凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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???「ここがロイヤル北方海域の対面にある鉄血北方基地……」

海辺近くの独特なる潮の香りと軍港独特の鉄臭さがその者を出迎えた。

車から降りたその者は小さく呟く。

???「もうすぐ会えるんですねハボクックさん」

建物へと入っていくその足取りは軽く、それはまるで旧友に再会するかのような感じだ。

だが、その者は自身と同じ背丈ほどある艤装を装着していた。


金色の髪、金色の目

――鉄血北方基地:第一会議場――

 

 

「総員敬礼!お待ちしておりました、ビスマルク様!」

 

 アドミラル・ヒッパーの号令に会場内にいる全ての者が敬礼をする。

 

「出迎え、ご苦労様。皆楽にしてくれ」

 

 ビスマルクの言葉に対してアドミラル・ヒッパーは「了解!皆休め!」と号令を出す。

 

 ビスマルクは「そうじゃない……」と小さく呟きながらため息をついた。

 

「現在の艦隊状態、敵の情報などはどうなっている?」

 

「はい!現在の艦隊状態は半分再訓練中、残り半分は対空と対潜の警戒中です!敵の情報はこちらの資料にまとめておきました」

 

 ケルンが差し出した資料にさっと目を通し、航空機の写真を見て「やはりな……」と言うと資料を机に置いた。

 

「フェアリーソードフィッシュの垂直尾翼に描かれている王冠の盾……間違いない、彼女だ」

 

「彼女?ですか……失礼ですが、彼女とは誰なんでしょうか?」

 

 ビスマルクは未だ情報が乏しいアドミラル・ヒッパー達に言った。

 

「彼女の名前はハボクック氷山空母……先の大戦で私の尊敬していた先輩を沈めた仇だ」

 

「氷山空母……ですか?失礼ですが、それは計画で終わった船なのでは?」

 

 ケーニヒスベルクがビスマルクに尋ねる。それに対してビスマルク首を横に振った。

 

 とてつもなく膨大で大掛かりな計画だったことから、ハボクック氷山空母の計画はアドミラル・ヒッパーの記憶に残っている。

 

 だが、その計画は莫大な費用と時間を労することが計画の時点で分かり、中止された計画でもある。

 

 鉄血のメンバーは諜報員の誇張か他の計画を隠すためのダミーだと思っていた。

 

「いや、その計画はメンタルキューブによって全て可能となり秘密裏に建造されている。もっとも彼女自身は隠れる気がなかったみたいだがな」

 

 そう言うと、ビスマルクは持っていたカバンから資料を出す。

 

 その資料は先の大戦のハボクックについての資料だった。

 

「私達は動く基地と戦っていたのね……二つの滑走路、百を超える艦載機、海水による装甲の強化、自衛の為の四十基の四,五インチ対空砲……これならセイレーン空母にも負けないわね」

 

「そうだ、特に厄介なのは海水による装甲の強化だ。駆逐艦、軽巡洋艦程度の主砲は当然意味をなさない。それを知らず、先の大戦では守りが固すぎて装甲を削れず、一方的に空爆を受けて全滅した」

 

 プリンツ・オイゲンの言葉に素早く反応して、ビスマルクは問題を指摘する。

 

「これでは私達では勝ち目がありません!やはり空母の援護が必要です!」

 

「いや、その必要はない。そのために私達が来た……もういいだろう、皆に紹介する今作戦の切り札として来てもらった」

 

 ビスマルクが「入れ」と言うと会場の扉がギィッと開く。

 

 そこに現れたのは短い金色の髪と金色の目、背が低く幼いながらもしっかりと鉄血の軍服を着こなし、スタスタとこちらに歩いてくる一人の少女だった。

 

「……ビスマルク様、この方は一体?」

 

「この方こそ今作戦における切り札、艦船(KAN-SEN)シュヴェリーンだ」

 

「初めまして、鉄血の皆さん。私はシュヴェリーン、ハボクック氷山空母を葬る者です」

 

 幼いながらも素早く手本のような敬礼。人懐っこそうな笑顔。

 

 だが、シュヴェリーンの瞳は会場内の誰一人として映ってはいなかった。




ついに鉄血陣営にハボクック氷山空母の事がバレてしまいました。
ビスマルクの先輩とは?新しく登場したシュヴェリーンとは一体?
今後もご期待ください。
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