凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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クック「ここも賑やかになりましたわね……」

流氷流れる海面をハボクックは慣れた動きで避けていく。

その、前方にはつい先ほどまでお茶会にいたメンバーが先に哨戒している。

クック「本当に未来はどうなるか分からないものですわね」

昔の記憶が彼女によみがえる、硝煙の匂いと海面に燃え広がる炎とそこに横たわる■■。

遠くで小さな子達がハボクックを呼ぶ声が彼女を現実へと引き戻す。

ハボクックは返事を返しながら彼女達の元へと歩むのだった。


Little girls(小さな女の子達)作戦

――ロイヤル北方海域:流氷地帯――

 

 

「ハボクック様、まだ偵察しに行った観測機が戻ってきませんか?ここから先は氷山地帯で私たちが動けなくなります!」

 

 今ジャベリンを含む先程のメンバーが臨時の護衛艦隊を組み、観測機が戻ってきていない北東東方面の流氷地帯とは違う北東の氷山地帯に向かって航海している。

 

 北東へと進む理由はそこがハボクックにとって一番戦える最高の場所だからだ。

 

「北東東に飛ばした観測機が返ってこない……これは鉄血艦隊が攻めてきた認識で間違いなさそうですわ」

 

 鉄血艦隊を退けたのが一か月前、鉄血の指導者ビスマルクが本拠地から離れた報告を受けたのが一週間前、その報告を受けたのがその二日後の五日前。

 

 鉄血艦隊が再び攻めてくる可能性は非常に高い状態だ。

 

「ハボクック様、ここから先は氷に阻まれて私達では進むことが出来ません。本当にお一人で行かれるつもりですか?」

 

 フッドが心配そうに尋ねてくるのをハボクックは「大丈夫です」と答える。

 

「氷山地帯では相手の動きが鈍り接近までに時間がかかります、それに氷山が盾となり私を守り万が一にも私へと砲弾が届いたとしても……お分かりですわね?」

 

「氷山空母は不沈であり不落、海水の無い海戦でない限り再生する装甲を貫ける者はいない……ですよね!」

 

「うふふ、良く知っているわねジャージーちゃん。そう、私は海水がある限り敵から攻撃を受けないわ」

 

 彼女の艤装はその倍近くある氷の障壁を纏い、完全防御態勢に入っていた。

 

 彼女の艤装は氷を砕く艦首に比べて側面装甲が薄い。だが、纏っている氷が装甲となり砲弾を防ぐ。

 

 さらに、纏っている氷もただの氷ではない。特殊な氷(パイクリート)のおかげで近距離であっても戦艦の主砲を止めることが出来るのだ。

 

 加えて、ひび割れや氷が剥がれたとしてもすぐさま液体窒素と海水による応急処置が可能、航空攻撃によって翻弄すれば外側に特殊な氷(パイクリート)を張る時間も作ることが出来る。

 

 そんな彼女の弱点は二つ。氷の重さにより速力が遅くなること、氷が溶けやすい場所では装甲の消耗が早いことだ。

 

 しかし、氷山地帯での防衛戦ではその二つの弱点もカバーされているため問題はない。

 

「戦艦でも届く事の無い装甲、メンタルキューブの加護によってなくなる事の無い艦載機……それが私、ハボクック氷山空母!」

 

「凄いです!まさに不沈の空母ですね!安心して背中を預けれます!」

 

 ジャベリンがキラキラと目を輝かせながらハボクックを褒める。

 

「ジャベリンちゃん?私が全て片付けるから防衛戦を手伝う必要はないわ。他の方々も連絡係として残ったベルファストさんと一緒にシェルターで待っていて欲しかったのですが……」

 

 ハボクックが心配そうにジャベリン達を見つめるがジャベリン達は反抗するように声を上げる。

 

「確かにハボクック様に比べたら何もできませんが……何もしないのは嫌なんです!」

 

「ハボクック様が戦っているのに黙って待っているなんて出来ません……!海域は違いますが、ジュノー達も参加させていただきます!」

 

「北東東は任せてください!あたし達だけでもやれます!」

 

「これから起こるのは、神さまの裁き……フフフ……」

 

「私はこの子達が暴走しないように指揮を執りますわ、ご心配しないでください」

 

 ジャベリン達に加えてフッドも参加した事によりハボクックはため息をつく。

 

「はあ……分かりましたわ。今作戦の参加を認めましょう。ただし!危険だと思ったらすぐに撤退する事!皆さん分かりましたか?」

 

 ジャベリン達は「はい!」と元気良く返事をしてフッドは「ええ」と返事を返す。

 

「今作戦はLittle girls(小さな女の子達)作戦と命名します。最初に航空攻撃による空襲。ジャベリンちゃん達の高速部隊は退き撃ちしながら敵を目標位置まで誘い込み。そこで第二次攻撃隊による空襲と魚雷による雷撃、戦艦による遠方射撃で止めを刺します。必ず成功させましょう!王家の栄光のために!」

 

 ハボクックに続いて「王家の栄光のために!」と声が上がる。

 

 こうして、Little girls(小さな女の子達)作戦が行われようとしていた。




鉄血艦隊との戦闘はもう少しかかると言っていたな……あれは嘘だ。
本当はお茶会の後に説得するシーンを入れようと思ったのですが、私の実力では難しく話が短く終わってしまうので飛ばして接敵前の哨戒シーンを書きました。
次回はついに鉄血艦隊と戦う予定です。
謎に包まれたシュヴェーリン。鉄血の指導者ビスマルクはどう攻めてくるか?
次回をお楽しみにしていてください。
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