私は護る小人を   作:丸亀導師

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第36話 王達

二人の青年がウェルスを訪ねる。街で出会った二人は、今行われている火継ぎについて聞いてきた。

ウェルス程長く生きていれば、何か火継ぎの問題点を克服できるのではと、そう考えての事だった。

 

だが、この時のウェルスに火継ぎ前の記憶は存在しない、有るのは自分を失った後の記憶位のものだろう。

だが、それでも火継ぎの当事者に話を聞き自分達の考えを打ち明けた。

 

火継ぎを終わらせても世界は終わらないのだろうか、という考えを。ウェルスは言った、恐らくは世界は終わる事はなく、有るとすれば幻想は砕け真実のみが残るのだと。

 

彼等がその言葉をどう解釈したのか、解るものは無い。だが、その言葉に満足したのだろうか二人はその後故郷へと帰っていた。この後二人は国を興す、その国はドラングレイク。

探求の末その国は絶大な力を持ち、力 衰えし神々はその国に罰を与えること叶わず、それを見守るしかない。

そんな事があっても、火の力は衰えてまた火継ぎが行われた。

 

ウェルス達には一見して歓迎がないほどに静観を決め込んでいたが、世界は少しずつだが確実に暗くなっていく。そんな世界をウェルスは憂い、このときから山のような古龍の国から、いやこの大陸からエルフ(小人)の脱出を考えていた。

 

一方ドラングレイクの二人の王は不死人となり、始まりの火に没頭した余り間違いを犯す。古の岩の巨人達の秘宝を盗み、戦争へと発展する。

 

灰の時代を知るための数少ない手段として行ったものだが、誉められたものではない。だが、それにより失われた古の火継ぎの方法が解明されていくきっかけを生み出す。皮肉なことに、ディール兄弟の目的であった火継ぎを行わない火を造ることよりも、火継ぎに利用されるのだ。

 

そして、火が弱くなると共に世界に再び深淵が忍寄り着実に力を増していった。

 

 

 

《暗い穴》

 

伊丹達は下へと降りたソラールの後を追いう形で、下層へと飛び降りた。

パラシュートもない自由落下、伊丹は大嫌いな降下であるためもう、泣きそうである。

 

そして、灰の降り積もった場所にある魔方陣に見事着地に成功した。

目の前にあった光景はソラールが、触手を生やした龍?の様なものと戦闘を行っていた。龍というよりも、蛇?なのかもしれないが…。

 

そんな怪物と一人で戦っているのを黙って見ているわけもなく、自衛隊の各員は64式を即座に構え編纂し射塀物に隠れつつ射撃を開始するが、どうやら効果は無いようだ。

それでも気を反らす外に成功し、その隙にソラールが雷の槍を掲げるとそれが命中する。

 

するとどうだろうか、固い表皮をいとも容易く貫通する、まるでそれに対して耐性が無いかのように。

だが、砕けたところから再生していく。これでは戦いは持久戦になってきっと伊丹達は殺されるだろう。

 

必死にもがきつつも戦闘を続けていると、突如として白い雷が何処からともなく飛来し化け物に命中する。

その威力はソラールのものと比較することすらおこがましく、化け物の半身程を蒸発させた。

 

しかし、それでも急激に再生していく肉体それを追撃するかのように巨大な火が化け物を包み込み、断末魔を上げる。そして、再生途中の肉体を駆り猛然と雷が飛来した方向へと突き進む。それを5メートル以上の巨体が抑え込み、大剣が身体を引き裂く。

そして、小柄な男(それでも日本人の平均より大きい)が上空から一撃のもと剣を突き刺し、そこから有るものを吸収する。

 

ソラール、バルド、にはわかった。あれはダークレイスの吸精と同じものだと。レレイは感じた、生きた存在から無理やりソウルを吸いとっていると。

 

そして、化け物は動かなくなり、それと戦っていたもの達が伊丹達を見つめる。全員臨戦態勢に入り、何が始まっても良いように。

 

「おい、大丈夫かい?まさか、蛇に出くわすとは災難だな。」

 

聞いたことがある声だが、全員頭をひねった。こんなところにいるはずはない、なぜなら彼はゲートの向こう側にいるはずだと。

 

「ウェルスよ、混乱しているのではないか?あの様にこちらに武器を向けている、もしかすると隠れ里から逃げ延びたもの達なのかもしれぬ。蛇すら倒せないもの達だからな、大方里を滅ぼされたのかも知れぬし。」

 

どうやら、意思の疎通は出来るようだ。

伊丹は岩影から姿を表すと、彼等に話しかけた。

 

「危ない所を助けていただき感謝します。良ければ、お名前を聞きたいのですが、あっ私の名前は伊丹耀治です。後ろの者たちは、後から名前を本人から聞いて頂ければ幸いです。」

 

すると、四人が何やら話をして直ぐに纏まったのか、代表の体高3メートル程の男が話し始めた。

 

「私の名はグウィン、雷の剣士をやっているものだ。後ろの大きい彼は巨人の賢者ニト、後ろの女性は炎の魔術師イザリス、一番小柄なのが万能の剣士ウェルス。一応、皆格種族の王をやらせてもらっている。」

 

ソラールは固まり、バルドは絶句し眠り始め、伊丹等はその名前を思い出していた。

ウェルスから何度も聞かされた、《神話の王達》そして恐らくは彼はウェルス本人に違いない。彼の姿は今とは似着かないほど明るい人物に見えた。

 

そして、レレイは別の事を考えていた、この大陸に何故人が住まないのか。つまりこう言うことかと。

 

そう、ここは灰の大陸、時間が螺曲がっている。と言うことはいつの時代に繋がるかも解らない。なんともおかしい場所であると

 

 

 

《中国》

 

各方面で異様な光景が広がり始めていた。

今まで外へ外へと拡大しようとしていたドロドロが、内側に後退していく。決して敗北しているからではない、どちらかと言えば力を結集しようとしているのか?

 

中央へと戻っていく姿に、絶望していた兵は士気を取り戻し、破壊された防衛線は再構築された。

それどころか、進行軍すら計画される始末だ。

 

だが、どうやっても克服できない問題がある。兵器の効果が余りにも限定的過ぎると言う点であろう、例え弾を撃ち尽くしても敵は不定形で効果が薄く、更に吸収しているのか着弾点での爆発は一切起こらない。

 

そんな中自衛隊が所持する兵器だけ効果があった。

それは、何の変哲もないボルトアクションライフルだ。弾は6.5ミリセミリムド、何故かその銃弾は敵を屠り傷を追わせた。

 

ウェルスと言う超人以外では、始めての敵の損害に何か秘密はないかと問われる。そして、帰って来た答えは『魂を込めて造った弾は効果が有る』と言うものだった。オカルトのようだが、事実であるのだから侮れない。

 

そうこうしている内にも、ウェルスはどんどんと一人で奥地に進んでいく。彼の周囲には熱量の無い炎と、黒い雷が飛び交いドロドロは滅せられていくばかり。

 

それでも徒歩であるから、それなりに時間はかかるであろう。だからこそ、彼は時間を稼ぐ世界が兵器を変更するだけの時間を。

 

このときの派遣軍の歩兵銃は第一次大戦レベルにまで下がることとなる。

 

 

 

《灰の世界》

 

【覚者の慣れ果て】を打ち倒し、そのソウルを感じとることで、何が有ったのかを知ろうとした。すると、何やら人が来て彼を襲撃したのだった。

 

それも一人ではない、50人はいたであろうかそれをシッダルタは何やら武術でなぎ倒していたが、如何せん数が多く最終的には倒され、一部ソウルを奪われ最後に木と一体となるよう仕向けられた。

 

それが300(・・・)年前の事、時間軸の擦れが起こした奇跡的な最後。答えを得た者とは再び見えることは出来ない。

 

スコーラー一行は一路日本へと道を進む、宇右衛門が出発した場所だと言うが、彼が出発した時にはこのような神々のソウルが日の本には存在しなかった、そう言っていたが、最後の地に有るとそう伝えてくるのだ。

 

道中中国へと入っていく、そこでは秦王朝時代の鎧に身を包んだゴーレムが現れ、街の警備をしているように思えるのだ。

意思は皆無だが、その姿は実に頼もしい。のだが、人影何より亡者の影が形もない。

 

そして、それはスコーラー達にも悪く働くゴーレムは執拗に追ってくるのだ。

町中を所狭しと配置されているそれらは、追ってくる。

そう、人影がないのは単にゴーレムによって消されたからに他ならない。

 

町中をひたすら走るが道の解らぬ場所ゆえに、徐々に追い詰められていく。

すると、路地裏から声がした。

 

「おいっ!お前らこっちだ!」

 

声のした方へと進む。するとどうだろう、ゴーレム達は路地裏へは入ってこない、声をかけたのはこの男か。

無精髭を生やした、壮年の男名を訪ねると帰って来たのは名など無いと言う一点のみ。

 

ただ、郡県政を施工しただけなのに、何故儒学者どもは我を批判するのだろうか。という愚痴を話し始めた。

ああ、この国の形と良いきっと彼は始皇帝なのだろうと。スコーラーは密かにそう思ったのだった。




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