凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
ユナイはレーダーに反応した影の点滅の位置から足が遅いことを読み取る。
ユナイ「ここで戦艦を落とすですと……基地の防衛は無くなるです!これは見逃せないです!」
急いでユナイは盾を水平に保ち攻撃機を発艦していく。
ユナイ「ここで大戦果を挙げてエンタープライズを見返してやるのです!行くです!艦載機達!」
ユナイは疑うこともなく艦載機を発艦していく……。
――ユニオン南方海域:南東群島海域――
ユニオン南方海域の群島諸島の陰にその者達はいた。
「対空電探に影ありです!敵機が来ます!」
「うまい事釣れたみたいやな……みな、対空警戒怠らんようにな!ここからが気張り時やで!」
敵機の来襲に反応した龍驤と祥鳳が対空警戒を呼び掛ける。
「機数の確認を急いで!とは言っても、翔鶴姉と私がいれば艦隊に敵機を近づけさせないけどね!戦闘機中隊、攻撃機中隊、行きなさい!」
「瑞鶴?あんまり油断しちゃいけませんよ?戦闘機中隊、敵機を一機残らず落としてきてくださいね。攻撃機中隊、必ず当てて帰ってくるのですよ」
上空ですでに展開していた翔鶴と瑞鶴の戦闘機十八機、艦爆及び艦上攻撃機六十機、合計七十八機が南東へ向かう。
「私達も負けていられません!戦闘機中隊、攻撃機中隊、行っちゃってください!」
「第四航空戦隊と第五航空戦隊の戦果勝負やな!うちも張り切っていきましょか!みんな行けー!誰が主役か、見せたるんやで!」
続いて龍驤、祥鳳の戦闘機十八機、艦爆及び艦上攻撃機二十一、合計三十九機が後へと続く。
「これが重桜の航空戦力か……なるほど、確かにユニオンですら引けを取らないだろう」
翔鶴、瑞鶴、龍驤、祥鳳の後方で控えていたティルピッツが呟く。
それもそのはず、重桜の航空母艦から発艦したのは合計百十七機で、重桜の受けた空襲の半数ではあるが一隻の航空母艦を相手には過剰な攻撃だともいえる。
「戦闘機が敵艦載機と接触、交戦に入ったよ翔鶴姉!」
「敵さん、相当慌てていたみたいね、護衛の直掩機が全然いないみたい」
「神子(長門)様の作戦通りですね。艦隊の速力を二十ノットで統一すれば戦艦と勘違いして攻撃機中隊しか来ないと……予想通りで、龍驤驚きです!」
「流石、神子(長門)様やな、うちらも期待に添わんといけんな!」
翔鶴、瑞鶴、龍驤、祥鳳の戦闘機三十六機が次々と敵の艦載機を撃ち落としていく。
「十時の方向に敵機来ます!統一運動止め!最大船速で回避しますよ!」
「何機来ても結果は変わらへん!全てうちが撃ち落としたる!」
戦闘機の猛攻を突破して艦隊に突撃してくる敵艦爆及び艦上攻撃機を戦艦を先頭とした輪形陣で応戦する。
「撃って撃って撃ち落とせ!翔鶴姉には指一本触れさせない!」
「瑞鶴?張り切り過ぎてはダメよ、敵をしっかりと捉えて一機ずつ確実にね」
翔鶴の言葉に対して瑞鶴は「分かっているよ翔鶴姉!」と返す。
その掛け声をティルピッツは聞いて「……羨ましいな」と小さく呟く。
「敵機、二時の方向より襲来!十二機!?編隊を組んで突っ込んでくる!」
「いつの間にこんな数を発艦させたんや!?それよりも早く撃ち落とさんとまずいことになるで!」
新たな敵機の来襲に艦隊が慌てる。
「まさか、これを使う時が来るとは……貴方達にとってそれが最後の抵抗となるかもしれないけど、戦いは無慈悲なものよ……目標、敵艦載機編隊!標準を合わせて……前門主砲、放て!」
ティルピッツから放たれた主砲はまっすぐに敵艦載機へと飛んでいく。
そして、敵艦載機の前に到達した時に炸裂!編隊を組んでいた艦載機達は一瞬にしてバラバラになり海へと落ちていった。
「す、凄い……何今の攻撃は!」
「ごめんなさい。同盟国とはいえ、これは話すことは出来ないわ」
「瑞鶴!敵に集中しなさい!まだ、航空母艦を叩いていないのだから、油断したらいけません!」
ティルピッツが放った特殊弾に興味を示す瑞鶴を叱る翔鶴、それに対して「後で聞かせてもらうからね!」と言って戦闘に集中する瑞鶴。
その姉妹のやり取りを見てティルピッツは少し微笑ましいと笑うのであった。
アパタイト(和名、燐灰石)、宝石言葉「優しい誘惑」……となっていますが、どこが優しいのでしょうか?
敵の神経を常に張らせて疲れさせ、判断力が鈍ったところに艦載機の大編成をぶつけてくる今作戦はどう見ても鬼畜ですね!
どうして「優しい誘惑」なのかは後になって分かります。
艦載機の出撃数は翔鶴と瑞鶴(珊瑚海海戦)、龍驤(フィリピンの戦い)、祥鳳(ドーリットル空襲)を参考にしています。