凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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赤城「うふふ……さあ、行きなさい私の艦載機達!」

赤城は霧の中にも関わらず難なく艦載機を飛ばしていく。

狙うは千キロ離れたユニオンの船。

赤城「天城姉様の作戦は順調です。この赤城にかかればあんな船、すぐに鉄屑に変えて海へと沈めて見せますわ!ああ、天城姉様……この赤城の活躍を期待していてくださいませ!」

赤城の高笑いが霧の中で不気味に響き渡る。

だが、千キロ先の船はそんなに離れた事を知る方法などなかった。


悪戯娘の意地

 

 

――ユニオン南方海域:南西群島海域――

 

 

「見えたです!あれは……げっ!敵戦艦じゃないですか!」

 

 狭い群島の間を全速力で航行したユナイテッド・ステーツことユナイは敵に鹵獲されそうになっているエンタープライズと敵主力艦隊を発見した。

 

 ユナイは島に突っ込むごとく旋回して島影へと隠れる。

 

「まずいのです!まずいのです!目の前は敵戦艦、後ろからは敵航空母艦の艦載機が迫ってきているのです……これは本当にまずいのです!」

 

 ユナイは最初、敵駆逐艦による高速部隊による奇襲を受けて撤退しているものだと判断し、敵戦艦が存在していたことをすっかりと忘れていた。

 

 もし、敵駆逐艦だけであれば包囲網を簡単に崩して救出でき、後ろから迫りくる敵航空母艦と対抗できると考えていた。

 

 だが、現実は無情にも敵戦艦四隻と駆逐艦八隻の主力艦隊。

 

 とてもじゃないが、真正面から戦って勝てるような戦力ではなかった。

 

「……現在のダメージと状況について確認するです!」

 

 敵艦載機の猛攻を受けながらも無理やり突破してきたユナイは走行甲板に五発、魚雷八発被雷しているが、ダメージコントロールが優秀だったためか運よく艦載機の発着艦と航行に支障はない。

 

 敵艦載機は攻撃をし終えると追撃するユナイの戦闘機から逃げて敵航空母艦へと戻っていた。

 

「今は敵航空母艦は攻撃してきた艦載機の格納と第二次攻撃隊の準備で忙しいはずです。本当は上空の戦闘機を格納して次の空襲に備えたかったのですが……エンタープライズさんを助けるには今しかないのです!ユナイはこれより敵主力艦隊に攻撃機を飛ばすのです!」

 

 そう言うと、ユナイは上空に飛ばしている戦闘機を上空に待機させたまま第二次攻撃を行おうと艦上爆撃機と艦上攻撃機を準備する。

 

「これは危険な賭けなのです。失敗すればユナイもただでは済まないのです!」

 

 本来、航空母艦とは敵の主砲の届かないような遠距離から艦載機を飛ばし、一方的に攻撃する艦種であるため艦載機が中にある船の中は空洞で防御力はそこまでない。

 

 今は島の後ろにいることで主砲の射線からは守られてはいるが、敵戦艦が島を回ってきた場合は?戦艦の主砲を至近距離で受けて大丈夫な航空母艦はまずいないだろう。ユナイも例外ではなかった。

 

 それに加えて、攻撃し終えた艦載機を格納している間に敵航空母艦から発艦した敵艦載機がユナイに攻撃をしてくるだろう。

 

 それを何とかしのぎつつ群島を盾にしてユニオン南方基地まで撤退しなければならない。

 

「……ん?南方基地が近いのです?ならユナイに着艦させずに基地に着陸させればよいのです!なんでユナイは最新鋭艦載機の存在を忘れていたんですか!」

 

 ユナイに搭載されている最新鋭艦載機……F八B艦載機は最大速度が速く航続距離が長い。

 

 普通の艦載機であれば基地にたどり着く前に燃料切れで海へと落ちてしまうだろうが、ユナイの艦載機であれば四千キロ離れた基地まで難なく戻れるだろう。

 

 そうなると作戦は大きく変わってくる。

 

「まず最初にユナイの艦上爆撃機及び艦上攻撃機を次々と飛ばして敵戦艦を航行不能もしくは主砲が使えない状態に持っていくです。次に敵航空母艦から飛んできた敵艦載機を上空で待機させている弾薬も燃料も心もとない戦闘機と随時発艦させた戦闘機が頑張って落としていくです。最後に敵艦載機からの攻撃を耐えた後、エンタープライズさんとその護衛艦隊を取り囲む駆逐艦隊を攻撃し包囲を崩してエンタープライズさんを連れて逃げるです!……言っていて無理難題感が凄いですね!」

 

 普通の航空母艦であれば出来ない作戦。だが、ユナイテッド・ステーツなら出来る。

 

「やることは決まったのです。戦況は最悪、援軍の見込みはなしです……ですが、ユナイは絶対に諦めないのです!ここからはユナイの意地なのです!必ず成功させてエンタープライズさんを助け出すのです!艦載機達行くのです!」

 

 そう言うとユナイは発艦準備の出来た艦上爆撃機と艦上攻撃機を同時に発艦させていく。

 

 どんなに絶望的な状況でも諦めない意思は、悪戯娘の強い思う力の表れでもあった。




燐灰作戦はユナイの鹵獲ではなくエンタープライズの鹵獲でしたが、それを何としても止めようとするユナイの行動を今回は書かせていただきました。
今回登場した艦載機F八B艦載機は速度性能と航続距離を重点に置いた艦載機で、翔鶴と瑞鶴の当時最高の性能を持った零式艦上戦闘機より速度が早く、航続距離に至っては約一,五倍の距離を飛ぶことが出来ます!
ですが、艦載機の大きさが大きくて運動性能が若干悪いため採用されなかった三機しかない幻の機体です!
ユナイの船体は戦艦だったので、ここぞとばかりに登場させちゃいました!
今後、このF八B艦載機の出番も増えていくと思います。
「速力が早く」て「飛んでいける距離が長い」事を覚えてもらえれば今後の小説も読んでいて面白くなるかも?しれませんので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
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