凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
ジャベリン達を見送った後、上空を警戒していた艦載機から報告が届く。
クック「私に接近する艦影あり?あれは……戦艦?」
近づいてきているのは少し大型の戦艦、砕氷艦も無しに接近してくる一隻のみ。
クック「作戦の邪魔はさせない。すぐに片づけさせてもらいますわ」
ハボクックは操作可能機数二百機のうち百機を先に戦艦へと攻撃指示を出した。
――ロイヤル北方海域:流氷地帯――
流氷の隙間から砲弾が飛び交う。
「Jクラスの実力見せてあげる!」
「そんな魚雷、当たるわけないじゃない!こっちはソナーを持っているのよ?」
アドミラル・ヒッパーが流氷と魚雷を難なく回避していく。
だが、ジャベリン達は元々当てる気はなくアドミラル・ヒッパーが魚雷を回避することによって航行を変更させることが目的である。
「どんな敵でも本気で相手するわ……さあ、かかってきなさい!」
「戦艦の間合いに入れようとしていることはお見通しです。そんな安い挑発には乗りませんよ?」
ジャージーが挑発をしているがフッドの間合いまで運ぶことはできない。
しかし、こちら側も艦載機による攻撃予定位置に着々と敵を進めていた。
「敵の数はこちら側の倍以上です。ですが、落ち着いて対応すれば勝機は見えます」
「その優雅さ、いつまで持つかしら?フフフ……」
「作り笑いが過ぎんぞ。まあ、さすがにこの数相手ではレーベ様も必要ないな」
「オイゲン、遊びはほどほどになさい。この数相手に撤退しないのは不自然。敵は何か秘策があるはず……対空対潜の警戒も怠るな!」
鉄血艦隊は確実にロイヤル艦隊を追い詰めてきている。
だが、ロイヤル艦隊も空爆予定位置に正確に運んでいた。
そして、空爆予定位置に近づいた。
フット達の後方から飛んでくる艦載機!その数、五十機!
中には火を噴きながらも飛んできているものもいた。
「これは一体どういうことなの!?なんで傷だらけの艦載機が!?」
「流石にすべては止めれなかったか……だが、かなりの戦果だと褒めておこうシュヴェーリン!各自、対空防衛!一機たりとも艦隊に近寄せるな!」
この空襲を読んでいたビスマルクは艦隊全員に防空指示を出す。
ばらけていた駆逐艦は艦載機に突入して艦載機にダメージを与え、軽巡洋艦と重巡洋艦
がふらふらになった艦載機を撃ち落としていく。
戦艦まで届かないと判断した観測機は駆逐艦に爆弾を投下していった。
しかし、いくら熟練の艦載機だとしても回避が高い駆逐艦に爆弾はなかなか当たらず結果、駆逐艦一隻小破、三隻中破、軽巡一隻中破に終わった。
「かなり手痛くやられたな……だが、この程度では鉄血の行進は止められない!」
「まだです……もう一度、航空攻撃が来れば!」
「まだ分からないの?もう航空攻撃は来ないわよ。そして、氷山空母が戻ってくることもね」
アドミラル・ヒッパーの「氷山空母」の単語にジャベリン達が反応する。
「それはどういうことでしょうか?」
「敵に教えるわけがないだろう?」
「まあ、ここで貴方達も沈めるから冥途の土産に教えてあげる。……私達は航空攻撃を誘うための陽動、最初から氷山空母を倒しに来たのよ」
「オイゲン!貴方はお喋りが過ぎる。……聞かれたからには貴方達を返すわけにはいかなくなったわ」
ビスマルクの砲塔がジャベリン達を捉える。
「テ、テッタイスルノ!?」
「敵の言うことが本当ならば、非常にまずい状態ですわね……」
「ジュノーは信じています……ハボクック様が援護に来てくれるって!」
慌てて回避行動をし始めるロイヤル艦隊。
「我の射程内にのみ真理あり!全問斉射!Feuer eröffnen(撃ち方始め)!」
大きな後ろ盾を無くしたロイヤル艦隊は逃げまどい、鉄血艦隊の蹂躙が始まった……。
ロイヤル艦隊、旗艦フッド、ジャベリン、ジュノー、ジャージー、ジュピター。
鉄血艦隊前衛一、旗艦ケーニヒスベルク、Z1(レーベルヒト・マース)、Z2(ゲオルク・ティーレ)、Z18(ハンス・リューデンマン)
鉄血艦隊前衛二、旗艦ライプツィヒ、Z19(ヘルマン・キュンネ)、Z20(カール・ガルスター)、Z23(ニーミ)
鉄血艦隊本隊、旗艦ビスマルク、グナイゼナウ、アドミラル・ヒッパー、プリンツ・オイゲン
ロイヤル艦隊五名と五十機の艦載機対鉄血艦隊十二名による艦隊決戦です。
艦載機の状態からハボクックに何かあったことは間違いないですね、詳しくは次回を待て!