凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
リン「きっとあのメイドの仕業に違いない……だが、今は一刻も早くビスマルク様の近くに行かなければっ!」
厚い氷を砕きながらシュヴェーリンは進む。ハボクックを取り逃していいのかと頭のどこかで囁く自分を頭をブンブンと振って振り払う。
リン「これは私に課せられた試練だ。ここで守れず何を守ろうというのか!」
シュヴェーリンは南下していく、耐久力に自信がある自分ならばきっと役に立つと信じて。
――ロイヤル北方海域:流氷地帯――
戦況は突然変わった。
「――レーダーに反応あり!機影は少数でバラバラ、こちら側に向かってきています――」
「レーダーに反応?どうせ死にかけのハボクックから出た少数よ、今の私たちに届かないのに頑張るわね」
ケーニスベルクがとらえた機影は確かに少数で規則性はなくこちら側に向かってきているのを無線でビスマルクに伝える。
無線を聞いたアドミラル・ヒッパーが勝ち誇ったように語るのをビスマルクは隣で聞いていた。
「――各自対空警戒!後ろに行かせるなよ?一機たりとも逃すな、すべて撃ち落とせ!――」
Z1(レーベルヒト・マース)が対空迎撃指示を出す、彼女の号令で駆逐艦が前に出る。
だが、撃たれながらも接近する艦載機はいつまでたっても急上昇しない。むしろ海面ギリギリを飛行していた。
何かがおかしい。そう感じたビスマルクの違和感が現実となる。
「――!?ソナーに探知あり!?あの艦載機は爆撃機じゃない!雷撃機だ!回避回避っ!――」
突如そして現れたソナーの探知音!魚雷は回避が間に合わなかった駆逐艦たちを襲う!
「――この俺様に当てるとは……やってくれたな……!――」
この攻撃で最前線に進んでいたZ1(レーベルヒト・マース)が中破まで追い込まれた。
「――レーダーに反応!これは……だ、大編成でこちらに向かって来る機影あり!――」
またしてもケーニスベルクのレーダーに反応!今度は規則正しい編成でこちら側に向かってきたいた。
「ちょっとちょっと!ハボクックは瀕死じゃないの!?なんで大編成でこっち側に来れるのよ!シュヴェーリンのやつまさか誤報を送ったんじゃないわよね!」
彼女が送った電文にはハボクックの滑走路を一線潰したとあったが、こんなに短時間で大編成が組めるのはハボクック意外にはあり得ない。
……いや、ハボクック以外だったとしたら?
「――敵機影補足!あれは……バラクーダです!バラクーダがこちら側に向かってきています!――」
「バラクーダ!?ハボクックはフェアリー・ソードフィッシュしか積んでないんじゃなかったの!?」
「いや、違う。あれはハボクック以外の空母からの艦載機だ!総員対空防衛!敵機を近づけ――くぅっ!?」
ビスマルクの号令中、砲弾が彼女の近くに落ちた。
「ビスマルク様!?お怪我はございませんか!?」
「大丈夫だ。しかし、損傷を与えたフッドがここまで撃てるとは考えにくい……敵空母に加えて敵戦艦の援軍が来たと思われる!各自警戒せよ!」
ビスマルクが再度号令を出して警戒を強る。前方に展開していたライプツィヒから報告が届いた。
「――敵艦艇補足です!敵は戦艦二隻、空母四隻を含む大規模機動部隊!駆逐艦、巡洋艦も多数確認しました!?ビスマルク様、どうしよう……!?――」
「……撤退だ。空母に対して我々は無力。四隻はとてもじゃないが突破できない」
「わかったわ。前衛艦隊に報告!全軍撤退せよ!繰り返す全軍撤退せよ!」
「――うぅ、さかなきゅん、助けて……撤退?わ、分かりました!皆さん撤退です!きゃあっ!――」
「ライプツィヒっ!?くっ無線がつながらないわ……私達はどうしますかビスマルク様?」
「決まっている、我々鉄血艦隊本隊は前衛艦隊の援護を!少しでも多く仲間を連れ帰るのだ!」
ビスマルクの号令に皆が答える。ビスマルクはシュヴェーリンに電文を送り自らも前へ出て仲間を助けに行くのだった。
今回はビスマルクに視線を当ててお送りしました。
シュヴェーリンがハボクックを追い込んでいる時、ビスマルクの方は援軍の登場で撤退するという形になりました。
前編とついている通り、この話には後編がございます。次は誰の視線でお送りするでしょうか?次回を楽しみにしていたください!
話は別になりますが、あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!