凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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ハボクックはベルファストに運ばれて北方基地まで下がっていた。

帰還したハボクックは自分の艤装をなでる。その艤装には大きな穴が開いていた。

シュヴェーリンの攻撃は走行甲板を貫き、船底も貫通していたのだ。

クック「これは当分、出撃できませんわね」

ハボクックの艤装は特別製だった。故に一度本土まで戻ろなければならない。

クック「帰りましょう、本土に。そして、もう一度戻りましょう。この海に……」

ベルファストに呼ばれハボクックは皆が待つ北方基地の中庭へと進んだのだった。


Little girls(小さな女の子達)作戦 終結編

 

――ロイヤル北方基地:中庭――

 

 

 北方基地の中庭、寒いこともあって普段は誰もいないこの場所に十人の艦船(KAN-SEN)達が集まっていた。

 

「みんな揃ったわね!さあ、お茶会を始めましょう!ベル!みんなに紅茶を入れて頂戴!」

 

「かしこまりました。……ハボクック様、さらっと私の隣に立たないでください、席についていただけると助かります」

 

 クイーン・エリザベスがベルファストに指示をして、ベルファストは横に並んだハボクックに席に着くように勧める。

 

「そうはいきません!女王陛下にその側近、有力貴族に王家構成員とこのような方々に囲まれながら席に着くのはかなり厳しいですよ!?」

 

「何をおっしゃいますか、貴方様は先の大戦の英雄にしてロイヤルガード……言わばロイヤルの象徴です。そのような方に給仕をさせたとなれば私たちの首が飛びます。ここはお任せして席についてくださいますよう、よろしくお願い申し上げます」

 

 ハボクックは駄々をこねながらもベルファストに連れられて椅子に座らせられた。

 

「お久しぶりね、ハボクック様。調子は万全……とは言えませんわね、ごめんなさい」

 

「艤装はダメになってしまいましたが身体には傷はないので問題はありません、ウォースパイト様。それよりも途中で援護できなくなったフッド様達の方が心配ですが……大丈夫でしたか?」

 

「はい、こちらは女王陛下に助力をいただきまして全員無事ですわ」

 

 ハボクックは「良かった……」と胸に手を当てた。

 

「女王陛下、発言をお許しください。貴方様が英雄(ヒーロー)様なのですね!これも運命(フェイト)!初めまして!私は力(フォース)の使い手、重巡洋艦ヨークです!お会いできて本当に光栄です!」

 

「ちょっと姉さん!?女王陛下!英雄様!申し訳ありません!後できつく言い聞かせておきますので……」

 

「大丈夫ですよ、えっとエクセター様?であっていますよね?間違っていたらごめんなさい。ただ、英雄様という呼ばれ方もロイヤルガードという呼ばれ方も好きじゃないからこれからはハボクックさんって呼んでね?」

 

「自己紹介をせず、失礼しました!私はヨーク級重巡洋艦二番艦のエクセターと申します。お会いできて光栄ですハボクック様」

 

 ハボクックは初対面のヨークとその妹、エクセターが挨拶を済ませる。

 

「同じく初対面だな。初めまして、私の名前はアーク・ロイヤル。ハボクック様にお会いできて嬉しく思うよ」

 

「初めまして、ハボクック様!ロイヤル大型じゅん――コホン、空母・グロリアスです。末席に参加させていただき感謝いたします!」

 

「ご機嫌ようハボクック様、護衛空母チェイサーよ。お会いできて光栄だわ」

 

「初めまして、アーク・ロイヤル様。そんなにかしこまらなくても多分、大丈夫ですよグロリアス様。ご機嫌ようチェイサー様、こちらこそお会い出来て嬉しいわ」

 

 同じく初対面だったアーク・ロイヤルとグロリアス、チェイサーとも挨拶も済ませる。

 

「さて、挨拶も終わったところでそろそろ話を戻しましょうか。ベル、ケーキを切り分けて頂戴」

 

 ベルファストは「かしこまりました」と言うと素早く均等にケーキを切り分け、円状になっているテーブルにティーカップと共に添えていく。

 

「今回の作戦事後報告について、ウォースパイトから報告よ」

 

「はい、陛下。今作戦は敵艦隊殲滅のために女王陛下自らが伏兵となる作戦で立案者は女王陛下、作戦指示はこの私が決行しました。なお、敵をおびき寄せる目的のためハボクック様、フッド様の艦隊には伏せていたことをお詫び申し上げます」

 

 ウォースパイトが深々と頭を下げた。

 

「そんな!頭をお上げください!女王陛下様が助けに来ていらっしゃらなかったら今頃こうしてお茶会を開けませんでした……。あなた方は私達の命の恩人です、胸を張って下さい!」

 

 ハボクックがウォースパイトに同じように深く頭を下げ、それに続くようにフッドも頭を下げた。

 

「……コホン!感謝合戦はもういいかしら?では、被害報告をフッドにお願いするわ」

 

「はい、女王陛下。今作戦の被害は艦載機多数、これは燃料と資金でメンタルキューブから合成できますので省きます。一番被害が大きかったハボクック様が大破で走行甲板が船底まで貫通浸水。私達の艦隊からジャージーさんがジュノーさんをかばって大破、私とジャベリンさんが小破、ジュノーさんとジュピターさんが無傷です」

 

「女王陛下の艦隊は私が報告しよう。女王陛下を含む本隊は艦載機以外は無傷、前衛艦隊は最新兵器に攻撃されたヨーク、エクセター、ロンドン、サーフォーク、ノーフォークが中破。ケント、シグニット、ハンターが小破、その他は無傷だ」

 

 アーク・ロイヤルが後から来た艦隊の被害情報を報告する。

 

「よく分かったわ。次に敵に与えた損害を報告を……ベル、報告して頂戴」

 

「かしこまりました、女王陛下。敵に与えた損害は戦艦一隻大破、戦艦二隻と軽巡洋艦二隻に加えて駆逐艦二隻が中破、重巡洋艦二隻と駆逐艦四隻が小破です。この結果は全艦艇にダメージを与え、特に戦艦の修理には多大な資金と時間が必要でしょう」

 

「素晴らしい結果だわ!これも王家の戦士達の奮戦があって勝ち取った勝利よ!」

 

 クイーン・エリザベスが拍手を始めてそれに付いて行くように皆が手を叩きだす。

 

「さあ、今日は勝利を祝って優雅にお茶会よ!皆、淑女のマナーを忘れずに紅茶をいただきなさい!」

 

 クイーン・エリザベスの言葉に皆が返事をして紅茶やケーキに手を付け、雑談を始める。

 

 こうして、ロイヤル陣営のLittle girls(小さな女の子達)作戦は終わりを告げたのだった。




お茶会メンバー
クイーン・エリザベス、ウォースパイト、ハボクック、フッド、アークロイヤル、グロリアス、チェイサー、ヨーク、エクセター、ベルファスト。

十人となると一言言ってもらうだけでも文字数的にいっぱいいっぱいです。
それはそうとして、何気にすごいのはベルファストさん一人で九人分の給仕をしていたんですね……。そりゃハボクックさんも給仕に回ろうとするわけです。
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