凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
シェルターの中でお茶を楽しむハボクックは窓の外を見て呟く。
吹雪いてはいないものの風は強く、艦載機を発艦するには少々危険だが警戒を怠るわけにはいかなかった。
クック「鉄血の指導者が動いた……まさかの報告でしたわね」
そう、鉄血はこの海域を完全に取りに来ていたのだから。
――ロイヤル北方海域:偽物の滑走路――
「ごきげんよう、ロイヤルの皆様。またお会いできて光栄ですフッド様、ベルファストさん。それと……こちらの方々は?」
「初めまして、Jクラスのジャベリンです!まさかロイヤルガードとご一緒できるなんて思ってもいなくて……かなり緊張しています!」
「初めまして、同じJクラスのジュノーと申します。護衛はお任せください!……頑張ります!」
「あた……じゃなくて、私はJクラスのジャージーです。よろしくお願いします!」
「ロイヤルネイビーJクラス駆逐艦ジュピター……よろしくお願いします」
ジャベリン、ジュノー、ジャージー、ジュピターと挨拶していく。
「初めまして、頼もしいJクラスの皆様。私はハボクック氷山空母……気軽にクックおばあちゃんと呼んでくださいね」
「無理です!冗談でもそんなこと言えません!」
「でも、英雄様が指示したことだし……これは言わないと刑罰になるんじゃ!?」
ジャベリン達があたふたしているのを見てハボクックはクスクスと笑う。
「ハボクック様?淑女として、からかうのはあまりよろしい行いとは言えませんわ」
「ごめんなさいね。可愛すぎてどうしてもいじっちゃいたくなっちゃいまして……外は寒かったでしょう?さあ、シェルターの中へお入りください」
そう言うとハボクックは彼女達を部屋へと案内する。
「いま、クックおばあちゃんが暖かい飲み物とお茶菓子を用意しますからね……あら、椅子もティーカップも足りませんわ」
「いえいえ、お構いなく!?あたし……じゃなくて、私達は立っていますから!」
「ハボクック様、こちら側にティーカップがございます。私もメイドとしてお手伝いさせていただきます」
「あら、ありがとうベルファストさん。では、お言葉に甘えて紅茶を入れてもらえるかしら?椅子は……この前みたいに艤装に座ってもらいましょう。さあ、どうぞ」
そう言うとハボクックは自分の艤装を取り外してジャベリン達の前に置く。
「……えっ?艤装に座る!?そんな恐れ多い事できません!あと、さらっと流していましたが、誰が英雄様の艤装に座ったのか気になります!」
混乱するジャベリンをよそにジュピターがまさかの行動に出た。
「よいしょ……あ、ほんのりとあったかい」
「ジュピター!?うそでしょ!?あんたどこに座っていると思っているの!あのロイヤルガードの大事な艤装に座るなんてJクラスとして常識無いわけ!?」
「だって……座らないと英雄様の命令に違反するし……疲れたし……」
「あわわわ!?英雄様!本当にごめんなさい!後で言い聞かせておきますのでお怒りにならないで下さい!責任は姉の私にあります!お叱りになるならどうか私にお願いします!」
「ジャベリン!いいえ、ここは横にいて止めれなかったあたしをお叱りください!」
「妹にはあとで言っておきますので、ジュノーを怒ってください!」
ジャベリン達が罪をかばい合う姿を見てハボクックはうーんと考えたのち、いいことを考えたとばかりにジャベリン達に近づく。
そして、怒られると思い目をつぶるジャベリン達をひょいっと抱きかかえると自分の艤装に乗せたのだった。
「ふえっ!?これは一体どういうことでしょうか英雄様」
「それ、英雄様とかロイヤルガードとか言うから私からの仕返し。罰としてお茶会が終わるまではそこに座っているように」
ジャベリン達は降りるわけにもいかず、先の大戦の英雄の艤装に座って落ち着かなくもじもじとしている。
「ハボクック様、紅茶の準備が整いました」
「あら、ベルファストさんありがとう。こちらもすぐにお茶菓子を用意するわ」
そんな行動を見てフッドは「はあ……」とため息をつく。
こうして、笑顔のハボクックとその傍に控えているベルファスト、対面に頭を押さえているフッドとジャベリン達という不思議なお茶会が始まるのであった。
新しくJクラス駆逐艦、ジャベリン、ジュノー、ジャージー、ジュピターを登場させました!
これから大活躍してくれると嬉しいですね、特にジャベリン(謎のジャベリン押し)!
鉄血艦隊との戦闘シーンまではもう少しかかりそうです。もう少しお待ちください。