムム。おお、さっぱり思い付かぬウ~ム。」

 

「ああ、太陽よ俺に答えを授けてくれないだろうか、あの距離を移動する方策を俺に授けたまえ!」

 

ジークとソラールも座りながら、太陽礼拝をしながら考えを模索していた。

 

そんな彼等に天恵が舞い降りる。いや、連れてこられちゃった女騎士アリスが、提案をした。

 

「ねえ、あなた達が使ってるその篝火?って転送とか出来るのよね?だったらそれで言ったらどうなの?一瞬で行けるんでしょ?」

 

「いや、しかし物資はどうするのだ。我等は兎も角、貴公等は食べ物飲み物がなければ、死んでしまうぞ?」

 

「だからさ、あなた達のソウル?の業で運んでいけない?結構入るんでしょ?」

 

ソラールとジークがそれを聞き向かい合う。そして

『それで行こう!』と言うことになり、特地以外の人間初となる空間転移を行うこととなる。

 

救出隊へと連絡を取り、本部から帰還までの日数が一週間と限定された。

そして、伊丹を初めとした偵察隊の面々が揃い、ジークバルド・ソラール。そして、アリスそれぞれが篝火に手をかざし、そして辺りに霧が立ち込めそれが晴れたとき、周囲には灰の大地と、静かに埋もれながらも佇む巨城『アノールロンド』が聳えていた。

 

「アノールロンドか…。まさかここに再び来ることになるとは。かつての煌めきも、灰に埋もれるか…。」

 

「オオ、ここがかの神話の国、アノールロンドか。遠くから見たことはあったが、ここまで近くに来るのは始めてだな。」

 

「それで、『祭事場』って言うのはどこにあるんだ?」

 

「いや、地図を見ても仕方がない。なにせ、ここは時空が歪んだ場所だからな。」

伊丹が渋い顔をしているなか、レレイだけは冷静にあるものの気配を感じた。

 

「これ篝火が一つに繋がってる場所があるけど、ここのはパスが切れてる?」

 

「ウ~ム、どうやら別の場所へ行かなくてはならないようだ。それよりも、どうやらあれらに見つかったようだな。」

 

「そのようだ。伊丹殿、ソラール殿に付いて先に行っていてほしい。俺は『火の亡霊』を相手にしなければならないのでな。貴公等では、ソウルの削り合いでは足手まといになってしまう。良いな。」

 

バルドが城の方へ剣を構えると、錆びた銀色の鎧が向かってくる。それを合図に、ソラールは皆を誘導して行く。かつて、最初の火継ぎのとき駆けずり回った地、覚えていない筈もない。そして欠かさず七色石を道なりに落として、行くのであった。

 

 

そこは、記されざる神話の大地。全てが終わった世界。彼等を待っているのは希望か?絶望か。時間の狂った世界は、今なお、そこに存在していた。不死人は再びその地を歩み、一人の女性を受け取りに行く。その道はかつての巡礼の道出会った。

 

奇しくも、彼等が翔んだときと同時刻ウェルスは、特地からの援軍として地球世界に入場していった。自らを取り戻すため、無意識にも監視していたものを再び封じ込めるため、彼は旅立つ。

 

 

《灰色の世界》

 

3人は歩く東へ向けただひたすらに、道中に出くわすのは基本的に亡者たち、たまに野犬や牛等に出くわすがそれらすら彼等を襲う。

皆一様に干からびていることから、何かを獲ようと襲ってきていると、スーコラーは考えた。

 

武士はそんな事どうでも良いと、言いつつ食べ物になるものを片っ端から探していく。どうも、飯を食わなくて良くなったはずなのに、彼は執拗に飯を食べようとする。まるで、何かに怯えているかのように。

 

魔女はそんな二人を見て、まだまだこの世界にも面白い奴らが生きていたのか、と感心すると共に彼等のような者がこの世界には稀だと知っているため、容易に喜ぶことは出来なかった。

 

そして彼等はインドに到達する。彼等はそこで異様なものを見ることとなった。

なんと、あの亡者達が皆一様に座禅を組んで固まっていいるのだ。それになにやらブツブツと、唱えている。

 

いったいどうしたのか、何を思ったのか宇右衛門は亡者等に話しかけていた。

 

「貴公等は、なぜそのように座禅を組んでいるのか。それほどまでに、何を得ようとする。」

 

すると、全員が答えた。

 

『我等は至らなければならない。至って、この無限の地獄から抜け出さなくては、でなければ我々はあれらと同じとなる。故に故に故に……。』

 

後はこの繰り返しだ、壊れたスピーカーのように同じ事を延々と繰り返す。

暫く進むと、開けた場所大きな河の畔に付きそこにも、同じく亡者等がいた。

 

しかし、先程のものたちとは違い皆安らかな顔で死んでいる。どうやら甦る事はないようだ。

その中心に、一人の僧がいた。彼はただ一人で歩み、輩を侍らすこともなく、座禅を組み瞑想している。

 

3人は身構えた、その気配は尋常のものではない。かつて争ったエジプトのものと、同じ、いやそれよりも遥かに『偉大』な気配がそのものからは溢れている。

 

「何者かは解っている。まぁ、そこに立っていないで少し話でもどうかな?…自己紹介がまだだったね、私はシッダルタというしがない修行僧だ。」

 

この一体で最も強力なソウルの持ち主との対話が始まる。

 

そんな彼等を見る、白い影があった。

 




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