私は護る小人を   作:丸亀導師

45 / 45
最終話 燃え跡からやがて芽が出る

ウェルスがファルマートに戻り数万年の時が流れた。それでもエルフは、見つからない。

それは、もはや隠されていることを疑い様の無い程に、彼は頼みの綱であるこの土地の神々を探した。

 

だが、神々ですら姿を現さない。困り果てたとき、ふと他の生き物とは違う、生命と神々のソウルが混じった異質な存在の気配を感じた。大陸初の亜神の誕生である。

 

異様な気配を辿ってウェルスはそれに近づこうとする、もしかすると何かしらの鍵となるかもしれないと。

だが、何て事はないただの神に昇華されるだけで、特別なこともない。

 

だが、これにより神々が肉体を放棄した事を感じどうにかして、器に納めようと躍起になったようだ。

だが、彼にそんな事は出来なかった。

元より彼は魔術師ではない、もしもグウィンやイザリスのように、自らのオリジナルを造ることが出来るのならば、話は違ったのだろう。それでも数千年足掻いたようだ。

 

そうこうしている内に、嘗て空からの使者を打ち倒した丘で、またもやおかしな事が起きていた。

ここ数百年の内に急激に領土を拡大した帝国が、別の世界への扉を開いたらしい。

 

だが、あの矮小なる生き物にそのような技術が有るだろうか?いや、無い。

そこで、帝国へと向け、アルヌスへ向け歩みを進めた。だが、途中で有ることが起こった、何故彼がそうしたのかは解らないが、彼は襲われている村に立ち寄った。

 

そこで、何を思ったのか賊を打ち払い、村人を救った。

それが、彼にどんな良いことが起こるかと言えば、無いが。それでも、彼の中の記憶がそうさせたのではないだろうか?

 

もし、そうなのだとしたら。彼は根っからの善人だったのだろう、しかも極端な程に。

どんなに脅し文句を吐いたとしても、それは心の底からではない。

 

どれ程どうでも良いと思っていても、何処かでそれを否定する。そんな人物だったのだろう、そして神々はそんな彼を救いたかったのかもしれない。

でなければ、エルフを匿ったりしないし、気配を消したりもしない。

 

執着しすぎた彼を救うにはそれしか無かったのだろう。

彼は、歴史の表舞台から消えていても爪痕を残す、それはまだ世界が始まる前から変わらない。

いや、爪痕を残すのではなくきっと消されてしまっただけなのかもしれない。

 

私達は彼の子供達ではないけれど、それでも彼の意思を継ぐことは出来るだろう。

だけどね、彼の意思など誰も知らない。それでも良いのかもしれない、きっとこう言うだろう『老兵はただ去るのみ』と。

 

彼の消息は誰にも解らない、1人の英雄は誰も知らない王である。四人の始まりの内の一人である。

 

 

アリス・コ・メドッソ 著

 

~始まりの王達の物語~ 暗き光の王の章

 

 

《20年後》

 

ファルマート大陸にある帝国は非常に優秀な女帝の手により、腐敗と退廃を一掃し頑強な足掛かりを作り安定した国家を作り出した。

 

これは、単にゲートの向こう側の政府、日本と言う国に対抗するための庶民族の引き締めと言った側面が多かった。

 

どれ程までに技術的な広がりがあるのか、彼女は誰よりも理解しそしてそれを時には逆手にとり、日本らしい『強引な方法を用いない』外交をその身で押さえていた。

 

そして技術、特に兵器の分野においてある技術によって、その差を僅かであるが埋めた。

その技術は、ソウルの業と言われそれを扱った魔術は、物理的なものよりも(ソウル)そのものに直接的にダメージを負わす事を確立した。

 

どれ程強固な鎧を纏おうと、それを無視してソウルの魔術は他を傷つけた。

それは、戦車に対しても例外ではない。

 

地球でも嘗ての深淵との戦いのおり、ソウルの魔術によって幾千のもの達が死んでいった。

 

それを彼女は主戦力に組み込み、己の力とした。惜しむらくは彼女には、子供がいないと言うことだけだろう。

最もそれも、実の兄であるディアボの子を後継者として擁立するようであるから、存外気にしていない様子だ。

 

ただ、嘗ての識者によると嘗ての彼女の面影はなく、正しく鉄の女とでも言えるのだとか。

色眼鏡で見てはならないが、これからも私達と帝国の関係は続いていくだろう。だが、果たして日本にはどれ程の時間が残されているのか。

 

~ジャーナリスト・望月紀子~

 

 

地球、特にここ日本では新たな試みが行われていた。魔法、嘗て深淵との戦争の折りウェルスの手により与えられたもの、その一端である奇跡。

それは非常に強烈なものをもたらした。奇跡は魔術と異なり、学術的なものではないその神の物語と信仰心によって、力を発揮するものであった。

 

実際は火の時代以前の魔術であるから、学術的に証明しようとするもの達がこちらでも表れ、体系化されつつあった。

特に顕著であったものが、医療分野である。

 

他社を癒す太陽の光のような温もりは、実に多くの救われない命を救い、その恩恵を確実に日本は受けていた。

不治の病と呼ばれた癌も、間接などが完全に磨り減ってしまったものも、筋肉が骨へ変わってしまう大病も全てを癒すものであったからだ。

 

ここ20年で日本の医療は飛躍的に向上し、今では無くてはならないものと言えるだろう。

医療分野での発達は実に良いものだが、物事には裏と言うものが存在する。

 

元が古い魔術であった奇跡、それを会得したが為に兵器への転用も視野に入れられた。具現化した雷を固定したもの投射する。それが、雷の槍だった。

だが、もしこれを小型化しより連射の効くものとしたら、きっと対人様の兵器としては実に良いものとなるだろう。

 

何せ弾薬の重量が可能な限り0に近い、と言うものはものの扱いがしやすいことに起因する。

 

更には、ゲートの向こう側の過去の技術。核融合の実現に最も近づけるもの。太陽そのものの力、それを安定供給したもの、『始まりの火』それを研究するもの達が現れた。

 

地球世界は人口があまりにも多い、多くの研究者がそれを行えばきっと数十年の内にやりとげられると思われるが、今は研究は活発ではない。

 

~特地由来技術レポート~

 

 

ああ、この大地に足を踏み入れるのは久しぶりだ。灰だらけの我が故郷、その地下深くにある古都。

ボーレタリア、我が故郷何者も存在しない場所に四人だけがそこにいた。

 

四人はそれぞれ知能を持ち、各々の出来ることをして助け合った。懐かしい日々が甦る。

だが、それも今日までだ。もう、私の出る幕ではない時代は灰の時代ではない。火の時代でも無い。

 

生命の時代、嘘偽り無き現実の時代。我らの生きた時代とは違う血のかよった、暖かな時代。

私はここに座して、己の内にある火に息を吹き掛ける。

 

火は揺らめき煙を出さずに消えていく。

それで良い、もう灰は積もらない、火の時代は終わった。最後の火は消えた。私はもうここから出られない。

 

朽ちるの待つのみ…指輪は別たれ私の正面と左右に別れる。幻影が見えた、グウィン、イザリス、ニトお前達の分まで私は生きた。もう、おしまいさ今そちらへ行く。

 

 

ボスッと音が辺りに響いた。そこに合ったのは、朽ちた鎧と灰だけ。

だが、照らされていないそこには、確かに光があった。

 

やがて大地は何かを祝福するかのよう緑が急速に戻りは始めた。

それはきっと四人の願いだったのだろう。




これで、この連載を終了とさせていただきます。
今まで読んでくださった方々誠にありがとうございました。
新連載が決まりましたら、また報告させていただきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。