私は護る小人を   作:丸亀導師

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オリジナルアイテム

『王達の首飾り』

それはそれは古い時代の首飾り。3つの指輪が付けられたそれには、非常に強力な力が施されていたと言う。
しかし、今それに力はなく何の加護も無い。まるで、何かが欠けているかのように。


第39話 発現

罪の都、嘗ては栄華を極め名を広めた帝国も、時代のうねりに呑み込まれつつある。

だが、そこへ一人の旅人が立ち寄る、その者黒い鎧を纏い異形のソウルを保持するもの。

 

その者は、栄華を失いつつある帝国に、有るものを託す。それは、消えることのない炎。だが、別に暖かいと言うものではない。要するに炎の姿をした得たいの知れないモノであるということ。

 

それを得たことによって、帝国は再び盛り返した。だが、異変に気が付いた神々が警告を発した。

『その火を消さねば、国が人が燃えることになる』

彼等はそれを無視した。そして、一人の巨人に有ることを託した。

 

自分達の王となって欲しい、と言われる虜囚の巨人。友を人質に取られ、嫌々ながらも王となる道を歩む。

だが、それは突如として終わりを迎える。

 

まず、虜囚の身となった友が何者かの手引きで脱走を行った。巨人はそれを知らされる事もなく、脱獄した者を殺すために大鉈を振るう。

不死である友人をその手で殺しつくす。約束を果たすことも出来ない事となる。

 

更に帝国が、神々の逆鱗に触れ国民その者を燃やされる。

その炎は嘗て旅の者をから与えられた火と、同質の炎でありそれによって国が滅ぶ。

そして、王であった巨人も神々に連行され、薪とされた。

 

残されたのは、消えることのない炎。それを後の世に荒廃した街に、今も尚煌々と輝く姿を見た魔術師は後に神々を自らの虜囚とする者となる。

 

それから更に時は進み、火はますます陰る。全てに絶望し、火を継ぐことを良しとしない火継ぎ懐疑派の重鎮。エルドリッチは、神々を打倒するために、不死を喰らい伝説のダークソウルを得ようとする。

 

だが、それが神々に知れ渡るのも速くなっていた。王たちの刃の最後の仕事、それはエルドリッチの捕縛だった。最早瓦解寸前の神の都、そこにいるのは一人寂しく帰ってくる筈もない肉親を待ち続けた、一人の男神。

 

彼の命じた全てが、現実の者となり。ヨームを燃やし、エルドリッチを燃やした。

そして、数々の不死を炉に投げ入れ世界の荒廃を見つめ続けた。

だが、孤独を打ち払う身内が産まれる。可愛い我が子、自分には無い龍の姿。

それも長くは続かない。

 

《最初の火の炉》

周囲を取り囲まれている中、やっとの思いで栗林の元へとたどり着いた。

顔色も良く、元気な姿で伊丹達を迎え入れている。

 

「くり、大丈夫だったか?何かされたとかじゃないんだよな。」

 

「隊長ご迷惑をおかけしました。皆もね、まあ何かされたにはされたけど、私を助けてくれたみたいなんだ。厳密に言うと、魂に肉体が耐えられなくなってしまったから、余分な部分を切り落とした。みたい?ただ、体には害はないようなんだけど。」

 

『魂を切り落とした?』自衛隊の面々は驚いた、魂と言うものを削る術を持つ彼等に。

彼女の話の後、巨大な女性が自己紹介と共にある話をし始めた。

 

「良くたどり着けました。私は太陽の王の長女、グウィネヴィア。古い神に当たります。ただ、私の肉体は当の昔に滅んでいますので、今はこのソウル体、実体の無い姿で申し訳ありません。実は貴殿方にお話をしなければと思い、今こうしているのです。

私の時間は後僅か、急ぎましょう。」

 

矢継ぎ早に話をしようとする彼女を尻目に、ソラールは上級騎士に話し掛けた。

 

「貴公、薪になったと聞いたがそれがどうしてこのように姿を表すことが出きるのか。最早燃え尽きているのではないか?最初の火は消えたのだぞ!」

 

「あのウェルスとか言う奴が、俺に最初の火の1つ。ダークソウルを少し注いだらこの様さ。相応にあいつも衰えてるだろうが、何を思ったんだろうな?まあ、俺もそんなに長くはないよ?後数百年もすれば消えるさ。

君も灰なったときに、あいつに力を与えられたのだろ?それと同じことさ。」

 

そう言うと話を切り上げ、伊丹たちの方へと耳を傾けた。

 

「ですので、私のこのネックレスをウェルス様に届けていただきたいのです。貴殿方がその手に持っている指輪と共に。」

 

するとテュカの手にある指輪を見ていった。

その指輪は、鈍く金色に輝きネックレスと同調を始めるかのように、脈打ち出した。

 

「何で、金属が生き物みたいに動くんだよ。」

 

「私も存じ上げません。何せ父や母達の世代の技術です。それの継承を行ったものは、誰一人残っていませんでした。父達は私にこれを託した後、狂っていきました。」

 

「それで、これを俺たちにどうしろと言うんだ?」

 

「はい、ウェルス様に届けていただきたいのです。あの方は今、貴殿方の為に深淵と戦っていることでしょう。急いでください、今のあの方では深淵を倒すことは愚か、封印することすら侭なりません。あの方の命はもう長くは有りませんので。」

 

その言葉に一番驚いたのは、バルドだった。

 

「うん?何故彼の命は残り少ないのか?まさかと思うが、最初の火の力とはそんなにも呆気なく無くなるものなのか?」

 

「いいえ、あの方の肉体と精神が限界を迎えているのです。あの方は、とてつもない執着により今まで理性を保っていました。それが、薄れつつあるのです。貴殿方の正体に気付いたことによって。」

 

「それはどういう!!」

 

突如として地面が揺れ始めた。地震?いや、周囲の空間が揺れているのだろうか、次第に揺れが収まるが辺りの建物のうち幾つかが歪み始めていた。

 

「グウィネヴィア詳しく話す時間は無さそうだな、伊丹とやらこれは俺達からの最後の使命だ。それをウェルスのところまで届けろ。

ソラール、彼等を頼んだ、それとこの指輪を持っていけ。効果範囲なら深淵に飲み込まれずに済む。

ジークバルド、ヨームは一足先に向こうの世界に行っているだそうだ、彼の援護を頼むぞ。

矢継ぎ早に失礼だが、この空間も長くは持たない。元よりある方が可笑しいものだったからな。

俺も、後からそちらに行くから先に行っていてくれ。

さあ、螺旋の剣に触れよ。」

 

「おい!話はまだ始まってもいないんだぞ!それに、くりだって装備は!!何で鎧着てんだ!」

 

「その話は後、行くよ皆。」

 

栗林が手を翳すと、全員の姿が消えた。

 

「さようなら、私たちの子供達。」

 

「さあ、グウィネヴィア。貴公のソウルを貰い受ける。」

 

「ええ、喜んで。火守女、貴女の使命はこれで本当の意味で無くなります。名も無き不死よ、後の事頼みます。ああ、心配ない高々死ぬ相手を殺すのは造作も無いことだ。」

巨大な彼女は姿を消し淡く光輝くソウルだけが残った。

それを手に取り、騎士は螺旋の剣に手を翳す。

そこには誰もいなくなった、そして螺旋の剣が折れ、火は完全に消えた。

《灰の世界》

気が付くと伊丹達は灰色の中に立っていた。そこは太陽の光も星の輝きも皆一様に等しく灰がかり、正しく灰その者の空間。

だが、色が見えていると言うことは何かしらの可視光が発せられているのか、はたまた別の何かか。

 

恐らくそこは日本なのだろうが、何やら少し違う。むしろ文明レベルが低いと言うところだろうか。

江戸の町並みが広がるそこは、正しく日本。

 

時間がおかしくなっているのは、この世界でも同じ事。そして、何もいない。鳥の囀りも、ただ水の流れる音だけが聞こえてくる。

 

『何者だ!答えよ、さもなくばここで切り捨てる。』

 

突如として声をかけられた。気配を感じることもなく現れたるは、武士と、学者風の男、魔女のような老婆、中国の王族の格好の男、と言う共通点が皆無な集団。

 

どうやら向こうも向こうで突如として、現れたこちらを警戒していたようだ。

 

「まあまて、貴公等俺は太陽の戦士ソラール。そして、後ろの者たちは俺の友人だ!!決して怪しいものではない!」

 

「ハッハッ!太陽の戦士かね。面白い名前の者もいるもんだね、私の名前はエルヴィラ。ハンニバルを崇拝する者だ、まあよろしく頼むよ。」

 

変な宗教が変な宗教と出会い、意気投合するように二人は挨拶をし、親睦を深める。

周囲からはやはり奇異の目を向けられるものの、そんなもので折れるもの達ではない。

 

「おい、エルヴィラ。先を急ぐぞ、あの場所へ行かねばならない。接続点が唯一の脱出経路だ。」

 

「ちょっと待って、貴方達は本当に何処から来たの?何か時代とは違う結構ちぐはぐな構成だけど、だいたいこの世界は何?皆もそうよ、あんまりにも色々ありすぎて正直頭が着いてかないけど、それでも可笑しいことはわかる。でも、待って。少し考える時間をちょうだい?」

 

騎士アリスは必死に訴えるが、それでも全員の心は何故か帰還ばかりに統一されていく。

 

「おい、女騎士。この世界に俺達がいてもな、邪魔なだけだ。今も表層世界では、最後の王と深淵が殺し会をしているところだ、だからこの世界を使えるようにするために、一刻も早くでなくちゃならない。いいか?良いな!」

 

静止を聞くものはいない。最早伊丹たちすら、それに盲目に従うのみ。レールは終着まで続くだろう。

 

 

《中国》

 

激しさを増す中心部とは裏腹に外縁部では、じりじりと包囲を狭めていたが、それでは一行に拉致があかない。と、誰かが言い出した。

その時、一人の何の変哲もない軍人の一人が何かを呟いた。

するとどうしたことだろう、掌に光輝く雷が握りしめられ周囲に驚きが広がっていく。

その雷は、深淵を遠ざけ更には使用者の身体能力の向上等、様々な理があった。

 

果たしてそれが本当に良いことなのかは、解らぬところではあるがそれでも現状打破に世界は湧いた。

終わりそうな世界に光が点ったと信じて。




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