凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

17 / 76
マルク「油断した……!まさか伏兵もいたとは!」

ビスマルクは焦っていた。ロイヤルの伏兵が撤退していた前衛艦隊を攻撃したからだ。

これにより、前衛艦隊は総崩れしまともに動けるのは本隊だけとなった。

マルク「各自、撤退の援護を行え!私は敵の囮として前へ出る!」

他の者の制止を振り切りビスマルクは前へと出る。

ビスマルクは自身が沈む覚悟をもって前線へと進んだのだった……。


Ehre und Hilfe(名誉と救済)撤退戦 後編

 

――ロイヤル北方海域:流氷地帯――

 

 

「ビスマルク様!ご無事ですか!」

 

 シュヴェーリンは前線で一人、空襲に耐えるビスマルクを発見して急いで接近する。

 

「……シュヴェーリンか、撤退命令を出したはずだが?何故ここにいる?」

 

「本隊の撤退支援を行うためです!それよりもビスマルクお一人で何をなされているのですか!まさか皆を助けるために残っていたなんて言うつもりではございませんよね?」

 

「そのまさかだ、こちら側の被害は甚大。その中で一番耐えれる者が皆を守らなくて何が指導者だ」

 

 ビスマルクはそう言うと更に前進しようとした。それを見てシュヴェーリンは腕をつかみ止める。

 

「これはどういうつもりだ、シュヴェーリン?」

 

「そのままの通りです、ここで鉄血の指導者を失うわけにはいきません。ここは私が前へ出て注意を引きつけます」

 

「離せシュヴェーリン!ここで前に出なければより多くの犠牲が出る!」

 

 ビスマルクがシュヴェーリンの手を振りほどこうとするが、軽くないダメージを負っているビスマルクにはシュヴェーリンの手が振りほどけない。

 

「離しません!ビスマルク様はこのまま皆を引き連れて引くべきです!ビスマルク様はおっしゃいましたよね?その中で一番耐えられる者が皆を守らなくてと。ならば、損傷がなく一番耐えられるこの私こそが一番の適任者です!」

 

「馬鹿なことを言うな!敵は空母だけじゃない、戦艦も巡洋艦も駆逐艦もいる!この数を機動力もない、お前ひとりで耐えられるはずがないだろう!」

 

「いいえ耐えて見せます!覚えていませんか?私がどんな艦船(KAN-SEN)だったかを!」

 

 そう言うとビスマルクは振りほどこうとした手を止める。

 

「私はハボクック氷山空母を葬るために設計された船です。敵空母の艦載機が来る前提の対空防御兵装、敵戦艦にも耐えゆる装甲と雷撃を防ぐために速力を犠牲にして付けたバルジ、近づけば戦艦であっても一撃で葬れる主砲があります、今は戦うための力が必要なのではありません、撤退するための耐久が必要なのです!ならば、私以上に適任がおりましょうか!」

 

 ビスマルクはゆっくりと腕を下ろしてシュヴェーリンに問いかける。

 

「本当に耐えきれるのだろうな?」

 

「もちろんです、最後まで耐え抜き一人で基地まで逃げて御覧に入れましょう!」

 

 シュヴェーリンは強く発言した。その眼には揺るがない覚悟が見える。

 

 それを見たビスマルクは「後は頼む」と言うと反転して撤退を開始する。

 

「基地から潜水艦達が撤退の支援をしに来る。それまで絶対に沈むな!これは命令だ!」

 

「はっ!了解です!潜水艦の手を借りずに見事帰還して見せましょう!」

 

 ビスマルクが撤退するのを見送り、シュヴェーリンはロイヤル艦隊のいる方角へと向き直す。

 

「さあ、ここからが正念場だ……ロイヤル艦隊の者共よ。かかってくるがいいっ!」

 

 シュヴェーリンは速力が殆ど出ない全力後進しながら叫ぶ。

 

 ロイヤルの艦載機が彼女に集中し、ロイヤルの追撃戦が始まった。




今回もシュヴェーリンに視点を合わせてお送りしました!
ロイヤルの反撃が始まる、シュヴェーリンの運命はいかに!?
詳しくは次回を待て!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。