凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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???「今日はいい天気ですね」

そう言うと彼女は布団から起き上がった。

???「そう心配しなくても大丈夫です。私の体は一番私が知っていますから」

心配そうに見てくる一人の艦船(KAN-SEN)にそう言うとふすまを開けるようにと指示をする。

???「今日は天気も良いですね……いつか、街を歩いてみたいものです」

???は空を眺めながらそう呟く。叶わぬ願いだと知ってのことだ。

だが、それはドタドタと駆ける足音が叶えてくれたのだった。


陸奥の玩具

――重桜本部:本殿横会議室――

 

 

「巡洋戦艦天城、参りました。……三笠様、まずこの状況についてご説明をお願いできますか?」

 

「加賀型戦艦二番艦、土佐です。皆様とお会いできたことを嬉しく思います!」

 

 陸奥が連れて来た玩具……それは協定の対象となって消えた天城、土佐だった。

 

「よく来てくれたな。歓迎しよう。天城?辛そうなら場所を変えるが大丈夫か?」

 

 誰しもが言葉を失う中、三笠は淡々と言葉を交わす。

 

「いいえ大丈夫です。……それよりも、これはどういう事か説明していただけますか?長門様、三笠様?」

 

「うむ。ここからは私が話そう。まず、知っての通り協定で対象となっていた天城、土佐だがこの協定では抜け穴が存在することに気が付いた。そう、艤装を解体すれば艦船(KAN-SEN)では無くなりそのあとは一人の人間として扱えばよいのだと」

 

「そんな無茶苦茶な……」

 

「だが、これは実際にユニオンでも行われている。名前は何だったかな……そうそうサウスダコタだ!さらに彼女は後にこれまた同じ名前のサウスダコタという戦艦になって今も海の上にいるそうじゃないか」

 

「馬鹿な!それでは何のための協定か分かったものじゃない!」

 

「加賀が言いたいことも分かる。だが、今はそんなことよりも今後について話そう。話を戻すぞ。今回の援軍の派遣と航空母艦建造技術の提供は二航戦の蒼龍と飛龍が援軍に、航空母艦建造の技術提供は……危険ではあるが止むを得ない、行うこととする」

 

「長門様、一航戦や五航戦ではなく二航戦を援軍として派遣する理由を聞いてもよろしいでしょうか?」

 

 長門の言葉に蒼龍が質問した。

 

「一航戦は……天城と土佐の相手で腑抜けるからの。今の状態では本部から離れようともせんだろう。離れれば何をしでかすか分からん。五航戦は単純に練度の問題じゃな。向こうは時折猛吹雪に合うと聞いておる。そんな中、艦載機を飛ばせるかと言われれば少々不安が残るのも事実。……なると、ここは練度も十分で動ける二航戦のお主たちに任せようと思ったわけじゃ」

 

 そう長門が答えると天城にべったりと張り付く赤城を見て「な、なるほど……」と蒼龍は少々苦笑いした。

 

「もうそろそろなぜ私達が呼ばれたのか説明の方をお願いできますでしょうか?長門様」

 

 いつまでも抱きついてくる赤城に拳骨を放ち、長門に説明を求める天城。

 

「うむ。今や協定の効果は無く、互いに嘘をつきながら建造を行う状態。特にユニオンの駆逐艦建造と航空母艦建造は条約を全く無視していると言える。その状態で航空母艦が二隻抜けるとなると本部の防衛に不安が残る……そこで、航空母艦の穴埋めをお主達にしてもらいたい。勿論、他の国に秘密にしながらではあるがな」

 

「なるほど……しかし、私達は一度対象となった身。そこをどうやって戦線に復帰させるおつもりでしょうか?」

 

「いつか来るであろうと、もうすでに用意しておる新しい艦種の艤装を付けてもらおうと思っている。……お主達二人はこれから戦艦としてではなく航空戦艦として戦場に立ってもらう予定だ。陸奥よ、悪いが艤装を持って来てくれぬか?」

 

 長門に指示されて陸奥は「はーい!」と再び元気よく会議室を駆けていった。

 

「航空戦艦……ですか?その航空戦艦とはいったいどういった艦種でしょうか?」

 

「戦艦の砲火力を維持しながら航空母艦の航空運用が同時に行える艦種で索敵、先制爆撃、着弾観測による精密射撃等が可能な反面、航続距離が短く艦載機の搭載量が少ない、後部主砲を下ろしてカタパルトなどを積まなければならない点もあるが……知略に長けたお主なら問題なかろう?」

 

「砲火力……私はもう一度、四十一cm砲を撃てるのでしょうか?」

 

「四十一cm二連装砲三基六門、十四cm単装副砲八門、十二cm高角砲十二門、六十一cm水上魚雷発射管二基八門、瑞雲八機、カタパルト一基、クレーン一基がお主の兵装となる。……どうやら陸奥が返ってきたみたいじゃな」

 

 ドタドタと駆けてくる足音が近づいてきて勢い良く扉が開かれる。

 

「ただいま長門姉!航空戦艦用のメンタルキューブを持ってきたよ!」

 

「陸奥!もう少しお主は静かに出来んのか!廊下の足音がここまで響いておったぞ!」

 

 陸奥は「ごめんなさい長門姉!」とあまり反省していない。

 

「はい!天城様!土佐様!これが貴方方の新しい艤装になります!このメンタルキューブに触れてください!」

 

 陸奥にメンタルキューブを差し出されて天城は触れようとして手が止まる。

 

「……天城よ、不安なのはわかる。いつ戦場に立てなくなるか心配しておるのだろう?だが、安心してほしい。我々はいつまでも弱いわけではない。天城一人が背負う事が無いように努力してきたつもりだ。だから、今度は我々の成長を身近で見てほしいのだ」

 

「成長を身近に……ふふふ、そうですね。その言葉が真実なのか、確かめなくてはいけませんね」

 

 天城はにっこりと微笑みながらメンタルキューブに触れて、艤装を装着した。

 

「航空巡洋戦艦天城、参りました。重桜の成長……見させていただきますね」

 

「加賀型航空戦艦二番艦!土佐、ただいま艦種変更しました!不束者ですが、これからよろしくお願いします!」

 

 こうして、新しい艦種である航空戦艦と共に古参の天城、土佐が重桜の戦力として加わったのであった。




はい、と言うわけで。条約違反していたのはロイヤルだけではなく重桜もユニオンもでした!
ただし、明確な条約違反ではなく抜け道を使った条約違反なのでこれは判定としてはどうなんでしょうか?
まあ、そうなるとユニオンなんかは面白いですねダニエルズ・プランのサウスダコタ級はいないけどノースカロライナ級の後に作られたサウスダコタ級は普通に存在するのですから。
協定を守っていたのは鉄血だけか!いいえ、鉄血も守っていません(戦艦シュヴェーリン)
賛否分かれるとは思いますが、私の小説はこのルートで行きます。
今後ともよろしくお願いいたします!
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