凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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その知らせは工場で働いている者達にも伝わった。

ハボクック氷山空母が数年ぶりに帰ってきたのだ。

その知らせを受けた工場の者達は作業を急ピッチで仕上げると集まりだす。

そして、数枚の紙と様々な絵具を取り出した。

その者達は何もしゃべらずに一生懸命、手紙とイラストを書くのであった。


【ちょっと一息】 ハボクックお姉さんの朝

――ロイヤル海軍基地本部:中庭――

 

 

 日が昇りたての朝七時四十八分、気温は十度にも満たない寒さの中で一隻の艦船(KAN-SEN)が中庭で紅茶を楽しんでいた。

 

「ふぅ……早朝の紅茶はニルギリのストレートに限りますわね。柑橘系のような香りは心に安らぎを与えて、親しみやすく爽やかな飲み口……まさに目覚めの一杯として最高の紅茶ですわ」

 

 紅茶を楽しんでいたのはハボクック氷山空母、かつての大戦でロイヤルガードと称された艦船(KAN-SEN)だ。

 

 今は艤装のメンテナンスのために海軍基地本部に滞在している。

 

「ベットの方にいらっしゃらないと探しましたが、ここに居られましたかハボクック様」

 

「あら、お手数をかけてごめんなさいベルファストさん。出来るだけ涼しいところでアーリーモーニングティーを楽しみたくて、ベットから出てきてしまいましたわ。今度から置手紙を出しておきますね」

 

「メイドとしては寝室でお待ちしていただけると助かります」

 

 ティーセットを持ったベルファストがハボクックに寄って来て、机にティーセットを置く。

 

「ベルファストさん、アーリーモーニングティーをご一緒していただけるのですか?」

 

「紛らわしい動作をしてしまい申し訳ありません。このティーセットは女王陛下の物です。ハボクック様に一つお渡ししなくてはいけない物がございまして、それを出すために一度テーブルに置かせていただきました」

 

「そうでしたか。これが女王陛下のアーリーモーニングティーセット……流石、豪華ですわね。それで私に渡したいものとは?何が出てくるか楽しみね」

 

「ご期待に添えるかどうかは分かりかねますが、大きめの封筒が届いております。送り主はまんじゅう様からです」

 

 そう言うとベルファストはメイド服の裏ポケットから大きめの封筒を取り出した。

 

「どう考えてもこの大きさの封筒を持ち運んでいて取り出せるような大きさではないと突っ込みが必要なところから取り出しましたね……。と言いますか、まんじゅうから私に……?え、まんじゅうって文字が書けましたの?それはつまり私達、艦船(KAN-SEN)の言葉を理解しているという事?」

 

「はい、私も最初は驚かれましたが彼?彼女?達は多彩なようで……他にも色々なところで活躍されているとのことです。説明させていただきたいのですが、もうそろそろ女王陛下が起床なされる時刻ですのでお先に失礼します」

 

 そう言うと、ベルファストはテーブルに置いたティーセットを持ち上げさっさと立ち去ろうとする。

 

「このような疑問を放置したまま立ち去らないでいただける!?あ、煙幕を使って離脱するなんて卑怯ですわよ!?ちょっと!ベルファストさん!……行ってしまいましたか」

 

 ハボクックの声むなしくベルファストは立ち去り、ハボクックはため息をついた。

 

「……とりあえず、開けてみましょう。一体何が入っているのかしら?これは手紙とイラスト……?このイラストは私でしょうか?」

 

 封筒の中には一枚の手紙とハボクックの絵が描かれたイラストが同封していた。

 

「手紙の方は何が書かれているのでしょうか……?」

 

「――初めましてハボクックお姉さん!私の名前はまんじゅう!今回、ハボクックお姉さんが久しぶりに本部へ戻ってくると聞いて居てもたってもいられずお手紙を書かせていただきました!

 覚えていないと思いますが、先の大戦で助けてもらった一匹で、いつかハボクックお姉さんに感謝の言葉を言えたらいいなと思っていました。ですが、私達に声帯はありませんので話せないです。

 なので、直接お手紙にさせていただきました!改めまして、お礼を言わせていただきます。

 先の大戦では私たちまんじゅうを助けていただきありがとうございました!

 同封しているのは私達の感謝の気持ちで北の海で頑張っているハボクックお姉さんを描かせていただきました!喜んでくれたら嬉しいです。まんじゅうより――」

 

 ハボクックはしばらく黙り、同封していたイラストを手に持つ。

 

 イラストは流氷地帯でフェアリーソードフィッシュを飛ばしているハボクックの姿。

 

「……いい出来ですわね。また、あの海に戻る時に額縁に入れて持って帰りましょう」

 

 ハボクックは嬉しそうに微笑みながらイラストを眺めるのであった。




今回はちょっと息抜……という事で、ハボクック氷山空母に助けてもらったまんじゅうからのお手紙とイラストが送られてきたという話です。
まんじゅうはどんなことをしているのでしょうね。ミニゲームに参加したり、工場運営もしていたり……企画を作っているのも、もしかしたらまんじゅうなのかもしれませんね。
そんな、まんじゅうの一人として普段活躍しているハボクックお姉さんに手紙を出すとなるとこんな形になるのかな?と思い楽しく書かせていただきました。
ご存じの方がいらっしゃると思いますが、pixivにて同じ内容を投稿しております。
そちらの方では今回は実際にハボクックお姉さんが三十話イラスト表紙として登場しております!
イラストをいただき感謝感激です!これからも頑張りますので、どうぞお付き合いください!
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