凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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???「うふふ、鉄血の皆様は無事にご帰還なされたかしら?冷たい潮風に当てられて風邪を引かないと良いけれど……」

そう言いながらも彼女は次々と自分の艤装に艦載機を格納をしている。

???「今回も完璧な情報を提供して下さったロイヤルの方々には感謝ですわね……今期の諜報部隊もその腕は健全で宜しかったと書いておきましょう」

自身の走行甲板を机代わりにスラスラと手紙をしたためる。

???「さて、これから忙しくなりますわね。……老体に鞭打って頑張るとしましょう」

すべての艦載機の回収作業を終え、彼女は凍結した偽物の滑走路を後にした。


女王陛下の激昂

―ロイヤル海軍基地本部:中庭―

 

 

「女王陛下、あるお方からお手紙が届いております」

 

 木々から零れ落ちる光の庭園、優雅なひと時。

 

 ティータイム中のクイーン・エリザベスとウォースパイトにベルファストが届いた手紙を持ってきてそばに控える。

 

「……ベル、下からの三行だけ読み上げて頂戴」

 

「かしこまりました……陛下のご配分によりこちら側の被害を最小限に抑えることが出来ました。心より感謝申し上げます。ロイヤルの諜報部の方々にもお礼を申し上げて頂けると幸いです。追伸、食料と燃料の備蓄が少なくなってきました、至急補給をお願いします」

 

 追伸を聞いたクイーン・エリザベスの顔が引きつる。

 

「……ウォースパイト。前回の支給日と支給した水、食料、燃料、嗜好品のリストを読み上げて頂戴」

 

「はい陛下。前回の支給日は三か月前。水二t食料一t合わせて三t、燃料五千t。嗜好品は紅茶の茶葉五百kg甘味五百kg酒類三百L……です」

 

「物には限度ってものがあるでしょっ!半年分の支給品をたった三か月で消費するってどんな消費をしているのよ!?特に燃料!」

 

 クイーン・エリザベスが机を叩きつけるような勢いで立ち上がり、椅子が倒れそうにいなるのを後ろで控えていたベルファストが華麗に支える。

 

「へ、陛下!お気持ちはわかりますが、落ち着いてください!」

 

 ウォースパイトが慌てて立ち上がりクイーン・エリザベスを宥めようとするが、クイーン・エリザベスの興奮は収まることはなく逆に高まる。

 

「これが叫ばずにいられる!?たった一人のためにどれだけつぎ込めばいいのよ!前々から思っていたけどあの子は消費が激しすぎるのよ!エディンバラ級の二倍の燃料消費とか頭がおかしいわよ!?ベルが二人居ればいいじゃない!」

 

「陛下!口調が大分おかしいことになっております!あと、ベルファストが分身出来るわけじゃないのですからその考えはお控えください!」

 

「ウォースパイト様、私ベルファストは分身のスキルを習得した方が宜しいでしょうか?」

 

「ベルファストはちょっと黙ってていただける?話の収拾がつかなくなるから!」

 

 零れ落ちる光の庭園はあっという間に騒々しい中庭へと変化してしまった。その声を聞きつけてか、一人の美女が歩み寄ってくる。

 

「陛下?淑女が大声を上げて暴れてどうしたのですか?」

 

「あ、フッド!ちょうど良かったわ!あなたの意見を聞かせて頂戴!」

 

 クイーン・エリザベスは手紙の内容と自信の興奮していた理由をフッドに語りだす。

 

「……なるほど、あの方への仕送りに疑問を抱かれているわけですね」

 

「いくら彼女が有能で、上層部がバックについているからとはいえ、これだけの消費はおかしいわ!そう思わなくてフッド!」

 

 彼女はしばし考えてこう語りだした。

 

「陛下。口をはさむことをお許しください。私は彼女が一番適正だと思われます。もし、彼女を上層部に戻した場合、彼女の代わりに誰が北方海域に留まることになるでしょうか?」

 

 その言葉を聞いてクイーン・エリザベスは「ウッ!」と言葉を紡ぐ。

 

「彼女はとても優秀です。ロイヤル領海の四分の一に当たる北方海域を一人で監視し、敵と遭遇した場合は必ず追い返すだけの力を持っています。仮に彼女が抜けた場合は誰がその場所の担当になるでしょうか?航空戦力的な問題でイラストリアス級でしょう。しかし、彼女はこの基地に無くてはならない存在です」

 

 さらに彼女は話を続ける。

 

「北方海域にイラストリアス級が出向いた場合、この基地の航空防衛は格段に落ちます。それに加えて、彼女達には申し訳ありませんが、私にはあの方と肩を並べられる気がしません。彼女は正しく歴戦の猛者であり戦力も少なく経験もまだ幼いイラストリアス級では比べ物になりません。そこは先の大戦で関わった陛下が一番お分かりのはずです」

 

 次々と正論を言われたクイーン・エリザベスは返す言葉もなく、そのまま黙って考える。

 

「陛下、こう考えればよろしいのです。三人分の補給で北方海域の安全が確保される……そう思えば陛下も納得していただけると思います」

 

「……そう考えるしか納得できないのも問題だとは思うけど……現状は彼女がいなければこんな風に紅茶を楽しむ時間も無いわけだからそうね。……フッドの意見はわかったわ。ウォースパイト、あなたはどう思う?」

 

「フッド様の意見に賛成します」

 

「……わかったわ。ベル、補給の準備をして北方へ向かってちょうだい。ついでにこの手紙も頼むわ」

 

「かしこまりました。女王陛下」

 

 こうして、彼女への補給が決まったのだった。




イラストリアス級航空母艦は最高搭載機数が三十二~六十七機(Wiki調べ)なので、百以上の航空機を扱える???はイラストリアス級の大体二~三倍の戦力になります。
私の想像では弾薬や艦載機は燃料を使って作られていると思っているので極端に多くなっております。
その分だけ燃料を使うわけで……ですが、五千tはあの大和(沖縄決戦時)より千t多い計算になりますが私は妥当な計算ではないかと思っております。
リットル計算が間違えていました申し訳ありません。(令和元年十二月十五日訂正)
燃料一tとは千Lのことですので、五千tは五百万Lになります。
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